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自分には、妹がいる。
それはちょっと、自分に依存している妹だと思う。
自分がいなくなったら、どうなってしまうのかわからないぐらいには。
自分と、妹は、ありふれた家族だ。
ただ、ちょっと自分が依存されすぎているだけの、家族なのだ。
普通のそれ以上に、べたべたとくっついて。
普通のそれ以上に、甘えられて。
普通のそれ以上に、甘やかすのはやめられない。
こんな日々がいつまでも続くと思っていた。
自分も、妹も笑顔だったから。
いつまでも、続いてほしかった。
目が、覚めた。
夢を見た。
妹と、自分が一緒にいて
ただ、微笑んでいる。
いつものように、ただ。
ありふれた日常だ。
ありふれていた日常だ。
ありふれていない日常だ。
もう、自分の手には届かない日常だ。
二度と、叶わない。
もう二度と、会えないのだろう。
胸が苦しくなった。
心が傷んで、張り裂けそうで、
泣き方はもう、忘れてしまった。
ただ、声を押し殺した。
何も、信じられるものなんてない。
ひとりなんだ。
独りなんだ。
孤独なんだ。
家族なんて、いないんだ。
この世界に、自分はひとりだ。
頼れるものなんて、何もない。
だから、立ち上がらないといけない。
自分がひとりだけでも、立ち上がらないと。
誰も手を掴んではくれない。
自分から差し伸べる勇気もない。
何もかもが、怖い。
恐い。
こわい。
コワイ。
今日は、夢を見た。
声は、押し殺した。
ありふれていたはずの、夢だった。
絶対に、戻れない。
孤独を覆うように、慈悲無き夜が始まる。
最終更新:2024年04月11日 03:20