夜明け【せつない時間帯】
午後の6時、7時からスタジオへ入って、帰るのが夜明け、という生活はレコーディング中によく見られる。ASKAのソロアルバム『ONE』の収録曲『帰宅』は、帰宅中の夜明けの風景とともに、夜明けに帰る心情を描いた秀作だ。じっくりと聴いてほしい。
よいしょ【出世の手段】
立場上、よいしょされる状況にあるCHAGEとASKA。「あの楽曲、いいですねー」とか「あの詞がいいんだなあ」とかの褒め言葉も、よいしょか本音かはその人の目と言い方で簡単に見破れる。CHAGEはとくによいしょされるのが嫌い。どう答えていいのかわからないから困ってしまうのである。ただ、すごくよいしょのうまい人のよいしょだったら乗ってあげてもいいな、とも思っている。そのひとりが中野部長(元副部長)である。彼のよいしょは天性のもの。アーティストをよいしょしながら、徹底的にのせていくタイプのスタッフなのだ。中野部長のよいしょはCHAGEのエネルギーの源となり、ずいぶん気持ちよく仕事をさせてもらってきた。一方、まるでよいしょがへたなのがマネージャー村田。噓が嫌いな彼は本当のことだけを言って、アーティストに現実を見据えさせるタイプのスタッフである。持ち上げられたり引き戻されたり。両極端なふたりのスタッフに挟まれ、CHAGEはときどき途方に暮れる。
酔う【憧れ】
何度も当欄では紹介しているが、ASKAはお酒に酔うという経験をしたことがない。お酒を飲んでも頭が痛くなるだけで、酒好きのスタッフのように楽しくなるという経験は皆無である。せめてみんなの前ででんぐり返しをして、酔ったふりをするくらいが関の山。酔った奴より始末が悪いという説もあるけど。
よかろう【めちゃめちゃいけてる】
コンサートツアーの企画、CDのリリース日の決定、プロモーション体制など、スタッフが先頭を切って決めて、その最終的な決定を下すのがCHAGEであり、ASKAである。CHAGEは今回のMULTI MAXの活動では、すべてをスタッフにまかせ、スタッフが決めたことを忠実にこなしていくという仕事のやり方をしていた。それでも一応、中野部長や村田マネージャーはCHAGEに流れの説明はしていた。そのたびにCHAGEから返ってきた言葉は「よかろう」。これはCHAGEにとってのGOサインであり、「すごくいけてるよ」の代わりなのだ。ただ、ときどき間違えて、「御家老!」(ごかろう)と言ってしまったときがあったが、これは「過労」をねぎらっての言葉だったと、訳のわからない言い訳をしている。
ヨッキー【Yの悲劇】
ASKAは反省した。もう、スタッフYの口元のことは会報には絶対に出さないと。ムキッとかピキッとかグキッとかって、絶対に言わないと。ただし、ASKAは言ったことをすぐに忘れるタイプでもある。
酔っぱらい【これも仕事】
あえて自分のことは棚に上げて、とCHAGEは前置きをして言った。「うちのまわりの酔っぱらいを観察していると、いろんなことがわかるんだよ。ケンカする奴、寝る奴、ベタベタする奴、仕切る奴って、タイプはさまざまなんだけど、酔っぱらい方によって、こいつ仕事がきついんだろうなとか、仕事がおもしろいんだろうなってことがわかるんだ。みんな、いちいちおれに仕事の状況を言ってこないじゃない? だから酔っぱらい方を見て、スタッフの状態を理解するようにしてる」(CHAGE)
酒の席も仕事であるが如くの言い分だが、これもCHAGEのやさしさとして受けとめたいと思う。ちなみに、CHAGE&ASKAスタッフは基本的にはどんちゃん騒ぎが好き。どんちゃんした後、どんな変化があろうと、最初は明るい酒であることに違いはない。
嫁入り前【親心】
なぜかCHAGE&ASKAのまわりには、嫁入り前の女性が多い。リアルキャストの女子社員は、全員嫁入り前の娘さんだ。みんな綺麗で、性格もいいのに。恋人はいるんだろっか? 好きな人はいるんだろっか? と、いるも心配しているCHAGEとASKA。
ところで、以前深夜に車を運転していたASKAは、ある女子社員を見かけた。声をかけようと思ったが、こんな深夜に歩いているのは、もしや恋人と会うため? と思い、彼女に声をかけずにやり過ごした。以来、彼女には恋人がいるんだと決めつけ、親心でホッとしたりもしていたが、彼女の上司に聞いてみたら、その時期は決算で、毎晩深夜まで仕事をしていたという。ASKAが見かけたのは、会社からの帰りだったらしい。そんなことを聞くと、恋人ができないのは自分たちのせいなのでは、とも思ってしまう。
みなさんのなかには、音楽業界に憧れを抱いている人もいると思うが、恋愛している暇も、恋を実らせる時間もないような、ハードな仕事であるってことも認識してください。
よらば大樹の陰【それも方法】
以前から当『C&A百科』では、リアルキャストの現状をみなさんに報告してきた。スタッフの動きを"ちびっこサッカー"とか書いちゃって、会議の席上に出るくらいの影響を及ぼしたこともあったけど、そんなこたあ気にせずにまたまたリアルキャストの現状を報告したいと思う。そもそもリアルキャストは、CHAGE&ASKAを中心に、自分たちがやりたいことをやっていく会社として設立された。設立当初は勇み足が目立ち、突っ走りすぎて激突する奴もいたが、最近は落ち着いて、自分の足元を見ながら着実に進んでいくような会社になってきた。よるところにはしっかりより、走るときにはしっかり走る。そろそろちびっこサッカーチームの名前は返上してもいいと、CHAGEとASKAは思っているのだった。
ヨロシク【BOSS】
あれは去年の渡英のとき。飛行機の搭乗時間までの間、ASKAは成田のANAのラウンジで時間をつぶしていた。雑誌などを読んでいたASKAだったが、ふとラウンジを見回してみると、なんとあの矢沢永吉さんがいらっしゃった。矢沢さんとはまだ面識のないASKAは、先輩アーティストである彼に挨拶をしに行った。初対面なのに、矢沢さんはざっくばらんに応対してくださって、しかも自分のロンドンレコーディングでのエピソードまでを披露してくださった。最後に矢沢さんがASKAに言った「じゃ、よろしく」は、生涯忘れられない言葉としてASKAのなかに刻まれた。
最終更新:2025年06月23日 22:26