黒乃sによる小説
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ついに物語は幕を開けた…!
黒乃sによる大迫力スペクトル小説をお楽しみください!!
本文
- ☆前書き☆
どうもこんにちは黒乃です。正式名所は黒乃 桜です。どうでもいいです。
この度は、このような素晴らしいページを設けていただいて本当に(´・ω・`)様には感謝しております。
私のつたない文章でよければ、是非是非お楽しみ下さいませ。
前書きはいいから早く行けよな。俺。
ということで始まります。
超ぐだぐだだと思います。 サーセン\(^o^)/ -- 黒乃 (2009-09-30 11:41:22) -
別に、何も変わらなければいい、なんて思ったわけじゃなく
ただ今が楽しければってそう思ってただけだった。
それは全くその通りで、先のことなんか先の自分に任せとけばいいって。
そんなある日、俺たちの日常を揺るがすような一言に出会った。
「お前らってさぁ、普通じゃないよなー」
考えたこともない、一言だった。
アイス足りないっ!!!(仮)
ここは某高校。2年A組。
その教室の真ん中で、一人の少年が友達の机を思いっきり叩いた。
「だから!普通になりてぇんだよッ!」
この少年、☆野柘画は目の前に座って呆然とした顔をこちらに向けている膝之摺瑕をジッと見つめた。
「・・・いや、それを俺に言われても」
困るんだが・・、と苦笑した。
柘画はその言葉を聞いて暫くその状態でいた後、あ・・そうか、と呟いた。
それに摺瑕は溜息を零す。
「ねえねえ、A組のAってあほのA?」
二人の会話を聞いていた、南都乙子がくすくすと笑い始めた。
仕草やら容姿がまるで女の乙子は、なんと、男だ。
乙子は別のクラスだが、一年の時同クラだったためたまにこうして遊びに来ているのだ。
「じゃあお前のクラスはバカのBだろ」
あほにカチンと来たのか、柘画が言い返した。
それに、言えてる、と摺瑕は肩を震わせて笑った。
乙子は、むー、と頬を膨らませて上目に柘画を睨んだ。思わずときめいてしまいそうなくらい可愛かったが、相手は男だった・・。 -- 黒乃 (2009-09-30 12:15:34) - 「・・で、普通になりたいって具体的にどういう感じなわけ?」
摺瑕が目に溜めた涙を拭いつつ、話しを戻した。
柘画は、あっそうそう、と自分でふったくせに思い出したように言うとまた摺瑕をじっと見た。
「俺らって、普通じゃないと思うんだわ。」
真面目な顔、真面目な声で柘画が宣言をした。
滅多に見ない真面目さだ。しかし摺瑕と乙子は呆れたようにと笑った。
「そうかもしれないけど・・さぁ」
乙子は緩く首を傾けた。
だからどうすりゃええのん?、と顔に書いてあった。
「だから、脱普通じゃないしようと思うんだけど」
また真面目に言ってのける柘画。
摺瑕はほとほと嫌気が差したのか、少し身を乗り出して柘画に顔を近付けた。
「普通になるって事か?つーか普通って何だよ。お前苗字元に戻したら普通なのかよ」
摺瑕の言葉に、柘画は不思議そうな顔を浮かべる。
「何で今俺の苗字の話しなんだよ・・」
お前あほか、と言われ摺瑕は眉間に皺を寄せる。
そして、柘画の制服の胸ポケットについた名札「☆野」とかかれたのを指さし
「普通、苗字に絵文字はつかわんだろ。」
そう言った。その言葉に、柘画ははっとなる。
星野より☆野の方が可愛い!と結婚した当初母親が勝手に変えたという苗字。
今まで自分は普通だと思っていたが・・☆・・ってそうだよな・・漢字でもねえよな。
「そう・・だったのか・・」
軽く衝撃を受けたらしい柘画を摺瑕は乙子と顔を見合わせて苦笑した。
こいつあほだー・・、とお互いの顔に書いてあった。 -- 黒乃 (2009-09-30 12:16:15) - 「苗字ならまだしも、俺なんか不幸体質治そうっていって治るもんじゃねーし。
こいつの女顔だってそうだろ。つまりみんな普通じゃない☆はいおしまい。残念サヨナラ、おとといおいでー」
ぱんっ、と両手を叩いて摺瑕が無理矢理締めくくった。
乙子も、まった来週ー、と言って柘画に片手を振った。
なんだかエンディングな雰囲気に柘画は、待て待て待てぇい!、と背を向ける二人の肩を掴んだ。
「ここで、あそっかぁ・・☆、で解決したらこの物語終わっちゃうだろうが!せっかく作ってもらったのに!勿体ない!」
柘画の言葉に、二人は溜息を零してまた元の位置に戻った。
それに軽く安堵の溜息を零す柘画。
「確かに終わるのは嫌だけどさ・・もっとこう、学園ギャグコメディー(ちょっぴり恋愛♪)みたいなんでいいんじゃねえの?」
普通に戻るとか普通じゃない話せんでも・・、と摺瑕は頬杖をついて呟いた。
乙子も、僕もそれでいいと思うよ、と言った。
しかし柘画は、それじゃ駄目なんだよ!、と大声で叫んだ。
クラスメイト達が、またか、というような顔でこちらをみる。
「ギャグコメディー(ちょっぴり恋愛♪)???つまらんわっ!わしゃそんなの求めとるんやない!」
急に関西弁っぽくなった柘画に、誰だよ、と摺瑕が小さくつっこみを入れた。
しかし柘画の脳内には届いていないらしい。
「俺は普通になりたいだけなんだよ!」
別に、変わってるのは悪い事じゃない。寧ろ変わってる事はステータスだ。
☆野っていう苗字だって、ちょっぴり可愛いじゃない♪(母親風)だし。
A組のAがあほだって、生きてるんだからそれでもいい。
だけどそれだけじゃないんだ・・俺たちが普通じゃないのは、他にもあるはずなんだ・・!
「それって、龍王が襲ってくるとかそう言う系?」
「あれじゃねえの、不思議な転校生とかじゃねーの?」
上の心理描写がただ漏れだったのか、心を読んだのか、摺瑕と乙子はそれぞれ空想し始める。
魔法とか?、魔女っ子モエタンかよ、などなどと好き放題話し始める。
柘画が、そうじゃねぇ!、と叫ぼうとした瞬間、とんとんと肩を叩かれ振り返る。
そこには、柘画の隣の席の山門撫子が立っていた。
この学校は、制服着用なのにいつも自前の着物を着ている。
「柘画さん」
-- 黒乃 (2009-09-30 12:17:19) - お嬢様なのか、コスプレ好きなのか、いつも和服で綺麗な言葉使いでその名の通りの大和撫子で可愛い撫子。
柘画は少し気になっていたので名前を呼ばれドキ、と心臓が高鳴る。
「は。はい?」
緊張しつつ返事をすると、撫子はにっこりと満面の笑みを浮かべて、煩いですよ、と言った。
笑みとは裏腹な冷たすぎる言葉に、柘画は笑みを引きつらせる。
「教室のど真ん中で怒鳴り散らしてる時点で普通じゃないですよ」
にこにこと微笑みながら的確な所をついてくる。
さっきまで好き放題妄想話をしていた摺瑕と乙子は、おぉー、と感嘆の声を上げ拍手を送った。
「でもこの人、納得するまでつっぱしっちゃうんだよぉ」
乙子が撫子に話しかける。撫子は、ええ知ってます、と微笑んだ。
いい加減にして欲しいんですョ全く、と顔に書いてあるような気がした。
「別に俺は、普通じゃなくても良いと思うんだけどなぁ・・」
ぽつりと摺瑕が呟く。全員はそちらをみる。
「普通じゃなくても、楽しいと思うし・・」 -- 黒乃 (2009-09-30 12:18:02) -
俯きがちに摺瑕が呟く。三人は摺瑕を凝視した。
それぞれ何を思っているか、きっとバラバラだろうけれど。
「ふっはっはっはっは・・・・!」
すると突然、不適な笑い声が聞こえた。
4人はハッとなり、教室の後ろの方を見た。
そこには乙子と同じB組の女子生徒、矢張荻が立っていた。
「矢張さん・・?」
乙子が不安げな声を出した。
荻は、摺瑕の席に向かって歩いてくる。
「普通だの楽しいだの、最早貴様等には関係の無い事・・
貴様等は今日この場で、この矢張様に討ち滅ぼされるのだッ!」
急に叫びだした荻に、摺瑕は思わず立ち上がる。
乙子と柘画は困惑の表情を浮かべ、撫子は小さく溜息を零した。
「どういう事だよッ!」
摺瑕は叫んだ。何だよこのファンタジー的展開。
すると摺瑕の後ろに立っていた乙子が摺瑕の服を掴む。
「ねえ・・!教室・・いつの間にか誰もいないんだけど・・」
掠れた不安げな声に摺瑕は辺りを見回す。
すると、生徒所か教師も見あたらない。男子組は背中に悪寒を感じだ。
もちろんただみんな体育の授業に行っているだけなのだが、この際この彼等に教えなくても良いだろう。
「・・やばい」
「逃げる・・?」
「しかねぇよな」
男子組の簡単な相談。柘画は撫子の腕を掴んだ。
そして、荻がどこからともなくナイフを取り出してものすごいスピードで走り出しそう・・な途端四人は一斉に走り出した。
「とりあえず生きて会おうぜ!」
適当な別れ言葉と共に教室を出て、柘画と撫子、摺瑕と乙子といったように
廊下の両側に別れて走った。
最早後ろなど振り向いている暇はなかった・・・。 -- 黒乃 (2009-10-02 17:38:02) -
「はあ・・っはッ・・」
「疲れたぁぁぁ・・」
荻から逃げて、摺瑕と乙子は南校舎から東校舎へと移動していた。
摺瑕達の1~2年の教室があるのは南校舎。その他3年生やら音楽室やらがあるのが東校舎だ。
ともかく、二人は東校舎の廊下をようやくゆっくりと歩いていた。
「何か、矢張さんに狙われるようなことしたっけ・・?」
溜息のような意気を零して、乙子が呟く。
摺瑕も、うー、と腕を組んで首を傾げた。
「俺にはねーな。つか、こっちに来てないって事は恨んでるのは柘画か山門だろ」
摺瑕の言葉に、それもそうかも、と乙子はのんきに笑ったのだった・・。
「ギャーッ!!!」
一方南校舎2階では、激しい乱闘が繰り広げられていた。
驚くことに人は全くおらず、柘画は撫子の手を掴んだまま全速力で走っていた。
後ろからはものすごい形相の荻が、ナイフを投げて付けてくる。
それが頬を掠ったり制服を掠ったりする。
「もうなんなんだよーーっ!!!」
何か自分が荻にしてしまったのだろうか、などと色々と考えている間もないくらいだった。
柘画は行き止まりにぶち当たり、慌てて横の階段を駆け上がった。
三階に行き、また更に上へと登る。これ以上階は無いのだが階段は続いていた。
「この上は・・」
今までずっと黙っていた撫子が小さな声で呟いた。
しかし柘画は聞いている暇もなく、階段を上りきり、その先にあった扉を無我夢中で開けた。
-- 黒乃 (2009-10-13 23:03:48) - さび付いた音を立てて、扉が勢いよく開いた。
その先は、紛れもなく屋上だった。
こんなトコあったんだぁ、と感動に浸っている間も与えてくれないらしく、顔の横の壁にナイフが刺さる。
柘画は慌てて屋上へとかけだした。
フェンスでぐるりと囲まれた屋上は、酷く殺風景だった。
「ど、どうしようもう逃げ場が・・!」
フェンスまで行き当たってしまった二人は、振り返った。
そこには、息を切らした荻が立っていた。
柘画は青い顔をする。
「☆野柘画・・貴様の逃げ足には感心した。
だがこれまでだ!所詮世界は狭いという事を充分思い知っただろう」
手に持っているナイフを二人に向けて荻は大声を出した。
柘画は撫子の腕をギュッと握りしめた。
やばい、俺達ここで死ぬのかな・・。
「・・あの、話して頂けませんか・・気持ち悪い・・」
柘画が想ひ出を頭の中で再生していると、撫子が本気で嫌そうな声で呟いた。
柘画は、え・・?あ、ごっごめん、と言って渋々撫子から手を離した。
手を離されると撫子は、着物の裾をパンパンと片手で叩いて埃を払いつかつかと荻の方へ歩いていった。
そんな撫子に柘画は目を大きく見開いて、ちょ、と言いかけて片手を伸ばす・・が、撫子には届かなかった。
「矢張さん。理由も説明せずに人様を追いかけ回すのはどうかと思いますよ。」
撫子はにっこりと微笑みを浮かべて、そう呟いた。
荻はその言葉を聞いて、う、と俯く。
「何か、よっぽどの事情がおありでしょうが・・」
荻の顔を覗き込むようにして、撫子は身をかがめて呟いた。
荻はナイフを持った手ともう片方の空いた手をギュッと握りしめた。
「き・・今日は・・・引き返すとする・・」
俯いたまま、そう呟いて、あっという間に屋上から去っていってしまった。
あんなに・・凄かったのに・・、柘画は真っ白に燃え尽きたような表情で撫子の背中を見ていたのだった・・。 -- 黒乃 (2009-10-13 23:12:48) -
「いやー・・しかし何で俺ら襲われたんだろうな?」
とりあえず一端教室に戻った一行は溜息混じりに会話を始めた。
クラスにはまた人が戻っていた。
なぜなら体育の授業だったからだ。全員はあまりにもな状況で気付かなかったという事にした。
「とんだ目に遭いました」
撫子は微笑みながらも、冷気を纏って呟いた。
ごめんなさいぃぃぃ、と柘画は思いながらも軽くスルーした。
「後で、荻さんに聞いてみるね」
乙子は少し心配そうな声色でそう呟いた。
柘画は、ああ頼む、と言ってとりあえず次の授業で使う教科書を引き出しから引っ張り出した。
「全く、数学とか無いよな」
摺瑕も呟きながらも自分の席に戻り、乙子も自分のクラスへと戻っていったのだった・・。 -- 黒乃 (2009-11-01 19:46:13) - 昼休み、中庭に柘画と摺瑕、そして乙子はいつものように集合した。
昼はここでランチタイム、と決まっていたのだ。
「お前は可愛いなーストロ。女よりずっと可愛い」
毎度のことながら、摺瑕は中庭でこっそり飼っている
どこからどう見てもライオン(ミニサイズ)のような猫にはんぺんをあげつつ
でへでへとだらしなく笑った。
乙子は、はんぺんに食らいつく野生そのもののストロを横目に手作り弁当を広げながら
「あはは。そうかもねー」
そう笑った。
ストロは見た目はライオンで、恐ろしい牙の持ち主だが
その牙は見せかけで、実は柔らかいものしか食べれないという欠点がある。
「で、何で襲われたか聞いてきたのか?」
売店のパンの袋を開けながら、柘画は乙子に聞く。
摺瑕もストロを膝に乗せつつ自分もパンの袋を開けた。
「うん・・一応聞いたんだけど・・」
乙子は口元まで持ってきていた箸を降ろして、苦笑を零した。
二人は不思議そうに乙子を見る。
「『今日は命拾いしたな・・だが次は必ず・・殺す!』って・・返されちゃった」
乙子の言葉に摺瑕はため息を零し、答えになってねーし、と呟いた。
ジャムパンに齧り付いていた柘画も苦笑を零す。 -- 黒乃 (2010-03-20 14:40:25) - 「なんかしたっけなぁ・・。今回は、撫子ちゃんが止めてくれたから助かったけどさ・・」
はんぺんを食べ終わったストロが、柘画にすり寄ってくる。
柘画も丁度ジャムパンを食べ終わったので、ストロを抱き上げた。
ストロの目は、肉食獣そのもので少し荻に似ていた。
「山門さん、止められたの?」
乙子が少し驚いたようにストロとじゃれる柘画を見た。
柘画は、うん、と返してはっとなる。
「そういや・・なんであんなあっさり引いたんだろうな・・」
あの時は恐怖で、撫子様々、と思ったくらいだが
あんなに怖い荻があっさり引くなんて、今では信じられない。
「山門が怖かったから・・とかじゃねえの」
摺瑕が冗談っぽく笑った。
違いない、と言いたかったが何となく違う気がして柘画は黙ったままだった。
「んー・・まあとにかくやめさせないとね。
このままじゃ、命が幾つあっても足りないよ」
乙子は肩をすくめて笑った。
柘画はようやく、だな、と返したのだった。
-- 黒乃 (2010-03-20 14:40:44) - しかし、そんな団欒もつかの間だった。
「うええええ!!!!」
放課後の人気のない廊下を、またもや柘画は全力疾走していた。
本日二度目の大疾走劇である。
「待て!☆野柘画!!!」
相変わらず般若のようなすさまじい形相で追ってくる荻。
そもそも何故またこのようになったのか。
それはばったりと荻に会ってしまったからだ。ただ、それだけ。
今回は頼もしい撫子も、その他の仲間もいない。
それどころか、放課後のため人っ子一人見あたらないのだ。
どれもこれも全部、担任に雑務を押しつけられたためだ。担任ちくしょう。
そんな事を考えていると、すっと音もなくナイフが柘画の頬を掠った。
頬から鮮血が流れる。柘画は叫び声を上げた。
「うあああああ!!!マジで死ぬ!殺される!!!」
うああもうあり得ねーしどうなってんだこれ普通じゃねえよ!
柘画は心の中でも実際の口でも叫びまくった。
そこで突然はっ、となった。
『普通』じゃない・・。そうだ、普通じゃないんだ!
柘画は朝と同じルートを走り始めた。
「普通じゃねえんなら都合良くなんかめざめろおおお!!!!」
-- 黒乃 (2010-05-11 20:40:53) - その時、
都合良く、柘画の中のなんかが目覚めた。
柘画は朝と同じように階段を駆け上がった。
その先は屋上。空だけが、朝と違ってオレンジ色に染まっていた。
「はあ・・っ・・はあッ」
柘画はフェンスまで走っていって、ようやく振り返った。
恐ろしい顔の荻がナイフと瞳を光らせ、不適に笑った。
「もう同じ手は食わぬ。・・それとも、諦めたか?」
荻がじれったいほどゆっくりと近寄ってくる。
柘画は息を呑んだ。
「ちくしょう・・」
ここで終わりか。俺の人生オワタか。
ちくしょう、ちくしょう、どうせ死ぬんならもっと色々やっとけばよかった!
昼のジャムパンじゃなくてクリームパンにするとか・・!
両手を握りしめ、目の前の荻を睨んだ。
「辞世の句は詠み終わったか?」
荻は呟くと、容赦もなくナイフを投げてきた。
それが止まっている柘画に当たる事は、赤子の手を捻るように簡単な事だった。
柘画は躯を動かそうとするが、思うようにいかない。早すぎたのだ。
ただ、目をぎゅっと閉じた。 -- 黒乃 (2010-05-11 20:41:17) - しかしなにもおこらない。
ああ。死んだ。死んだぜ。アディオスディナー。世界。
とかなんとか考えていた柘画は、一向に痛みもなにも感じず、そろそろと目を開いた。
そこには、ナイフを投げた後の荻といつもの屋上が広がっていた。
心なしか、時が止まっているようにも見える。
「・・え・・?」
柘画は呆然と呟いた。
目を見開き、荻を見る。
荻はただ黙ってこちらを見ていた。動いても、視線はそのままだった。
「止まってる・・?」
そうとしか考えられなかった。
柘画はとりあえず、ほっと安堵の息を吐いた。
「よー。☆の付く少年!間際の感覚は恐ろしかったか~?」
不意に声が聞こえて、柘画は後ろを振り返った。
そこには、フェンスの一番上でけたけたと楽しそうに笑う変な姉ちゃんがいた。
こいつの仕業か・・、と柘画は、真っ黒い服に身を包んでる割には派手な化粧の女を見た。
「誰だあんた・・」
柘画が呟くと、女はすとんと柘画の前に降りてきた。
黒い服に目立つ金色の髪は、染めているのか地毛なのか分からなかった。 -- 黒乃 (2010-05-14 18:18:35) - 「格好良いかつミステリアスな雰囲気のナイスバディー!略してカミ!」
けたけたと笑いながら女は笑った。
柘画は、苦笑も出ずにただ女を凝視した。
「自分で神とか言ってるやつ初めて見た。」
柘画の言葉に、だって神だもーん、と女は呟いてフェンスに凭れた。
フェンスは軋みもせず、まるで壁のようだった。
「まあいいや。君がすっげえ強く望んでたみたいだから、目覚めさせてやったよ。
『君の中のなんか』を。」
女はくるくると細い指を動かし、どこからともなくナイフを取り出した。
まじまじと見た事はないが、それは荻のナイフのようだった。
「今、君が生きてるのは私の力でも何でもないよ。
かといって、「復・活ーー!」って生き返った訳でもない。
このナイフはね、この下に落ちてたんだよ」 -- 黒乃 (2010-05-25 20:35:00) - 女はナイフを弄りながら、フェンスを顎で差した。
俺が今生きてるのは、俺の中の『なんか』が目覚めたからなのだろうか。
「目覚めたのか・・・」
ていうかなんかって何だよ!
女はナイフを自分の足下に落とした。きん、と冷たい音がした。
「『なんか』ってーのがなんなのか、私にも分からないけどさ。
私がわざわざ手を下してやったんだ、きっと出来るよ。なーんでも、ね。」
心を読んだようにそう言うと女は微笑んで、ぴょんっとただのジャンプでフェンスの上に昇った。
柘画は、女を目で追う。
「ま、待てよ!何だよそれ!『斬月!』とか言ったら剣とかでてくんのか!?」
柘画の言葉に女は、あはは、と大口を開けて笑った。
「やろうと思えば出来るカモね。でも人様の漫画のネタを使うのはやめなさいな。」
自分のトコだけにしときな、と女は呟き、自分の髪の毛を一本毟った。
そして柘画に差し出しす。 -- 黒乃 (2010-06-01 17:12:11) - 「餞別だよ。とっときな。」
柘画は女を凝視した。何を言い出すんだこの女・・、と。
女はそんな考えが分かったかのように笑った。
「そんな目で見るんじゃないよ。ありがたい物なんだから」
神の髪の毛とかだじゃれかよ、と思いながら柘画はおずおずと受け取った。
それは綺麗な、金色の糸だった。
「やあやあ我こそはこの世を統べる統一者なり。
果実や言ノ葉と同列な、神も所詮はならざりし人さへ。
己を抱くな。連れ立つ物は朝火と・・さあ、当ててみよ。」
神と名乗った女は、そう叫んであっという間に消えてしまった。
柘画は金色の髪を、気持ち悪いと思いつつも棄てる事が出来なかった。
-- 黒乃 (2010-06-03 14:54:25) -
「私の刃を避けるとは・・だが次は外さん!」
背中に荻の声がぶつかり、柘画は慌てて振り返った。
時が動き出してしまったのだ。
柘画は金髪を制服のポケットに突っ込み、荻を睨んだ。
大丈夫だ・・!俺には『何か』が目覚めたんだ!そうだ!落ち着けぇ!
自分に言い聞かせ、奮い立たせると不思議と気持ちは落ち着いてくる。
「死ね!☆野柘画!」
荻がナイフを投げてくる。物凄い早さで、的確に。
しかし今の柘画は違う。『何か』が目覚めたのだ。
そんなナイフもスローに見えるはず・・。
「み・・みえねええええええ!!!!!」
全然早いナイフを、死にものぐるいで倒れ込み何とか避けた。
荻は苛立ったように舌打ちをし、容赦なく二本目を投げてくる。
「ちょ、まああああ!何これ全然みえねええしっ!!!!」
本当に『何か』が目覚めたのだろうか?柘画は泣きそうになりながらナイフを避ける。
『何か』がなんなのかは分からない、と女は言っていた。
じゃあ『物凄く麻雀が強くなる』とかそういう今はどうでもいい事だったりするのでは・・。
柘画はさああと躯から血の気が引くのを感じた。 -- 黒乃 (2010-11-20 11:05:20) - 「逃げるな!」
荻は苛立ったように叫び、ついにこちらに近付いてきた。
やばい、殺される!
ナイフを構えて突進してくる荻に恐怖したあまり、柘画は頭の中が空っぽになった。
「ああああもうどうにでもなれええええ!!!!血の芸術!死場烈派ああああああああ!!!!!!!」
もう死ぬと思った。確実に「死場烈派」なんて出来ない事は分かっていた。
何故なら自分は血の芸術家ではないし。そもそも死場烈派に必要なナイフを持っているのは向こうだった。
あああもう死ぬ。今度こそオワタだ。
「・・ッ・・!?」
からん、とナイフが床に落ちる音がして、荻は膝をついてしまった。
柘画は何が起こったのか自分でも分からず、ただ目を見開いた。
「え・・嘘・・」
ただただ、お互いに呆然とコンクリートの地面を見つめていたのだった。
-- 黒乃 (2010-11-27 13:43:50) - あけましておめでとうございますっ!;
+++++++++
「・・・。」
覚束ない足取りで家に帰り、自分の部屋に着いてようやく柘画は心が落ち着いたような気がした。
ベッドに腰を下ろし、自分の手を見つめる。
俺の中の「なんか」は、血の芸術家になれる力なのか?
それともあの神とかいうねーちゃんが言ってたように「なんでも出来る」のだろうか?
龍拳とかギアセカンドとか百獣戯とか魔女狩りとかオリジナルも漫画やらゲームからのぱくりも関係なしに出来ちゃうのだろうか。
「ちょっとまて・・それって・・」
柘画ははっとなり呟いた。
荻に殺されるのが怖くて思わず目覚めろとか言っちゃったけどやっぱり俺って・・。
「普通じゃねえじゃねえかああああ!!!!」 -- 黒乃 (2011-01-27 20:09:59) - 「っはよー柘画!」
とぼとぼと背中を丸めて歩いていると、急に背中をばしっと叩かれ柘画はよろけた。
声からして摺瑕と分かったので、柘画は顔もあげなかった。
「・・・おはよ」
いつもよりトーンの低い柘画の態度に、摺瑕は眉間に皺を寄せた。
「どうしたんだよ?何か元気ねーな」
お前らしくもない、から、気持ち悪い、まで摺瑕は呟き横に並んで歩いた。
柘画はため息と共にようやく摺瑕を見た。
「俺はもう、普通じゃなくなってしまった・・」
柘画の言葉に、はあ?、と摺瑕は返す。
「元から普通じゃねえだろ」
何を今更、と摺瑕に吐き捨てられ柘画は摺瑕を睨んだ。
その瞬間、摺瑕の頭にどこからともなく降ってきたサッカーボールがヒットした。
「でも普通になりてーんだよ!」
ぐは、と言いつつその場に倒れ込む摺瑕に柘画は叫んだ。
「分かった・・分かったから叫ぶな・・頭に響く」
頭を抑えつつ摺瑕は呟き、暫くその場で悶えていたのだった。 -- 黒乃 (2011-01-27 20:10:36)
重要!
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