SF百科図鑑
Bill Johnson "We Will Drink A Fish Together..."
最終更新:
匿名ユーザー
6/24
宝はホットシークレット惜しかった。ドトウが一矢報いたのはよかったが。
さて、今読めるヒューゴー短編は次の通り。(短い順)
ナイルに死す(ウィリス)さあ、魚を飲もう(ジョンソン)火星の子(ジェロルド)オルドワイ峡谷七景(レズニック)底地にて(タートルダヴ)
まず、持ち運びしにくい「さあ、魚を飲もう」(ジョンソン)を読み、次いで「ネビュラ」と「ヒューゴー」だろうか。並行して「スノクラ」までを今週のノルマとしたい。
以上をつぶせば、次は、「ミラーダンス」「ダイヤモンドエイジ」「ブルーマーズ」「天空の深淵」の原書長編4連発(翻訳の出なさそうなものを優先か)。あわせてマーティン「龍の血」とウィリス「魂」(入手次第)、入手できればウィリス「大理石」(ウィリスって短編集が確実に出る作家だからか、なかなかアンソロジーに入らない)。7月頭には「20世紀SF・」(80年代)が入る。7月中に入手できる90年代ヒューゴーは完読する。
8月には、ネビュラ/英国SF/国際幻想文学/プリングルの100冊等に入れるようにする。頑張って読むぞ。また、カナダ、オーストラリアの受賞作にもそろそろ手を出そうかな。結構凄い作品が埋もれているんだよね。
さて、今日はジョンスンの「さあ、一緒に魚を飲もう&&」を読みます。ドゾワ・アンソロジー第15巻。このアンソロジー、中身はほとんど完璧なのですが難点は本がでかすぎて持ち運べないこと。ペーパーバックは普通背広のポケットに入るのですが、この本は無理です。それゆえ、昼休みのささやかな読書の楽しみにこの本を加えることはできません。また厚すぎてカバーもつけられないので、裸で持ち歩くことになります。そうすると「サイエンスフィクション」という文字が表紙にでかでかと出ておりしかもやたらでかい本ですから、こんな本を持って(略)などに入ろうものなら目立って恥ずかしいこと受け合いです。(略)。
閑話休題、この15巻はこんなラインナップです。
夜の美/シルヴァーバーグ
第2の皮膚/マコーリイ
情報前線の蒸気船兵士/クレス
陽気になる理由/イーガン(20世紀SF・収録予定)
衛星「6」/バクスター
さあ魚を飲もう/ジョンスン
避難路/ハミルトン
ストロベリー・フィールドにて/ケリー(SFM)
ヨーロッパのスパイ/レイノルズ
発見されざるもの/サンダース
こだま/ブレナート
君を知ること/マルセク
バリの踊り子/ジョーンズ
髄/リード
白き心/ウォルドロップ
太古の地球の英知/スワンウィック
牧神の笛/ステイブルフォード
チャオ・メン・フー通過/ノードリイ
イェユーカ/イーガン(「祈りの海」)
霜の絵/ギルマン
忘却の河/ウィリアムス
冬の火/ランディス
二度とすまじ/マクラウト
血管切開/イングス
ケリー牛を追って/マクドナルド
アガメムノンの仮面/ウィリアムス&ブラウン
ガリバーの帰郷/ケッセル
冷たく乾いたゆりかご/ベンフォード&マラートル
以上28編収録、既訳はたったの2編、翻訳予定があるのは1編のみ。わが国でも、全部訳せとはいわないから、年刊アンソロジー(またはSFMの特集号でもいい)を編んでほしいですよね、翻訳の。おれが慈悲(自費)出版で出すしかないか(うーむこの変換は見事だ(笑))。その際は、イーガンのような短編集が出そうな作家は割愛し、アンソロジーに入れなければすぐに読めなくなりそうなマイナー作家をできるだけ優先すべきだろう。
ジョンソン「魚を飲もうよ」半分まできました。
主人公は異星人相手の外交官をやっており、異星人大使への銃弾を防弾チョッキで受け止めヒーローになるものの、祖父代わりだった男サムの訃報が入ったため葬式を仕事に優先し、辞表を出します。弟夫婦&娘(姪)と一緒に、生れ育ったサムの家に戻りますが、そこへサムのなじみのインディアンが酔っぱらってやってきて「サムの遺書におれへの遺言があるだろ」などとしつこく言いつのるのを何とか追い払います。インディアンが後で電話してきて「サムの行きつけのプールバーに面白いものがある」などというので、行ってみると、例の異星人が酔っ払いと喧嘩をしています。主人公が仲裁に入り、異星人に事情をきくと、「軌道船に戻ってみたら殺されそうになった。軌道船には他種族も入っており、同じ種族でも血統の違う者もいるから、自分の命を狙っている者はいっぱいいる。先週、命を助けてもらったときに「わたしの血統に加えよう」といったお返しに「わたしの血統には加えられないが、わたしの血統の仲間にすることはできる。ここにいる間はあなたの安全を守ってあげる」と言ってくれたから、あなたを頼りにしてここへ逃げてきた」とのことでした。主人公は軽はずみに馬鹿なことを言ったと後悔しますが、しょうがないので異星人を助けることにし、サムの家に一泊させた後、サムの埋葬に向かいます。向かったのは地図にない湖。それ自体が地図のような湖です。その湖畔に、もと優秀な木彫り職人だった大老人が住んでいます。この老人は今は腕が鈍っていますが、今も木彫りを日課にしています。老人はこの近辺の牧場に侵入者があったと告げ、それがこの異星人であったことが判明します。ただ、この異星人以外にもう一人の侵入者がいるらしいことがわかります。なぜなら違う方向に進んでいたからです。老人は魚を漬け込んだ酒瓶を持ってきて、自分、主人公、異星人の順に飲ませます。題名はここからとられているようですね。
さて、今から寝る前に、最後まで読みます。ユーモラスな語り口がなかなかよいですね。異星人、インディアン等、キャラクターが面白いです。
マーティン「炎と氷」1と2、コーネリアス4部作合本、ビッスン短編集「上の部屋」早速届きました。いやぁ、早いっす。
ジョンソン「魚を一杯&&」★★★★★
ほのぼのとユーモラスな語り口、都会的な役所仕事と田舎の生活の対比の妙、エイリアンと地球の関係に、田舎と都会の関係をからめた構成のうまさ、「古き良き黄金時代のSF」を思わせる夢広がるラストと、他に真似のできない独特の傑作に仕上がっています。特にアメリカの田舎生活の描写が見事すぎます。魚を酒に入れて寝かせるなんて風習、ほんとうに田舎の方にはあるんでしょうかね、ちょっと興味を引かれます。エイリアンと田舎のおっちゃんたちが魚の地酒を酌み交わしながら親交を深めるなんて、何と素敵な話なんでしょう。惚れました。本作以外にほとんど名をきかない作者ですが、これ一作だけでも十分に注目に値します。ウォルドロップあたりを思わせるとぼけたユーモアが何とも好みです。