85 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:37 ID:YYLMZNp0
友人との体験談をまとめました。
みなさんに喜んでいただけるか不安ですが、どうぞご賞味ください。
「うるせぇな…」時計の針は既に12時を回っていた。
教授(叔父)から出された課題がいっこうに進まず、
苛立っているときに、鳴り響く携帯の着信音。
普段は気に入っているその曲も、なぜか今は腹立たしい。
俺は不機嫌さを隠すことなく、ぶっきらぼうに応対した。
「Katzen niedermachen か?」
懐かしい声だった。彼の名はTeufel(仮名)。高3の時のクラスメートだ。
卒業以来1年近くも会っていなかった。
Teufelは無類の猫嫌いだった。
俺の妹の話を聞いて涙を流してくれた人間は、彼が初めてだった。
俺は先程までの苛立ちも忘れ、Teufelと昔話に花を咲かせた。
小1時間ほど話し込んだところで、彼はやっと本題を語り始めた。
86 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:39 ID:YYLMZNp0
「お前、4組のCって覚えてるか?」
「T大行った奴だろ?1年の時同じクラスだったよ。連絡ないけどどうしてるのかな。」
「死んだよ。」
「は?」
「半年前だって。俺も最近知ったんだけど、バイクでさ、猫避け損なったんだと。」
またしても猫かッッッッッ!!!!!!
糞猫め、どれだけ人間様を不幸に陥れれば気が済むんだ!!!!!
俺は今もなお我が家にやってくる糞猫を思い出し、体中の血が沸き立つのを感じた。
Teufelは話を続けていたが、彼の言葉は俺の耳を素通りしていた。
「……つーことでよ、………するわ。」
「え、何だって?」
ようやく俺は我に返った。
「だから、Cの弔いとして、猫を処刑するんだよ。お前、来るだろ?」
俺は虐待反対派だが、この時は無性に猫が許せなかった。
「活きの良いのを頼むぜ」
自分の口から出た言葉に、正直驚いた。
87 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:41 ID:YYLMZNp0
深夜の電話から4日が過ぎた。
Teufelの家はN駅から10分程歩いたところにある。
「あらあら、Katzen niedermachen君じゃないの。」
久々に会う彼の母親は、相変わらず元気だった。
しばらく話した後、彼女は出かけていった。
「よぉ、準備できたぜ。こっちこいよ。」
Teufelが庭から俺に声をかけた。
果たしてそこには、バーベキューセットがあった。
炭火が赤々と燃えており、肉野菜のみならず焼きそばの用意も完了していた。
「どんどん食ってくれ」
何が楽しくて寒空の下(2月中旬)、野郎二人で肉を食わねばならんのだ。
そう思いつつも俺は、言われるままに食料をたいらげた。
「いつ来ても落ち着く庭だ」
Teufelの両親は園芸が趣味で、それは見事に植物達を育て上げている。
チューリップは力強く生長し、
彼と同い年の梅の木は、もうつぼみがふくらみ始めている。
「もうすぐ春なんだなあ」
そんなことを考えながら庭を見回していた俺は、
温室の前にある薄汚れた箱に目を落とした。
88 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:43 ID:YYLMZNp0
「なあ、Teufel。あそこにある箱って何?」
「おいおい、お前は今日何しにうちへ来たんだ?」
そう言うとTeufelは箱をこちらへもってきた。
「処刑は既に始まってるんだよ」
高さ40cm、底面積1畳ほどのその木箱は、お茶をいれるためのものらしい。
Teufelは含み笑いをしながら、箱のふたを開けた。
箱の中身はアルミ板のようなもので覆われていた。
なるほど、茶が湿気ないように工夫してあるわけだ、と感心しながら
箱をのぞき込むと、汚いボロ雑巾のようなものが入っていた。
その汚らわしい物体は、弱りきった声で「ニャー」と鳴いた。猫だった。
三毛と黒、成体が2匹。哀願するような目で俺達を見上げている。
よく見ると2匹とも、右前足と左後ろ足があらぬ方向に曲がっていた。
89 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:46 ID:YYLMZNp0
「どうだ。本日のメインイベンターだ。」
Teufelが後ろから声をかけてきた。肉を食っていた。
彼は肉を咀嚼し終わった後、フウっと猫どもに息を吹きかけた。
その途端、ボロ雑巾はいっそう激しく鳴き始めた。
口からは涎があふれ出している。
俺はTeufelの顔を見た。
「断食修行中なんだ、こいつら」
そう言うと、Teufelはもう一度ゴミどもに息を吹きかけた。
さらに鳴き声は強まる。クズどもは一生懸命立とうとするが
なにぶん足が言うことを聞かない。
奴らに出来るのは、Teufelの吐息をなめようと、むなしく舌を動かすことのみ。
「ふふん、たった5日でこのザマか」と鼻で笑うと、Teufelは箱の中に唾を吐いた。
「てめえらには、こいつがお似合いなんだよ。」
その後の光景に、俺は愕然とした。
糞猫どもは、奪い合うようにしてTeufelの唾を舐め始めた。
すっかり唾がなくなっても、まだ床を舐め続けている猫どもに吐き気がした。
俺が視線をそらすと、ようやくゴミどもは顔を上げ、鳴き声でおかわりを要求した。
90 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:49 ID:YYLMZNp0
「なあ、Katzen niedermachen、『食い意地バトル』って知ってるか?」
2cmほどの牛の脂身を焼きながら、Teufelが俺に尋ねる。
俺は首を横に振った。すると彼は
「今見せてやるよ」
と言って、焼きたての脂身をクズどもの目の前へ落とした。
餓えたゴミ猫は、我先に獲物へ食いついた。
「フッ」
猫舌とは言ったものだ。こいつらが焼きたての肉を食えるわけがない。
それでも果敢に喰らおうとするが、そのたびに「フッ」と言って吐き出すのを繰り返す。
やっとのことで三毛の方が本懐を遂げようとするが、その刹那、黒の左前足が奴の顔面を捕らえた。
「フギャアーオ」
鼻血を出しながらよろける三毛。銀のアルミ板と飛び散る鮮血のコントラストが美しかった。
黒はまんまと獲物を胃の中へ納めた。一方三毛は歯をむき出しにして、怒りをあらわにする。
その時俺は猫の口の中が妙なことに気づいた。牙がないのである。
それどころか歯という歯がボロボロに欠けているのだ。
俺はTeufelの顔を見た。
「ああ、これね。割と簡単だよ。口の中に石詰めた後ガムテープでふたして猫バットするだけ。」
得意げな顔をしていた。
この後、彼の行動はさらに過激さを増すのであった。
91 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:50 ID:YYLMZNp0
Teufelは焼きたての何かを、焼き肉のたれにつけこんでいた。
たれの色は真っ赤に染まっていた。
「そらよ。シェフのおすすめを喰らいやがれ。」
今度は2匹分放り込んでやった。
糞猫どもは迷うことなく、施しを口の中に入れた。
「グエッ、ゲッゲッゲ」
猫畜生どもは激しく咳き込み、何かを吐き出した。玉葱だった。
「てめえら、シェフの韓国風オニオンステーキを吐き出すとは何事だ!
俺の出すもんが食えねえってのか!!!」
口調は怒っているが、目が笑っている。こんなTeufelを見るのは初めてだった。
彼はいそいそとゴム手袋をはめ始めた。足元を見ると、いつのまにか登山靴を履いている。
Teufelはまだむせている三毛をつかみ、足下に叩きつけた。
体力が低下しているせいか、まともに背中を打った。
ピクピクと動く足は、むなしく宙をかいた。
「お客様、のどが渇いているようですね。お飲物はいかがですか?」
そういうとTeufelはおもむろに一物を取りだし、哀れな生き物に小便をかけた。
猫は体が濡れるのを嫌がるはずなのだが、なんとこのクズ猫、ゴクゴクと音を立てて
黄金水を飲んでいるではないか。
その様子を満足げに見下ろすTeufel。彼は放尿を終えると、いそいそと一物をズボンにおさめた。
92 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:52 ID:YYLMZNp0
そしてTeufelは三毛畜生をうつぶせにすると、首筋を登山靴で踏みつけた。
ゴミ三毛は唯一自由になる後ろ足で、懸命に脱出を試みる。
だが、登山靴の前には奴の爪など、まるで役立たずだった。
「なあ、Katzen niedermachen、これ何だか分かるか」
彼は細長い、円錐状のものを持っていた。それは100円ショップなどに
売っているペットボトルリサイクルグッズ「自動吸水器」だった。
「これってさ、土が乾いてないと水が出ないしくみなんだけど、
先っぽ切っちゃうと、無限に出てくるだよね。」
そう言いながら吸水器の先を切ると、生ける屍を水道のところへ連れて行った。
俺は彼に従った。
「今からお前の便秘を解消してやるからな。」
そう言うとTeufelは、先程のように足でゴミを押さえつけ、アナルに吸水器を差し込んだ。
「ギャッ」と叫び声を上げたものの、腐れ猫はたいして暴れない。
「そうか、そうか。そんなに気持ちいいか。もっとよくしてやるぞ。」
彼はホースを吸水器に当てると、もう片方の手で蛇口をひねった。
93 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:58 ID:++Y0omaa
「フニャーオ、フニャーオ」
哀れな生き物は、苦痛とも歓喜ともつかぬ悩まし気な声を上げ始めた。
奴の腹はもう風船のように膨らんでいる。
「そらよ!ぶっぱなしな!!!」
Teufelは水道を止め、勢いよく吸水器を引き抜いた。
「ブププブブブー、プリプリ……」
軽快な屁の音色とともに、悪臭を放つ茶色の水がアナルから吹き出してきた。
まるで火山の噴火だ。こんな溶岩流に巻き込まれたら死んでも死にきれまい。
そんなことを考えていた。
「これで宿便もスッキリだね。」
ゴミ猫は既にグッタリしている。
「お客様、爪のエステなどいかがでしょうか?」
そう言うとTeufelは、再びボロ雑巾をうつぶせにすると、
首筋を登山靴で踏みつけ、左前足を押さえた。
94 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 22:59 ID:++Y0omaa
「♪悪い~ 猫め~ 爪を~ き~ れ~」
と歌いながらTeufelは、ペンチで糞三毛の爪を切り始めた。
「グギャーッ、グギャッ、グギャッ」
狂ったような悲鳴を上げ、クズ三毛はのたうち回った。
「わりぃ、わりぃ。間違えて指つぶしちゃった。」
満面の笑みを浮かべるTeufel。
今の彼は猫にとって、まさにTeufel = 悪魔 だ。
「そんなに怒んなよ、ちっと間違えただけだって。」
Teufelが三毛をつかもうとしたその時、
「シャーッ」
三毛畜生は精一杯の抵抗を試みた。
Teufelは怪我こそしなかったものの、彼のはいていたジーンズはざっくりと裂けてしまった。
「こんのぉ、ド畜生がァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
Teufelは完全に我を失っていた。彼はものすごい剣幕で物置へ走っていくと、
バットを片手に般若のような顔をして戻ってきた。
95 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 23:00 ID:++Y0omaa
「死にやがりゃぁぁ!!!」
タイプミスではない。確かに彼はこう言った。
バットが振り下ろされるたび、ボロ三毛は「ガハァッ」っとうなりながら赤い血を吐いた。
俺は友人の家で遊ばせてもらった「サイレントヒル」というゲームを思い出していた。
「とどめ、くらえ」
彼は渾身の一撃をゴミ三毛の頭部にたたき込んだ。
「ギャハァオ」
腐れ猫の最期の悲鳴だった。
頭は完全に陥没していた。赤とも黄ともつかぬ色をした脳らしき物体が、
ほかほかと湯気を立てていた。俺は思わず目をそらした。
一方Teufelは、すっかり落ち着き、肉片と化した三毛をせっせとゴミ袋へ詰めていた。
時折「そらよ」と言いながら、元三毛を箱の中に投げ込む。
中からは「ビチャビチャ」という音が聞こえてくる。
黒猫が食っているのだ。俺はこみ上げる吐き気をこらえることができなかった。
96 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 23:02 ID:++Y0omaa
吐こうとしたその時、
「こっちだ」
と言って、Teufelは俺を箱の前に立たせた。元三毛を喰らっている黒と目が合った。
俺は華厳の滝のようにおう吐した。未消化の肉が黒の体に降り注ぐ。
腹ぺこの畜生は俺の吐瀉物を、音を立てながら旨そうに食った。
それを見てTeufelは再び怒り出した。
「貴様、人間様の食い物を喰らうとはどういう了見だ」
彼はまだ火のついている炭をひとつひとつ箱に投げ入れた。
「グギャ、グギャ」
熱いのだろう。クズ黒が箱中をのたうち回る音が聞こえる。
「うるせえな、静かにしろよ」
炭をすっかり箱の中に入れてしまうと、Teufelはふたを閉めた。
97 名前: Katzen niedermachen ◆tAJRSkG6 投稿日: 02/04/28 23:03 ID:++Y0omaa
しばらくの間、ガタガタと箱が揺れていたが、やがて何の音もしなくなった。
「猫の蒸し焼きいっちょあがり」
Teufelは炭ばさみで完成品を取り出した。
その仕上がりは「すさまじい」の一言に尽きる。
左の目は完全に焼けただれ、眼球はすっかり縮んでいた。
他にも体のあちこちに火傷を負っていた。
そして顔色は、黒猫なのに真っ青なことが見て取れた。チアノーゼだ。
俺は再び気分が悪くなった。
「悪い、俺もう帰るわ。」
そう言うのが精一杯だった。
彼のひきとめる声を無視して、俺はN駅へと急いだ。
それ以来Teufelとは連絡を取っていない。
噂によると、彼は今年うちの大学の仏文科に入学したそうだ。
終
乱筆乱文失礼しました。
最終更新:2013年09月17日 20:18