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ククリ - (2010/02/25 (木) 00:23:29) の1つ前との変更点
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**ククリ ~Kukri~
&bold(){基本スペックと定義}
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#image(kukri01-02.jpg,blank,left)
|全長|45~50cm|
|重量|0.6kg前後|
|地域|ネパール|
|年代|年代不詳~現代|
ククリはネパールのグルカ族固有のナイフ(山刀)であり、現在も軍や警察に使われている曲刃短剣である。
ククリ刀、ククリナイフ、グルカナイフとも呼ばれているが、グルカ族以外の部族やインドでもその使用が確認されている。
形状はギリシャが起源と言われているので、「[[ファルカタ]]」あたりが祖先ではないかと思われる。
刃は大きく湾曲し、「く」の字になっており、刃は狭いところで3cm前後、広いところで6cmと、刃の幅に差がある造りである。
刀身の形状は部族の住んでいる場所によって、大きく2種類ある。
・低地に住む部族:曲がりが少なく薄刃。
これは比較的柔らかめの草木を刈るためである。
・高地に住む部族:曲がりが大きく肉厚。
こちらのタイプは、斧と言ってもいいぐらいの使い方が可能になっている。
ククリ最大の特徴は、鍔元に小さなくぼみがあることで、このくぼみは「チョー」と呼ばれている。
これは女性器の象徴やカーリーの陰核、またはシヴァの陰茎の象徴とも言われており、付けることによって威力が増すと言われている。
(近年のアンティーク、軍用のものに限っては省略されている場合がある)
握りは硬い木や象牙で作られており、基本的に真っ直ぐで鍔がない場合もある。
ただククリの鍔は握りとほぼ同じ太さのため、攻撃を受け止めたり、手を切らないようにするため、という鍔本来の役割を果たしていない。
また、ある場合とない場合があるが、1,2本の小刀が鞘に付く場合がある。
一つは完全な小刀の「カルダ」で、もう一つは火打石兼ヤスリ棒である「チャクマ」である。
最もこれは代表例であり、カルダがククリの小型版になっている場合もあったりするし、古いククリになると鞘に10本以上の小刀が付くこともあったという。
ともあれ、その独特な形状から現在の軍、警察のみならず映画やゲーム、漫画といった創作作品でも非常に人気の高い武器である。
&bold(){部位別の呼称}
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#image(kukri01-03.jpg,blank,left)
|1|剣身:ブレイド(Blade)|
|2|切先:ポイント(Point)|
|3|チョー|
|4|柄:ヒルト(Hilt)|
|5|鍔:ガード(Guard)|
|6|握り:グリップ(Grip)|
|7|柄頭:ポメル(Pommel)|
&bold(){時代背景}
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#image(kukri01-04.jpg,blank,left)
古代ギリシャ王国のひとつ、マケドニアのアレクサンドロス大王によって東方にもたらされたコピス等に似ていることから、その影響を受けたものと思われる。
ただしいつ頃から生まれたかはわかっていない。
ククリが世界的に有名になったのは、インドで起きた「セポイの乱(第一次インド独立戦争)」(1857年~1859年)だろう。
このとき、イギリスがグルカ王朝(現:ネパール)の兵士を雇った。
グルカ王朝の兵士達はククリを常備しており、白兵戦を得意としていたことが雇った理由である。
彼らは比較的小柄なのだが、そんな彼らがククリを携えて攻撃してくるのはかなり精神的にも脅威を与えるものだった。
以後、彼らは歴史のところどころにおいて登場し、ククリも同時に世界的に有名になっていくのであった。
なお、主に英語圏での俗説に「グルカ族には一度抜いたククリは血を吸わせてからでなければ納刀してはならない」という掟があるという噂があるが、これは全くのデマらしい。
現在ではネパールの軍や警察の標準的な装備として使われていたり、各国で「山刀」代わりに使っていることもある。
日本においてもナイフ専門店にて購入することが出来るが、日本で使われているものも山に入ったときに枝を払う山刀という扱いやコレクターアイテムと言う扱いである。
&bold(){使用用途}
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#image(kukri01-05.jpg,blank,left)
ククリは元々は山刀的な用途であり、農作業、鍛冶、狩猟、そして戦闘に使える万能ナイフである。
儀式においても使用される武器であり、生贄として牛を捧げるときのククリは1mを超えていると言われている。
(どっかのメーカーが作った大型ククリも、実は存在している可能性があるというわけである)
大きく「く」の字に曲がった刀身は余り力を入れずとも切断をしやすい造りであるため、密林での草木を払うのには非常に適している。
同時に殺傷能力も高いことを顕著に表している。
使い方としては「薙ぎ払う」といった斬りつける方法がこの武器の性能を最大に生かせる使用方法である。
突きには全く向かない形状であるので気をつけて欲しい。
最近の某有名ゲーム原作のアクション映画では、ククリを非常に間違った使用方法をしていたので、その誤りについてここに書いておこう。
まず、ククリのような「薙ぎ払う」タイプの武器は「逆手で持つ」という行為はほぼ無意味である。
カッコつけでやったのかも知れないが、ククリに関して無知にも程がある。
また、形状が似ているからと言って「[[ブーメラン]]」のように投げたシーンもあったがとんでもない。
外側に刃がついているのならともかく、ククリの形状は投擲にも向かないし、こんな大きなものを投げたら空気抵抗をもろに受けて全然飛ばない。
少しでもククリについて知っていれば、非常に稚拙な演出である。
近年、映画とかゲームで使うのはいいが、形状ごとの正しい&常識的な使用方法が全く分かっていない奴によって作られる作品が多すぎる。
ブキペの作った理由の一つも、こういった間違った知識を訂正したいから、と言うものがある。
当サイトを読んでくれた方々は、こういった低次元な間違い・演出をしないようお願いしたい。
&bold(){ネパールの戦士達の精神の表れ?!}
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#image(kukri01-06.jpg,blank,left)
ククリはネパール社会では非常に重宝されており、材質や装飾によってその所有者の反映が伺われると言う程であった。
西洋で言えば騎士が腰につけた「ロングソード」や「[[レイピア]]」、日本で言えば武士や侍の「[[打刀]]」と同様であったと言っていい。
つまりは、ネパール人戦士の精神を表すような武器であると言える。
二本の小刀が付くあたりも、日本の打刀の「[[小柄小刀笄]]」に似通っているものがあるので、日本人にとっては親近感ある武器と言える。
なお…これを作ると友人に言ったときに、例によって某三つ編み魔法使い少女と間違われたわけだが…
彼女は特にククリナイフとの関連性はないらしいので一応、ね。うん。
2010年 2月24日更新
&bold(){参考文献}
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・ウェブサイト
[[wikipedia>http://ja.wikipedia.org/wiki/]]
・文献
|新紀元社 ||武器事典 ||市川定春 著|
|新紀元社 ||武器と防具 西洋編 ||市川定春 著|
|新紀元社 ||図解 近接武器 ||大波篤司 著|
|ダイヤグラム・グループ||武器―歴史、形、用法、威力||田島優 北村孝一 著|
|幻冬舎コミックス ||図説 武器だもの ||武器ドットコム 著|
|新紀元社 ||武器甲冑図鑑 ||市川定春 著|