石田ギリオSS
俺の嫁ダンゲロス『石田ギリオSS』
ヴィクター博士の研究室が吉祥寺にあったのは昔の話で、いまは彼の墓標とともに両国駅近辺の地下深くに埋まっている。
あの愚かな博士の末路に関しては、石田ギリオも言及する気になれない。
あのような研究活動をしていればいつか死ぬだろうと誰もが思っていたし、事実、すぐに死んだ。
あの愚かな博士の末路に関しては、石田ギリオも言及する気になれない。
あのような研究活動をしていればいつか死ぬだろうと誰もが思っていたし、事実、すぐに死んだ。
だが、どちらかといえばこのチキンレースに関しては石田ギリオのほうが先に脱落すると、吉祥寺界隈のヤクザたちには考えられていた。
その点だけが大方の予想と違っていた。
その点だけが大方の予想と違っていた。
「絶対大丈夫! 今度こそ絶対大丈夫です!」
「今度こそ絶対大丈夫じゃない気がする」
「今度こそ絶対大丈夫じゃない気がする」
「今度のはすごいんですよ。全身に99の殺人武器が内蔵されているんです、
これこそ私の嫁にふさわしい火力!」
石田ギリオが推測する限り、ヴィクター博士は嫁の魅力=火力だと考えている節があった。
これこそ私の嫁にふさわしい火力!」
石田ギリオが推測する限り、ヴィクター博士は嫁の魅力=火力だと考えている節があった。
「マシンガンの弾切れの隙を最小限にとどめる、コンクリート成形機構を採用しました。
コンクリート建造物を捕食して、無限に弾丸を撃ち続けるんですよ可愛いですね~」
「博士、人の話を聞かないとそのうち死ぬぞ」
コンクリート建造物を捕食して、無限に弾丸を撃ち続けるんですよ可愛いですね~」
「博士、人の話を聞かないとそのうち死ぬぞ」
「大丈夫!大丈夫です! もう引き返せない地点まできています。
あとはこの霊薬を混ぜるだけ。ねるねるねるねは、ウヒヒヒ」
「……ねればねるほど色が変わって」
「こうやってつけて食べると」
「ウマイ!」
「テーレッテレー!」
あとはこの霊薬を混ぜるだけ。ねるねるねるねは、ウヒヒヒ」
「……ねればねるほど色が変わって」
「こうやってつけて食べると」
「ウマイ!」
「テーレッテレー!」
石田ギリオはこのときほど博士のおろかなノリに同調した己を後悔したことはなかった。
この直後、ヴィクター博士は霊薬の中から誕生した『俺の嫁99号』のマシンガン集中砲火を受け、惨殺。
ほとんど即死であった。
この直後、ヴィクター博士は霊薬の中から誕生した『俺の嫁99号』のマシンガン集中砲火を受け、惨殺。
ほとんど即死であった。
石田ギリオは命からがら逃げ出したものの、こうしてヴィクター博士の99の嫁は東京都23区に解き放たれた。
ギリオの胸に刻まれたのは、自分が惨めに逃げ出すという最大の屈辱!
そして石田ギリオの精神は、このようなストレスに耐え切れるほど器の大きなものではなかった!
ギリオの胸に刻まれたのは、自分が惨めに逃げ出すという最大の屈辱!
そして石田ギリオの精神は、このようなストレスに耐え切れるほど器の大きなものではなかった!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はあ、はあ・・・」
石田ギリオは、先ほどの奇襲で始末した、『俺の嫁99号』の残骸を見下ろす。
油と人工筋肉と鉄骨フレームの残骸になるほど分解された、かつてのヴィクター博士の『俺の嫁』がそこにあった。
猫耳メイド姿であった面影はもはやどこにもない。
石田ギリオは、先ほどの奇襲で始末した、『俺の嫁99号』の残骸を見下ろす。
油と人工筋肉と鉄骨フレームの残骸になるほど分解された、かつてのヴィクター博士の『俺の嫁』がそこにあった。
猫耳メイド姿であった面影はもはやどこにもない。
「馬鹿にしやがって、クソッ!俺を馬鹿にするやつはみんなスクラップ置き場に送ってやる!
全員だ! お前もお前の仲間も一匹残らず、ネジの頭まで破壊してやる!」
全員だ! お前もお前の仲間も一匹残らず、ネジの頭まで破壊してやる!」
これが、残り98体の『俺の嫁』と、チンピラ無職・石田ギリオとの血まみれの戦いの幕開けであった――
石田ギリオSS2 ツンデレの話
「石田ギリオSS2 ツンデレの話」
――それはまだ、博士が生きていた頃の話だ。
「ついに完成しました! 石田さん、私はやりましたよ!
ハイ登場、試作57号さん、キャラ立てて!」
『ピガッ か、勘違いしないでよね!
あんたのために完成したわけじゃないんだから!』
ハイ登場、試作57号さん、キャラ立てて!」
『ピガッ か、勘違いしないでよね!
あんたのために完成したわけじゃないんだから!』
「……あ?」
石田ギリオは研究室の奥から現れた異形を大いに警戒した。
蛍光色をぶちまけたようなピンク色のツインテール!
牙のような八重歯! そして顔の半分以上の面積を占める眼球!
そう、それはどこからどう見ても……
石田ギリオは研究室の奥から現れた異形を大いに警戒した。
蛍光色をぶちまけたようなピンク色のツインテール!
牙のような八重歯! そして顔の半分以上の面積を占める眼球!
そう、それはどこからどう見ても……
「ツンデレですよ、石田さん!かわいいでしょ~~~~!
ウヒヒヒ! 私は興奮しています」
『なっ、なに言ってんのよ! ばか!
私がかわいいなんて…な、なに考えてるわけ!? ピガッ』
興奮する博士。そして傾向ピンク色のツインテールを触手のように振り回す試作57号(ツンデレ)。
ウヒヒヒ! 私は興奮しています」
『なっ、なに言ってんのよ! ばか!
私がかわいいなんて…な、なに考えてるわけ!? ピガッ』
興奮する博士。そして傾向ピンク色のツインテールを触手のように振り回す試作57号(ツンデレ)。
石田ギリオは頭が悪いので、腕を組んで考え込むふりをした。
「ヴィクター博士、これ……売れると思ってるの?
音声はうるさいし、デザインがあまりにも特殊で……頭とか海老みたいじゃん」
「なに言ってるんですか。ツインテールですよ。萌えですよ!
まぐわいたい…… 私、まぐわいたい……」
「いや別に博士の趣味がどうこうってわけじゃないぜ。
ただ、こんなに全力でキャラ立てしてるやつを見ると、やけに濃厚な死相が見えるんだよね」
「ヴィクター博士、これ……売れると思ってるの?
音声はうるさいし、デザインがあまりにも特殊で……頭とか海老みたいじゃん」
「なに言ってるんですか。ツインテールですよ。萌えですよ!
まぐわいたい…… 私、まぐわいたい……」
「いや別に博士の趣味がどうこうってわけじゃないぜ。
ただ、こんなに全力でキャラ立てしてるやつを見ると、やけに濃厚な死相が見えるんだよね」
が、石田の不安を、ヴィクター博士は血走った目で一蹴した。
「ツンデレは男子の夢なんですよ、石田さんは何もわかってない!
石田さんもちょっと話してみれば意見が変わりますよ。ハイ、試作57号さん!」
『か、勘違いしないでよね! あんたと話したいわけじゃないんだからね!』
「ツンデレは男子の夢なんですよ、石田さんは何もわかってない!
石田さんもちょっと話してみれば意見が変わりますよ。ハイ、試作57号さん!」
『か、勘違いしないでよね! あんたと話したいわけじゃないんだからね!』
石田ギリオは新鮮な驚きを覚えた。
「オオー、すげえ、博士のロボットが、博士の言うことを聞いてる!」
「そうでしょうそうでしょう! 私、天才ですからね」
「博士、天才だったんだ! スゲー! 天才ってスゲー!」
「オオー、すげえ、博士のロボットが、博士の言うことを聞いてる!」
「そうでしょうそうでしょう! 私、天才ですからね」
「博士、天才だったんだ! スゲー! 天才ってスゲー!」
褒められたと認識し、試作57号は顔を赤らめる。
『ふ、ふん! だいたいなんであんた真昼間からこんなところで
油売ってるわけ? 私の話相手してる暇があったら、ハローワークでも行きなさいよ!』
『ふ、ふん! だいたいなんであんた真昼間からこんなところで
油売ってるわけ? 私の話相手してる暇があったら、ハローワークでも行きなさいよ!』
「……おい」
「石田さんが無職チンピラということは、ちゃんとインプットしておきました」
『いつまでも無職なんて、私、ぜったい許さないからね。
あんたはやればできるんだから……それに、私、がんばってるあんたのことが……』
「ぶ」
「石田さんが無職チンピラということは、ちゃんとインプットしておきました」
『いつまでも無職なんて、私、ぜったい許さないからね。
あんたはやればできるんだから……それに、私、がんばってるあんたのことが……』
「ぶ」
「ぶっこわす! 博士、剣だ! 決闘の準備をしろ!」
「石田さん落ち着いて! いや、それは無理か!
石田さんは生まれてこの方いちども落ち着いたことないですもんね!
逃げて! 57号さん逃げて!」
『か、勘違いしないでよね! 私はただ逃げるわけじゃないんだからね!』
ガシャッ!と音をたてて、バックステップで距離をとった57号の腕から先が砲塔に変形する!
石田ギリオは乏しい知能でその危険性をかすかに察知した。
「石田さん落ち着いて! いや、それは無理か!
石田さんは生まれてこの方いちども落ち着いたことないですもんね!
逃げて! 57号さん逃げて!」
『か、勘違いしないでよね! 私はただ逃げるわけじゃないんだからね!』
ガシャッ!と音をたてて、バックステップで距離をとった57号の腕から先が砲塔に変形する!
石田ギリオは乏しい知能でその危険性をかすかに察知した。
「博士、なんだよあれ」
「撤退の安全を確保するための装置……グレネード弾ですよ!
名づけて『勘違いしないでよね』システム」
「博士」
石田ギリオは咄嗟に身を伏せ、手近な遮蔽物に隠れる。
「次からあのグレネード弾だけ量産しろ」
「撤退の安全を確保するための装置……グレネード弾ですよ!
名づけて『勘違いしないでよね』システム」
「博士」
石田ギリオは咄嗟に身を伏せ、手近な遮蔽物に隠れる。
「次からあのグレネード弾だけ量産しろ」
……こうして吉祥寺のヴィクター研究所は爆発四散した。
だが、これは悲劇のはじまりにすぎなかったのである。
だが、これは悲劇のはじまりにすぎなかったのである。
石田ギリオSS 3 ~俺の嫁~
「石田ギリオSS 3 ~俺の嫁~」
石田ギリオは夜の街路を走りながら考える。
ヴィクター・フランケンシュタイン博士は、唯一の友人と呼べたものかもしれない。
学校を退学になってから、石田ギリオを相手にする者は数えるほどしかいなかった――
特に、暇なときに愚かな会話を交わすような者は、博士だけであった。
学校を退学になってから、石田ギリオを相手にする者は数えるほどしかいなかった――
特に、暇なときに愚かな会話を交わすような者は、博士だけであった。
ヴィクター博士は彼自身の愚かさの犠牲になった。
そして石田ギリオは、博士の死にあたり、ただ逃げることしかしなかった。
そして石田ギリオは、博士の死にあたり、ただ逃げることしかしなかった。
ヴィクター博士の死を、石田ギリオの精神が「友人の死」として受け入れるには、
その死の原因をすべて克服しなければならなかった。
その死の原因をすべて克服しなければならなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「俺の嫁?」
「そうだギリオ…… 『俺の嫁』を倒せるのは、同じく『俺の嫁』だけだ。
『俺の嫁』を思う者の認識が、やつらを不滅の存在にしている」
「そうだギリオ…… 『俺の嫁』を倒せるのは、同じく『俺の嫁』だけだ。
『俺の嫁』を思う者の認識が、やつらを不滅の存在にしている」
「それでやつらを壊せるようになるのか」
「『俺の嫁』になるのだ、ギリオ。それしかない。
『俺の嫁』としての資質をまったく備えないお前にとっては、
きわめて困難な道のりになるかもしれないが」
「『俺の嫁』になるのだ、ギリオ。それしかない。
『俺の嫁』としての資質をまったく備えないお前にとっては、
きわめて困難な道のりになるかもしれないが」
「俺を馬鹿にするな。そういうやつはみんな墓場に送ってやる!」
「もともと無理なことを通そうとしているのだからな。
お前が本当に『俺の嫁』になれるのなら、あるいは可能かもしれぬ」
「もともと無理なことを通そうとしているのだからな。
お前が本当に『俺の嫁』になれるのなら、あるいは可能かもしれぬ」
「どうすれば『俺の嫁』になれる?」
「『俺の嫁』を思う者の認識が、やつらを『俺の嫁』たらしめている……。
協力者を集めろ、ギリオ、それでお前も『俺の嫁』になれるかもしれない」
「『俺の嫁』を思う者の認識が、やつらを『俺の嫁』たらしめている……。
協力者を集めろ、ギリオ、それでお前も『俺の嫁』になれるかもしれない」
「俺はなんだってやる! ヴィクター博士は、俺の友達だったんだ。
そう言えるようになりたい」
「ならばお前はいまから『俺の嫁』だ。『俺の嫁』を殺す『俺の嫁』だ!
だが、覚悟しろ。『俺の嫁』に安息などない……無限の地獄があるのみだ」
そう言えるようになりたい」
「ならばお前はいまから『俺の嫁』だ。『俺の嫁』を殺す『俺の嫁』だ!
だが、覚悟しろ。『俺の嫁』に安息などない……無限の地獄があるのみだ」
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望むところだ、と思っていた。
ギリオは久しぶりに帯びる剣の柄に手をそえた。
もはや騎士でなくても良い。『俺の嫁』となって、ヴィクター博士の99体をすべて殺す。
ギリオは久しぶりに帯びる剣の柄に手をそえた。
もはや騎士でなくても良い。『俺の嫁』となって、ヴィクター博士の99体をすべて殺す。
ここにひとりの恐るべき『俺の嫁』が生まれた――
石田ギリオSS 4
それはまだヴィクター博士が生きていた頃の話……
「ハイ! ギリオさん、59号ですよ、ついに完成しました。
今回のコンセプトは『妹』、そして『ロリコン』ですよ。
お前ら喜べ! ――ほら59号、キャラ立てて!」
今回のコンセプトは『妹』、そして『ロリコン』ですよ。
お前ら喜べ! ――ほら59号、キャラ立てて!」
『ピガッ おにいちゃん大好き!
一緒にお風呂入ろうよ!』
一緒にお風呂入ろうよ!』
石田ギリオは、ドン引きした。
「なんてこった」
「なんてこった」
寒空の下、粗末な屋台に怪しげな研究器具が満載されており、
その奥に博士と59号(妹)が並んで飛び跳ねている。
研究所が爆裂四散し、博士はいまや住所不定無職科学者なのだった。
その奥に博士と59号(妹)が並んで飛び跳ねている。
研究所が爆裂四散し、博士はいまや住所不定無職科学者なのだった。
その奇怪な中年男性が、推定年齢9歳前後の少女を連れている。
石田ギリオは切迫した危機感を覚えた。
石田ギリオは切迫した危機感を覚えた。
「博士、そいつは捕まるぜ。ぜったい捕まる」
「今回は外見にもこだわってみました、もはや人間の幼女にしか見えないでしょう。
はあはあ、ペロペロ。これが完璧な『俺の嫁』ですよ!」
『ピガッ…… やだ、お兄ちゃん、くすぐったいよ……』
「今回は外見にもこだわってみました、もはや人間の幼女にしか見えないでしょう。
はあはあ、ペロペロ。これが完璧な『俺の嫁』ですよ!」
『ピガッ…… やだ、お兄ちゃん、くすぐったいよ……』
「構図が気持ち悪い……。でも、今回はリアル路線だし、
基本的に言うことも聞くし、いけそうな気がしてきた!」
「これを大量生産して妹マニアのロリコンどもに販売します。
私、天才でしょう! 天才ですよね?」
『お兄ちゃんは天才だよ!』
「そうでしょうそうでしょう! 59号はいい子ですねー!」
基本的に言うことも聞くし、いけそうな気がしてきた!」
「これを大量生産して妹マニアのロリコンどもに販売します。
私、天才でしょう! 天才ですよね?」
『お兄ちゃんは天才だよ!』
「そうでしょうそうでしょう! 59号はいい子ですねー!」
「まあ、たしかに天才だな…。そいつが生み出す利益は九割を俺が接収するとして」
「一割もいただけるんですか、私! やったー!」
『わーい! 一割ー!』
博士と59号が飛び跳ねる。低学歴の愚か者どもめ、と石田ギリオは思った。
「一割もいただけるんですか、私! やったー!」
『わーい! 一割ー!』
博士と59号が飛び跳ねる。低学歴の愚か者どもめ、と石田ギリオは思った。
「よしよし。今日は特別に」
博士とかかわって以来、初めて手ごたえを感じた石田ギリオは、
ポケットから二枚のチケットを取り出した。
「泡風呂の割引クーポンを博士に分けてやろう。
これから行こうぜ! この時間はさらに安いから!」
博士とかかわって以来、初めて手ごたえを感じた石田ギリオは、
ポケットから二枚のチケットを取り出した。
「泡風呂の割引クーポンを博士に分けてやろう。
これから行こうぜ! この時間はさらに安いから!」
「石田さん!」
博士は感激のあまり泣きそうになった。
「私、石田さんと友達でよかった! 泡風呂!」
「お前とは別にトモダチじゃないけどな。はやく金返せ。 泡風呂!」
「ウキャキャキャキャ! 泡風呂ですね!」
「ギャハハハハハ! 泡風呂だ!」
急速にテンションのあがる博士と石田。 だが、二人を見つめる冷たい目があった。
博士は感激のあまり泣きそうになった。
「私、石田さんと友達でよかった! 泡風呂!」
「お前とは別にトモダチじゃないけどな。はやく金返せ。 泡風呂!」
「ウキャキャキャキャ! 泡風呂ですね!」
「ギャハハハハハ! 泡風呂だ!」
急速にテンションのあがる博士と石田。 だが、二人を見つめる冷たい目があった。
『お兄ちゃん……泡風呂ってなに?』
「お金を払って女性に色々サービスしてもらう施設ですよ。
59号、またひとつ賢くなりましたね~かわいいな~」
『お兄ちゃん、私以外の女と……会いに行くの?』
59号の右腕から先が、けたたましい音をたてて展開する。 これは……電動ノコギリ!
石田ギリオはのけぞって驚愕する。
「お金を払って女性に色々サービスしてもらう施設ですよ。
59号、またひとつ賢くなりましたね~かわいいな~」
『お兄ちゃん、私以外の女と……会いに行くの?』
59号の右腕から先が、けたたましい音をたてて展開する。 これは……電動ノコギリ!
石田ギリオはのけぞって驚愕する。
「な、ななななななにこれ博士、幼女の右腕が殺人兵器になった!」
「ひいっ!しまった、忘れてました。59号にはいま流行の《ヤンデレ》を
搭載していたんでした。夫の浮気は許さない! これぞ理想の『俺の嫁』!」
『お兄ちゃん……他の女と会ったりできないように、
59号が手術してあげるね? 薄汚い売女どもには渡さないんだから……』
「スゲー、こいつ頭いいじゃん! 状況判断が的確!
なんで博士はさ、この才能をちゃんと活かせないの?」
「ひいっ!しまった、忘れてました。59号にはいま流行の《ヤンデレ》を
搭載していたんでした。夫の浮気は許さない! これぞ理想の『俺の嫁』!」
『お兄ちゃん……他の女と会ったりできないように、
59号が手術してあげるね? 薄汚い売女どもには渡さないんだから……』
「スゲー、こいつ頭いいじゃん! 状況判断が的確!
なんで博士はさ、この才能をちゃんと活かせないの?」
『お兄ちゃん殺すべし! ピガッ!』
「逃げましょう石田さん、私こわい!」
「うるせー!俺と一緒の方向に逃げてくるんじゃねえ。殺すぞ、低学歴!」
「私たち友達じゃないですかー!一緒にこの危機を乗り越えましょうよぉ~~~。
ねえ~~~友達ぃ~~~~~」
「うざっ……」
「逃げましょう石田さん、私こわい!」
「うるせー!俺と一緒の方向に逃げてくるんじゃねえ。殺すぞ、低学歴!」
「私たち友達じゃないですかー!一緒にこの危機を乗り越えましょうよぉ~~~。
ねえ~~~友達ぃ~~~~~」
「うざっ……」
こうして博士の新たな研究所(屋台)は粉々に粉砕され、
高木ビルの地下室を借金して借りるまで逃亡生活は続いた。
高木ビルの地下室を借金して借りるまで逃亡生活は続いた。