SF百科図鑑
ロバート・シルヴァーバーグ『禁じられた惑星』
最終更新:
匿名ユーザー
2001年
8/5
シルヴァーバーグ「禁じられた惑星」。
いつとも知れぬ遠い惑星の上、一人称が禁じられ、親子/兄弟などの人間関係の基本単位が根本的に改変された社会における「自意識の目覚め」と新興宗教のめばえを描くことを通じて、人間性とモラルの本質に迫る、思弁SFです。何といってもアイデア、舞台設定が見事。それでいてシルヴァーバーグお得意の中世的で幻想的な世界/キャラクター描写といった旧来の長所がそのまま生かされています。恐らく傑作でしょう。先が楽しみです。
ああそうそう、「アプターの宝石」原書、ゲド戦記1巻入手。
ううーエンデ読みてえ。ジムボタンむちゃくちゃ面白そうだよな。ドイツの児童小説ってとにかくむちゃくちゃ面白いからな。大泥棒ホッツェンプロッツとか。子供だけの町ってのも面白かった。とにかくジムボタンとモモと果てしない物語は読まないと。機関車エマってのがまた可愛いんだよな。昔アニメでもやってたけどむちゃくちゃ好きだった。
やべえ、中断しているダイヤモンドエイジも、そろそろ読まないと。
8/11
シルヴァーバーグ「禁じられた惑星」★★★★1/2
シルヴァーバーグ流のユートピア探究小説。個を否定することが基本的道徳律とされた社会における「個の自覚/主張と壁の撤廃/協調」の思想を持つに至った人物の手記。60~70年代のドラッグ/カウンターカルチャーを下敷きにしていることが明白。後半は完全にドラッグ小説になっています。ドラッグによる「愛の共同体」を肯定するのか否定するのかについてはアンビヴァレントな内容になっており、やや突っ込みが足りないような感じがするのが半点引いた理由だが、作者自身どちらとも決めかねているためでは。とにかくこの作品の下敷きとなった「大地への下降」も必読でしょう。