vag先生8

435 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/01/27(火) 21:17:43 ID:VsoxJJDp0
430-432のつづき

眼下の風景の広大さと異様さに圧倒されて、彼女は呆然としました。
冷気をはらんだ嫌な風が吹いてきて、彼女の柔らかな体毛は不快感でゾワゾワと逆立ちました。
一刻も早くこの場所から立ち去りたいと、彼女は本能的に感じていました。

が、気持ちとは裏腹に、彼女は暗がりに蠢く動物たちを凝視せずにいられませんでした。
だんだん意識が朦朧としてきて、フラフラと崖に向かって足を踏み出していました。
淵に近づくほどに、忌わしい冷気がまとわりつき、動物たちの獣臭い吐息のニオイが鼻に迫りました。
静まり返っていたと思われた地平は動物たちの苛立ちに満ち満ちていて、
気圧された彼女は、得体の知れない罪悪感に襲われて身体がブルブル震えました。

いつの間にか彼女は、冷たく穢れた湿地を歩いていました。
血と腐敗の匂いがムッと鼻をつきました。


436 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/01/27(火) 21:18:52 ID:VsoxJJDp0
崖の下です。

遠目には分かりませんでしたが、多くの動物たちは深い傷で血まみれでした。
首がパックリと切り裂かれていて、呼吸するたびにヒューヒューと気味の悪い音が漏れていました。
お腹が切り裂かれていて、胃や腸がだらしなく垂れて腐敗していました。
眼は光を失っていて、死んだ者のように濁っていました。
口からは泡のように白濁した唾液が垂れ下がって饐えたニオイを放っていました。

死んでいるのと変わらないのに、彼らはそこに立っていました。
無意味に行ったり来たりし、延々と首を左右に揺らし、別の子に激しく突進し、
自身の腹を噛んで血が噴いても止めず、また尻尾を噛みすぎて食いちぎり、
行える自虐の限りを尽くしながら、それでも意識は途切れずそこに立ち尽くしていました。


437 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/01/27(火) 21:19:59 ID:VsoxJJDp0
彼女は、薄れた意識の中で動物たちの自虐の理由を感じました。

彼らは、あの輝く橋を渡って幸せになるよう祈られて素直にやってきたものの、
それきり誰も迎えに来ることなく、永遠に忘れ去られてしまった動物たちでした。

橋のほとりで待っていても、誰も迎えになんて来ません。
そこで待っていることすら忘れているのに、誰が迎えにくるものでしょう?
忘れ去られたことに気付くと、明る過ぎる日差しが苦痛に感じられるようになりました。
光を逃れるように、より安らぐ方に進み、この夕暮れ地区にたどり着いたのです。

凍てつく風と、湿って穢れた土地は、彼らに痛みを齎しました。
でも、痛みを得ることでしか彼らは自分が自分であることを実感出来ませんでした。
産まれ、生き、死に、死後の在り様まで、全て決められ翻弄されてきた身には、自虐と自傷だけが唯一の自由なのでした。


439 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/01/30(金) 09:20:21 ID:Tz+rjVB70
えー、お話の途中ですがご報告させて下さい。

64のつづき

昨夜、かねて目をつけていた廃マンションからやや離れた場所で、
白茶黒の古典的三毛猫ちゃんの捕獲に成功しました!パチパチパチ

罠を仕掛けてから、僅か3日の顛末でした。
恐らく餌やりババアのおかげで人間に馴れていたんでしょうね。

身体は、成猫まであと1、2歩といった感じのあどけなさが残ってます。
先週くらいまで発情してギャーギャー騒ぐ鳴き声が聞こえていたので、もしかするとこの個体かも知れません。
だとしたら、いきなり受胎済みの親子丼ゲットかもです。

また報告します。


440 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/01/30(金) 10:12:44 ID:Tz+rjVB70
続報です。

体重:2,860g
首輪:なし
ツメの手入れ跡:なし
歯は、おそらく永久歯と思われる歯がキレイに生え揃っている
お腹に手術跡は「ありません」。やたっ☆
毛ヅヤは悪くなく、特に痩せてもいないので、栄養状態は悪くなかった模様
アゴの下に毛の脱落あり
乳首がやや膨らんでいる感じ

以上を以て、推定生後5~7ヶ月程度と推定しました。
もう朝から妄想が広がって仕方ありませんw


441 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/01/30(金) 10:21:55 ID:Tz+rjVB70
くー、今日は「祝福のカンパネラ」の発売日でもあるんですよねっ。
猫ちゃんも構いたいし、ゲームもしたいし、迷いますぅぅぅw

399 幸福氏
良かったら、今回の三毛ちゃんに可愛い名前をつけてあげて下さいっ。


あー、舞い上がってますー。

453 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/02/11(水) 11:07:48 ID:QiuGQv+x0
捕獲した猫は、先週私が目を離している隙をついて、脱走してしまいました。残念です。
が、共に数日過ごしていろいろ勉強させて貰えたので、
その子をモデルに、マサノちゃん(仮)として作中に登場してもらおうかと思います。

443
ありがとうございます。

444-445
そんなわけで、いま手元にはいません。

446-448
鋭意妄想中です。

451-452
それが愛ですよ。


460 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/02/15(日) 05:48:48 ID:9T5HyXah0
458
ウジウジした黒ムツはいけません。
黒ムツはいつでも、爽やかな笑顔で、愛くるしく前向きであるべきと思います。


466 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/02/19(木) 21:43:03 ID:92VvTd580
こういうの好きだなあ。


炭酸ガスが送り込まれ、約20秒で犬たちは意識を失い始め、
約50秒後、最後の秋田犬が天を仰ぐように首を持ち上げて、倒れ込んだ。

別室では、あの母犬と子犬たちが麻酔注射による処置を受けていた。
成犬は通常、ガスで処分されるが、最期は母子でとの職員の精いっぱいのやさしさだった。
導入麻酔で意識がもうろうとした母犬を職員がやさしくなでる。
親子を隔てていた壁を取り去ると、母犬はふらふらしながら子犬たちに寄り添い、
2度目の麻酔で母子は眠るように逝った。


504 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/08(日) 16:27:12 ID:I4QapWTP0
こんにちは。
第2章の準備編として、その後の経過を「創作ノート」を見ながら簡単にまとめておこうと思います。

短編ですし、第1章の頃よりゆっくり書き進めていきますので、予めご了承ください。


505 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/08(日) 16:27:46 ID:I4QapWTP0
★★ 第1.9章 ★★(>>394-395のつづき)

ニャオーン、ニャオーン、ニャオーンと、M1は鳴き続けました。
朝も夜も2匹一緒に過ごした、窓際で、廊下で。

いくら呼んでも帰ってきやしないのに。
ネコってやつは、まったくどこまでも頭が悪くてムカつきます。

私がベッドに入っても、聞こえよがしに物悲しく鳴くので、いい加減うんざりしました。
仕方なく、半ガレージにブチ込んでおいたQ1ちゃんを持ってきて、M1にあてがいました。
特に仲が良いわけではなかったペアなので、一緒にしてもすぐには打ち解けません。
が、ひとまずM1の孤独感が紛れてくれればOKでした。

よそよそしく互いを認めた2匹は、少しずつ接近し、ニオイを嗅ぎ合い、ゆっくりと親密になっていきました。


506 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/08(日) 16:28:47 ID:I4QapWTP0
Q1ちゃんはいまいち発育の悪い子でした。
まあ、乳離れして間もない頃に私の手に落ちて以来、強制給餌と断食を交互に繰り返したり、
根性入魂棒や金槌でボコボコ叩きまくったりしたので、ある程度まともに育たなくても不思議はないです。

最も成長の著しい時期をたった1匹で、暗闇に置かれたケージで過ごしたためか、
Q1ちゃんはちょっとしたことで興奮するネコに育ってしまいました。

人間が大嫌いwで、私の姿を見るとトイレの隅っこにササッと寄って小さく丸まり警戒します。
その首根っこを掴もうものなら、まだ何もしていないうちから「ギャー!ギャー!」と騒ぎます。
やかましいのにカチンときてアタマを叩くと、それで更に騒ぎ、暴れます。

Q1ちゃんに関わると、毎回必ずというくらいお祭りが始まってしまいます。
今回はまず「空中タバスコ祭り」の時のことについてお話しましょう。


515 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/18(水) 12:15:09 ID:xHXkCaSD0
505-506のつづき

あの時、私は内職に疲れてうたた寝をしていました。
外は小春日和の好天で、少しだけ開けておいた窓の隙間からいいそよ風が流れてきていました。
南向きの窓辺で作業をしているだけで、ウトウトしてしまいました。

ハッと意識が戻った瞬間、ビリっ!ビリビリっ!と紙が破れる音が聞こえました。
私は「またか…」と溜息をこぼしました。

廊下に出ると、2匹の猫がダッと逃げ出しました。
私が何のために現れたか、彼らはよく分かっているのです。
見ると、彼らの逃げた跡にはビリビリに引き裂かれた、近所のディスカウントストアのチラシの切れ端が散らばっていました。
郵便受けに入っていたチラシをうっかり置き忘れてしまったのでした。
ちょっと珍しいものがあると、彼らはすぐに襲い掛かります。


516 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/18(水) 12:16:10 ID:xHXkCaSD0
私は、やれやれ…とチラシをかき集めました。

F1ちゃんの死以来、猫たちの所業には随分と寛大になりました。
カッとなって手足が出そうになると、ドロッと濁った目で虚空を睨むF1ちゃんの死に顔が脳裏をよぎるのです。

疲れを覚えながらチラシを集めていると、M1がおそるおそる私の傍に戻ってきました。
M1は私の攻撃性の減退に気付いていて、瞬間的に爆発しない限り、私が何もしないと高をくくっているのです。
一方のQ1ちゃんは違って、基本的に私とは距離を置くことを忘れませんでした。
メス猫は警戒心が強いのです。

ところが、この日は不幸な展開になってしまいました。
廊下をとぼとぼと歩き出した私の足元に、物陰からQ1ちゃんが飛び出してぶつかってしまったのです。
結果的にQ1ちゃんを蹴飛ばした形になり、Q1ちゃんは私に向かってハーッと威嚇を返しました。
ここでスイッチオンです。


518 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/18(水) 19:14:22 ID:xHXkCaSD0
515-516のつづき

手始めに、優しくQ1ちゃんを抱き上げてツメ切りから。
言うまでもなく、切断面から血が湧くくらい深々とカットしていきます。
このあたりの段取り、ああ自分も手馴れてきたなあ、と感慨がありますね。

続けて、ハーネスを装着。
犬のリード+胴輪を着けた姿と思っていただければ良いと思います。
リードの先端をしっかりと握り、Q1ちゃんが絶対に逃走できないようにしました。
ハーネスを装着されたところで、ただならぬ雰囲気を感じ取ったQ1ちゃんは早くも逃げ腰です。
腹を床につけた姿勢でズリズリと後ずさりしました。

ハーネスの具合を見るため、Q1ちゃんの横にしゃがみました。
緊張でペチャペチャと舌なめずりを繰り返すQ1ちゃんの頭をそっと撫で、
その緊張がまさに緩まんとする刹那を狙って、撫でていた手をギュッと握って殴りつけました。


519 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/18(水) 19:15:34 ID:xHXkCaSD0
Q1ちゃんは大慌てで床を掻き、逃走しようとしました。
しかし1mも行かずに、緩んでいたリードがピーンと張り詰め、
ハーネスがQ1ちゃんの両前脚の付け根にググッと食い込み、Q1ちゃんの動きを封じました。
ハーネス効果、素晴らしいですね。

戸惑うQ1ちゃんを横目に、私はリードを紙縒り(こより)始めました。
グリグリと撚って撚って、撚り倒して、リードは太い綱のような姿になりました。
もうこれ以上撚れない、というところでおもむろにハーネスごとQ1ちゃんを空中に吊り上げます。

するとリードの撚れが戻るに連れて、Q1ちゃんは為すすべも無くグルグルと回転しました。
限界まで撚ったので、回転はどんどん速くなる一方です。
Q1ちゃんは回転を止めようと片方の前脚を前にさし伸ばしますが、
歌舞伎役者が見得を切っているようで、回っているQ1ちゃんには大変申し訳ないのですが、笑ってしまいました。


520 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/19(木) 11:06:18 ID:thCUy/l00
リードの撚り(より)が解けて、惰性で逆向きに撚れた後、やっと回転は止まりました。
Q1ちゃんを床に下ろすと、目が回っているようで、頭はグラグラ、身体は腹這いでヨロヨロしていました。
面白いので、再びリードをグリグリと撚って、宙吊り回転を都合5本。
回転中に「ニャー」と鳴かれたりすると、もう大爆笑ものでした。

ヨロヨロの動きを見ていたら、久しぶりにQ1ちゃんと一杯やりたくなってきました。
焼酎があったので、Q1ちゃんの口を開けてドボドボ流し込みます。
Q1ちゃんはチビチビやるのが好きなようで、私のペースに追いつけず大量にこぼしてしまいました。
こぼれた分を体毛に浴び、焼酎の芳醇な香りが辺りを豊かに包みます。
雰囲気に後押しされたか、Q1ちゃんは下戸なりにゴクンゴクンと結構な量を飲んでくれました。

外は小春日和の暖かな日。
可愛い猫ちゃんと一緒にやる、実に良い酒宴です。


521 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/19(木) 11:07:26 ID:thCUy/l00
しこたま飲んで、すっかり出来上がってしまいました。
酔ったQ1ちゃんは眠くなったのか、フラフラとどこかへ歩いていこうとします。
ところが、千鳥足では歩行もままならず、ヘニャッと姿勢が崩れてしまいました。

ふと、何かツマミが欲しくなりました。
何か辛いものはないか、と冷蔵庫を探してみましたが見当たりません。
が、ずっと前に食べた宅配ピザに付いていたタバスコが幾つも出てきました。
魚の形のプラケースに小分けされたタバスコです。

これでいいや、と私はありったけのタバスコを持ってQ1ちゃんの元へ戻りました。
すると、Q1ちゃんの姿はありません。
おや?と探すと、近くにあった同人誌満載のダンボール箱の陰に隠れていました。
せっかくの酒宴なのに、無粋な話ですね。


523 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/20(金) 06:39:27 ID:VoNRg+4C0
518-521のつづき

まあ、どこに隠れていようとリードをグイッと引っ張れば、否応なく引きずりだせます。
ズルズルと出てきたQ1ちゃんの、納得いかなそうな表情が愛らしいです。

さて、ただタバスコをつまみにしても芸が無いので、またQ1ちゃんに回ってもらいましょう。
先ほどと同じように、リードをグリングリンに撚りきって、宙吊りにします。
Q1ちゃんは凄い勢いで回転を始め、イヤそうに口を「ニャー」の形に開きます。

その開いた口を狙って、タバスコ入りの魚型ケースをプチュっ!
勢いよく飛び出したタバスコがQ1ちゃんの顔にかかり、あたりにタバスコの酸っぱ辛い香りが漂いました。
しかし残念ながら、回転が速すぎてタバスコはQ1ちゃんの口に入らず、両目に直撃してしまいました。
Q1ちゃんは「ムャゴロッ」とよく聞き取れない鳴き声をあげ、身体をよじり、前脚で目をゴシゴシこすりました。
そのあおりで回転が一瞬衰えましたが、すぐにスピードは回復します。


524 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/20(金) 06:40:30 ID:VoNRg+4C0
目をこすってる間も、相変わらず口はパッカリ開いていたので、遊戯続行です。
高速で回転し、前脚で顔面を防御する形のQ1ちゃんの小さな口を狙うのは困難でした。
数回試してみましたが、少ししか入らなかったり、顔面を赤く染めたりするばかりで、上手くいきません。

ところが、しばらくすると回転の勢いが落ちて、動きがスローになってきました。チャンスです。
よく狙いを定めて、Q1ちゃんの口にプチュっと噴射!
成功です!魚型ケースのタバスコほぼ全部がQ1ちゃんの下の根元あたりに吸い込まれました。
同時に、Q1ちゃんは逆方向に回転を始め、次第に加速しました。
もの凄い達成感が私を襲いました。

Q1ちゃんは逆回転しながら、タバスコを吐くのと、ニャーニャー悲鳴を上げるのに大忙しでした。
タバスコと一緒に、ブクブクに白濁した粘度の高い泡も吐きました。

Q1ちゃんの鳴き声に刺激されたのでしょうか。
窓の外では、どこかの野良猫がアオーン、アオーン、と発情期真っ盛りの様子で鳴いていました。


530 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:53:36 ID:4i1W7l2h0
生首先生ごめんなさいw


538 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/14(火) 11:46:32 ID:ssqXhMmr0
534
そのブログ、執筆時に毎日のように通って参考にしてましたw


548 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/22(水) 20:08:46 ID:s4aTNz/40
桜の花も儚く散り、新緑の眩しい季節です。
我が養殖場にも、みんなが待ちに待った春がやって来ました。

今週は、X1ちゃんことマサノちゃんに「酒石酸ゾルピデム(製品名マイスリー)」の投与実験が行なわれています。
催眠鎮静剤・抗不安剤ということで、いわゆる睡眠薬ですね。
人間に投与すると、比較的短時間で睡眠状態に入り、同じく短時間で効果が失われます。
使用者の中には、夢遊病のように明確な意識が失われたまま生活行動をしてしまう人がいますね。
覚えが無いのに自分で料理して食事したらしい、とか。
覚えが無いのに電話で友達と話して要らんことを喋ってしまった、とか。

まあ前置きはこのへんで。
事情があって寝不足な毎日が続いていたマサノちゃんへ、私なりの思いやりで今回の投与に踏み切りました。


549 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/22(水) 20:10:02 ID:s4aTNz/40
一昨日は5mgを投与。
40分ほど経過したところで身体がグラグラと揺れました。
が、程なく正常な様子に戻りました。

本日は10mgを投与。
やはり40分くらい経過してから、めちゃくちゃ鳴きまくるようになりました。
そして落ち着きなくフラフラ歩き廻って、フードが視界に入るとまっしぐらに貪り食いました。
トイレ砂を意味もなく掻いてみたり、寝そべったかと思うとまた歩き出したり、不自然な動きの連続です。
たまに目を閉じてじっとするのですが、突然ニャゥッ!と叫んでまた歩き出しますw
終始、うわずったような耳障りな声で鳴き続けていました。
ちょうど、あれです。
キ○ガイがあーうーと独り言をわめきながら、ウロウロ徘徊してる感じです。
微笑ましくて、ほのぼのしてしまいました。

次回は15mgを投与して、マサノちゃんを安眠に就かせてやりたいと思います。


550 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/22(水) 20:11:39 ID:s4aTNz/40
そんなマサノちゃん、実は5児の母なのです。
保護された時は普通の猫ちゃん体型だったのに、みるみるうちにお腹が大きくなりました。
ベビー用フードを毎日たっぷりと与えたおかげで、お産は順調そのもの。
ポコポコと5匹の可愛い子猫ちゃんが産まれてくれました。

5匹は、仮にX11・X12ちゃん・X13・X14ちゃん・X15と呼んでいます。
X11・X13・X15はオス。
X12ちゃん・X14ちゃんはメスです。

まだ小さいから良いですが、これが全部大きくなったら洒落になりません。
なので、遠からずセレクションが行なわれることになりますね。
生存競争は実に厳しいのです。
ちなみにX11ちゃんは、この共食い物語本編の主役と言えるキャラです。


556 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/24(金) 14:25:59 ID:Ngfr+Yh10
548-550のつづき

主役になる予定のX11には、親しみやすいよう「ソドム」と命名しました。
養殖場では既に「漆黒のソドム」と、畏怖の念を込めて呼んでいます。
また、ついでなので、X13を今後「ゴモラ」と呼びます。

X11ことソドムは、生後しばらくして一度目が開いたものの、すぐに目ヤニで塞がってしまいました。
お湯に浸した柔らかい布で拭って、何度かキレイにしてやったのですが、また塞がる繰り返し。
何度かするうちに面倒くさくなったので、逆に瞬間接着剤で両目とも塞いでやりました。

ゴモラら他の子猫たちが活発にじゃれあっている横でウロウロいざっていますが、知ったこっちゃありません。
光を知らないまま大きくなって、やがて初めて開いた視界には地獄絵図が広がっているというのもオツなものですね。

ソドムには、慟哭や憤怒の似合うエキサイティングな大人猫になって欲しいのです。
そこらの食って寝るしか能のない猫とは違うところを見せ付けて欲しいのです。


558 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/25(土) 17:29:28 ID:9h2M+td30
556のつづき

マサノちゃんの「酒石酸ゾルピデム」投与について。
今回の投与量は15mg。

22:17 5mgの錠剤を3粒与えました。
22:30 床に体を横たえて、ニャーニャー鳴き始める(以降、断続的に鳴き続ける)
22:31 腰が立たず、近くにいた子猫をナーバスに舐めまくり。
22:32 駆け出しかけるも下半身が立たず、床にベチャッとこける。
22:33 猛烈にメシを食う(以降、行動の合間に断続的にメシを食いまくる)
22:35 わめきながら徘徊し、他の猫たちが騒然となる。
22:38 他の猫に威嚇される。
22:40 狭いスペースに入り込むが、すぐにバックで出てくる。
22:44 子猫が目につくと執拗に舐め続ける。
22:46 棚から落ちて、水皿にダイブ。半身がびしょ濡れに。


559 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/25(土) 17:30:29 ID:9h2M+td30
22:47 水皿に残った水を猛烈に飲む(以降、行動の合間に断続的に水を飲みまくる)
22:51 子猫をくわえて運ぼうとするが、何もない平らな床でこけて子猫を落とす。
22:57 再び子猫を運ぶのに失敗して落とす。
22:58 壁に頭から体当たり。
23:00 足取りがまともになってくる。
23:01 必死でトイレの砂を掻くが、排泄せず。
23:06 壁に向かってフリーズ。
23:07 フリーズ中のところに子猫が寄ってきて勝手に乳を吸いだす。
23:09 突然駆け出して、別の場所で壁に向かってフリーズ。
203:16 見たところ普通の動きに回復。

その後もかなり長い間ニャーニャー鳴いていました。
どういうわけか、鎮静剤を投与すればするほど、普段よりソワソワして活動的になるようです。


562 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/26(日) 20:29:53 ID:4LbuRtxi0
558-559のつづき

子猫たちですが、病気もせずに成長は著しく、もう自分の足で元気に駆け回っています。
ちょっとくらいの段差なら上ってしまうほどになりました。
ところが、今回はそれが仇になってしまいました。

X12ちゃん。
三毛の毛色で、黒い毛がヒゲのようにポツンと鼻の周りに乗った面白顔の女の子です。
廊下に積まれたダンボール箱と雑誌の束を、器用によじ登りました。

夢中で上ってしまったのでしょう。
床から1m以上の高みまで上ったところで、降りられなくなったようです。
私がたまたま通りかかると、雑誌の束の上で鳴きながら右往左往していました。

困りっぷりがひどく哀れだったので、助けてやることにしました。


563 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/26(日) 20:30:54 ID:4LbuRtxi0
X12ちゃんの腹の下に指を挿し入れ、そっと手のひらで包みます。
まだまだ小さい赤ちゃん猫ですから、乱暴に扱うわけにはいきません。
壊れ物を扱うように、静かにX12ちゃんをすくい上げました。

ところがです。
すくい上げたところで、急に鼻がムズムズして、大きなくしゃみが出てしまいました。
その音と振動に驚いたX12ちゃんが、ジタバタ暴れて手のひらから落ちてしまったのです。

繰り返しますが、まだ赤ちゃん猫なのです。
高所から落ちて身体をクルッと回転させて足から着地する技能はまだ持っていません。
そのため、X12ちゃんはゴトッと嫌な音を立てて墜落し、全身を床に強打しました。

あっ!と思った時は既に強打の後でした。


564 名前:養殖 ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/04/26(日) 20:31:55 ID:4LbuRtxi0
X12ちゃんは床に倒れ、ルルルルル、カカカカカ、と気持ち悪い声で鳴きながら、四肢をバタバタ振り回しました。
全身がガクガク痙攣し、口をパクパクさせ、闇雲に振り回される手足。
どうやら打ち所が悪かったらしく、壊れてしまったようでした。

間もなく、辺りにウンコの匂いが漂い始めました。
見ると、X12ちゃんの肛門からウンコがみりみり垂れてきていました。
四肢の動きはだんだん控えめになり、鳴き声も途絶え、彼女の容態が絶望的であることは疑いようもありませんでした。

墜落から1分も掛からなかったと思います。
子猫の蒼い瞳もまだ褪めぬ幼さで、X12ちゃんは動かなくなりました。
あまりに呆気なく、無念を禁じ得ない最期でした。

翌日。
X12ちゃんの亡骸は、燃えるゴミの回収車に運ばれていきました。
万感の想いを込めて、ゴミ回収車はひた走ります。


756 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 13:15:53 ID:ryuEWHDY0
もし自分を待っていてくれてる方がいらっしゃいましたら、お待たせしてすみません。
近ごろ、密入国者関連の取材に追われていて、猫から関心が離れてしまってます。
そのうち関心が戻ったらまた書きますので、期待しないでお待ちください。
最終更新:2010年01月28日 17:19