TURN 8では、ルルーシュとディートハルトが電話でこんな会話をしています。二人が次の作戦についての確認をする場面。
ルルーシュ「よくやってくれた、ディートハルト。やはりお前は優秀だよ。卓越している。冠絶する人材だ」
ディートハルト「ハッ、ありがとうございます。光栄です。以降の段取りも、例の通りでよろしいのでしょうか?」
ルルーシュ「そうだな。戦術目標は変わったが、戦略目的は同じだ。よろしく頼む」
さて、ここで問題。この場合のルルーシュにとっての「戦術」と「戦略」は、それぞれ何を意味しているのでしょうか?
ディートハルトが言っている「以降の段取り」については、戦略的には例の通りでかまわない、変更する必要はない、とルルーシュは答えています。つまり、前からディートハルトが進めている準備の通りでかまわない、ということです。では、ディートハルトが何を準備していたのかというと、この場合は氷山空母その他です。特に百万人分のゼロの仮面と衣装については、普通に考えればすぐに準備ができるような代物ではないし、TURN 4のディートハルトと咲世子の会話から考えれば計画自体はかなり以前から構想が練られていたもの、ということになるはずです。国外へ出るという計画は、戦略として最初からあったわけです。
それでは、ルルーシュが変わったと言っている戦術目標とはいったい何なのか。ルルーシュは前の作戦でナナリーの奪還に失敗しています。ルルーシュとしては安心してブリタニア帝国と戦うためには妹のナナリー総督とは対立するわけにはいかないので、ナナリーが総督になるより先に連れさらおうと考えました。打ち捨てることのできない駒として敵の側にナナリーがあるということは、戦術的には非常にやっかいな存在になってしまうというわけです。しかし、その試みはスザクによって阻止されてしまった。しかも、ナナリーは行政特区日本に参加するようゼロに呼びかけることまでしました。
そこで、ゼロは「ナナリーをエリア11に残したまま」で、日本人を黒の騎士団とともに国外へ移動させる選択をしました。それが、ルルーシュの言っている「戦術目標」の変更なわけです。実際は変更も何もルルーシュにとっては妹のナナリーは最初から絶対に戦えない相手だし、厳密に言えばナナリーをスルーして先に黒の騎士団と大勢の日本人とともに国外へ移動する、という戦略に変更されてるわけですが、ゼロとしての建前上は「合衆国日本でブリタニア帝国を打倒する」という戦略は変わっていない、ということをディートハルトに言っていると思うのです。
つまり、上記の様に考えるとすると、
戦略目的=合衆国日本をエリア11の外へ移動させること
戦術目標の変更点=ナナリー総督はスルー
ということになります。
ちなみに、
戦略目的=合衆国日本でブリタニア帝国を打倒する
戦術目標の変更点=合衆国日本をエリア11の外へ移動させること
としてしまうと、ルルーシュとディートハルトの会話が少し矛盾してしまうことになります。何故かというと、もしそうならディートハルト達が中華連邦で進めていた段取りというのが、ものすごく短期間で大幅に変更された上で決定されたものだということになってしまうからです。ディートハルトが中華連邦で進めていた「例の段取り」というのが黒の騎士団によるエリア11からの脱出計画で、それがルルーシュの戦術目標の変更に左右されない当初からの計画=戦略であるからこそ、ルルーシュはディートハルトにOKを出すことができたといえるでしょう。
最終更新:2008年06月03日 12:07