このような急速かつ莫大な規模での投資活動に対し、ケアンズにおいても反対の気運が高まっていく。
まず、第一は、Toko Houseによる、衛星都市建設計画である。これは、ケアンズの南部に、干潟を挟んだ方向にケアンズの衛星都市となるべく区画を開発するものであった。計画では、19000人が住める場所を作り、住宅地と(リゾート地?)を開発するものであった。しかし、マングローブ林を切り開いて作るこの衛星都市計画は極めて強い反対にあう。このToko Houseは、地元議会や州政府を介さず、直接FIRBに申請を出したために、住民や議会関係者からの支持は得られなかったようである。特に、Daikyoや岩崎のように、関係者に対して献金を行うなどと言ったことも、行ってはいなかった。
第二は、Town Developmentによる、Trinity Beach 計画である。(Trinity Beachは成功したのか)
ゴールドコーストにおけるにおける反対運動が起こったのは1988年である。その一年後の1989年において、ケアンズにおいて、反対運動が組織されることになる。この運動は、Trinity Inletにおけるホテル建設をめぐる環境保護運動であった。開発主義一辺倒の姿勢を取っていたRon Davisに代わって市長に就任したのは、Keith Goodwinであった。彼は就任時に環境保護と、環境と住民と調和したケアンズの開発を公約として掲げていた。彼は開発に反対していたわけではなく、環境と地域住民に配慮した形での観光開発を主張していた。
この市長Keith Goodwinは、Trinity Inletにおけるホテルの建設事業を阻止すべく、署名20000人分を集めた。さらに、10000$もの費用をかけて、反対デモ行進を組織した。1989年10月X日午前10時、ケアンズのRSL前には、キャンペーン用のTシャツを着た7000人もの人々が集結した。デモ行進の先頭に立ったのは市長Goodwinであった。この反対運動は大きな成果を上げ、ホテルの建設計画は一旦中止となる。
このホテルの建設に関し、Daikyoをはじめとする日本資本が入っていたとの情報は、新聞などの検討からは読み取ることが出来なかった。この反対運動の半年後の1990年5月、Goodwinと議会の側近9人を載せた小型機は、近隣のXX山に墜落し、全員が死亡する事故が発生する。ケアンズの環境保護勢力は失速し、再び、開発を強硬に推進する市議会へと戻っていった。
現在、当時の市長Goodwinが反対でも行進を行った現場には巨大なホテル群が立ち並んでいる。デモ行進によって、一旦計画を凍結させることに成功しながらも、干潟の開発は最終的には進行していったのである。
この反対運動においては、反日運動という形を取らなかった。この理由は以下の3点にあると考えられる。まず第一に、反対運動が発生する時期型の地域よりも遅かった点である。反日を掲げた論争が広く巻き起こったのは、1988年代であった。この論争のさなかで、反日を掲げることが日本からの投資を抑止することになるとの懸念が広く表明された。また、住民からはこのような人種主義的な議論は止めるべきであるとの意見も広く出されるようになる。
第二は、ケアンズにおいて既に環境保護運動という形での開発に対する反対運動が市の外で展開されていたためであると考えられる。この反対運動の起こる5年前の1984年、市の北部40km?に位置するDaintree Rainforestを通過する道路の建設を巡って、環境保護団体と開発側(州政府)の間で長期間にわたる抗争状態が続いた(注で展開してもいいが・・・)。反日運動の形態をとったゴールドコーストにおいては、管見の限り、このような環境保護運動は発生していない。
また、このような反対運動は、場所の変化に対する反対運動であり、その中核名主張は、現地住民による投資活動の管理を訴える内容であったと解釈するのが適切であるように考えている。まず、先に紹介したHeart of a Nationの活動は、たしかに初回の集会には多数の人々が集まったが、投資活動の最中であっても、急速な沈静化を見せていった。また、日本資本によるバブルが収束した後、その反対運動はほとんど姿を見せなくなる。このような様相から、ゴールドコーストにおける反日運動は、偶然、主導者が反日という要素を持ち出しただけであった。つまり、ゴールドコーストにおいて、環境保護運動という名で主導が起こっても、人は集まったはずである。また、ケアンズにおいても同等である。ケアンズにおいても、反対運動を含む感情は、ホテルが建設されたりすると同時に沈静化していく。
このような一連の活動から読み取れるのは、急速な投資に対する地元住民の管理を求める請願であったといえないだろうか。
最終更新:2009年10月11日 23:15