恋人【素敵な響き】

CHAGEが「恋人」は「ルイ・ヴィトン」に似てると言った。それだけ。のっけからすいません。

国際的【冠】

日本人では初のアジアツアーを成功させたり、ハリウッド映画の主題歌に抜擢されたりと、最近のCHAGE&ASKAは方々で「国際的」という冠をつけられるようになった。しかしやってきたことが自然とそうなっただけであり、なにも「国際派」を目指して活動をしてきたわけではない。それよりも、本人達はいつまでも「日本語の似合う」ミュージシャンでありたいと思っているし、いつまでも日本人に愛されるミュージシャンでありたいと願っているのであった。

小玉【まるで新幹線のよう】

CHAGEが上梓した初の単行本『月が言い訳をしてる』(¥1800)は11月4日に発売になった。出版にあたっては出版元である幻冬舎の編集・小玉氏が奔走してくれた。彼は元月刊カドカワの編集長で、ASKAのエッセイ連載中に苦労をした人でもある(先月号参照)。苦労を重ねているだけあって、文芸界ではかなりの有名人。作家の山田詠美さんなどのエッセイでよくネタにされているが、ネタにされるだけあって、際立ったキャラクターの持ち主なのだ。とにかく彼はいつも急いでいる。なぜ急いでいるのかは知らないが、打ち合わせ中も先を急ぎ「新幹線こだま」のように疾走していく。彼の急ぎに巻き込まれたくないCHAGEとASKAは、彼に会うときは各駅停車に乗ったような気分でいるように心がけている。

小腹がすいちゃった【どこの腹?】

「小腹がすいたなあ」。これはCHAGEの口グセだった。お腹がグーグーいうほどのものでもないが、なんか軽い物を食べたいよねってときに使っている言葉である。耳にするたびに、ナベさんは「小腹ってどこにあるんだ?」と不思議がっていた。そうこうしているうちにCHAGEのこの言葉はリアルキャストの女子社員の間に蔓延。夕飯にはまだ早いって時間帯になると、「小腹がすいちゃたー」と言いながらお菓子を探す女子社員の姿が目をつくようになった。そんな女子社員の言葉を聞きながら、流行語っていうのはささいなところから生まれるもんなんだなあなんて、ひとりで感心しているASKAであった。

困った【同情するな】

レコーディングやステージなど、先頭に立ってものを制作しているCHAGEとASKAだから、窮地に追いこまれることも多々ある。なにがあってもギリギリまであきらめることはないが、ときには「絶体絶命」「もう終わりだ」などとつい弱音を吐いてしまいたい精神状態のときもある。なかでも「困った…」はよく使われる言葉だが、神妙な顔をしているわりにはたいして困っていないことを、スタッフはよく知っている。本当の「絶体絶命」や「困った」ときは、顔に縦線が入り、無口になるだけなのである。
とくにCHAGEが本当に困ったときは、あからさまに不機嫌になるからすぐにわかる。しかしその後で楽しいことがあると、どんなに重要な「困った」であっても、さっぱりと忘れることができる。都合のいい性格である。

小物【情景描写の必須アイテム】

小物といえば、みなさんは身の回りの細々とした物を思い浮かべると思う。しかしCHAGEとASKAは、詞を書くときに用いるアイテムとして「小物」をとらえていることが多い。
詞は心理描写と情景描写によって作られていくが、情景描写をより鮮明に伝えていきたいときに「小物」が多いに役立つのだ。例えば夏の詞をを書いているのなら「Tシャツ」、冬なら「コート」などである。具体的に挙げるとすれば『今夜ちょっとさ』の「赤いくずかご」は主人公の甘い生活が浮かんでくるし、『CATCH&RELEASE』の「ピアス」なら大人になろうとしている少女が浮かんでくる。こうして小物を使うことによって歌詞は色づき、さらに意味が伝えやすくなるのだ。
どんなに忙しくしていたって心のアンテナを張りめぐらし、情景描写に使えそうなものであれば、落ちているゴミだって見逃さないふたりであった。

コロラド【愛しの山河】

しつこいようだが、今年の夏、CHAGEはアメリカを旅行していた。しつこいようだが旅の様子は単行本『月が言い訳をしてる』を読んでいただくとして、とにかくCHAGEはたくさんの州を訪れた。コロラド州にも行った。ここはキャンプを決行した地でもある。旅の中でも印象深い地としてCHAGEの中に残っているらしい。今でもアメリカを思い浮かべると、コロラド川やコロラドの山々が鮮明に蘇ってくる。
「またコロラドに行きたいなあ…」
ひとりポツリと呟けば、CHAGEの心情がわからないスタッフがすかさず答える。
「事務所のすぐそばにありますよ。安いわりにはコーヒーがうまいですよね」
コロラドと言えば喫茶店のコロラドしか思い浮かばないスタッフを、CHAGEは決して責めることができない。

コントロール不能【仕方ないね】

いくら自由にふるまっていても、人は自分自身をなんらかの形でコントロールしている。それを人はマインドコントロールと呼ぶが、どんなにマインドコントロールに長けている人でも、他人からさりげなくコントロールされているものである。マインドコントロールと他人からのコントロールで、人は社会に適応していくのである。CHAGEとASKAをはじめ、C&Aチームもバランスよくコントロールされているつもりだが、ときとしてコントロール不能に陥る場合もある。例えば…。
<詞に没頭しているASKA>スタッフと打ち合わせの約束をしていても、作詞に入っていると完全に忘れてしまう。思い出してあわてて駆けつけても心はここにあらずで、まったく打ち合わせにならない。自他ともにコントロール不能になっている。
<ヘベレケに酔っぱらったCHAGE>泥酔すると、ベラベラと自分の秘密を得意になってくっちゃべってしまうCHAGE。ASKAがストップさせても聞く耳を持たない。自他ともにコントロール不能である。
まだまだある。<リアルキャストに黙ってテレビ出演を決めようとするやからに対して、怒りが爆発したときのナベさん><週刊誌やワイドショーの卑劣なやり方に怒ったときの中野><CHAGEのギャグでパーコ笑いになってしまったときのミヨコ><波根とケンカをしたときの岡田><食べ物屋が閉店してしまった後のリアルキャストスタッフの食欲>などなど。つまりはみんなコントロール不能なのである。

コンドーム【大事なもの】

世が世であるからして、コンドームはとても大切なものであるとCHAGEもASKAも思っている。ファンの方もそう思っているはずだ。だからといって、ツアー中のプレゼントにコンドームを贈るのだけはやめていただきたいと思っている。いくらエッチなことを言ってばかりのCHAGEだって、きれいな女性にデレデレしてしまうASKAだって、こういう物をファンの方からプレゼントされると、どうしていいのかわからないのであった。

今度ね【都合のいい言葉】

「ねえ、飲みに行かない?」とか「食事しませんか?」とか、人から誘われることが多いふたりである。でも、いつだって忙しいから、なかなか誘いに応じることができない。といって断れば相手を傷つけることにもなってしまう。だからそのたびに使う言葉が「今度ね」。それがいつであるかを指定しない、どこで会うかも指定しない。とりあえずその場をうまくまとめるのに都合のいい言葉であるのは確かだ。
ちなみにASKAの場合の「今度ね」は、わりと言葉どおりで、どんなに時がたっていても「今度ね」の約束を実行するように心がけている。あくまでも都合のいい言葉として用いるのがCHAGE。CHAGEが言う「今度ね」は、半永久的にやってこないものなのである。ただ外国人には通じないことも知っている。外国でCHAGEが「I'd like to see you again」と気取って言ったとき、外国人から「When?」と突っ込まれて困った経験があるからだ。そのときCHAGEは「外人は言葉のわびさびってもんを知らんな」と一方的に相手のせいにしていた。やっぱりCHAGEは都合がいい奴なのだった。

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百科 1994年
最終更新:2025年06月23日 22:16