「仮面ライダーカブト』(かめんライダーカブト)は、2006年(平成18年)1月29日から2007年(平成19年)1月21日までテレビ朝日系列で毎週日曜8:00 - 8:30(JST)に放映された特撮テレビドラマ作品、及び作中で
主人公が変身するヒーローの名称である。
「平成仮面ライダーシリーズ」第7弾となる作品である。
キャッチコピーは「天の道を往き、総てを司る!」「俺が正義」
仮面ライダーカブト あらすじ
1999年10月19日、地球に飛来し日本・渋谷に落下した巨大隕石により、その周辺地域は壊滅した。そして7年後の2006年、人間を殺害しその人間に擬態する宇宙生命体・ワームが出現。ワームに対抗するため、人類は秘密組織ZECTを結成し、マスクドライダーシステムを開発した。一方、ZECTの見習い隊員・加賀美新は、自らを「天の道を往き、総てを司る男」と自称する天道総司と出会う。
変身者達
- 天道 総司(てんどう そうじ)/仮面ライダーカブト
21歳。本作の主人公。仮面ライダーカブトの資格者。自らを「天の道を往き、総てを司る男」と称すなど常に冷静沈着・傲岸不遜な性格で、自分が世界で1番偉いと本気で思っており、時折、天(空)を指し示すポーズをとる。人を見下した言動は多いが、弱者は傲岸な態度ながらも助ける。妹には常に優しく接するが、妹が危険に晒された際は取り乱すこともある。自分が1番と思っているが故に独善的で、独力で物事を解決しようとする傾向が強く、自分で解決できないことには脆く、度を超した秘密主義で時に加賀美をも欺いたり、誤解を招く部分がある。自らを“選ばれし者”と信じ、戦う日が来るまで準備を続けてきたため、定職に就いていない。その割に劇中で金に困っている様子は無く、住んでいる家もかなりの豪邸。7年間の鍛錬を費やしたので、生身でもワームと互角に戦えるなど極めて高い戦闘能力を持つ。人気者で社交的な性格だが、上記の理由か友達はいなかったらしい。
祖母(劇中未登場だが天道によると未だ健在)を心から尊敬しており、しばしば「おばあちゃんが言っていた…」というセリフの後、数々の尊い教えを口にする(これらの格言の数々は天道語録と呼ばれている)。プロ級の腕前である料理(前述の教えも料理に例えたものが多い)をはじめあらゆることに精通するが、ひよりやじいやなど自分より優れた腕を持つ相手には敬意を払う。時たま、ところかまわず料理の腕を振るうが、彼がひとたび料理を作ればそれが病院であろうが道端であろうが、たちまち長い行列ができる。自分からラーメンの屋台を始めたこともある。
加賀美のことは“退屈しない面白い男”と評し、窮地に陥った時には手を貸すこともある。しかし、逆に精神面で彼に助けられることもあり、その大胆かつストレートな性格に少なからずも影響を受けており、自身の生い立ちや人類の存亡に関わる重大な事実を彼だけに明かすこともある。特殊な理由がある場合以外はZECTに所属しようとはせず、単独行動を好む。そのため、度々彼とZECTメンバーの間で衝突が発生する。
旧姓は日下部。3歳の頃、父と妹を妊娠中の母がネイティブにより殺害・擬態された後、祖母に引き取られ“天道”姓になる。その後、祖母の家に樹花が誕生し、東京タワーに近い一軒家で彼女と共同生活を営むようになる。7年前、両親に擬態したネイティブと遭遇し、彼らが連れていた少女がひよりに擬態したネイティブであることを察する。直後に渋谷隕石の災厄に巻き込まれ、これを機に復讐を果たそうと画策。しかしひよりの叫びを聞き思い留まる。そしてネイティブであっても、生まれる前に殺された妹を守ることを決意。総一としての記憶を取り戻した擬態総一からライダーベルトを授けられ、その後の7年間を鍛練に費やし、カブトゼクターとの邂逅を契機にワームとの戦いに身を投じる。
最終回ではネイティブ壊滅後、豆腐を片手に歩く姿が見られた。バックには、東京タワーならぬエッフェル塔があった。
- 加賀美 新(かがみ あらた)/仮面ライダーザビー(2代目)/仮面ライダーガタック
21歳。血液型はA型。本作のもう1人の主人公。ZECT・田所チームの見習い隊員→仮面ライダーガタックの資格者(一時期は仮面ライダーザビーの2代目資格者)。ZECTの隊員として働く一方、普段は洋食店“Bistro la Salle”でアルバイト店員も務める。性格は一本気かつ心優しい熱血漢で、目的のためにZECTの意に反する行動にも出る信念を持つ。その心が挫けても立ち上がる精神的強さは、逆に精神的な脆さを見せる天道に影響を与えることもある。警視総監でもある父・陸とは確執があり、“父の七光り”を非常に嫌う。
弟・亮がワームに襲われ行方不明になったことを契機にワームを憎み、全てのワームを倒すことを誓いZECTに入隊する。当初はカブトに変身しようとしてもカブトゼクターに拒否され、その後も共に戦う仲間を命を賭けて守ろうとした行為をザビーゼクターに認められ、ザビーの資格者兼
シャドウリーダーとなるが、紆余曲折を経てザビーとシャドウリーダーの資格を自ら返上。後に1度ワームの攻撃を受け絶命するが、陸が与えたライダーベルトの力により蘇生、同時にガタックゼクターに認められガタックの資格者となる。その後はガタックとして戦う一方、ZECTと“マスクドライダーシステム”の真実を探る。なお、ガタックになれたのがよほど嬉しかったのか、悲劇的であった初変身の翌週に放送されたエピソードでは冒頭からライダーキックをかまし「よっしゃ!強いぜ俺!」とガッツポーズをしていた。
根岸と共闘することを誓い、ZECTに反旗を翻すカブト=天道を倒すが、トップの座を奪われた陸を救った際に真実を知る。最終回には三島を倒し、1年後には警官として生活を送っていた。
雑誌のキャンペーンDVDでは、天道がハイパーゼクターを使っていることを羨む場面が見られた。また、カブト=天道の戦い方を真似て失敗するという場面もあったが、最後には一回限りでハイパーゼクターを使用できた。
- 矢車 想(やぐるま そう)/ 仮面ライダーザビー(初代)/仮面ライダーキックホッパー
27歳。仮面ライダーザビー最初の資格者→仮面ライダーキックホッパーの資格者。作中においてのザビー最初の資格者であり、シャドウの初代リーダー。ZECT所属当時は「パーフェクト・ハーモニー(完全調和)」の信念のもとに行動する完璧主義者で、的確に部下を指示しチームプレーで対処することから、部下たちからの信頼は厚かった。この性格ゆえに、調和を乱す自分勝手なスタンドプレーを非常に嫌っていた。しかし、シャドウをことごとく出し抜く天道に苛立ちを抑え切れず、カブト抹殺に執拗にこだわり、それを優先するあまり部下を見殺しにしたことでザビーゼクターに見限られ、ザビーの資格を喪失。シャドウチームリーダーからも解任され、最終的には影山によりZECTから事実上追放される。
その後しばらくの間は表舞台から姿を消すが、中盤からキックホッパーの資格者として、己を卑下し「完全調和」の精神を喪失するほどにやさぐれて登場し、紆余曲折を経て孤立した影山にもう1つのホッパーゼクターを授け「弟」とする。以降どのグループにも属さず、自らを「闇の住人」と称し影山と2人で気の赴くまま、ライダー達やワームに戦いを挑む。ザビーゼクターが影山を見限った後に再び選ばれかけるが自ら拒絶する。神代剣を一時「弟」に加えたり人に戻った時の間宮麗奈に手を差し伸べるなど、「闇」に堕ちた人間には寛容な姿を見せる。初期の口癖は「完全調和」、「パーフェクト・ハーモニー」、やさぐれてからは「どうせ俺なんか…」、「今、俺を笑ったな?」、「笑えよ」、「お前はいいよなあ…」など。
かつてはプライベートな趣味として料理を嗜み(腕前は豆腐対決で(ひよりの好みであったため)1度は天道に勝つほど)、時に部下に手料理を振舞うこともあったが、キックホッパー資格者となって以降はほとんどインスタント食で済ませている(「兄貴塩」と「弟味噌」というカップ麺を、影山と2人でそれぞれ食べるシーンがあった)。ただ、実現しなかったものの天道と再び料理勝負をしようとしたことから、出来なくなったわけではないようである。最終話直前、ワームと化そうとしていた影山からの頼みにより、彼をライダーキックで打ち倒す。
なお、劇中で彼のみ「
仮面ライダー(ドレイク)」という言葉を使った人物である(PS2版でもザビー(矢車)に対して「仮面ライダーザビー」と呼んだ。)
- 影山 瞬(かげやま しゅん)/仮面ライダーザビー(3代目)/仮面ライダーパンチホッパー
20歳。シャドウのメンバー(後にリーダー、詳細は後述)→仮面ライダーザビー3代目の資格者→仮面ライダーパンチホッパーの資格者。生真面目な体育会系の青年で、当初は矢車を尊敬していた。しかし本性は主体性が希薄で、自分を周囲に認めさせることやZECTの地位を失わないために、手段を選ばない行動力と嫌いな相手にすら泣きすがる卑屈さを併せ持つ。
矢車がザビー資格者復帰を目指す際、組織を乱す不協和音としてあっさりと切り捨てた後、ザビーゼクターに選ばれシャドウ隊長に就任。しかしその後は任務失敗を重ね、結果的に天道にザビーゼクターを奪われたのを機に、自らもまた不協和音と見なされZECTを追われ完全に孤立する。その後はワーム側からも見限られ、その際に矢車に助けられ結束。差し出されたホッパーゼクターを受け取り、パンチホッパーの資格者となる。以後は彼を「兄貴」と慕い、2人で気ままな行動をとり続ける。しかし彼自身は矢車曰く“燃えカスのような”正義感と過去の栄光を求めており、誘いを受け再びザビーに復帰。しかしカッシスワームに惨敗してザビーの資格を完全に失い、再び矢車の元へと戻る。このことから、矢車には度々「光を求めるな」と叱責される。
矢車と影山の2人は35話のサブタイトル「地獄の兄弟」から、「地獄兄弟」と呼ばれることがある。最終話直前、ワームになりかけた事で矢車に「さよならだ、兄貴…」と自身を倒すように懇願。ライダーキックで倒される道を選ぶが、生死の明確な描写はされなかった。放送当時から地獄兄弟の人気は高く、三年後の『仮面ライダーディケイド』ではカブトメンバーの中で唯一オリジナルの俳優が変身後の声をあてている。
- 風間 大介(かざま だいすけ)/仮面ライダードレイク
22歳。仮面ライダードレイクの資格者。少女・ゴンと常に行動を共にしている。我流「風間流」なる独自のメイク術を持つメイクアップアーティストで、いつも持ち歩いているギターケース内に、大量のメイク道具が入っている。本職であるメイクアップの腕前は非常に高く、「風間流奥義・アルティメット・メイクアップ」なる美技を駆使して、どんな女性でも美しく変身させる。多くの上客を持つ売れっ子だが話術までは手が回らず、肝心のキメ台詞の途中で言いよどんでしまうケースが多々あり、ゴンにキメ台詞をフォローしてもらうのが常である。バイクなどを支給されているが天道と同様にZECTには所属していない。作中に登場する仮面ライダーの中で唯一ZECTに一度も所属しなかったのは大介だけである。
飄々として掴みどころのない自由気ままな性格で、「女は花」を口癖とするフェミニスト。それゆえ自らを「花から花へと渡る風」と称し、世の全ての女性を守ることを信条にしている。逆に男性に対しては興味がなく、ライダーとして戦うのもドレイクゼクターの指示やZECTからゴンを人質に取られて強制されたケースがほとんどである。相棒のゴンには叱咤されっぱなしで、「子連れじゃ格好がつかない」と表面的には疎むが、ゴンの窮地には戦いにも出向いたりと、彼なりに保護者としての自覚は持つ。一時期ゴンと別れた際、明らかに生気が無くなり本業でも鳴かず飛ばずとなったことにより、彼女の存在の大きさを身をもって知ることとなる。
後にカブトとの戦いで重傷を負いワームとしての記憶を失ったウカワーム=間宮麗奈と出会い、本気で恋に落ちる。しかし麗奈はすぐにウカワームの記憶を取り戻し、最後には自らの手でウカワームを倒した。
最終回にはゴンと共にla Salleに訪れた。ちなみに加藤のスケジュール上の都合で出番が少なかった。
- 神代 剣(かみしろ つるぎ)/仮面ライダーサソード
20歳。仮面ライダーサソードの資格者。自らを「神に代わって剣を振るう男」と称し、「俺は全ての分野において頂点に立つ男」「~においても頂点に立つ男だ」と言うことが度々あり、口癖である。天道とは、料理対決に敗北した末、和解するまで張り合う。英国の名門貴族・ディスカビル家の本家筋である神代家の当主として、執事のじいやと共に大邸宅に住む。じいやからは「ぼっちゃま」と呼ばれている。数ヶ国の外国語を喋るほどの教養や、変身せずにロングソード1本でワーム(サナギ体)数体を倒すほどの身体能力など高いポテンシャルを秘めるが、現代社会の常識とかけ離れた教育の賜物からか、世間一般の事柄に疎く一般常識は皆無に等しい。また、ディスカビル家に代々伝わる聖剣ディスカリバーを所持している。
1年前、目の前で姉・美香をスコルピオワームに殺害され、それをきっかけに自身だけで全てのワームを倒すと誓いワーム狩りを始めるようになり、当初はそれを邪魔する者はライダーであろうとも排除する戦いを行った。また、一時期はZECTにもワーム1体を倒すにつき120万円という報酬で雇われる形で所属していたが、ガタック出現に連座して三島に一方的に契約破棄をされてしまう。姉を殺害された記憶を蘇らせるトラウマから、薔薇を嫌悪する。
性格は「常に貴族らしく振舞うこと」のみ教育されたことで培われた絶対的な自信を持つが、本質的にはかなり素直でじいやを解雇した時以外は自身の非を素直に認めている。また、下々の民への配慮には彼なりに気を遣い、高貴な振る舞い(noblesse oblige)を信念とし、自らが高貴な振る舞いを認めた者に対しては信頼と尊敬を示す。特に加賀美に対してはワームに家族を殺されたという共通点から、彼を「カ・ガーミン」と呼び親友として慕うようになる。本作のライダーで最もコメディー的なトラブルメーカーであり、その影響で様々なコスプレも披露する。1度解雇するなどのアクシデントはあるが、じいやとは互いに親子愛のような深い絆で結ばれている。
神代家は現在経済的に破綻した没落貴族だがその事実を知らず、後に真相を知ると自ら神代家を立て直すためアルバイトに精を出す。社会経験が無いためミスを連発するが、稼ぎは少ないことも意に介さず努力し、徐々に人並みの幸せを理解していく。そして岬に対して姉の面影を重ね合わせ恋心を抱くようになり、以来彼女を「ミサキーヌ」と呼び積極的にアプローチをかけては毎度失敗するが、最終的に姉の代わりではなく岬自身を愛することを決意する。
カッシスワームとの交戦により自らの正体を知ることとなり、苦悩の末に自分を含めた全てのワームを消し去ることを決意。「ワームの世界でも頂点に立つ」という悲壮な意思を秘めて、カッシスワームを服従させワーム軍団の支配者となる。人類への総攻撃のため散り散りになっていたワームをアジトに結集させることでZECTにワームを根絶させ、自らも天道と事前に交わしていた密約の下、カブトに倒される。最期はじいやに看取られながら静かに息を引き取った。
仮面ライダーダークカブトの資格者で、天道に擬態したネイティブ。彼だけが持つ特殊能力により、「時空の狭間の世界」と現実世界を自由に行き来することができる。彼の存在はZECTの中でも一握りの人間しか知らない。
渋谷の「AREA X」と呼ばれる地点の最深部で鉄仮面を被らされ拘束されていたが、三島にハイパーゼクターの実験体にされた際、彼の声に導かれAREA Xの地下に訪れたひよりと出会った直後にハイパーゼクターが暴走、ひよりと共に時空間の狭間へと飛ばされ、その中を2人で彷徨う。AREA Xに幽閉されたことで恐怖と憎しみから理性を失ったが、時空の狭間でひよりと触れ合う内に善悪の区別はないものの理性を取り戻す。一時は現実世界に戻り、ひよりが天道を拒絶していることを理由に天道本人を抹殺しようとするが、ひよりが天道の説得により現実世界へ戻ったことにより失敗に終わる。後に幼少の頃にネイティブに拉致され、彼らの度重なる人体実験の結果ネイティブワームと化した元人間であることが判明する。人間ということは判明しているが真の素顔と名前は不明。
グリラスワームへと変貌した三島の圧倒的な力の前に敗れ去り、人類ネイティブ化の装置に渋谷隕石とともに組み込まれた。その後グリラスワームの爆発とともに起こった装置の破壊で自由となるが、「この世界を頼んだよ」と最後の言葉を残し、黒幕・根岸もろとも火の海に飛び込む。
性格がTV版とPS2版で大きく異なっており、前者は天道と正反対に明るく無邪気な性格だが、後者はダークカブトの名の通り、邪悪なものとなっている(そのため、一人称でも「僕」から「俺」に変わっている)
- ハイパーカブト(仮面ライダーカブト ハイパーフォーム)
中盤に登場した謎の戦士。天道たちの行動を妨害するが如く現れ、瞬く間に姿を消す。その正体は未来を変えるためにハイパークロックアップで現代に現れた未来の天道で、現代の天道がハイパーゼクターを入手してからは登場しない。
クロックアップ
『仮面ライダーカブト』に登場する仮面ライダーカブト他のライダーたち(マスクドライダーシステム)は「クロックアップ」という特殊機能を発動させることで普通の人間からは目にとまらないほどの速さで行動できる。クロックアップ機能はカブトたちの敵であるワーム(成虫体)の能力を元に開発されたらしく、双方がクロックアップして動きが止まった世界で戦う演出がしばしば見られた。また、カブトのライダーキックは基本的に飛び蹴りではなく回し蹴りであり、先述した演出上の問題への配慮がされていた(ただし(番組製作の都合により)場所移動するときに行われる、すれ違い交差しながらの戦闘という表現中は、普通に飛び跳ねながら移動している)。また強化型のハイパークロックアップでは時間移動可能(劇中のセリフ及び劇場版結末)であるため実はタイムマシンである。
最終更新:2010年08月14日 12:21