――― ショッピングモール『ダリア』3F 文房具コーナー ―――
アキラ「……うーん……。(画材の置かれた棚を見て、悩んだ様子で)どれも良さそうだなぁ……うーん……どれにしようかなー……。 」
キルビス「どうした、今回は随分悩んでるじゃないか…しっくり来る物が無いのか?(買い物かごを持ってアキラの所に来て 」
アキラ「いや、その逆なの……ここの画材、どれもしっくり来るのよ………こういう時、どうしたら良いかなぁ? 」
キルビス「へー、そりゃぁまた珍しい、余程ここの品揃えが良いんだな……… だったら、全部買うか?ここの棚の物。 」
アキラ「Σえっ!? ……い、いやいや、それはそれで、ちょっと……画材が豊富にあるのは良い事だけど、ありすぎても逆に使いきれなくて困るし………。(汗) 」
キルビス「冗談だよ、冗談!じゃぁ、俺が選んでやろうか?さっきの服みたいに、アキラに一番似合いそうなもんを、俺が見極めてやろう。(棚の前に来て 」
アキラ「えっ?……う、うん、良いけど……(……兄さんに画材を選んでもらうの、初めてだな………兄さん、どんなのを選ぶのかな……?) 」
来ヶ谷唯湖「 壁│ー) ソローーーリ (キルビス兄妹を密かに見ている) 」
キルビス「………なるほど、これは確かに悩むな………(画材を隅から見て行きながら)………よし、決めた!まずは筆………うん、こいつが良いな!手触り、フォルム共に良しだ!(黒のコリンスキー筆を手に取って)そんで、絵の具のセットは………こいつだ!色も豊富で、箱のデザインなんて中々可愛らしいじゃねぇか……この中では、一番アキラに似合うと思うぜ!(絵の具の箱をカゴに入れ)で、後は――――――(次々と、上機嫌で画材を手に取って行き 」
アキラ「………(・ο・)(キルビスの様子を、しばらく見つめた後)………クスッ ……ふふ、あはははははっ。(楽しげな笑い声をあげて 」
キルビス「? ……ど、どうした?いきなり笑って……俺、何かおかしい事したか? 」
アキラ「ははは……ううん、何かね、嬉しくなっちゃってさ……こんな楽しそうな兄さん、久しぶりに見たから………やっと、いつもの日常が戻ったんだなって思ってさ。(買い物かごの中の画材を見て)………うん、凄く良い!ありがとう兄さん、大事に使わせてもらうよ!(満面の笑顔を見せて 」
キルビス「………アキラ………… あぁ、やっと戻れたんだ……これからはずっと、お前の側にいるからな。 ……新作、楽しみにしてるぜ。(笑顔で返し、レジに向かう 」
アキラ「……うん、私頑張るよ!頑張って、兄さんをビックリさせられるようなすっごい絵を描くからね!(キルビスに付いて行き 」
ミーラ「………(セーラー服を着た、ツインテールの少女姿に変装し、近くの棚の前で2人の様子を密かに見て)………坊っちゃん、お嬢様………お2人の幸せが、どうか続きますように――――――(小さく呟き、2人の後を密かについて行く 」
フレアチューバー事件より数か月――――様々な因縁が取り巻くあの凄惨な戦いを越えた兄妹は、今、平穏な日々を過ごしていた。
彼は妹と過ごす日々の為に戦った。彼女は兄と過ごす日々を祈った。
そして、二人の願いは叶う。これからも、この当たり前な、何より幸せな日常が続けばいいと思った。
―――― だが、"混沌"は常に廻る ――――
――― 街外れの港 ―――
楽しいショッピングを終えた二人は、誰もいない静かな港で海を眺めていた。広大に佇む海…その蒼さは、何処かその兄妹にも似ていた。
キルビス「おぉ……こいつは良い眺めだな………。(海を眺めながら)……丁度良い、アキラ、早速今日買った画材を試してみたらいいんじゃないか? 」
アキラ「うふふ…… 私も、そう思ってたとこ!(新品の画材を取り出して)せっかくだから、兄さんも一緒に描かせてくれない?この景色をバックに映る兄さん、カッコいいと思うんだ! 」
赤眼の青年「 コツ… コツ… コツ… ――――― ザ ッ … (兄妹以外に誰もいないはずの港に足音が響く)…… …… ……(二人の背後に現れたのは黒いコートに身を包んだ、キルビスと同じ身長の青年らしき人物。しかし、彼とは明らかに違うものがあった。それは――――フードで隠された素顔から覗く、『赤い眼』に含む"狂気") 」
キルビス「マジで?それはありがてぇ!よーし、ポーズの指定とかあれば言ってくれ、何でも――――――― ?(海をバックに立とうとした時、アキラの後ろから迫ってくる青年の姿を見て)――――――――! アキラ、絶対離れんなよ……!(青年からただならぬ物を感じ取り、アキラを自身の後ろに回し 」
アキラ「えっ?……に、兄さん、どうしたの?(突然、キルビスの後ろに回され)……… ? 誰、あの人………?(青年の姿を見て 」
赤眼の青年→
ブラッドキルビス「バサバサバサ…(潮風にコートが靡く) フ ァ サ … ―――(フードを徐に脱ぎ素顔を露わにする)こうして顔を合わせるのは久しいな―――――『オリジナル』。(その素顔を見た二人は驚愕する。彼らの前にいるのは、キルビスと瓜二つの顔をした青年だったのだから) ザ ッ … ―――― シ ュ ダ ン ッ ! ! (軽い挨拶を終えた直後、それ以上のことは告げず勢いよく疾駆し、二人に向かって急接近する。視線から、その狙いはアキラだと思われたが―――) 」
ブラッドキルビス「――――― ド ゴ ォ ゥ ッ ! (刹那、振り上げられた拳がキルビスの腹部に強くめり込んだ。本当の狙いは、彼女を庇おうと身を乗り出したキルビス本人――― すべては彼自身の思惑通りだったのだ) 」
キルビス「――――――!! お、お前……(ブラッドキルビスの姿を見て)! ……テメェ!!アキラには指一本触れさせ―――――――――― !!!!(左手を剣に変え、返り討ちにしようと構えを取った瞬間、ブラッドキルビスの拳が自身の腹部を捉え)――――――――な……… に………… ド サ ァ ッ ッ――――――(その場に崩れ落ち 」
ブラッドキルビス「…… ガ ッ (やがて気絶した彼を肩に抱え上げる)…… ……――――― ド プ ン ッ (傍らのアキラに一瞥を与えると全身が赤く液状化する。そしてキルビスを呑みこみ、二人はそのまま地面へ溶け込む様に消え去った)」
アキラ「――――――――え………? カランッッ―――――――(目の前の光景を見て、手に持った筆を落とし)………兄さん……… 兄さんっ!!!(キルビスに駆け寄ろうとするが、手は届かず、寸前で地面に飲まれ、消えてしまう)――――――あ………ぁ…………(力なく崩れ落ち、キルビスの飲まれた地面を見つめて 」
ミーラ「お嬢様!!!(アキラの元へ駆け寄って)――――――ピ カ ッ ッ(両目のサーチライトを起動させ、地面の内部を透視していき)………いない………坊っちゃんの反応が、確認出来マセーン……… 私が、ついていながら………何という失態………。 」
アキラ「………ぅ………あ……あぁ………(大粒の涙をこぼして)嫌だ……… 兄さん……… 兄さあああああん!!!!!(人気の無い港に、空しい叫びだけが響き渡る 」
"混沌"は廻る ――― 再び訪れた亀裂が、彼等を更に遠ざけたのだった…
――― 某所・地下牢屋 ―――
カゲッチ「ゲッゲッゲ…!そこで大人しくしていろよ、お穣様たちよ~!(檻の中の人物に下品た笑みを浮かべ、牢屋に施錠し去っていく)」
キュウカ「……(影の化け物がいなくなったのを確認し、肩の力を抜く様にふうと一息つく)ジャラ…(両手に枷…これでは魔法も使えないわね…)(自らの両手に嵌められた枷に溜息)…お怪我はございませんか。(そして、隣人に温かい眼差しを向ける)」
王女「コク…(静かに頷く)…王女様『本人』なら…――― パ ア ア ァ ァ … ! (その身体が眩い光に包まれる)」
王女→ローブの少女「……(光の消失と共に王女の姿が消え、代わりにみすぼらしい服装に身を包んだ少女らしき人物がそこに居座っていた)」
キュウカ「貴女は…(一瞬呆然とするが、それが魔法の類によるものだとすぐに察し、珍しそうな眼差しを向けて少女に一歩詰めよる)…彼女の身代わりになっていたのですね。」
ローブの少女「カララン…(幼子のか細い腕から枷が外れ、肢体が自由になる)…うん… 国の王様たち 利用して何か企んでいる… それを止めに来た…の… 」
キュウカ「そう…(こんなにも幼いのに… なんて果敢な…)…ふふっ…(ふと、何かを思い出したように噴き出す)」
ローブの少女「……?」
キュウカ「ごめんなさい。ちょっと、私の妹を思い出して、ね。…おてんばで、お調子者で、わがままで勝手が過ぎるけれど… でも、自分の身を犠牲にしてでも、誰かを救おうとする強い正義感があって…―――――(その脳裏に、かつて"闇"に堕ちた自分に何度も越えと手を差し伸べ続けた、かけがえのない妹の姿が過る)」
キュウカ「ここで初めて出会った貴女のことはわからないわ。でも、きっと何かを救いたい一心で…自らこんな危険なとこへ来たのよね。…そんな貴女を、私は誇りに思う。…私はキュウカ。キュウカ=ミリダルア。」
ローブの少女「うん…誰かを 助けたい。ずっと いろんな人に 助けられてきたから… わたし、は…―――『 』。(キュウカの枷に触れる)」
ガ チ ャ ン … ! (キュウカの両手に嵌められた枷が床に落ちる)
キュウカ「…素敵な名前ね。……!(束縛から解放された両腕を見つめ) ありがとう。(少女に微笑む)貴女、魔法使い?聖の魔力を感じるわ。」
ローブの少女「う、うん… まだまだ未熟 だけど… 誰かの役に立てられるように がんばって勉強している… キュウカも…魔法が使えるの…?」
キュウカ「ええ。私は時空の女神。だから、時空間魔法に長けているわ。」
ローブの少女「すごい…!その魔法 熟練の魔法使いでも 会得が困難のはず… (キュウカに憧れるように身を寄せる)」
キュウカ「ふふふ…それほど大したことではありませんわ。貴女の魔力があれば、すぐにでも立派な魔法使いになれますわ。」
ローブの少女「そうかな… 嬉しい ありがとう…(綻んだ表情が気恥ずかしく思ったのか、小さな両手でローブで覆い隠す)」
キュウカ「ええ。だから…そんな貴女には、一刻も早くここを抜け出して欲しい。」
ローブの少女「……!うん…でも それなら一緒に ―――」
キュウカ「(少女に首を振る)今回の事件の首謀者…何者なのかは分かりません。ですが、未だかつて一切の襲撃を許さなかった首脳会議の防衛を潜り抜けてきた奴らの実力は未知数といえましょう。私はここに残って、奴等に関する情報を探ってみたいと思います。」
キュウカ「何か情報を手にしたら、念波を通じて貴女に伝えます。貴女は外の世界へ逃げて、『英雄』や『戦士』たちにその事実を伝えてください。」
ローブの少女「そんな…」
キュウカ「そうしなければ、きっとこれから多くの犠牲者が増えるでしょう。奴らの思惑を未然に防ぐことで、救われる命が必ずあります。…私を、信じてください。私も、貴女を信じますから。(少女の手を取って)」
ローブの少女「……!……うん わかった… でも 気をつけて…」
キュウカ「ありがとう。さあ、奴らが戻ってくる前に…!(少女に向けて両手を突きつける)」
キ ュ オ ォ ン … ! (少女の足元に魔法陣が展開される)
キュウカ「私の時空間魔法で、貴女を外の世界へ飛ばします。……あとは、頼みましたよ。(にこりと微笑む)」
ローブの少女「うん……! 必ず キュウカも助けに行く。だから 待ってて…―――(キュウカの魔法によって転送されてしまう)」
キュウカ「…お行きなさい。貴女の力を必要としている彼らの元へ―――」
――― 某所 ―――
妖しい光差すステンドグラスが張り巡らされた教会の様な薄暗い空間。そこに耳を劈く様な甲高い男の叫び声が何度も木霊する。
ィ…ッ…!…ヒィッ…!?な…何をする貴様ァ…!?このワレを誰だと思っている…!!
ガ シ ャ ン … ッ … ! ガ シ ャ ン ッ … ! (地面に鎖が打ちつけられる金属音が響く。手枷をされた男は酷く青ざめた表情で狼狽している)
グ ギ ュ … ギ ュ ギ ュ ギ ュ …(男の目の前に歪な姿形の影あり。原形をとどめぬそれはこの世のものとは思えぬほど、醜悪で、愚劣で、邪悪だった―――)
おいッ…!聞いているのかァ!?
グ バ ァ ッ ―――― グ ジ ュ グ ジ ュ … ッ … ! ! (醜い肉の塊―― その表面に開眼した幾つもの『赤い眼』がそれぞれ蠢き出す)――――― ギ ョ ロ (すべての視線が、その男の一点に集中する)
な、なんだ…なんだこの醜い『眼』は…!?ヤメロ…!ワレを見るな…ッ!!あ゛っ゛…ア゛ア゛ァ゛ッ゛…―――――― ヒ゛ ギ ャ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ッ゛ ! ! !
…… …… …… ……
…… …… … キ ヒ ッ …
キ ヒ ヒ … … キ ヒ ヒ ッ … !
キ ヒ ヒ ヒ ヒ ヒ … ッ … ! !
忌 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 避 ッ ! ! ! !
――― South・M・Land 司法の島『
デッドエンド』 PM 23:40 ―――
広大な海に浮かぶ一つの島。そこへは大きな一本橋だけが繋がっている。島周辺の海域は禍々しい色に汚染され、海上から近づくことは困難だった。唯一の通路となるその橋もまた固く閉ざされ、何者も寄せ付けない様子が誰の目に見ても明らかだった。 」
ウ ウ ゥ ー ー ッ ! ! ! (島の向かい岸。けたたましいサイレンと交錯するサーチライト、人々のどなり声が織り成す喧騒が広がっている)
政府軍将校「もたもたすなッ!すぐに配置へ着け!! 」
ダッダッダッダッ… ! ! ! (固く閉ざされた橋への門前にて、徹底武装した兵士たちが右往左往している)
チャオス「…軍艦の手配はどうなっている。(腕を束ね背後の兵士に問う) 」
政府軍兵士「はっ!3時間ほど前に本部より司法の島へ向け、10隻が進行しているとのことです! 」
オーディン「司法の島に徹底包囲網を敷け!テロリストは島内に潜伏している…!誰一人として逃がすな!! 」
ヴェルゴ「チャクチャク…(肉の無いハンバーガーを頬張りながら戦車付近で佇み、遠くに浮かぶ島を見据えている)…チャクチャク……(で井口は固く閉ざされ、海域は有害物質で汚染されているか…難攻不落、というわけか) 」
ガタル「デュフフフww 地上と海が駄目なら、空から攻め込めばいいじゃないか…w 核弾頭でもぶちこんでやろうぜ…デュフフ…www 」
アーティル「そうはいかんのだガタル中尉。デッドエンドの対空防衛システムは軍が誇る最高峰の科学力が搭載されている。もともとあの島も聖域…厳重な防衛システムを掻い潜るのは困難を極める。 」
セオ「…すみません、セロ。私の失態がこのような事に… 」
セロ「謝ることはありませんよ。(依然不敵な笑みを浮かべ)不意を突かれたのはこちらも同じですからねえ。それにしても…ふむ… 上層部はこれをどう処理するのでしょうかねえ。 」
エルナ「は~…あっつ…(脱いだ軍服コートを腕にかけ、もう片方の手で顔元を扇いでいる)全軍緊急招集を受けてきたものの、長時間待機…だる…っ…(ジト目で項垂れる) 」
キ ャ ル キ ャ ル キ ャ ル … ッ … ! ! (何台もの戦車が並列する)
政府軍将校「ハクライ大将がお付きになったぞ!道を通せ!! 」
政府軍兵士『 ザ ッ ! ! ! (一同路を作り、敬礼する)』
ハクライ「 ザ ッ ザ ッ ザ ッ … (コートを靡かせ厳かな表情で兵士の道を進む) 現状は。 」
政府軍将校「はっ!襲撃を受けて8時間が経過していますが、未だテロリストの動きはありません。衛星からの確認では衛兵数百名の遺体が島内部で確認されました。裁判所内部の状況は依然わかっておらず… 」
プリム(亜空新聞社)「これは衝撃スクープだ…!パシャッ パシャッ (政府軍に紛れて撮影を行う) 」
政府軍兵士「…おい、貴様!何をしている?(小声でカメラマンプリムの背中を掴む) 」
ハクライ「デッドエンド周囲に緊急警戒態勢を発令。民間人の避難を優先させろ。 」
プリム(亜空新聞社)「 わっ、わぁーっ!ごめんなさーい!!(じたばた) 」
政府軍将校「はっ!! 」
政府軍兵士「……(プリムからカメラをひっぺがす)…ほぅ、なかなか派手なもん撮ってんじゃねぇか。どうだ?政府の要人に知らせてやろうか? 」
ギ ギ ィ ――――― ギ ィ ィ ィ ィ イ イ イ ン ッ … ! ! ! (その時、島の中央に立つ巨大な教会より音が割れたような騒音が響く。何かの放送が行われようとしているのか、微かに何者かの声が聞こえ初めて来た)
チャオス「 バ ッ ! ! (片手を上げ静粛の合図を下す) 」
キリヤマ「(文字通り『顔の無い男』……眼と鼻、口以外の全てが焼け爛れケロイド状になっている軍服姿の将校……
政府軍情報部、キリヤマが影から突然現れ)……報道規制はやはり難しい、内部の状況を確かめる為我々からも人員を投入しましょう 」
政府軍兵士「…へっ、命拾いしたな(静粛の合図を聞き、プリムを離し、カメラをプリムに投げる) 」
ギ… ギィ… ギ ュ ゥ ン …ジジッ…ジッ…あー……ジジッ…あーあー…(次第に何かの声が聞こえてくる。それは肉声というより、人工音声に近い違和感があった)
―――― ごーきげんっうるわしゅー!世界の愚民共ー!(砂嵐の様な雑音が鎮まり、その声がはっきりと向かい岸の政府軍に伝わった) そ・し・て♪まーんまと我々に出し抜かれちゃった哀れれれれな政府のみなさーん!わ・れ・わ・れ・は…
――――――――― 《 赤 い 泪 》 ―――――――――
本日からねっ、この司法の島をねっ、我々の本拠地にさせてもらうねっ!ありがとねーっ!
政府軍兵士「ギリィ…ッ…!(人を小馬鹿にするような、狂気を孕んだ幼い言動に一同が憤りを示す) 」
我々は、この島を拠点に~?このつまーんない世界を面白くしちゃおうと思うんだよねー!
だ・か・ら・さ!?人類を代表してぇ~…?この放送を耳にしているせかーいせーふの貴様等にも、その「お手伝い」をしてもらいたいなと思っている訳さー!
政府軍兵士『解析班! 既に録音を開始しています!』
おっとっと!言っておくけどねー?こっちにはね、人実がいるんだよ?人質!
ディーヴ王国第二王女のキュウカ姫様。そして裁判官15名のぉ~…全部で16の人質がね!いるの!
ハクライ「……(誘拐されたのはかの姫君ともう一人いたはずでは――――…まさか、脱走か…あるいは……) 」
だーかーらーねー?我々に立て突こうとすればどうなるか~?わっかるよねええええええええぇ????
エルナ「(かっちーん――) うっざ…なに、これ?(やや苛立った顔で放送を聞いている) 」
でもね!でもねでもね!!貴様等がこちらの要求にきちーんと応えてくれたならさ!彼女たちを解放しようと思うんだよねー!
政府軍兵士「…!(
赤い泪……!!こいつらが、司法の島を乗っ取った……!?)(話を聞き) 」
オーディン「奴ら…何が目的だ… 」
我々はね、今ね、人間の血液が欲しいんだよねー。とりわけ強い者たちの純粋な血をさ~。ありっっっったけの血液を差し出してくれたらさ、その量に応じて一人ず~つ開放を約束しようじゃない♪
なぁ~に!どの人間を差し出せばいいのかなんて簡単なことだよ!貴様等せーふが指名手配している犯罪者たちを差し出せばいいだけのは・な・し!
貴様等は世界の秩序を守る為に犯罪者を狩り尽している。そうだろう???そーんな奴らを一掃できる絶好の機会だとも思わない??ねっ?ねっ?ねねねっ???
政府軍将校「…血…?そんなものを集めて、一体何を… 」
――――「一週間」だ。一週間の内に、多くの血液を、犯罪者たちをこっちへよこせよ。
さ・も・な・い・と~?人質全員のこーかい処刑を皮切りにぃ~…全世界に有毒ガスをばら撒いちゃうぞー♪いぇ~~~~~~い♪
C.P.(サイファポール)「正気の沙汰じゃねえ…我々の仲間を死に追いやった、あの毒ガスをだと…ッ…?」
政府軍兵士「………(…全員公開処刑、有毒ガス……こいつぁ、まずいことになったなぁ)」
あっ、そうそうっ、戦争を持ちかけても無駄だよ?だって我々は~?全人類をいっっっっしゅんでぇ!死滅させる術を幾らでも持っているのだからさっ♪
さあ!さあさあ!さあさあさあさあ!!間もなく0時だぉーん!世界へーわの為に、せーぜー頑張りたまえよ―――――― ば い び っ 。
カ コ ン ッ ――――――(刻が 0時 を指す) 」
シング「(島内部・某所――)……さァ…始めるぞ…――――(赤く不気味な輝きを帯びた石を徐に掲げる) 」
―――― ォ ォ ォ … ッ … … ォ ォ ゥ ン … ッ … …… ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … ッ … ! ! ! (定刻と共に引き起こる地響き… 司法の島を中心に海に波紋が描かれ、それが向こう岸の大地にまで伝わり振動する)
政府軍兵士『……!!? な、なんだ…ッ…!? 凄い揺れだぞ…!どんどん大きくなっていく…! 退避しろ!何か来るぞ…!!』
ズ シ ャ ア ア ア ア ァ ァ ン ッ ! ! ズ シ ャ ア ア ア ア ァ ァ ン ッ ! ! ! ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! ! (その後、島全体から幾つもの白い柱が突出。傾倒状態で現れた幾重の柱が交錯し、やがてそれらがひとつの巨大なオブジェを構築し始めていく)
ガタル「んなっ…!?なんじゃありゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーー!!??(あんぐりと口を開けて唖然とする) 」
政府軍将校「総員退避ー!!急げぇーッ!!!」 」
ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … ッ … … … ! (揺れが収まった時には、彼らが目にしている島の景観が塗り替えられていた。青く美しかったデッドエンドは火山灰を被った様な白銀の都市と化し、その中央には…螺旋状の真っ白なオブジェに包まれた巨塔がそびえ立っていたのだった)
キリヤマ「(ガスの中和策は……一週間では厳しいか、しかしこれも手段の一つとして考える必要がある…無謀ではあれど) ……(考え込んだポーズのまま島を襲う異変を眺め)成程、彼らは中々洒落ている 」
ハクライ「……(終始微動だにせず仁王立ちで佇んでいた男は、その変わり果てた島を鋭い眼差しで眺めていた)……遅かったか。やはり奴らの目的は『賢者の石』―――もはや悠長なことはできぬ。ブ ワ サ ァ ッ … ! (コートを靡かせながら踵を返す)一旦本部へ帰還する。総員は現場待機。本部からの指示を待て。 」
政府軍将校『はっ!!!!』
エルナ「…ッ…(なによこれ…こんなことって…)(一変した島の景観に思わず息を呑む)……っ…!ダ ッ (居た堪れない気持ちに感化される様にその場を後にする) 」
政府軍兵士「はっ!(賢者の石……よっぽどのものだろうなぁ)(ハクライの話を聞き) 」
政府軍兵士「…(しかし、俺らの仕事は政府に付き従うこと…調査は聞いてるだろうあいつらに任せよう)(その場を後にする) 」
ドンモルガン「これより付近の支部にて臨時の対策会議を開く!中尉以上の方々は早急に集まれよ! 」
デュー「(煙草に火をつけ) フ ゥ ー … さぁて、こいつは荷が重いぜ。(名立たる将校等と共に、ドンモルガンの声についていった) 」
最終更新:2018年07月18日 20:49