登録日:2026/08/02 Sun 00:00:00
更新日:2026/08/26 Wed 16:42:19NEW!
所要時間:「その項目は特に約 30 分で読める……な!」
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』とは、日本のアニメ映画。
2026年7月24日公開。上映時間は99分。IMAX版も同時上映された。
監督:及川啓
脚本:ナガノ
製作:Cypic(旧CygamesPictures)
音楽:トクマルシューゴ、上水樽力
配給:東宝
主題歌:『くつずれ』『机さする』
挿入歌:『今日の日はさようなら』『島のうた』『UNIONですから!』
※以下、ネタバレが多く含まれます。
未鑑賞の方はブラウザバックするか、ネタバレを承知の上でお読みください。
概要
ナガノ氏による
漫画『ちいかわ』こと『
なんか小さくてかわいいやつ』の初となる劇場版作品。
ファミリー人気を意識してか、夏休みシーズンでの公開と相成った。
本作は、2023年3月14日から同年11月26日まで『ちいかわ』公式Xアカウント上で発表され、
多くの反響
あるいは阿鼻叫喚を呼んだ長編エピソード(通称『島編』『セイレーン編』)を映像化したものである。
映画公開年時点でも『ちいかわ』公式アカウントでの連載史上最長編のエピソードで、大長編『
ドラえもん』を思わせる内容だったため、
発表当時から読者の間で「映画化希望」「もしや劇場版映画の原作なのでは?」という声が上がっていたが、エピソード完結から約2年後の2025年11月24日に映画化が発表された。
原作者が直々に総作画監督を務めるとともに脚本を担当しているだけあり、改変もほとんど無く絵もストーリーもほぼ原作通りに仕上がっている。
メインの動画制作スタジオはテレビアニメ版から変わっているが、プロデューサー、レギュラーキャラクターの
声優陣、音楽担当はテレビアニメ版と同じ。
なお、
内容が内容な上に長編であることから、週2日の放送で持ち時間も90秒しかない『めざましテレビ』でのレギュラー放送枠で地上波アニメとして放映するのには向かないと思われ、(地上波では)映像化自体されないのではないかという懸念もあったが、このエピソードは当初から映画化を前提に製作されていたため、前述のような問題はそもそも無かったようだ。
ちなみに、各種商品では映画名義でもキャラクターなどのイラストは原作版漫画版のものが使われているケースが多い。よって、メディア展開では「
映画版アニメ版名義=原作漫画版島編及びセイレーン編」が一括りに扱われているという、原作付きTVアニメ劇場版としては珍しい扱いがされている。
元となったエピソードは単行本8巻に丸々収録されているし、本項目作成時点でも公式Xにおいて全編無料で読める。
しかし、力の入った背景美術や人気声優陣による歌唱シーンに
オーケストラも起用した豪華な劇伴といった劇場版ならではの見どころも盛りだくさんなので併せて楽しむのも一興。
また特典としてチャームやボンボンドロップシールやプルバックカーが配布されている。
興行収入成績は初日で9億円、3日後には22億円、10日後には44億円、14日後には50億円、20日後には80億円、そして
30日後にはついに100億円を記録したことが発表されており、舞台挨拶等は行なっていないが順調に伸びているといえる。
更に海外展開も予定されていて、7月31日の台湾公開を皮切りに順次アジア圏各地で封切られる。
あなたも是非、ちいかわたちのひと夏の冒険にお供しませんか?
……さて、前の段落やタグに不穏なワードが見えたのは残念ながら気のせいではない。
『ちいかわ』と聞くと、詳しくない人はなんか小さくて可愛いやつらがなんやかんやありつつもほのぼの楽しく過ごす作品とお思いになるかもしれないが、本作はその印象をたやすく覆すだろう(そもそも元から「そういう」作品だが)。
最初は夏公開のファミリー向けっぽい映画によくある南の島でのハラハラドキドキ活劇譚、と見せかけておきながら、主人公らはやがて思いがけず過去最大の脅威との対峙に巻き込まれていく。
そして終盤では、どうして本作を全年齢でレーティングしてしまったのかと思うほどあまりにも重い真相が明らかになるとともに、意味深にして陰惨で救いの無い結末が待ち受けている。
そのせいか、ネットでは公開直後から以下のような感想や体験談・目撃談が飛び交っている。
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- 上映が終わった後の場内の空気は親戚のお通夜めいていた
- 館内から真っ青になったり泣きじゃくったりしている子供とそれを何とか宥めようとする親御さんが沢山出てきた
- 『ちいかわ』の何たるかを知っている子供たちが平気な顔をしている横で、何も知らずファミリー映画のつもりで同伴した親御さんがドン引き
- ガワは『ちいかわ』、していることは『容疑者Xの献身』
- 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』と『ちいかわ』のせいでいよいよ『今日の日はさようなら』をまともに聞けなくなった
- 視聴者の一人に曰く「悪人が丹精込めて作った良い話」
- 下手なホラー映画より怖い。むしろ今年の上映されたホラー映画を抜いて一番怖い
- 映画好きな人たちからは「『ちいかわ』のテイストだから可愛くコーティングしているけど、内容や雰囲気が『ミッドサマー』『ウィッカーマン』等と変わらない」
- ガワがかわいいだけの『仮面ライダーアマゾンズ』(『Armour Zone』と『DIE SET DOWN』、そして『EAT KILL ALL』の歌詞が何故かハマる描写もあるし……)
- 原作通りに進むのであればせめてPG12。G指定はさすがに映倫はもう一回判定をやり直すべき
一緒に行く人がいるなら前もって魚の煮付けを食べさせておくのがおススメ。 相手がアニメ勢かミリしら勢ならその分新鮮な悲鳴が聞けてなお良いしかもセブンイレブンが本作とのコラボ商品を展開したが、既製品のパッケージを変更した限定版の中にはちいかわとヒトハとフタバが描かれた「赤魚の煮付け」が用意されている(後述)
子供がふと横を見たらさっきまでいたハズの親が濡れた衣服だけを残し消えていた
親御さん問うていわく「誰が悪いと思う?」、お子さん答えていわく「ナガノ」(それはそう)
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あらすじ
ある日、ちいかわとハチワレが広場でくつろいでいると、突如として顔にチラシを貼り付けたうさぎがやって来る。ハチワレがそのチラシを確認すると、それは「特別な島へご招待」と書かれた招待状であった。
チラシに記載された魅力的な言葉に釣られ、島合宿に行くことを決めたちいかわたち。チラシの内容を怪しがるラッコとともに乗船し、島に上陸したちいかわ一同は島民から大歓迎で迎えられる。
楽しい時間を過ごしていたちいかわたちだが、島に住む巨大な“セイレーン”が島民を次々と連れ去っているという事実を聞かされ、セイレーンの討伐計画に巻き込まれていく。
ひたむきに進むちいかわたちに次々と訪れる試練。みんなで乗り越えられるのか…!?
そして島に隠された本当の“ひみつ”とは…!?。
(公式サイトより抜粋)
登場キャラクター
レギュラー陣
島に行った面々のうち、ラッコ以外は到着早々島民に着せられた花冠や腰蓑を序盤まで纏っている。
「エ…ト…」「みんなで…力を合わせて…?」 「ンショ!!」「カレーを」「作る!!?」
お馴染み主人公なやつ。
本作はまだ草むしり検定合格前の話なので、バカンスがてら気分を変えて励もうと勉強道具も持ってきていた。結局ほとんど使えなかったが。
自分以外の仲間が全員連れ去られてしまい、べそをかきつつも諦めず困難に立ち向かっていく。セイレーン打倒のための作戦も発案した。
そして、終盤に「ひみつ」を知り取った選択は……。
担当声優は本作のエンディングテーマも歌っている。透明感のある伸びやかな声が素晴らしい。
「『人魚を食べると』…って 図鑑の豆知識コーナーになんか書いてあったような…」
お馴染み解説役でオープニングテーマも歌ったやつ。
ちなみにサビの歌詞の一部は『ちいかわ』が初出ではなく、作者の個人アカウントに2018年に投稿されたイラストに添えられたフレーズが元ネタ。
島の砂浜や島からの帰りの船では、本作の裏の主題歌とも言える『今日の日はさようなら』の一節を口ずさんでいた。
キャンプファイヤーの場面で何かを思うちいかわに寄り添う優しさが染みる。
「ハイヤッハー♬ プルプルヤッハー イ・イ・イヤッハ イー・ヤー・ハッハッハ ヤー♪」
お馴染みなんかよくはしゃいでてリズム感のある者その1なやつ。
メイン3人では唯一手ぶらで島行きに。
序盤で弾いていたウクレレをどこかから召喚したのかとか、どう見ても弦に手が届いていない点についてツッコんではいけない。
セイレーンたちさえ引き放すほどの速度でボートを漕ぐ体力おばけぶりや、昆布臭くされても普通にいつも通りに寝る豪胆さを見せる。
モモンガたちとラップを披露するシーンは、映像媒体の利点を大いに活かして原作よりも描写がこれでもかと盛られた結果、
「ここだけ『ヒプマイ』」だとか「領域展開」だとか言われている。なお、元ネタは同時期に実写版をやっていた
これらしい。
「こんなもんより… うんまいものが 食べたいんだよオーーッ」
お馴染み元ふしぎないきもの現かわいこぶりっこでリズム感のある者その2なやつ。
- セイレーンの棲み処の洞窟入り口に立つ「立ち入り禁止!」の看板を倒したせいでちいかわたちが知らずに足を踏み入れ、セイレーンに出くわす発端を作る
- 「永遠の命」に興味を持ったことで、セイレーンが観光客(ちいかわたち)も『敵』と見なすきっかけとなった行動に及ぶ
- セイレーンの探索中にも色々とワガママを言い、ちいかわの持っていたアメをほとんど巻き上げる(しかも喉に詰まらせた)
……などなど、銀幕でも相変わらずのやりたい放題。
某ガキ大将のように劇場版補正は無かった。ちいかわがモモンガの言動にとてもイヤそうな表情を見せる様子も必見。
とはいえそれでもなんだかんだ思わぬ形で貢献はして
しまっている。
そんなだから古本屋さんがますます勘違いするんだ。
お馴染みトップランカーで師匠で甘党なやつ。
チラシに書かれた誘い文句を最初は怪しむも、限定スイーツが楽しめると知りちいかわたちに同行。
屋台の行列に並ぶときの教えが後々ハチワレの窮地を救うことになる。
セイレーンと初めて相対した際には、ちいかわたちを安全な場所に避難させるとともに、ハチワレから事情を聞かされてまず対話を試みる。
しかし、その最中にモモンガが繰り出したびんよよのコイルが足に絡まって
剣を取り落としてしまい、その隙を衝かれてセイレーンに捕まってしまう。
こうして、一行の最強戦力ながら真っ先に囚われの身になり、昆布を巻かれた状態で捕縛されることに。
割と危機的な状況に陥ったラッコだったが、それでも錯乱等はせずに冷静さを保っていたのは流石というべきか。
「体が昆布臭い、旨味が染み込んでいるのかッ」
また、拘束状態でセイレーンにマントをめくられているなどヒロピンのような見せ場も。
なお、ラッコが落とした剣は彼を師と仰ぐハチワレがしばらく携行し、セイレーンの差し向けたツルを切るのに使われた他、
そのハチワレがセイレーンに連れ去られる寸前に今度はちいかわに託され、セイレーンに囚われた仲間たちを昆布から解き放つのに活用された。
その後救出され、セイレーンとの最終決戦においては島民らも統率し見事な剣さばきを見せる。
一件落着後のキャンプファイヤーでは「本当にこれで終わりだろうか」と一抹の不安を口にしつつも、島二郎と強者同士互いを称え合うのだった。
『今日の日はさようなら』を歌っているように聞こえない?最近のエピソードで音痴疑惑が出たことは関係無いと思うよ。
お馴染み吞兵衛な味見隊長でリズム感のある者その3なやつ。
やっぱり島でも
ビールと
焼きそば(with
紅生姜)を堪能していつものリアクションを見せる……が、
翌日にはやっぱりというべきか二日酔いに襲われ、介抱してくれたシーサー共々終盤まで島の事情を一切知らなかった。
セイレーンとの最終決戦でのラップでは
酒カスならではのパーカッションを披露するほか、セイレーンの口元へカレーを運ぶための打ち上げ台役をシーサーと担う。
お馴染みスーパーアルバイターで料理隊長なやつ。
限定
ラーメンを目当てに島にやって来た。
二日酔いしたくりまんじゅうを介抱し、酔い覚ましのゆし豆腐を作ってあげていたために島の集会に行かなかったので、
ちいかわたちがセイレーンに散々な目に遭わされていることを露知らず、くりまんじゅうと共に島でのバカンスを満喫。
ちなみに中盤で歌っていた『UNIONですから!』は、
沖縄県のローカル
スーパーマーケットチェーンであるユニオンのCMソング。
元々シーサーとくりまんじゅうは戦闘描写がほとんどないことも手伝い、このまま本筋に絡まずに終わる…と思われたが、
緊迫した状況とカレーを使う作戦を聞かされると、持ち前の高い調理技術を活かして、セイレーンにお見舞いするための
激辛カレーライスを、島民を指導しつつ先頭に立って調理。
最終決戦でも非戦闘員ながらセイレーンの眼前に出て、くりまんじゅうと共にちいかわ&ハチワレを打ち上げた。
お馴染みカニちゃんなやつ。
相変わらずモモンガに振り回されまくる不憫かわいい子。
とはいえ流石にモモンガがラッコ師匠の足を物理的に引っ張り、決定的な敗因を作った際には全力で怒っていた。
また、今回は古本屋もグレーのさすまたを手に討伐に参加することに。頭につけている鎧さん謹製「自分の意志で動かせるカニバサミの
カチューシャ」がここぞの場面で活躍する……
!?
お馴染み鎧さんたち。
エンディングほか本編では序盤に1シーンのみ登場し、ストーリーには関わらない。大御所な中の人たちの無駄遣い過ぎる。
ちいかわたちが島に行くと聞き「旅ブームらしいな」と言い合う。
お馴染み怪異たち。オープニングに一瞬だけ登場しセリフは無い。
顔を見せた直後に背中を向けどこかへと去っていく、という意味深な演出がされている。
ゲストキャラクター
討伐対象
本作において最も重要なキャラクターの一人。
無邪気さと強者ならではのある種の傲慢さ
それから巨体の人外という属性もを持つ、恐るべき海の魔物。
ティザービジュアルの下の部分をよく見ると「いる」。
猫か
アザラシのような顔と、大きな耳が特徴。下半身は赤い鱗をまとった魚型。
その見た目からして水辺以外での行動は苦手そうだが、陸地でも何ら問題なく移動できるようで、劇中では水中を素早く泳ぐのはもちろん、陸上でも体を
ヘビのようにくねらせて素早く移動しているシーンがある。
ちなみに寝るときは水中から上がって洞窟の中で寝ているため、人魚ともども恐らく肺呼吸。しかし水中でも普通に話したり歌ったりできる。
体格はちいかわたちのゆうに数倍はあり、尻尾を振り回し強烈な打撃を見舞うことができる上、作中最強クラスのラッコすら胸ビレを手のように使って難なく握って捕らえるほどの怪力を誇る。
更に嗅覚も鋭く、島の住民と観光客を判別し、カレーに何か混ぜられたと突き止めることもできる。
一方セイレーンなだけあって歌声は綺麗で、ハチワレやうさぎが素直に褒めているほど。
そして、その歌には
植物を生やしたりその成長を異常に早めたりする不思議な力が宿っていて、攻撃や拘束に追跡、更には陸地において自身や人魚の移動手段とするなど様々な目的に活用している。
島二郎によれば、ある日突然どこからか島にやってきたらしい。
初対面で恐れをなした島民たちから味の濃く脂っこい料理を献上されるとそれを気に入って、島のはずれの洞窟をねぐらとして居着いた。
それ以降、定期的に島民から料理を提供してもらう代わりに歌で島に自然の恵みをもたらす、言ってみれば島民たちと「侵略者であり共存者でもある」という一種の共存関係を築いていった。
しかし、本作開始前に人魚の1匹がいなくなり、そしてそのうろこが集落まで続く道に落ちていたのを見て島民の誰かに食べられたと見抜く。
以来、
その復讐として島民を無差別に襲っては味噌や昆布に漬けて食べている。探しに行った者も誰一人として帰って来てはいないという……。
初登場シーンでは、お供の人魚たちと共に歌を披露してからちいかわたちを襲撃。
ただ、怪異ではあるが普通に言葉を話す上にちいかわたちとの意思疎通も可能で、上述の通り初登場シーンではちいかわたちに襲い掛かるが、
彼らが島民ではないと気付くと気を失わせた彼らを救助・介抱し、目覚めた彼らに「間違えて襲ってしまった」と弁明と謝罪をするなど、基本的には比較的温厚な性格の模様。
だが、普通にちいかわたちとも意思疎通はできるものの、価値観の違いからかどことなく噛み合わない会話になりがち。
おまけに、暗闇で赤く目を光らせ襲ってきたり、歌声で植物を意のままに操って敵対者を拘束したりするなど、怪異としての一面もしっかりと併せ持っている。
その後、ちいかわたちは島民とセイレーンの間を取り持とうとするが、モモンガのやらかしが原因となって完全に敵対関係に。
歌で伸ばした植物のツルをもってちいかわ一行を内陸部までも追跡、ほとんどの面々を捕縛して棲み処へ連行するなど強大な力を見せ付ける。追ってくるシーンはさながらパニックホラーそのもの。
ちいかわのさすまたのトゲが刺さるなどの偶然により怯ませることも何度かできたが、効果は一瞬だけに過ぎずどれも決定打には程遠かった。
果たして、ちいかわや島民に為すすべはあるのか――!?
歌声を封じるためには、何らかの方法で口を閉ざしたり喉にダメージを与えたりする必要がある。
偶然喉にアメ玉が当たった際にはむせて歌を止めたが、その後は舌でガードするという当然の如く対策してくる賢さも併せ持つ。
だったら歌う喉を潰してしまえ、と用意された激辛カレーも、「おいしい辛み」「スパイシーで美味しい」と全くダメージになっていなかった。
だが、キャロライナリーパー入りの強化版カレーを食べさせられた時は顔を真っ赤にして泣きながらのたうち回ったので、辛さ耐性には限界がある模様。
ちなみに悶絶するセイレーンの姿に対して「なんかえっち」「新しい扉開きそう」などという声がちらほら。
そして、セイレーン側の暴れる理由を知るゆえに、ちいかわ共々そのまま倒すことを躊躇ったハチワレが「もう襲わないで」と迫ると、「わかった!」とハチワレではないとある誰かの方を見ながら応えて降参。水を求めてその場から一目散に逃げていった。
こうして島は安寧を取り戻したのだった。めでたし、めでたし……?
担当声優の鈴木氏は、オーディションでビブラートを評価されセイレーン役に選出されたという。
鈴木氏は歌が深く関わる『マクロス』シリーズの『
マクロスΔ』の
フレイア・ヴィオン役を務めた
経験を持つだけあり、抜群の歌唱力が遺憾なく発揮されている。
不気味さと美しさを併せ持つ歌声は必聴。
ちなみにセイレーンたちが遊ぶシーンでの「いけー!イカ!」は鈴木氏のアドリブだそう。
- 人魚(CV:大木咲絵子(人魚A)、七瀬彩夏(人魚B)、南雲希美(人魚C))
セイレーンに付き従う、事実上の子分か眷属のような存在。
丸まった頭と白い体、キラキラ輝く赤い鱗をまとった魚の下半身をした
人魚。
顔は作者の別作品の登場キャラである「もぐらコロッケ」に似ているが、常に口を開いていて、その上下には鋭い歯がのぞき、これはびんよよの頭くらいはたやすくかじり砕いてしまう。
頭には短い触角のようなものが2本生えている。
体格はちいかわたちマスコットと同じくらいで、セイレーンの幼生を思わせる見た目。
セイレーンと異なり人語は喋らず、歌声かセイレーンにのみ意味が通じる鳴き声を発するだけ。
またセイレーンほど陸上での行動は得意ではないため、陸地では大抵その頭にしがみついて移動する。
普段は「メインボーカル」であるセイレーンの歌に合わせてコーラスをしたり、その体に付いた虫を取ったりする役割を担っている。
そして、セイレーンに合わせてコーラスすることで、その歌声に込められた不思議な力を増幅し、射程距離を伸ばすことができるようだ。
しかし、
ノリの良い音楽を聞くとそっちにつられてしまいコーラスが成り立たなくなる、あるいはセイレーンと距離が離れすぎると効力が弱まるという
弱点がある。
劇中では2匹しか出てきていないが、セイレーン曰く
本来は3匹いたという。
また、人魚の肉を食べると
永遠の命が手に入るという言い伝えがあり、人魚の肉を食べた者は尻の部分に
何かしらの目印が現れるらしい。
そしてセイレーンは人魚殺しの犯人を捕まえたらどうするのかを考えており、「オリに入れてなんかずっと暗いとこ」…、
つまり、「犯人を身体ぴったりのサイズの檻に入れ、殆ど身動きの取れない状態にしてから暗い海の底に沈めて、「永遠の命」を味わってもらう」とラッコとの会話や犯人探し時の歌で説明している。
(結果、帰りの船では流石にモモンガも「永遠の命を手に入れても、(セイレーンに襲われて)そうされるのならかわいこぶれなくなるし……(意訳)」と独り言を口にしていた)
なお、これまでの連載でちいかわ属はストレスの高い環境に身を置き続けたらキメラ化することが示唆されており、「暗い海の底に沈められる」なんて状況もまたキメラ化を招きかねないが、セイレーンがそれを知っているのか否かは判然としない。あるいは「永遠の命」の副作用でキメラ化しないのか、はたまた「永遠の命」を得てキメラ化すると人魚になって食べられた分の「補充」となるのか……?
なお、有識者によると劇中での彼ら人魚とセイレーンの歌には和音に欠けが生じているとのこと。
また先述の「人魚の肉を食べると永遠の命が手に入る」の言い伝えから、元ネタは八百比丘尼伝説ではないかとも考察されている。
島民・モブ
読んで字のごとく。
島民たちはグレーの子たちとの区別のためか、花冠と腰蓑を着けた茶色の姿で描かれている。
グレーの子たちはレギュラーキャラクターと一緒に島に渡ったモブかわの総称。
島民たちは「報酬100倍の簡単な討伐内容」「島限定のスイーツや美味しい食べ物」と謳い文句が書かれたチラシを配布してちいかわたち一行を誘った。
そのもてなしぶりは至れり尽くせりで、上陸してきたちいかわ一行やグレーの子たちに様々な出店や屋台で美味しい料理やスイーツを提供し、宿泊施設として各々にバンガローをあてがってくれるなど歓待してくれる。
だが、実は島民にはとある目的があって……。
セイレーン曰く島民は「人魚を拐って食べた」容疑者たち。
一部の島民の家には「伝説の生き物図鑑」なる書物が所蔵されており、人魚の肉を食べて不老不死になるために誰かが人魚を襲ったという疑惑が示唆されている。
その報復としてセイレーンによって度々仲間を捕食されており、セイレーンの討伐を依頼するため、島の外のちいかわたちやグレーの子たちを魅力的な謳い文句で釣って呼び込んだのだ。
戦い慣れしていないのか、それとも臆病すぎるのか、本編ではグレーの子たちも討伐依頼に挑んでいる描写があるのに対し、
島民たちは一切戦闘に参加しようとせず、セイレーンに仲間が攫われたと聞いてもちいかわたちに武器を手渡すくらいしかしなかった。
その他、セイレーンが激辛カレーで歌を封じられ、辛さに耐えきれず悶え苦しんでいる際にも、その周りを囲んで怒号らしきものを浴びせつつも実際に攻撃しようとはしなかった。
なお、
「報酬100倍~」は人手を集めるための嘘で、前日に歓待した際の料理と、島の特産品詰め合わせ(島のしょうゆ等が入っている)というギフト品程度の報酬でセイレーン討伐の依頼をしている。
この展開に『NARUTO』の波の国編を連想した人も多いとか。
一方で島民は観光客を強引に足止めしたり討伐を無理強いするようなことはしておらず、事情を明かされて島を去ろうとした者たちは全員そのまますんなり返してもらえた様子。
最終的にはちいかわたちや島二郎の活躍により、セイレーンに拉致された島民は味噌漬けにされていた2人だけは帰ってくることができた。
残る犠牲者についても事態解決後、島民らが行方不明者として、諦めずに探し続けるという方針が決まったようだ。
髭を生やした顔と入道めいた体格に『味自慢』の前かけだけを身に着けた、人間の中年男性を思わせる姿の大柄ないきもの。
水に飛び込む時や後ろを向いた時の美しいプリケツに定評がある、みんな大好き本作の漢。
原作では
三面図で紹介されたが、映画でどのように再現されているのかは見てのお楽しみ。
一人称は「俺」。二人称は「お前(たち)」。
島では『島二郎』という、自分の名前をそのまま店名にした飲食店を営んでいる。
セイレーンたちとの戦いでハチワレたちが囚われてしまい、同行していたヒトハ・フタバも川に落ちて一人きりになったちいかわが、
心細さで泣きながら島を彷徨った末に件の店を発見し、中に入るとカツカレーを食べていた島二郎が上記のセリフを発するというシュールギャグじみた初登場を果たす。
ただ、疲れから店内で気を失ってしまったちいかわを介抱するばかりか、目を覚ました後にはカツカレーと貝汁を振る舞ってやり、
「セイレーンに攫われた友達を助けたい」という意思を聞くと、「居場所に心当たりがある」と自分から案内を買って出るというとても優しいおじさん。
また、飲食店を営むだけあり料理も上手(ちなみに、自慢の料理を食べてくれた相手には嬉しそうに「【その料理の特に自慢したい部分】が……な!」と説明する癖がある)。
ただ、島二郎の作るカツカレーは多量のスパイスが効いていて非常に辛く、口にしたちいかわはかつて鬼カレーを食べたときと同じ様に顔が真っ赤になっていた。
それでも、基本辛いものが苦手なちいかわもなんだかんだで完食できた辺り、辛いだけでなくとても美味しいカレーのようである。
なお辛さに対するケアなのか、ちいかわは食後にのむ
ヨーグルトも出してもらっていた。
ちなみに最初に案内看板を見たちいかわは以前ラーメンを食べた
郎を想起したが、店の看板や島二郎当人の発言からすると貝汁をメインかそれに準ずるものとして提供しているようだ。
島民を襲うセイレーンたちの在り方には思うところがあった様で、初対面間もないうちからちいかわに協力してくれる。
自ら加わるだけはあり、身体能力はトップクラス。
まず肺活量はすこぶる高く、長時間無呼吸で水中を泳げる。これは店で提供する貝汁のためか貝を採りに素潜りを繰り返してきたからのようで、
回想シーンでは網いっぱいの貝を背負っていた。
日頃からこうして島の色々な場所で採集をしていたことで、たまたまセイレーンたちの拠点らしきものも発見できたのだろう。
他にもちいかわとハチワレを腕に乗せてバレーボールの要領で高く跳ね上げたり、
掛け声と共に腕力で海水をうねらせて疑似的な渦潮を起こしたりと
筋力面も凄まじい。
また、セイレーンの拠点に突入した際には、ハチワレたちを助けようとした際の物音
やモモンガの大声で眠っていたセイレーンが起きそうと見るや、
波の音を模倣して聞かせたり、自身の手に付いた磯の香りを嗅がせて寝かし付けるなど、技量や機転、そして胆力にも優れている。
ちいさくもなければ鎧さんでもないので、登場当初は敵か味方か判らなかったが……
回想シーンで遠巻きにセイレーンとのやり取りを眺めていたことからもわかる通り、以前から島に住んでいたようだが、
奥地とはいえ店を開いているのに島の住民とは交流が無かったらしく、その姿を見た島民には驚かれていた。
当然セイレーンたちの行動の目的や経緯も知らず、ちいかわから聞いた話には驚きを隠せないようだった。
ハチワレたちを救出した後は、流石に目を覚ましたセイレーンたちが追ってきたことに勘付き、
ちいかわたちが無事に離脱できるよう、そして不安にさせないためか、セイレーンたちの足止めを「ついでに貝を採ってくる」という口実で買って出て単身引き返すと、
セイレーンを説得しようとしつつ水流を乱してセイレーンたちを撹乱してみせる。
そしてそれからしばらく姿を見せなくなり、どうにも
死亡フラグが立った雰囲気で引っ込んだため安否が気遣われていた。
しかし、最終決戦でセイレーンの操る木のツルに襲われそうになったちいかわたちを庇うという、これまた頼りがいのある形で参戦。
流石にセイレーンたちの足止めを無傷ですることは不可能だったのか、身体の所々に傷を負っていたが、それでも十分動ける状態であり、
セイレーンのツルを引き付けていなす役目をこなしつつ、戦い慣れしているラッコとも合流直後からスムーズに連携し、セイレーンに対する攻撃の起点作りも務める。
更に、ちいかわたちと島民が力を合わせて作った強化版島二郎カレー(激辛)をセイレーンに食べさせて歌を封じるという作戦が、
ちいかわたちにとっては激辛でも、セイレーンにとっては「スパイシーで美味しい」程度だったために失敗しそうになると、
奥の手としてエプロンの隠しポケットに忍ばせていた「粉末状のキャロライナリーパー」を提供。
これを混ぜた強化版島二郎カレーを食べさせることによって、ようやくセイレーンに有効打を与えることに成功した。
ちなみによくよく見ると、セイレーンに対しては一切直接攻撃を加えてはいない。
全ての戦いが終わった後、島の住民たちにもその存在を受け入れられた。キャンプファイヤーでの合唱シーンでは島二郎の声とすぐ判る歌声が聞ける。
島を去るちいかわたちを島民たちが見送るシーンにも登場し、彼らとの別れを惜しみつつ、自身の特製カレーと貝汁のレシピを渡す太っ腹ぶりを見せた。
どのようなバックボーンを持ちどこから来て何故あの辺鄙な場所に店を構えたのかなど、その正体に関しては結局全く分からずじまいだったが、
一部ではセイレーンの来るより以前にこの島を守っていた、いわゆる
土地神様の一種なのではないか、という説が有力視されている。
ちいかわたちにとっては、
ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って、どうにもならないそんな時に助けてくれた、救いの神に等しい存在であることには違いないだろう。
別れの時に流れる『島のうた(島二郎バージョン)』の歌詞は、彼の自慢の貝汁やカツカレーに侵食されているが、
それは偽りの神であるセイレーンを追い出し、本来の神様である島二郎が治める、島の本来の姿を取り戻した証なのかもしれない……な!
島編のみのゲストキャラながら、
その溢れ出る男気や理由無き善性に加え、
盤面をひっくり返す数々の有能ムーブもあってか、
『ちいかわ』全体でもトップクラスの人気を博しており、
ビジュアルはおしり丸出しのヒゲでぽっちゃりの中年おじさんにも関わらず、夢女子まで現れるほど。
作者インタビューによれば、最上氏をキャスティングした決め手は「日本酒舐郎」の名義でXアカウントを運用していることだったといい、本人は感激のコメントを寄せている。
ちなみに本作公開に伴い、公式グッズとして島二郎のエプロンも販売されている。
エプロンの隠しポケットもしっかり再現されており、「味自慢」の〝味〟の「くちへん」部分にポケットが仕込まれている本格仕様。
ガタイのよい成人男性であれば島二郎コスプレも夢ではない。なんなら実際にもうしている人もいるらしい。
鳩のような外見の白い鳥。
ちいかわたちを誘うチラシをまいた張本人、もとい張本鳥。
何故かピースサインもできる。
実は本来の飼い主は島二郎。しかし島民と終盤まで交流が無かったのにチラシをまくのを引き受けた経緯は謎。
- ヒトハ(CV:寺澤百花)
- フタバ(CV:鈴代紗弓)
葉っぱが頭に1枚付いた子と2枚生えた子の2人組。果物(みかん?)のマスコットだろうか。
とても仲が良く熱い友情で結ばれていて、いつも2人一緒にいる。回想シーンを見るにどうやらヒトハは慎重派だが思い詰めると大胆で、フタバは楽観的な性格のようだ。
ファンからは長らく「一葉/二葉(葉っぱ、双葉)」といった非公式の通称で呼ばれていたが、映画化にあたり「ヒトハ」「フタバ」と公式に設定された。
ネームドキャラではあるが所謂「モブ顔」で、ちいかわたちのような目・鼻・口は描かれておらず身体は他の島民同様日焼けしたような茶色。
だが、他の島民とは違い、腰蓑ではなく首から下をすっぽり隠す蓑を身に着けている他、耳やツノなどが一切存在しないという形で容姿が明確に差別化されている。
船酔いしたちいかわに飲ませようとしたハチワレが、偶然近くにいたヒトハたちに「タンサン」を所望したのをきっかけに、
メイン3人を島の宿泊場所まで案内したり、彼らに誘われ一緒にUNOを遊んだりして交流を深めていく。
その後もセイレーンの討伐に向かうことになったちいかわたちに同行し、激辛カレー作戦にも材料を提供する。
ただ、ちいかわたちと行動中に出くわしたセイレーンから「人魚を食べた犯人」と勘違いされた際に2人揃って激しく動揺する、
ヒトハの家には「人魚の肉を食べると永遠の命が手に入る」と記述された本や赤いうろこがあるなど、不審な点も見え隠れする。
そして迎えた最終決戦では、暴れ回るセイレーンの尻尾が直撃しかけたちいかわたちをフタバが咄嗟に庇い、彼らの代わりに尻尾の直撃を受けたフタバは吹っ飛ばされて重傷を負う。
するとその際に身体から何かが飛び出したフタバは、「タン……サン……」と言ったきり意識を失ってしまうが……。
翌日も意識が戻らないフタバを心配し、ヒトハと共に看ていたちいかわたち。
身体にいい木の実などを持ってきた島二郎たちにその場にいた全員の注目が集まったその時、ちいかわはある光景を目撃してしまう。
それは、「他のみんなが自分たちから視線を外した瞬間、ヒトハが素早くフタバの尻にある電池ボックスに単三電池を入れる光景」であった。
本来なら生き物にあるはずのない電池ボックス。それこそが、セイレーンが語る「人魚を食べた証」だった――。
そう、この2人こそが姿を消した3匹目の人魚を襲ってその肉を食べた、セイレーンが言うところの「犯人」。
ちいかわたちが島を訪れるきっかけにもなった、セイレーンと人魚による島民襲撃を含む一連の事態の元凶ともいえる者たちであった。
唯一真相を知ってしまったちいかわは、セイレーン撃退成功でお祭りムードの中、自らが知った2人の罪を明らかにするかどうかの重要な選択を迫られる……。
ただ、2人が人魚の肉を食べ、「永遠の命」を得たのは、モモンガのように我欲のためではなかった。
一応は島民たちと友好関係にあった人魚を襲い、その肉を食べるという禁忌を彼らが犯したきっかけは、
「セイレーンの近くで釣りをしていた折、フタバが声をかけたことが切っ掛けとなり彼らの遊びに船が巻き込まれ、フタバが瀕死の重傷を負った」ことだった。
つまり、大本の原因はセイレーンと人魚側にあったことになるが、そもそも彼らが遊びにヒトハたちを巻き込んだのはフタバが声をかけたせい。
とはいっても、セイレーンは気付いておらず、声が聞こえた人魚がその方向にイカを投げ、取りに行ったセイレーンがぶつかったという流れだった。
さらにセイレーンは身体の大きさ故か、船にぶつかって転覆させたこともはっきりとは認識していなかった(「何かにぶつかったかも?」程度の)ため、
当然このことに関する罪悪感を抱くどころかヒトハたちが近くにいたと気付いてもいなかったので、ひいては彼らが後の「犯人」である可能性にも思い至らなかったというわけ。
なんとか陸地に流れ着いたヒトハは、身動きも取れないフタバを担いで家に戻るが、その命は見るからに尽きかけていた。
大切な友人が死にかけて苦しんでいる姿を看ているうちに、自分たちをこんな目に遭わせたセイレーンたちへの憎悪を募らせたヒトハは、
図鑑にあった記述を頼りにフタバを助けるため、その原因であるセイレーンたちへの報復のため、とうとう一線を超える決意をする……。
かくしてセイレーンと人魚がねぐらにしているところに忍び込んだヒトハは、まずセイレーンと共に眠っていた人魚の1匹を投石で起こす。
そして、あらかじめ地面に撒いておいた
しるこサンドでもって誘き寄せ、人魚がそれを食べている隙に背後から忍び寄ると、意を決して
撲殺した。
といっても、直接その場面、及び遺体が描かれているわけではなく、原作でも映画でもそれを示唆するSE(擬音)のみになっているが、
原作では「ボカ。」という字面だけでは軽く殴ったくらいの描写でも使われる擬音だった(ただ、「ボカ」の後の「。」が命の終わりを示しているようで恐ろしいとの声も)のに対し、
映画でのSEはこの作品のそういったシーンのようで、さらにBGMも消えるため、生々しい殴打音そして人魚が地面に倒れ伏したときのそれと思しき音だけが鳴り響くという空恐ろしい描写に……。
映倫「人間じゃないので(全年齢で)ヨシ!」我々「何を見て(全年齢で)ヨシって言ったんですか?」
こうして人魚の肉を手に入れたヒトハは、家まで運び込んだそれを煮付けにし、息も絶え絶えのフタバに食べさせた。
その瞬間、今の今まで死にかけていたフタバは何事も無かったように起き上がり、蘇生は成功。
しかし、フタバは自分の回復を喜ぶヒトハの後ろにあった、開かれた図鑑の「人魚」の項を見て事の真実に気付くや、
何も分からない自分に人魚の肉を食わせて望まぬ「永遠の命」を与えたヒトハの行動に激昂した、
あるいはいずれヒトハも死んだ世界で自分だけが永遠の時を生きる孤独を恐れたフタバは、ヒトハの手から煮付けを取り上げると、それを食べるように迫る。
ヒトハは一旦はたじろぎ、拒否するような仕草を取るが、フタバはそれを許さず、そしてついにヒトハは自らも煮付けを口にした。
こうして、人魚の肉を口にした2人は、揃って永遠の命を手に入れることになったのだ。
だがほどなくして2人は体の異変に気が付き……(後述)。
……ちなみに、一刻を争うにも関わらず、何故ヒトハが人魚の肉をそのまま刺身などとして食べさせず、わざわざ「煮付け」にしたのかという点については、
「そのままでは(まるで生魚のように)臭みなどがあって食べられたものではないと思ったから」等の食べやすさに関する都合という考察もあれば、
「もしも図鑑の記述が嘘だった場合、フタバにとって最期の晩餐となるからせめて美味しく作ろうとした」という、ヒトハの優しさと怖さが両立する考察も。
経緯を辿ると人魚殺し、及び人魚喰いの主犯はヒトハで、フタバは二重の意味でも完全な被害者側である。
ただ、ヒトハが凶行に走った理由は「瀕死の友人を助けたい」という善意からであり、「永遠の命がほしい」等の利己的な悪意に基づくものではなかった。
まさしく(特にフタバにとって)「地獄への道は善意で舗装されている」を体現しているような経緯であった。動機が善意故に余計に性質が悪い典型
もっとも、最初の事故については不用意にセイレーンたちに声をかけたフタバが原因の一つで、彼らに怯えていたヒトハは完全に巻き込まれた形ともいえるが……。
ただ、2人が手にした「永遠の命」とはホラーファンタジーなどでよく見る「何百年経とうとも老いず、何をされても死なない身体」などの夢みたいな代物ではなかった。
劇中ではかなりの高さから水に落とされたのにピンピンしている、素潜りを得意とする島二郎並の肺活量があるなど、身体が丈夫そうな描写もあるが、
その実態は「人魚を食べると身体にできる電池ボックスに単三電池を入れている限りは動けるが、外れれば僅かな猶予の後に機能停止する」という、おもちゃ……もといアンドロイドじみた身体であった。
物語序盤、ハチワレからの「タンサン」所望に動揺した様子を見せたのは、「炭酸(飲料)」だと咄嗟に分からなかったのではなく「単三(電池)」と聞き間違えたからだったのだ。
さらにフタバが想像していたように、「永遠」という枕詞から「電池が外れなければそれだけでずっと活動できる身体」と思いきや、
前述のシーンでヒトハがフタバの電池ボックスに入れた電池が、攻撃された際に飛び出したものを密かに回収していたのではなく、別の新しいものだったならば、
「活動し続けるには定期的に電池を取り換えなければならない(=『電池切れ』が存在する)」特性を持っている可能性もあり、
「永遠の命」というにはあまりにも安っぽいその仕組みは、人魚を殺してその肉を喰らうという悍ましい対価に見合ったものとはとても思えない。
……「死にたいと思った時に自らの意思で活動停止(死に近い眠り)を選べる」と考えると、ある意味慈悲がある仕組みと言えるかもしれないが。
なお、セイレーンの言葉から察するに「身体に電池ボックスができる」のは人魚の肉を食べた者に現れる共通の現象のようだが、身体のどこに生成されるのかはランダムだと思われる。
ランダムだとすれば、「1人で電池交換するのが困難な場所」に2人揃って電池ボックスができているというのも、経緯や2人の置かれた立場を思えばあまりにも皮肉である。
一時の過ちから二度と引き返せない道に足を踏み入れてしまった2人は、
絶望のあまり
涙を流しながら笑い合う。
そして少し落ち着いた後に、このことを2人だけの永遠の秘密とすべく、震える手で指切りし、約束をするのだった……。
しかし、人魚の死を知って怒り狂ったセイレーンは、犯人を焙り出すために島民を少しずつ襲い始めた。
セイレーンの凶行により、2人は何も知らない他の島民たちを危険に晒す元凶になってしまったが、それを名乗り出る勇気は持てなかったようで、
本件にまつわる事実を2人だけが共有する秘密とし、人魚殺しの罪を危険に晒される他の島民たちへの罪悪感ごと抱え込むことを決める。
だが、暴れるセイレーンからちいかわたちを庇ってフタバが吹き飛ばされた際に、尻から単三電池が外れる場面を目撃されてしまう。
島から去る直前、セイレーンが必死に繰り返していた「わかった!」は、ハチワレの訴えを聞き入れての返事ではなく「人魚殺しの犯人が判った」という意味合いだと察したヒトハらは、
セイレーンから追い続けられることも悟り、もうこれ以上島民たちに迷惑は掛けられないとして、人知れず島を出ていくことを決意し、こっそり去っていった。
2人の真相を察したちいかわも、意を決して話しかけに行ったヒトハとフタバが震えながら手を握り合っている姿にその内心を察してか口をつぐみ、
その場のただならぬ様子を感じてか近付いて声をかけてきたハチワレや他の仲間たちはもちろん、島民にも何も話さず、島から帰ることを決めたのだった。
エンディングでは他の無人島へ2人で逃げ出して、新天地での生活を始めようとしていた。
……と、思いきや最後の最後で……。
そんな2人の末路は単行本8巻で示唆されている。いつまでも、ね。
なお、このネタバレ防止の記述の題名はヒトハとフタバのぬいぐるみの宣伝コピーから一部拝借したが、その続きはというと「永遠にふたりぼっちのマスコット」……。
用語
本作の舞台で、読んで字のごとくいかにも南国らしい雰囲気の島。固有名は不明。
だが、しるこサンドが唐突に出てくるので製造元のある愛知県説を唱えるファンもいる。
大きな船で行き来していることから、ちいかわたちの住まいとは大海を隔てて遠くに位置すると思われる。
それなりの数のちいかわ族が定住していて、日照時間が長いからか島民はみな日焼けしたような褐色がかった体に蓑を身に着けている。またヒトハとフタバ以外の大多数は花冠を被っている。
大人数が集まれる広場や綺麗なバンガローなど設備も充実しているし、自然豊かで夜には満点の星空が美しい。加えてセイレーンの恵みのおかげで作物の育ちも良いようで、様々な美味しい食事を無料で出す屋台がてんこ盛りに立ち並び、訪れた者をもてなしてくれる。こんな楽園のようなところ、叶うことなら一度は行ってみたいものである(棒)。
ちなみにおススメメニューは、『島のうた』によればたこ焼き、すき焼き、ケバブ、てりてりソースの焼きそばなどだそうだ。
……ん?
武器を持って来なかったうさぎに島民から渡された武器(?)。ヒトハとフタバだけでなく多数のモブ島民たちが持っているので、島では広く用いられているようだ。
点2つの目にWの字型のギザギザ口というゆるキャラを思わせる簡素な顔が描かれている白い頭と、木の棒がコイルで繋がれており、射出するとその名の通りのSEがする。なお頭は脆い。
一見何の役にも立たなさそうな代物だったが、意外な活躍を度々見せる。
ヒトハが人魚を撲殺するのに使った凶器もこれ。実は先端部を遠心力で振り回すのが正しい使い方なのかもしれない……。
ちなみに現実世界では、体験型施設「ちいかわパーク」で所定の金額以上グッズを購入するとノベルティとして貰える。
同名の実在するお菓子で、愛知県小牧市にある松永製菓が製造販売している。
北海道産の小豆を使った餡を練り固めたものを塩味のビスケットで挟んだ、中部地方では定番のお味。現在は一応全国で流通しており、スーパーで売っていない場合でもダイソーなど大手
100円ショップのお菓子コーナーで売っていることが多い。
サクサク美味しいが、
まとめて食べると口がバフバフする。そのため
お茶や牛乳など飲み物と一緒に味わうのが基本。
余談
パンフレット
描き下ろし漫画ほか、本作の真相と核心についての
ネタバレを含むので、気になる人は見終えてから買う・読むのを推奨する。
ちなみに裏表紙には
人魚のうろこがあしらわれるとともに、水しぶきを思わせる加工が施されている。
後者をスマホのAI機能とかで赤く染めてはいけません、あくまで水しぶきですから……ね!
オープニング
作者インタビューによると、地上波のレギュラー放送枠にはオープニングが無いが、もしあったらという想定で本作のオープニングを作ったとのこと。映画におけるキーキャラクターであるセイレーンや島二郎が登場しないのもそのためか。
ちなみにアニメ43話の場面も使われており、
呼び込み君が一瞬だけ登場している。
カウントダウン
7月17日から公開日となる7月24日まで、公式Xにてカウントダウンイラストが投稿された。
……が、3日目までは島民たちと同じ腰蓑を身に着けた島二郎がモモンガたちと同じポーズを取るという物だったが、4日目では島二郎までもセイレーンに囚われるという展開に。
そして、公開1日前では船の上でちいかわ……と、かつてのパラレルワールド内での姿と同様にキメラ化したハチワレが映るという衝撃的な内容のもので締めくくられた。
これらの点から「既に島二郎が島民に受け入れられている」「島二郎がいつものエプロンではなくポケットの無い腰蓑を着ていたのでキャロライナリーパーを出せずにセイレーンに敗北してしまった」「ハチワレがキメラ化することで騒動を解決した」ifルートを描いているのでは?と考察する声もある。
心がナガノなコラボあれこれ
本作とのタイアップ商品やコラボカフェももちろん多数展開されている。
その中でも一番反響を呼んだのはやはり煮付けだろう。
まず、セブンイレブンのものについては、レギュラー商品として販売されている赤魚の煮付けのパッケージに『ちいかわ』のキャラをただプリントしただけではなく、
コラボ品でない本来のものは形が違うところ、コラボ品は作中の切り身と同じ形に揃えるこだわりぶり(なお、通常商品とコラボ商品とではアレルゲンが一部異なるので注意)。
オマケに、煮付けの隣に単3乾電池を陳列し「たんさんが必要になる」「ご一緒に如何ですか?」などと札を付けるという心がナガノ過ぎる所業を働く店の目撃談も。
何が恐ろしいって、複数報告が上がっていること。しかもセブン以外のコラボ品を出していない企業の店舗でも似たような陳列の目撃情報がある。
また、コラボカフェのメニューとしても提供されているが、その名称は「一緒に食べよう!人魚の煮付け」。つまり誘い文句も含めて商品名というわけ。ちなみに人魚のうろこ(を模した味変用の一味味のゼリー)も付属してございます。
本作が話題になってからは、ミリしらのSNSユーザーが「話題だから観に行く」と呟くと、「コラボ商品食べてからの方がいいよ!」という悪魔の囁き返信が付くのも恒例行事と化した。
佐藤日向さん(ミリしら):「食べてから(観に)行った方がいいですか?」
小澤亜李さん(うさぎ役):「食べてから観に行ってください」
商船三井が運航する長距離
フェリー「さんふらわあ号」とのコラボでは船体にキャラクターが描かれるなどしたが、
その一体がよりによってセイレーン。
「伝承上のセイレーンは、船乗りを歌声で惑わせ航海を妨害するとされる怪物なのに、船のペイントって大丈夫?」
と思われた方も多いかもしれない。
しかし、
毒を以て毒を制すという言葉のように、船の魔除けとしてセイレーンをモチーフにした船首像はそれなりに一般的なものだったので、この装飾にも問題は無いと言っていいだろう。ガーゴイルとか鬼瓦を装飾に使うのと同じ。
原作及び本作でも
撒き餌として使われてしまったしるこサンドは、以前は生産中止が検討される程売り上げが低迷していた。
しかし、原作の方に登場した途端
一日で一月分の注文が殺到し自社サーバーがパンクする事態に陥る程爆発的に売り上げが増加し続け、更にはXのトレンド入りどころかTVニュースにまで取り上げられ、工場と本社ビルも数十年ぶりに新設……と、今では
全国区のお菓子に返り咲く程の大ブレイクを果たした。が、上述の通り理由が理由なので当時の松永製菓側としては
複雑な思いだったそうな。
しかし後に映画化を記念し
満を持してコラボパッケージ製品が数量限定で販売された辺り、
どうやら今となっては完全に開き直って乗っかることを決めたようだ。
なお本作が公開された2026年は、奇しくもしるこサンドの発売60周年記念イヤーでもある。
- バンダイ「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ ウエハース」
公開年の7月27日に、バンダイより発売されたウエハース。
メインの8体はもちろん、セイレーン、人魚、島二郎、ヒトハ&フタバなど映画の登場キャラクターもラインナップされており、ノーマル16種・レアカード4種・ハイパーレアカード1種・シークレット1種の合計22種類で発売。
売り切れの店も続出しているため、気になる方は見かけたら是非購入を勧める。
煮付けがこのウエハースのシークレット。
本作について知らない人は頭を抱えて「何故にこれがシークレット?」となる一方、本作について知っている人を戦慄させたのは言うまでもなく、真実を知る時を楽しみにしていたとか……。心ナガノか?
特に本作について知らなかった→本作を視聴した人は戦々恐々としたようだ。
名前繋がりで
ベネッセが展開する通信教育「こどもちゃれんじ」のマスコットで島二郎と同じ響きの名を持つしまじろうは、Xの公式アカウントにおいてカレーを食べる様子の画像を本作公開日に投稿している。件のポストでは本作について一切触れていないが、ニヤリとした人もいただろう。
各方面からの反応
公開直後から一般ユーザーや著名人に至るまで、多くの人々が本作への反応を色々な形で示している。
例えば推理小説家の湊かなえ氏は、代表作『
告白』のように読後に嫌な気持ちになる
ミステリー(通称「イヤミス」)の女王として知られるが、「本作はまるで湊かなえの作品」との声を受け自身も鑑賞し、件の感想に納得したとの旨をインスタグラムに投稿した。
また、『
忍者と極道』の作者・近藤信輔先生はあの画風でセイレーンVS島二郎のバトルを描いたファンアートを発表している。
「人魚臓物……摂食してエエのか!?」
その他、大学教授らも自身の専門分野の知見をもとにした考察をインターネットに投稿し反響を呼んだ。
ちなみにその一人にいわく『ちいかわたちは「和平仲介者」ではなく外部武装介入者である』らしい。
今日の日はさようなら
先述のように挿入歌の一つとしてハチワレが歌う『今日の日はさようなら』があるが、本作の内容が内容なだけに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で同曲にトラウマを刻みつけられた一部の層は案の定それを抉り返され、虚無と絶望に打ちひしがれる人が続出した。
創作界隈への余波
葉っぱの2人組に関する顛末……つまり「瀕死の片割れを救うためにもう一方が道を踏み外し、命と引き換えに望んでいない力と業を背負わされた片割れがもう一方にも同じものを背負わせ、それでも一緒に居る」という状況が一部の人々の琴線に触れたらしく、「煮付けシチュ(または煮付けBL)」という呼称で徐々にジャンル化しつつあるとかないとか。
次回作!?の構想
作者インタビューによれば、通称『ゴブリン地下監獄編』に登場した「オデ」と島二郎の取っ組み合いがアイディアとしてあるらしい。
追記・修正は、美味しい話に釣られてもいつまでも胸に何かを秘め、永遠を誓ってからお願いします。
最終更新:2026年08月26日 16:42