オグリッシュ先生作品

通勤の帰り。いつもの駅を降りる。
駅のすぐそばにはコンビニがあり、そこに立ち寄るのが日課になっている。
そのコンビニのすぐそばに、黒猫がいるのは知っていた。餌付けをされているのも。

いつものように、コンビニで買い物をして、店を出ると黒猫が餌をむさぼっていた。そしてその隣には、生後2ヶ月ほどの子猫がいて、一緒に餌を食べていた。

子猫は白がベースの黒ぶち柄。久しぶりに見た子猫は、胸に何かを燃え上がらせた。だが何の用意もない。
(何か使えるものはないか…)
近くのゴミ捨て場を見に行く。やるなら早くしなければ。餌を食べ終わる前に!

神はいた。薄汚れた巾着袋(上履きを入れるようなもの)が落ちていた。
素手ならこれで十分、急がなければ。
時間はすでに深夜に近い時間帯、電車が到着した直後でなければ、そんなに人は通らない。
子猫に後ろから忍び寄る。餌を食べることに夢中な猫2匹は私に気づかない。
巾着袋を裏返し、手を入れる。簡易手袋だ。その手で、子猫の頭を上から押さえつける。
と、同時に下顎の方まで押さえつけ、鳴くのを封じる。
子猫は、私の腕に四肢で爪を立て、必死で逃れようとするが、巾着で守られている腕にダメージはない。
黒猫は、速攻で逃げてしまった。5メートル先でこっちを見ている。
黒猫を尻目に、子猫をつかんだまま、手早く巾着を元に戻していく。そして口を閉じ、紐を堅く縛った。

ツいている!運良く子猫に出会い、運良く巾着袋を発見でき、運良く子猫を捕獲できた。
今日は神に感謝をし、この子猫を捧げよう。

通勤用の自転車に飛び乗り、走らせながら場所を思案する。
そして、着いたのは田んぼの脇にある幅広い用水路脇のあぜ道。周りにはススキも生い茂っていて、程良く姿も隠れる。

「ミャア~~…」子猫がか細い声を上げる。
不安そうだ、当たり前だろう。だがそんな不安もすぐに吹き飛ぶさ。
恐怖と痛みと絶望で。

手探りで、巾着の中の子猫の後ろ足を探り出す。それを足でうまいこと踏み押さえる。
「ミャミャ」子猫が声を上げた次の瞬間、足を思い切り踏みつけ、グリグリと地面にコジる。
「ミ゛ギャ~~~!!!」子猫の絶叫があがる。だが、用水路の水の音でさほど気にならない。
続けて、同じ側の前足も同じように踏み折る。
「○※◇←△%ニャ~」なんと叫んでいるのか分からない絶叫があがる。

(袋から出すか)
巾着の紐をほどき、逆さにして袋を振ると、子猫がボテッと落ちてきた。片側の足が折れている子猫は身動きが取れずにいる。

子猫は片目をつぶり、開いた方の目で、私の方を見ている。目には明らかに恐怖の色が浮かんでいる。
短めの尻尾を踏みつけると、口を開き声にならない声を上げる。
その開けた口に手頃な石を入れ、口を閉じられなくする。引っかかれないように無事な足を巾着に手を入れて押さえ、尻尾を踏みつけていた足を、下顎に引っかける。と同時に、体重をかけ踏み抜いた。

メリッ!と言う感触とともに、顎が外れた。全身を使った華麗なブレイクダンスを披露してくれた。

だが、これが誤算だった。
無事だった方の足を、押さえていた手を離してしまったのだ。
子猫は全身でブレイクダンスを披露しながら、用水路の方へ転がっていった。そしてそのまま、用水路の中へ落下していった。

用水路は幅3メートル。水位もありそうだった。道具がなにもない今の状態では、子猫を見守るしかなかった。

子猫は、無事な足をバタつかせ、必死で顔を水面上に出そうとするが、片側の足二本と、顎が外れた状態では、長くは続かなかった。20秒もすると動きを止め、いったん沈み浮かび上がってきた。
そして水面を漂う、ゴミとなった…

次の日の夜、コンビニの近くには黒猫が、ポツンと佇んでいた。
(おまえの子猫は帰ってこないよ)
一言声をかけ、立ち去る脇を餌ヤリが猫缶をもって黒猫に近づいていった。
餌にむさぼりついている黒猫が横目に見えた。畜生なんてそんなもんか…

(つд`)ナンダユメカ…
最終更新:2010年01月28日 15:25