やあ久しぶりだね……と言っても、
最後まで僕らが合流する事は無かったんだっけか。
ふふ、そんなに警戒しなくてもいいよ、
別に取って食おうだなんて考えてないし、
この話に興味が無いなら立ち去ってくれていい。
でも、ここを訪れたと言うことは、
あなたはまだ覚えてくれているんだろう?
あの、妖魔と人間達の物語を。
最後まで語られる事の無かった、彼等の物語を……
うんうん、最後は唐突だったね、
それでいて実に効果的で、悪辣だ。
世界のキーパーソンに育ちつつあった、
「彼」抹消するなんてね……まさしく、
神の御業と呼ぶほかに無かったよ。
その後、妹さんが奮闘してくれたけど、
坂を転がるように事態は悪化、
抵抗らしい抵抗もできずに終わってしまったね。
でも、家臣のその後について語られていた記憶がある
家臣や嫁は概ね幸せそうにしていたのでは?
あれはね、彼が最後まであの地で戦えた場合の話さ。
全くの作り話ではないけど史実とは異なる、仮定の話。
悲しいけどね、それが実情さ。
自分には何か出来る事があるのか。
かつて存在した無数の貴方や貴女の移し身たる彼は
消されてしまった。
でも。
記録を消されても、記憶はこうして残ってる。
だからこそ、この場所を訪れてくれたんだろう?
……
そんなあなただからこそ、あの世界を愛してくれた
あなただからこそ、出来ることがある。
物語の再開さ。
一方的に打ち切られた英雄譚、
その続きをあなたは見届けるつもりはあるかい?
最終更新:2021年08月27日 15:06