ショートボウ ~Short Bow~
基本スペックと定義
全長 |
100cm以下 |
重量 |
0.5~0.8kg |
地域 |
全世界 |
年代 |
紀元前15~紀元20世紀 |
その名の通り、短い弓をショートボウと呼ぶ。
100cm以下の弓は、コンポジットボウ(合成弓)なども含むので、ここでは単一の木材を素材とした弓として定義する。
ショートボウや
ロングボウのように、単一の木材+弦で作られたものを、セルフ・ボウ(Self Bow)とも言う。
我々人類の生活において非常に重要だった狩猟用の武器で、今日においても一部地域での狩猟に使われたり、スポーツ等の競技で使われている。
生活にも密接したこの武器は、刀剣、
長柄武器、棍棒と並んで、最もポピュラーな武器の一つであると言える。
ショートボウはその大きさや素材の少なさから、簡単に出来そうかと思われがちである。
しかし、凝ったもの(実用的なもの)を作るのであれば、かなり手間が掛かる。
大まかに作り方を説明すると…
1:一本の真っ直ぐな木の棒や板材を徐々に湾曲させる。
2:ある程度反らすことが出来た後、使いやすいように削っていく。
3:端と端に弦を引っ掛けるための溝を掘るか、金属等で弦を引っ掛けるためのパーツ(うらはず、もとはず)を付ける。
4:溝、もしくは金属等パーツに弦を張れば完成。
ここの1と2の過程が非常に難しく、そもそも弓作りに最適な木材探しと言うのが難しい。
そして厳選された木材を反らすのも非常に時間が掛かることである上、反らし方を間違えば使い物にならないので、非常に繊細に作業を行う必要がある。
このように、ショートボウとは単純なもののようで奥深い武器なのである。
部位別の呼称
1 |
干(カン) |
2 |
押付:アッパー・リブ(Upper Limb) |
3 |
うらはず |
4 |
ゆずか:グリップ(Grip) |
5 |
手下:ロアー・リブ(Lower Limb) |
6 |
もとはず |
7 |
弦:ボウ・ストリングス(Bow Strings) |
8 |
ノッキング・ポイント(Nocking Point) |
時代背景
恐らくは旧石器時代の終わりごろに生まれたと言われており、当初は狩猟用として使われたと思われる。
遠くの敵に対して、投げ槍よりも早く、高い威力で攻撃することが出来る武器。
ショートボウの開発は、近年における火薬、戦車、原子爆弾、先行者、メタ○ギアなどの発明に匹敵するほどの軍事技術の革命だった。
地中海近辺を中心に世界中に広まったとされ、そのことは世界各地に残る壁画に刻まれた弓矢の絵が物語っている。
軍事的にも非常に重要な武器とされて、主に中近東、エジプト、シュメールやアッカドといったメソポタミア文明圏でよく使われたという記録がある。
中近東では軍隊における、組織的な戦闘技術の一環として重要視されていた。
古代エジプトではファラオの軍隊に弓兵部隊の存在があったと言われている。
さすがに銃火器時代の到来に押されてしまったものの、合成弓や強化弓であれば、ときとしてその威力を凌駕することもあったという。
現代でも一部先住民たちには、現役で狩猟用武器として使用されている。
使用用途
左手でグリップをしっかりと握り、弦の中心部あたりに矢筈を引っ掛け、右手で弦と矢をゆっくりと後方に引く。
弦が伸びるギリギリまで引いたら、狙いを定めて、右手を離す。
射出前の角度によって飛距離や命中角度が変わるので、高度な技術を必要とする…のは、ロングボウと同じであり、他の弓系武器の共通の使用方法である。
もちろん長年の訓練を必要とし、使用するには高い熟練度が要求される。
しかし弓も矢も短めで軽く、多くの矢を持ち運びしやすいこと。
また、サイズ的に扱いやすいため、騎乗しながらでも使えるという利点もあるので、使いこなせるようになれば非常に便利な武器である。
ロングボウほどは高い筋力を必要としないので、身体がアンバランスなマッチョになる心配も少ない。
2008年 10月18日更新
参考文献
新紀元社 |
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武器事典 |
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市川定春 著 |
新紀元社 |
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武器と防具 西洋編 |
|
市川定春 著 |
新紀元社 |
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図解 近接武器 |
|
大波篤司 著 |
ダイヤグラム・グループ |
|
武器―歴史、形、用法、威力 |
|
田島優 北村孝一 著 |
幻冬舎コミックス |
|
図説 武器だもの |
|
武器ドットコム 著 |
最終更新:2009年08月16日 03:19