Introduction2

やあ久しぶりだね……と言っても、
最後まで僕らが合流する事は無かったんだっけか。

ふふ、そんなに警戒しなくてもいいよ、
別に取って食おうだなんて考えてないし、
この話に興味が無いなら立ち去ってくれていい。

でも、ここを訪れたと言うことは、
あなたはまだ覚えてくれているんだろう?
あの、妖魔と人間達の物語を。

最後まで語られる事の無かった、彼等の物語を……

うんうん、最後は唐突だったね、
それでいて実に効果的で、悪辣だ。

世界のキーパーソンに育ちつつあった、
「彼」抹消するなんてね……まさしく、
神の御業と呼ぶほかに無かったよ。

その後、妹さんが奮闘してくれたけど、
坂を転がるように事態は悪化、
抵抗らしい抵抗もできずに終わってしまったね。

でも、家臣のその後について語られていた記憶がある

家臣や嫁は概ね幸せそうにしていたのでは?

あれはね、彼が最後まであの地で戦えた場合の話さ。

全くの作り話ではないけど史実とは異なる、仮定の話。

悲しいけどね、それが実情さ。

自分には何か出来る事があるのか。

かつて存在した無数の貴方や貴女の移し身たる彼は
消されてしまった。

でも。

記録を消されても、記憶はこうして残ってる。

だからこそ、この場所を訪れてくれたんだろう?

……

そんなあなただからこそ、あの世界を愛してくれた
あなただからこそ、出来ることがある。

物語の再開さ。

一方的に打ち切られた英雄譚、
その続きをあなたは見届けるつもりはあるかい?


最終更新:2021年08月27日 15:06