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更新日:2025/09/26 Fri 02:54:16NEW!
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侵食する恐怖
『
零-刺青の聲-』(英:FATAL FRAME III THE TORMENTED/project zero 3 THE TORMENTED)』は、2005年7月28日にTECMO(現:コーエーテクモ)から発売された
PS2向けの3Dホラーアクション・ADVゲーム。CERO:C(15歳以上推奨)。
和風ホラーゲーム
『零』シリーズの第三作目で、初期三部作の完結編に当たる。
そのため、ゲーム中でも前二作と関連するキャラクターが登場するばかりか、一部のマップまでもが登場してくる。
メインテーマ曲は天野月子(現:天野月)の『聲』。
ゲームのテーマを如実に顕した歌詞が並ぶが、最後の『刺青ノ聲』どころか零シリーズ凡てに通じるような“あなたの聲が雑踏になる”のフレーズに痺れる。
前作にてゲームのヒットと共に話題となった『蝶』に続くコラボ曲であり、今回は開発途中からの依頼ではなく、最初から彼女に依頼することを前提に企画が進められた。
そのため、つっこさんとしても懇意となっていたたスタッフと前回以上に入念に打ち合わせを繰り返す中で出来た楽曲であったとのこと。
2023年には、つっこさん自らゲーム本篇の内容と共に、シリーズでも「一番良い(出来)」と振り返っている。
【概要】
キャメラで怨霊を撮影しながら攻略させられるホラーゲームとして、すっかりと市民権を得るに至っていた『零』シリーズの三作目にして、ひとまずの完結編。
前作『
零〜紅い蝶〜』と対比となるような、
蒼いパッケージとメインビジュアルが特徴。
また、前作が「夏の村」を舞台としていたのに対して本作は「冬の屋敷」の要素が強調されており、舞台となる雪景色の屋敷に合わせ、メニュー画面も雪見窓をモチーフにしたデザインとなっている。
前述の通り、初期三部作の完結編に当たり、基本的な構図は共通しているものの、今作では関わる呪いの性質もあってか、プレイヤーは部分的に前二作の呪いをも内包した桁違いの規模の怪異に挑まされることになる。
本作の呪いが媒介として利用しているのは“夢”であり、前二作のように現地に向かったり、現地にて怪異に巻き込まれるのではなく、キャッチコピー通りに僅かでも関わった人間を辿って眠りの世界から侵食する恐怖が描かれている。
ぶっちゃけ『呪怨』だ。伽椰子っぽいのも出るし。
システム的には、粗削りだった初代の難点を大幅に改善した前作の『紅い蝶』から、更にブラッシュアップされたものとなっている。
特に、プレイヤーにとっては微妙に難しい、あるいは厳しいと思われていた要素が更に緩和されており、前作に引き続いての難易度選択もあってか、初期三部作では最も遊びやすく、周回プレイもしやすい仕様となっている。
また、細かい所では漢字だらけにならざるを得ないゲーム内資料にフリガナが付くなど読みやすくなった。
そして、本作にて最大の特徴と言えるのが今回はチャプターごとに三人の主人公が切り替わるというもの。
その甲斐もあってか、ストーリーのボリュームは過去最大となっている。
主人公三人はそれぞれに特性と能力が違い、使用する射影機の性能にも違いがある。
……が、射影機の強化ポイントは共通しているため、誰の射影機から強化していくのかはプレイヤー次第となっている。(周回プレイ必至の仕様もあってか、初回プレイ時位の悩みでしかないだろうけれども。)
知名度的には前作『紅い蝶』が圧倒的過ぎるためか少し影が薄い印象もあるものの、プレイした人間からの評価は総じて高い。
零シリーズ全体のファンからも、シリーズ最高傑作として挙げる声が少なくない名作である。
特に、初期三部作を通してプレイした人間の中には今作の(真の)EDにてようやく救われた気持ちになった方も多かったことだろう。
【あらすじ】
フリーカメラマンの黒澤怜は、過去に起こしてしまった自動車事故により、同乗していた婚約者・麻生優雨を失っていた。
その罪悪感と癒えない心の傷を抱えたまま、哀しみを振り切るように仕事に没頭していた怜は、北東北の山中に残る、かつては広大な日本家屋の一部であったらしい廃屋を訪れる。
そこは「幽霊屋敷」と噂されている場所であり、写真を撮っていた怜は、ファインダー越しに優雨らしき人影を見かけてしまう。
思わずその背中を追ってしまった怜は、その途中で全身に刺青が刻まれた女に襲われる恐ろしい白昼夢を体験するのだった。
我に返ってから慌てて帰宅した怜は、自宅にて廃屋で撮影した写真を現像してみるのだが、そこには確かに優雨の姿が写っていた。
……それならば、あの恐ろしい白昼夢も現実だったのか?
━━その夜から怜は、恐ろしい真実の姿を見せるようになったあの廃屋……「眠りの家」へと迷い込むようになる。
優雨の姿を探す怜だが、一向に追いつけないばかりか再び“刺青の女”に遭遇して腕を捕まれると共に激痛に苛まれる怜。
悪夢より目覚めたはずの怜だが、“刺青の女”に握られた腕から、苦痛の刺青のような紋様が全身に拡がっていく幻覚に苦しめられる。
そして、怜が怪異に囚われたことがきっかけとなり、その“呪い”は同居している雛咲深紅、そして噂を聞きつけて姪の澪の回復方法を求めてやってきた天倉螢にも……。
果たして、彼等が“夢”の果てで目撃した「眠りの家」━━久世屋敷の真実とは。
【ゲームモード】
◆ストーリーモード
本作のメインとなる、「眠りの家」を巡る遺された者たちの物語。
ストーリーは「一ノ刻」~「終ノ刻」の全十四章で構成されている。
初回プレイから難易度選択が可能で、初回プレイで選択可能な難易度が「EASY」と「NORMAL」のみである点は前作と共通。
ただし、本作では高難易度モードの解禁条件が緩和されており、前作では「NORMAL」をクリアしないと解禁されなかった「HARD」が、「EASY」のクリアでも解禁されるようになった。
「HARD」をクリアすることで、最高難易度である「NIGHTMARE」に挑戦できるようになる。
◆ミッションモード
ストーリーをクリアすると解禁されるおまけモード。
各ミッションごとに様々なクリア条件が設けられており、本作では主人公が三人となったことでミッションのバリエーションもかなり増えた。
【射影機】
本作、及びシリーズにて主人公たちが武器として使用する怨霊の姿を捉え・尚且つ撮影することで霊体を封印してしまう機能を持つお馴染みのトンでもキャメラ。
敵である怨霊との戦いはもちろん、収集要素である浮遊霊の撮影や開かない扉を解錠するための謎解きもほとんどが射影機での撮影で行われる。
製作者はシリーズ通しての重要人物である異界研究者の麻生 邦彦博士で、今作では各々の夢の中だからとはいえ三人分の全く同型の射影機が登場してくる。
今回も強化カテゴリは以下の三つだが名称が違っている。
前述の通りで入手した強化ポイントは三者共通となるので、全員を育てるには周回プレイとクエストでもこなしながら集めていこう。
今作の登場フィルムは前作と同じく、〇七式・一四式・六一式・九◯式・零式の五種類。
最強フィルムである零式以外は数字が増える程に強力となり、怨霊へ与える基本ダメージが増加する。
強力な怨霊用に強力なフィルムを装填したまま、うっかり浮遊霊の撮影や仕掛けの解除を行ってしまって後悔するのはお約束。
今作では〇七式と一四式は現実世界に帰る度に難易度に応じて自動的に補充される一方、六一式以上は三人の主人公が個別で取得する形になる。なので、特に高難易度では誰に取得させるかは結構な重要ポイント。
今作では前作にあったフィルム毎の「装填時間」が零式を除いては撤廃されており、ある程度は素の状態でも連射が可能になっている。
しかし、上記の通りで最強の零式のみは、相変わらず高威力だがチャージまでに時間がかかる“一撃が重い”タイプのフィルムで連射には向かない。
◆最大値
霊力チャージ上限値上昇
お馴染みの、怨霊をチャプターサークルに捉えると梵字が光っていくアレ。
強化することで霊力のチャージ量が増大し、溜め時間が増える分だけ最大攻撃力がアップする。
深紅のみスタートがLv2からな上にLv5まで強化可能。
螢はスタートがLv0な上にLv3までしか育てられず、チャージ量にも変化は無いように見えるが攻撃力自体は上昇しているので強化させる意味はある。
◆範囲
キャプチャーサークル拡大
ファインダーの(横方向の)範囲を拡大させて、中央に捉えずとも怨霊に攻撃出来るようになる。
プロカメラマンとあってか、怜はLv2からのスタートとなり、螢もLv1からのスタートだが同じくLv4までは強化可能。
反面、カメラマン志望の癖に深紅はLv0からのスタートな上にLv3までしか育てられない。(まぁ、バランス取りなのだろう。ぶっちゃけ攻撃力と特殊能力でお釣りが来るし。)
◆感度
チャージ速度・射程距離の強化
霊力のチャージ速度と、ファインダーの(縦方向での)射程を強化する。
つまり、怨霊に攻撃するまでの速度をアップさせつつ、離れた状態でも攻撃可能になるということなので、何よりも優先すべき強化ポイントと言える。
こちらも、深紅のみLv2からスタートしてLv5まで強化可能。
螢はLv0からのスタートでLv3までしか育てられない。
【強化レンズ】
射影機に装備することで様々な効果を発揮することが出来るようになる。
強化レンズ自体も更にポイントで強化可能である。
使用するには戦闘の中で蓄積可能な「霊子」を消費する必要がある。
「霊子」は、強力なレンズ程に消費ポイントが大きくなる傾向がある。
今作では実質的に怜と螢のみが使用可能で、使用できる種類と入手時期には少し違いがある。
深紅も専用の強化レンズ「重」を使えるのだが、代わりに他の強化レンズは使用も所持も出来ない。
◆圧(消費霊子:2)
効果:ヒットバック
入手時期:螢(五ノ刻)
使用するとフェイタルフレームでなくとも怨霊をヒットバックさせることが可能になる。
Lvアップさせるとダメージ量も増加。
◆刻(消費霊子:2)
効果:除霊効果の高い特殊撮影をする
入手時期:怜(六ノ刻)
使用すると通常よりも高いダメージを怨霊に与えられる。Lvアップでダメージ量の増加。
また、フェイタルフレーム時に使用すると通常ショットよりヒットバックのスピードが鈍化するので追加ダメージを狙いやすくなる。
◆零(消費霊子:3)
効果:除霊能力の高い特殊撮影をする
入手時期:怜(九ノ刻)/螢(八ノ刻)
「刻」の強化版といった仕様の強化レンズで、フェイタルフレームを捉えた際にヒットバックが鈍化するのも同じ。Lvアップでダメージ増加。
ただし、霊子の消費量は多くなるのと強化させるためのポイントも多め。やり込まない場合の怜のリーサルウェポンとも呼ぶべき強化レンズ。
◆撃(消費霊子:すべて)
効果:除霊能力の高い特殊撮影をする
入手時期:螢(十二ノ刻)
その時点までに蓄積していた霊子すべてと引き換えに大ダメージを与える。
真価を発揮するのは矢張り消費する霊子の数が多い時であり、比率を考えると4つ以下では余り使い甲斐が無いかも。Lvアップでダメージ増加。
やり込まない場合の螢のリーサルウェポン的な強化レンズ。
◆遅(消費霊子:1)
効果:怨霊の動きを遅くする
入手時期:怜(三ノ刻)/螢(五ノ刻)
怨霊の動きを一定時間遅くする。
Lvアップで効果時間の増加。
何だかんだで最も使い勝手がいい。
◆貫(消費霊子:2)
効果:使用中のダメージアップ
入手時期:怜(十三ノ刻)/螢(十ノ刻)
他のダメージ増加系の強化レンズのようなブッパ式ではなく、こちらは通常ショットの威力をバフさせる効果。
Lvアップで効果時間とダメージ比率が上昇。
特に、素の攻撃力が低い螢にとっては有用な強化レンズである。
◆封(消費霊子:2)
効果:怨霊の動きを止める
入手時期:怜/螢(クリア後に購入)
一度ゲームをクリアすることで購入可能となる強化レンズ。怨霊の動きを完全に止めてしまえる。
強力だが、Lvが低い間は効果時間が短いので注意。
Lvアップさせると持続時間とダメージがアップしていく。
◆滅(消費霊子:4)
効果:除霊効果の高い特殊撮影をする
入手時期:怜/螢(霊リスト150体達成後に購入可能)
「刻」や「零」の強化版といった仕様。
一撃の破壊力が大きくなった反面、霊子の消費量が増加している。
尚、フェイタルフレーム時に攻撃を当てた際のヒットバックのスロー効果も備わっていないので「滅」は一撃特化と割り切ろう。Lvアップで威力の増加。螢にとっては「撃」よりもリスクを減らしつつ大ダメージを狙える強化レンズ。
◆連(消費霊力:1)
効果:特殊撮影を連続させる
入手時期:怜/螢(ミッションモードコンプリート後に購入)
威力の高い特殊撮影をチャージ時間無しで連続させられる。
一撃の威力は飛躍的に上がっている訳ではないが、連射による総合的なダメージ量は他の攻撃系レンズより大きくなり消費霊子量も少なくて済む。
Lvアップでダメージ上昇。何だかんだで最大まで強化すると単発でも通常の2倍までダメージが上昇している。
◆重(消費霊力:無し)
効果:霊力チャージを倍がけする
入手時期:深紅(最初から所持)
深紅の射影機にデフォルトで装備されている(らしい)強化レンズで、霊力チャージ中に攻撃ボタン(◯/R1)押しっぱなしで更にもう一回り分のチャージが可能となる。溜めた状態から攻撃ボタンを離すと発動。いわゆる溜め攻撃である。
当然のように蓄積させた分だけ威力が増大するので、もう一つの特殊能力である「御神石のお守り」のスロー効果と合わせれば絶大な攻撃力を発揮する。Lvアップで二段階目からのチャージ時間が短縮される。
【装備機能】
入手することで使用できるようになる、射影機の追加・補助機能。
強化レンズと違って同時に装備可能だがオプションにてON/OFFは選択できる。
また、こちらは入手さえすれば三人共に共通して使用可能である。
◆報
効果:フェイタルフレームを報せる
入手時期:一ノ刻
装備するとフィラメントの下にランプが出現し、赤く点灯すると共に警告音も発してフェイタルフレームのタイミングを予告してくれるようになる。
前作ではランプの点灯機能と警告音の追加機能を別々のタイミングで入手する仕様であったが、本作では一つの機能に纏められ入手の機会も早くなった。
◆避
効果:怨霊の攻撃から逃れられる
入手時期:二ノ刻
多くの怨霊が使用してくる抱きつき攻撃の際に、タイミング良く攻撃ボタンを押すことで回避行動を取る。
ボタンの連射でも高確率で発動してくれるので必須テクニックとして身につけておくべし。
◆換
効果:強化レンズの切り替え
入手時期:九ノ刻
選んだ3種の強化レンズを、ファインダーを覗いたままで切り替え可能になる。
攻略本でも推奨されているのは「遅」などで足止めして一撃必殺系の強化レンズを使用する方法だ。
◆測
効果:怨霊の体力を表示する
入手時期:九ノ刻
戦闘時に、最も近くにいる怨霊の残り体力を表示する。
前作よりも入手タイミングがかなり遅くなっている上にサブストーリーのクリアが入手条件となっており、相対的に影が薄めとなっている。
◆追
効果:自動的に霊の動きを追う
入手時期:三ノ刻
カメラを構えた時に自動で近くに居る霊にファインダーが向くようになる。
絶対ではないものの、怨霊戦のみならず浮遊霊の撮影にも活かせるのでリストのコンプリートのためにも大助かりの機能。使いこなしたい。
◆感
効果:特定の地縛霊が見えるようになる
入手時期:ゲームクリア後に購入可能
周回要素の一つで、初回プレイ時には撮影できなかった地縛霊が撮影可能になる。
◆拡
効果:ズームイン/ズームアウトが可能になる
入手時期:霊リスト100体で購入可能
やり込み要素の一つ。
ファインダーを覗いている時に左スティック(L3)でズームイン。右スティック(R3)でズームアウト。
……左右で分かれているので混乱しないように。
離れている位置から遠くを確認するのに有効。
霊の撮影時にドアップを撮りたい時にも便利?
◆無
効果:フィルム無消費で撮影可能
入手時期:「NIGHTMARE」クリアで購入可能
やり込み要素の一つ。
シリーズ恒例の最高難易度「NIGHTMARE」をクリアすることで購入可能となり、装填されているなら高感度のフィルムでも無消費で使用可能。
もちろん、最強にして貴重な零式も使い放題になるのだが、装填の速さを考えれば九◯式が最強か。
◆祭
効果:常にチャージ・消費ポイント・霊子数が最大で必ずフェイタルフレームになる
ミッションモードオールSランク達成で購入可能
やり込み要素の一つ。
ゲーム中でも最も難易度の高い上記ミッションをクリアすることで、正にトリガーハッピーな「祭」状態で遊べるようになる。『零』なのに……。
「無」と組み合わせると、最高難易度「NIGHTMARE」モードすら、無限ロケットランチャーで洋館を蹂躙するかの如く突き進める。
ちなみに、各人の特殊スキルまで無限になるので、深紅などは更にやりたい放題である。
【主要登場人物】
◆黒澤 怜
声:皆川純子
本作のメイン主人公。23歳。
まだ若い女性だが、フリーカメラマンとして独立して活動している。ネグリジェ派。
アンティーク好きなのか、古い型のキャメラを愛用しているとのこと。
過去に婚約者の優雨を自動車事故で失っており、詳細は明かされていないものの自身が運転していた状況での死亡事故であったために、事故から暫くを経ても過去に引き摺られている。
その心の傷ゆえにか、廃屋と化した「久世屋敷」に足を踏み入れたことをきっかけに「眠りの家」の呪いに強く惹きつけられてしまい、優雨の幻の存在もあってか半ば望むような形で更なる深みに囚われてしまうこととなり……と、主人公でありながらプレイヤー視点では結構な怖い目に遭わされる元凶となっている。
また、年齢にしては分不相応で手に余るような一軒家に住んでいるのだが、元々は優雨との結婚生活を見込んで購入したという哀しき過去…がある。
そして、その広くて瀟洒な一軒家は怜や深紅の夢を通じて入り込んだ怨霊達がアピールと共にシャッターチャンスを求めてくる幽霊屋敷と化していくのであった。
最も平均的な能力を持っており、強化レンズも幅広く使用可能。
そういう意味では、前二作の主人公達の特徴を引き継いだキャラクターと言える。
固有スキルは「フラッシュ」で、前作『紅い蝶』版の追加機能「避」と似た能力。
戦闘時に怨霊に浴びせることで強制的に隙を作ったり怨霊の遠距離攻撃を相殺可能で、この時にシャッターチャンスが生じる怨霊も存在する。
とはいえ効かない怨霊も居る他、使用回数には限りがあるので無闇な連発は禁物。回復手段は現実に戻ることで、強化させることで使用回数がアップする。
この他の強化要素は「蓄積」で、強化させると霊子の蓄積量が増える。怜の最大容量は5。
◆麻生 優雨
声:
黒田 崇矢
苗字を見た時点でシリーズ履修者なら「あっ…(察し)」となってしまう怜の婚約者。故人。
職業は編集者で、真冬の同僚。
更に、螢とは仕事を通して出会っており彼の著作を出版。真冬と共に親交を結んでいた。
案の定で異界研究者である
麻生邦彦博士の子孫であり、一族で引き継がれてきた代々の形見なのか、射影機の試作品の一つを所持しており、それは現実世界での怜の手に渡ることになる。
血筋が血筋だからなのか、オカルト関連での知識は豊富に持っていたらしく、澪の件で螢からの相談を受けていた。
外見はいかにもな『零』風優男な美青年なのだが、そんな優雨から
聞こえてくる声が激シブな桐生ちゃんなことをネタにされる。……婚約者を守れないなど、色々とあってもっと強くなりたいと思って転生でもしたのだろうか?(初代『
龍が如く』は同年冬に発売。)
◆雛咲 深紅
声:涌澤 利香(現:わくさわりか)
前々作である無印『零』の主人公。19歳。
「氷室邸」での出来事を経て大きな喪失感を抱えていたものの、兄の仕事上の縁からなのか優雨と怜の世話になることになった模様。
現在はカメラマンを目指して、怜の助手兼同居人として暮らしつつ怜を支えている。
プレイヤーにとっても癒しとなる黒猫のルリは、無印時の家族設定とは矛盾しているのだが、兄の真冬の失踪後に傷心の深紅を心配した両親から贈られたという記述がある。
華奢な見た目の割には、過去の経験もあってか精神的にはタフ(なにっ)で、芯の強い娘である。このため、TECMOの手を離れて以降のシリーズでの深紅の行動と姿に違和感を持ってしまったファンも少なくない。
また、前々作では境遇もあってか浮世離れした性格なのかと思いきや、今作では怜からの「写真の鑑定」という無茶振りをサラリとこなす意外な姿も見られる。
深紅がやって来た頃には優雨もまだ存命であったようで、終盤のあるタイミングにて話しかけると、件の交通事故が「怜のせいではない」と語る深紅の姿が見られる。
前々作のエンディングの通りで生来の霊感も生還後には消えていた……と思われていたのだが、兄を失ったショックから無意識の内に自ら封印していただけだった模様。
そして、怜が呪いに巻き込まれたことをきっかけに霊感を取り戻した深紅もまた、「眠りの家」に━━そして、深紅自身の悔恨の記憶から夢の中で再現、繋がりが生まれた「氷室邸」へと誘われることになる。
体力は最も低いが固有スキルに恵まれており、戦闘時には怨霊にスロー効果をもたらす「御神石のお守り」と、専用の特殊レンズである「重」を使用可能。
「御神石のお守り」は使用すると自分も遅くなるので使い始めは戸惑うかもしれないが、怨霊よりは早く動けるのでそれを利用して通常スピードよりも的確に撮影ポイントを測ることが出来るようになる。
「重」は専用のチャージショット。
射影機の強化の幅はメイン主人公の怜より狭いものの、その分だけ最もソリッドで攻撃に特化した調整となっているのは既に死地(NIGHTMARE/FATAL)を経験した過去があるからだろうか?
攻略本でも強化は後回しにしてもいいと書かれる位に強い。強化させるにしても、深紅の場合は射影機よりも上記の2つから強化した方が有用だろう。
この他の特徴としては、体格が小さいことから床下に設けられた狭い空間を移動可能で、そこ限定で登場する怨霊とも遭遇可能。
◆天倉 螢
声:織田 優成
前作『紅い蝶』の主人公である澪と繭の叔父にあたり、まだ年齢は若いものの据え膳は食わない姪萌えの紳士ノンフィクション作家として活動している。26歳。
それが縁で、編集側の人間だが年齢の近い真冬や優雨と出会った後に個人的な親交を結んでいた。揃いも揃ってイケメンばかりで取材される側に回ったほうが良さそうな連中である。
前作の「皆神村」での一件を経て、年齢の離れた姉の子であり、双子の片割れである繭が行方不明になっている。
そして、残る澪は唯一人で帰ってきたものの、その内に人事不省に陥った末に寝たきりというか眠ったままとなってしまっており、その覚めない夢の原因と治療の方法を探る中で「眠りの家」の都市伝説めいた噂話に行き着き、優雨に相談の手紙を寄越していた。
そして、直接に優雨を訪ねてきた所で優雨の死を知らされると共に現在進行系で呪いを受けている怜と出会い、澪と繋がりがあった螢もまた「眠りの家」に囚われることになる。主人公の一人だが初回プレイはバッドエンド確定の可哀想な人。何故か(……いや、当然なのか?)ネタキャラ扱いだし。
尚、螢もまたシリーズのお約束になりつつある過去の時代に舞台となる因習極まる怪しい屋敷を訪れた男性のそっくりさん(生まれ変わり?)である。
男性のために圧倒的に体力設定は高い反面、深紅や怜よりも霊力は低いという設定からか、射影機のポテンシャルを深紅は言うに及ばず怜ほども引き出せていないのか、強化の幅が狭く基本となる攻撃力が低い。おぐふぁああ!
その代わりに霊子の蓄積量に恵まれており、低い基本能力を体力と強化レンズで補いながら戦うのが螢の特色となる。
固有スキルというか固有アクションとして、怨霊が迫っている時に細身ではあるが女性陣よりデカい体を縮こめる「隠れる」を使用可能。逃げたほうが早いとか言うな。
また、進行の中で障害物をどかしたり屋根を飛び越えて隣の建物に移動する場面がある。
強化要素は「蓄積」で、何と螢の場合は7つまで霊子の蓄積量が増える。
基本能力の上限の低さを考えると、螢も射影機よりも「蓄積」や強化レンズからポイントを振るべきなのかもしれない。
◆天倉 澪
本編では螢の夢の中のみに登場。
螢は澪の姿を追いかける形で「眠りの家」に、そして澪の記憶から繋がりを得た「皆神村」に迷い込むことになる。
今作は前作の通常エンドから先の世界線であり、前作のエピローグではビターエンドなれども前向きに生きる決意をしていた……と思われていた澪だったものの、矢張り心に負った傷は大きかったのか「眠りの家」の呪いに囚われてしまった末に繭の姿を求めて眠りから覚められなくなってしまった模様。
【その他の登場人物】
◆瀧川 吉乃
怨霊名は「生き残った女」。
「眠りの家」に囚われた犠牲者の一人で、数年前の旅客機事故にて婚約者と両親を失いながらも唯一人の生還者となってしまった若い女性。
恐ろしい事故の記憶と、自分だけが生き残ってしまったことへの罪悪感から「眠りの家」に囚われ、やがては目覚められなくなった悪夢の中で逃げ惑った末に自らも怨霊と化す。
序盤のエピローグとなる後の現実世界にて、彼女が煤となって消失するシーンは衝撃的。
◆葛原 薪枝/梢
怨霊名は「彷徨う母娘(母/娘)」。
行方不明となった夫(父)の姿を求めて久世屋敷に足を踏み入れ、取り込まれた母娘。
……実は、父親は娘を思いやっての行動が原因となって事故死しており、娘は罪悪感と母を思いやる気持ちから真実が言えず、母も真相を察しながら真実を問い質せないまま、屋敷に取り込まれて怨霊となった。
◆浅沼 切子
怨霊名は「四つん這いの女」。
ある事件にて両親から隠れているようにと言われた彼女は、隠れた状態のままで両親が殺されてしまうのを目撃してしまう。
恐怖と絶望の中で暗くて狭い空間の中に閉じ込もったままでいる内に「眠りの家」に誘われて外に出られなくなった彼女は、狭い空間を這いずり回る中で何時しか自らの記憶も名前も忘れて怨霊と化した。
正気も人しての生命すらも失い、それでも必死に出口を求め続ける彼女は、久世屋敷の怨霊達の中でも最もアグレッシブに狭間を広げ続けており、怜の夢を通じて現実世界にも侵食する。深紅と螢が巻き込まれた直接の犯人説もあり。
本筋には無関係なのに中盤では至る所に出現し、なおかつ怨霊として相対した時の余りの恐怖から、ファミ通にて零シリーズ21周年を記念して行われた『最恐の霊は誰? キャンペーン』では堂々の一位に君臨した。
◆久世 鏡華
怨霊名は「髪を梳く女」。
久世屋敷の当主の娘で、いずれは屋敷の儀式を司る立場に就くことを期待されていたのだろうか、ゲーム中で垣間見られる過去の時点では、当主であり母親の夜舟が健在なこともあってなのか、屋敷の神事に関わることもなく浮世離れした生活を送っていたのが窺える。
“久世の女”として、客人を招いて交わり次世代を残すのが仕事であるが、その内の一人に過ぎなかったはずの柏木秋人には心から惹かれ、彼が去った後も何時しか彼が帰ってくるのを夢見て、秋人が褒めてくれた美しく長い髪の手入れを続けている。
秋人が既に夜舟に殺害されているという残酷な真実を知らずに済んだのは幸いなのか……もしかしたら、既に鏡華は狂っていたのかもしれない。
乙月要と久世雨音の母親であり、今も秋人に恋焦がれる彼女は気づいていなかったが、その血筋が更なる悲劇と「破戒」を呼んだ。
ゲーム中では、秋人に瓜二つの螢をストーカーする。
◆鎮女
怨霊名は「巫女姿の少女」。
儀式のために久世屋敷に迎え入れられて久世の名前を与えられた少女達で、柊(刺青)を刻まれた刺青の巫女を狭間に打ち付ける役目を持つ。
四人が存在し、順に氷雨、時雨、水面、雨音だが、この内で前述と下記の理由から雨音のみは怨霊として登場してこない。
・久世 氷雨
鎮女の中では最も年長で責任感が強い。
姫カットで子供ながら美しく整った容貌をしている。
……最終的には、共に残っていた時雨と水面の始末も彼女が行っている。
怨霊となった後も役目に忠実で、迷い込んできた怜を新たな巫女として狙っている。
・久世 時雨
鎮女の一人で、少し地味な風貌。
一番年長で、善悪の判断ができる年頃になったためか、自分の役目に疑問も抱え始めているのだが、立場と常識人であるが故に逆らえず、自分自身に言い聞かせるように掟に従う。攻撃の際に「眠るの」と言ってくるのが彼女。
雨音を打ち付けねばならなくなった時も本心では悔やんでいたのが日記からも窺える。
・久世 水面
鎮女の一人で、額を出して髪飾りを付けるなどイケイケ(死語)な風貌。
時雨とは反対に、少女らしい無邪気さから自分の役目にサディスティックな快感を見出してしまったらしく、早く巫女を打ち付けたいとか日記に書いちゃうアブない娘。
ゲーム中でも、最も積極的に怨霊として襲いかかってくる。攻撃の際に嬉しそうに「痛い?」と聞いてくるのが彼女。
・久世 雨音
鎮女の一人で、役目に就いてからの日にちも浅く、最も年少であったと思われる。
実は、他の三人とは違い雨音のみは儀式のために集められた孤児や貰いっ子ではなく、久世の直系の娘(鏡華の娘で夜舟の孫)である。
……にも関わらず、新たに「眠りの巫女」として迎え入れられた零華の世話をする中で、彼女の想い人である乙月要が自分の異父兄であることに気づいてしまい、更には当の要自身が天涯孤独となった後に久世屋敷に迎え入れられた零華の身を案じてやって来たことで肉親の情が募ってしまった結果、外界への未練を断ち切らねばならない零華と要の逢瀬を手助けしてしまう。
尚、ここまでの手助けをしても雨音は自らが妹だとは名乗っておらず、純粋に兄と零華を慮っての行動であったが当主の夜舟に知られることとなり、他の鎮女達によって狭間に打ち付けられた。
よって、彼女のみは怨霊として登場してこない。
◆久世 夜舟
怨霊名は「久世家当主」。
儀式が失敗した当時の久世屋敷の当主で、彼女自身も“久世の女”として、客人を招いて血筋を守ってきた過去がある。
直系の娘で後継者として鏡華が居るはずだが、老婆と呼べる年齢となっても尚も当主として儀式を取り仕切っているのは鏡華が恋に狂ってしまったからだろうか。
新たに零華を迎えて行おうとした儀式は、孫である雨音の純粋な優しさからの行動から綻び始め、最後には夜舟自身の人としての思いやりを無くした行動が引き金となって最悪の結末を迎えた。
◆久世 零華
怨霊名は「刺青の巫女」。
本作のラスボスで、都市伝説となるまでに広がった「眠りの家」の呪いを撒き散らしている存在。
生前の名前は久世(雪代)零華。
天涯孤独となったことから、かつての「久世屋敷」にて行われていた人々の悪夢を引き受けて狭間に沈む「眠り巫女」とされるために屋敷に迎え入れられたが、彼女の絶望によって久世屋敷が虚無に呑み込まれて狭間が現世に溢れ出す「破戒」が起きた。
追記修正は夢から醒めてからお願い致します。
- 安地のはずの自宅の探索がどんどん嫌になっていくのが印象深い作品だった。今でも最高傑作だと思ってるしぜひリメイクしてほしいな -- 名無しさん (2025-09-26 02:24:31)
最終更新:2025年09月26日 02:54