―森林山脈地帯 中下り区域ー
レインド「ザクッ…ザクッ…(唯一装備していたミスリルソードを腰からぶら下げ、鞘の先が地面を抉るような位置に付けられている)フゥ…フゥ…(雨水で泥濘んだ斜面を重い足取りでその山脈を逃げた方向とは逆の方向へと、運ぶ) 」
レインド「(感覚が狂っているのか、穴だらけの体の割には早めのスピードで下り続けている)……(丁度、
灰色の戦士の建物があった麓にまで辿り付き、雨水で足れた前髪の裏から眼をぎらつかせながら焼け跡を眺める) 」
ザクッ…(木片を踏み砕く乾いた音がレインドの耳を掠める)
レインド「(建物に目配りをギリギリまでしながら、首を音のした方向へと向け、視線もそちらに向ける) 」
ルーベンス「ザクッ…ザクッ…(フードを目深に被りおぼつかない足取りでレインドの目の前を横切る) 」
レインド「ルーベンス…(発見して数秒、ただ目視し小さく呟く)……独りか? 」
ルーベンス「(声をかけられてから数歩進んで背を向けたまま足を止める)…… 」
レインド「…………悪かった(小さく呟き、歩きだすと、一番近くの死体の目の前で立ち止まり、その残骸を見つめ一回だけ瞬きをする)……そうか…… 」
ルーベンス「……(踵を返しフードの影からレインドを視界に入れて死体の前に座り込む) 」
レインド「…(あえてどの死体にも手を銜えず、CPOの物と思われる通信機を手にとり、ある周波数に通信を開始する) 」
ピーピピ…ガーガーッガガガ
レインド「よぉ、クラーク 」
クラーク「……レインド……生きていられたんですね…… 」
レインド「クラーク、何故俺達灰色の戦士を壊滅させた……答えろ 」
クラーク「………お答えできません……… 」
レインド「随分な仕打ちじゃあねーか………おい 」
ガガガッ!
リチャード(無線)「楽しいお喋りの最中に失礼するよ。クラークは今仕事中だ私がお応えしよう、灰色の狼 」
レインド「誰だテメー 」
リチャード(無線)「
ケイオス東部一帯の大総統。こんなに偉い人物とお話出来るとは嬉しいんじゃないのかな?……灰色の戦士は我々政府ではない。市民の要望に応えて壊滅させたのだよ。分かるだろうレインド?市民の意見が揃えば全てはその通りに動く。君達は選ばれたのだよ。消される運命に 」
レインド「ふざけるんじゃあねぇよ………俺達灰色の戦士は市民ですらねぇってのか…?テメーにとってなんだ? 」
リチャード(無線)「ゴミだ。それも特別なゴミだ……まぁ、私が灰色の戦士を壊滅させた理由を知りたければその遠い大地から私の居る大都市にでも来るのだな(ブツン) 」
レインド「……(通信機を投げ捨て、ルーベンスに眼を置く)ルーベンス………お前は俺が護る………一緒に行こう… 」
ルーベンス「(膝を抱えて顔を上げる、その目は灰色と赤に染まり、言葉の発しない口だけが無意味に動いていた)…… 」
レインド「(首で行くぞと指図し、着用していた戦闘服を脱ぎ捨て、廃墟の墨に投げやりに置く)こっからは俺達のクエストだ。後戻りする訳にはいかねぇだろ? 」
ルーベンス「……コク(無言で頷き刀を杖にして立ち上がる) 」
レインド「良い子だ…(荒野のど真ん中から、一歩一歩その地平線目がけ脚を動かし出す) 」
最終更新:2014年06月06日 22:03