もしかしたら、怒りこそが人を動かす原動力なのかもしれません。「怒れる者が世を動かす」。そんな言葉どこにもないけど、彼らの怒りを聞いていると、つい思ってしまいたくなります。ほら、そこのあなた。笑ってばっかじゃだめだ。拳をツンと突き出して、一緒に怒りを表に出そう。今月は『YAH YAH YAH』そのものだ。

【怒りについて1】

編「今回は【怒】なんですけど、なんか最近怒ったことってあります?」
チャゲ「うーん…。怒りかー。ないなー」
編「イライラさせることでもいいんですよ」
チャゲ「うーん…。ないなー。おれ、カルシウムいっぱいとってるから」
編「本当ですか?」
チャゲ「おれって怒んない人間なのよ。いつも一歩引いてものを見てるから、何があっても怒んない」
編「へー、そうなんですかー」
飛鳥「うそつけよ。こいつがいちばん怒りやすいんだよ。何かあると、すぐムキになって怒るだろーが。怒らないのはおれだよ。怒っているときは、だいたいポーズが多い。本気で怒ると、逆に黙っちゃうから、誰も怒っていることに気がつかないんだ」
チャゲ「そうかー? おまえ、あの怒り方はポーズかあー? そうは見えねーなー」
飛鳥「おまえさー、いい加減おれを見抜けよ」
チャゲ「おまえこそおれを見抜けよ。おれはいつも冷静だろうが」
飛鳥「うそつけよー」
編(一生もめてろ)

【怒りについて2】

九州にはイカリソースってのがある。チャゲはイカリソースをかける度に「バカヤロー!ソースッ」って叫んでいた。おわり。

【いたずら電話と自宅訪問】

有名税と言ってしまえばそれまでだが、とにかく最近、ふたりは無言電話と自宅に押しかけるファンに悩まされている。
「自宅周辺にたまっている人達や、押しかけてくる人に対しては、厳重な注意をしている。人を怒ると気分が悪くなるし、イヤなことなんだけど、せざるを得ないから」(チャゲ、飛鳥)
私だけは大丈夫と思って訪問している人もいると思うが、顔見知りであろうとなかろうと、ふたりは実に厳しく注意をしている。もう、きっとC&Aの音楽を聞いてくれないだろうな、と思ったりもするが、それでもかまわないと思っている。それ程、私生活を犯されるのは耐えがたいことなのだ。
いたずら電話も許せない。朝から夜中までひっきりなしにかかり、どうせいたずら電話だからと取らないでいると、それが大切な用件だったりして、後でトラブルになることも多い。
そして、自宅へのいたずら電話以上に怒りを感じるのが、九州の実家へのいたずら電話。電話だけじゃない。家の塀越しに名前を叫んだり、罵詈雑言を浴びせたりと、悪質なものが多すぎる。九州で平穏に暮らしている両親にまで被害は及び、遠く離れた東京でチャゲも飛鳥も実に胸を痛めているのだ。
「週末はおれ達が実家に帰っていると思う人がいるらしくて、週末になるといたずら電話や罵倒が多くなる」(チャゲ、飛鳥)
忙しいふたりが、いちいち週末に帰郷しているわけがない。
「"重明さんいますか?""いません"ガチャン。こういういたずら電話攻撃で夜も眠れない日があるらしいんだ。両親はもう六十を過ぎているんだけど、六十を過ぎた人が夜眠れないというのは、かなり苦しいことだと思う。本当に憔悴しきっているし。とにかく、僕やチャゲのプライバシーには立ち入らないでください」(飛鳥)
もう、お願いするしかない状態なのだ。電話番号を変えるという処置も何度も考えたが、子供の頃から慣れ親しんできた実家の電話番号。なかなか変える決心がつかなかった。でも、どう変えざるを得ない状況に追い込まれてしまった。
何がふたりにとってイヤなことかをよく知っているみなさんの中には、こういういたずらをする人はいないとチャゲも飛鳥も信じてる。この項を読んで、淋しい気分に鳴る方のほうが多いはずだ。でも、これは悲しいけれど真実だし、ふたりが今もっとも怒りを感じる事柄なのだ。

【ルール違反】

今回のイベントで目についたのがカメラのフラッシュ攻撃だ。本番中にあちこちでピカッピカッ。御存知のことと思うが、コンサートはカメラやビデオの持ち込みは厳禁。これ常識。でも、係員の目をかいくぐって会場にカメラを持ち込み、遠慮なくフラッシュをたく。ある会場では、耐えかねたチャゲが「フラッシュやめて」と言ってしまったほど。
「やってるほうも気になるし、周りのお客さんの気分が冷めちゃうでしょ。おれ達よりも、周りの人が可哀相だから」(チャゲ)
コンサート中にフラッシュをたいている人を見つけたら、どうか近くの係員に言ってください。すぐに対処して、カメラを没収しますので。ちなみに、会場でフラッシュをたいてもステージまで光りが届かなくて写りません。フラッシュで撮れるのはせいぜい六~七メートルが限度。これ、よけいなことかもしれないけど、コソコソフラッシュたいても、現像に出したら何にも写っていなかったって人が圧倒的なはずです。

【自転車泥棒】

お年玉は使わないで貯金するものだと思っていた宮崎少年。毎年毎年お年玉を貯金して、何か欲しいものがあればおろして使っていた。
中学時代、それまで母親の自転車を使っていた宮崎少年だったが、そろそろ自分専用の自転車が欲しくなり、三年になった時点でお年玉貯金を下ろして購入。宮崎少年は奮発して五段変速の高級車を手に入れた。
宮崎少年は人を送っていくのが大好きで(今でもそう)、愛車に友達を乗せて、塾の帰りなどに家まで送り届けるのが日課になっていた。高校に進学し、やがて札幌から博多へ引っ越すときがくる。五段変速の愛車とともに、宮崎少年は博多へやってきた。ところが、引っ越して一週間もたたないある日、西鉄春日原駅に駐車しておいた愛車が忽然となくなっていた。盗難。ショックだった。探して探して、まだ慣れない博多の街を何日もかけて探し回った。でも、自転車は出てこない。「見つけたらただじゃおかない」。盗んだ奴を打ちのめすシーンを思い描くことだけが、彼の唯一の支えだった。
結局自転車は出てこなかった。
「人生でいちばん怒ったのは、あのときかもしれない…」
大人になった今、自分を守るために怒りをあらわにすることはときとして必要だ。実際、怒る材料はいつだってそばに転がっている。でも、怒りに耐えうる度量の大きさも備わっている。
人生の右も左もわからない高校生の彼にとって、あのときの怒りはあまりにも重すぎた。

【SONY】

音楽業界にいると、当然の如く音楽製品には敏感になる。新しく、しかも魅力的な商品を次々に出すオーディオ業界。中でもSONYが打ち出す製品は、新しもの好きなチャゲや飛鳥の心をグラグラと揺らしてくれる。
ウォークマンからはじまり、プレスマン、CDデッキ、CDウオークマン、DATと、購買意欲をかき立てるものに次から次へと飛びつき、ふたりはかなりSONYに貢献してきたと言える。
MDという新機種も手に入れた。(先月も掲載したが、チャゲは自腹を切って買ったのに壊れていた。これに関しては飛鳥は「ざまみろ」だった)
今、興味深いのはデジタルカセット、略してDCC。これはSONYの製品ではないが相棒よりも先に手に入れようと、ふたりはオフ日を心待ちにしていたりする。だが、ちょっと待てよって気分にもなっている。
「こうやって購買意欲をそそらせてしまうSONYをはじめとするオーディオ業界に、ただただ頭が下がる思いとともに、最近は腹が立って仕方ない」(飛鳥)
オーディオ業界の代表的存在のSONYに敬意を表しつつも、憎しみを抱いてしまう。かわいさあまって憎さ百倍。衝動買いに走りたい気持ちを抑えるのに毎回苦労しているからだ。
「頭にくるのは、商品を小出しにすること。それも少しずつよくして売り出す。飛びついてしまうほうも悪いんだけど、もう我慢できない」(飛鳥)
そして、SONYと言えば忘れてはならない怒りがある。
「ベータ絶対なくすなよ、バカヤロー!」(飛鳥)
「で、新製品はいつですか?」(チャゲ)
「チャンチャン」(チャゲ、飛鳥)
最終更新:2025年06月23日 22:09