Rainy Day In The Noise Day 0

Day 0





 落ちない、落ちない、落ちない落ちない…
 ずっと水で漱いでいるのに落ちない
 耐え難い悪臭が
 自分自身の、人間の臭いがいつまでも消えない




遥か遠く、一筋の光が漆黒を裂き、流血は夜空を青白く淡い色彩で照らしている
地平線の彼方へ日の埋没が始まる、間も無く新しい朝が訪れ里の人間が目を覚ますだろう
それが開戦の合図、儀式の始まりを告げる灯火は空に太陽を、闇夜に蹂躙する月には死を
この世で正しいことは白、大罪は黒、多くが白と言えば賛美され、多くが黒と言えば虐げられる
この世の理、人類は正義ではなく、『悪』無くして生きてゆけない
『悪』を挫くことこそが正義であり、正義を肯定するは悪であるのだ

もうすぐ死ぬ、弦がプツリと切れるように呆気なく死ぬ
死後の世界があるとか、そんなことはわからない、でも仮に天国や地獄があったなら、
自分は地獄へ堕ちることを望まれる

水面に写る自分の顔を覗き込む
紫色の宝石の中に金箔を塗したような瞳、それはさがら小宇宙のよう
そう、自分は『原罪の子』なのだという
ただそれだけで、俺はもうすぐ死ぬ
この世のあらゆる不幸、災いを齎す申し子とされ、この世に溢れた不幸やマイナス全てを背負わされた挙句、
井戸の底の闇へ存在を返すしきたりのようだ

狂っている、こんな理不尽はもう嫌だ
小さな子供の掌が震え、汲み取った水の波紋が夜明けの光をくしゃくしゃにしている

だが助けは期待しない、神からも見捨てられたゴミ屑のような自分にはそんな事はあり得ない
この世のあらゆる最悪と共に捨てられ、その分の幸福が、世界に光を齎すのだろう

数多の星が瞬いていた、無数の星が…
世界とはなんだ? 今自分がいるここは、世界の一部でしかないのではないか?
今ここにいる人類とは、例えば他に人類が居るとしてそれよりも遥かに劣っているのではないだろうか
だとしたら…

『ここから逃げたい』

乾いた囁きに呼応するように、星々の一つが尾を引いて動き出した
追随するようにいくつもの星々が、その身を焼きながら火の雨のように降り注ぎ始めている

その中で一際大きな光を放つ異色な流星が、徐々にその輪郭を明確にし始めていた
人の形をした光が、徐々に徐々に大きくなっている
近い、アレは近くに堕ちる

その時何を思ったのかわからない、ただ…一目散に駆け出す、それだけだった

両脇を田畑が流線状の川のように通り過ぎて行く、水辺が目の前に迫る、構わない、
もともと素足だった自分の足は飛沫をあげなら目へ前へと繰り出されていた

一筋の光が垂直に落ちながら地平線と重なる、もう少しだ、もう少しで手が届く…そして

届いた



走ることを止めて両手で掬い取ったソレの様子を見つめる
そいつは小人のように小さく、触れたという感触がないほど軽くて弱々しかった
人の形をした光が、クルクルと駆け回っている
そしてそいつに触れた瞬間、脳裏にはある名前が過っていて、自然とそれは口に出ていた

ミトラ?…?』

こんなちっぽけな光にも名前があって、伝えることができる
少し羨ましくて妬ましい
酷く衰弱しているこの光は多分、やがてこうして形すら保てなくなって風の一部になってしまうだろう
そうしたら、もう名前なんていらないだろう

──否定したいか?

その光は触れた掌から電気を駆け巡らせ腕から脳へ直接伝えたのか、こう説いてきた

──自分という存在を、自分が人間であるということを


 落ちない、落ちない、落ちない落ちない…
 ずっと水で漱いでいるのに落ちない
 耐え難い悪臭が
 自分自身の、人間の臭いがいつまでも消えない

 人間の悪臭が消えない

ただ、黙って頷いてみると光は足を止め顔らしき部位の角度を上げる自分を見た

「わかった…君の意味は僕が貰う
 それでいいんだな」

どうするべきか、わかるよりも理解した自分は、そいつを口に近づけ…
そうすることに連れて発光し火花を散らしながら生命が芽吹くのを感じながら、
そいつを飲み込んだ

契約は完了した
僕は大切な何かを失い、それ以上に大切な何かを得た
そして、何より大切なものに出会う

『ミトラ!』

知らない少女の叫び、振り返れば、
何故かそこにいるのかどうか、姿がハッキリと見えるのに、
陽炎のようで安定しない存在のように感ぜられる黒髪の少女?が、
こちらへ真っ直ぐ腕を伸ばして何かを必死に訴えようとしていた

『私は【   】! きっと会いに行くから、絶対に見捨てないから…』

なんだ? 一体何を言っている?

『生きて! 果てしない未来かもしれない、永遠に限りなく近い時間かもしれない!でもきっとまた会えるから!』

生きろ…だって?

『忘れないで、あなた自身が選んだ名前を!あなただけが選択した名前を!』

そんなものないだろ?たった今さっき『借りた』名前が僕の名前だろ?
そんな僕が、僕自身が生きるだって? じゃあ教えろよ、僕に本当の名前なんてあるのか?

『それまできっと生きて……──』

少女の言葉は途絶える、さっきまでそこにあったはずの空間に歪みが発生し、
蟻地獄に飲み来れるようにして彼女は消えた

『生きて』…そんな言葉を掛けられたのはそれが初めてだった
生き続けた果てに何があるっていうんだ?
もしも、再び彼女に’巡り合えたならその答えをくれるのか?



僕には力の使い方がわかっていた
既に意思を失っていたミトラの力は自分の手足のように感覚だけで充分扱える
僕は、’生き延びるためにそれを行使し、
指で埃を払い除けるように、脅威を退けた

ベルゲンはその日消失する
唯一生き残った村長は水晶に閉じ込められ井戸の底へ沈み、
そのうち誰からも忘れ去られた

だが、歩けども歩けども世界は腐敗臭が漂い、何度人生を繰り返しても、
何度転生しても、それは変わらなかった

そして、彼女と巡り合うのは、やがて考えることをやめ、記憶を全てを失ってからの話だった





Dive to the Eden…

ああ、神でも、悪魔でも、何でもいい

Dive to the Eden…

私に安住を’、心の膿に染め上げられた影が、堕ちるように、沈んでゆくように、
そこへ誘われることを、この形でしかない世界から救い出されることを

I.am.Avenger

隣人に嘆きあれ、隣人に報いあれ

I.am.Avenger

愛の反対は無関心。私の愛は一回転してあなたを殺す

Come back my herth

私が私であるために、私があなたのしたことの全てを忘れないために

Come back my contry

私がこの手で壊してあげるから

──そしていつしか気付く

For you…

ただ一人、寂しがっている貴女へ

Pandra box in End of the Eden

永遠に囚われてしまった貴女へ

Pandra box in End Of The World

──この世界そのものを捧げたい──


それが
この世の全てを嘆きで包んでしまうとしても
もう迷わない








────破壊したのか

────いいや、コレはミトラに対抗できる鍵だ、壊れては困る。だが修復なしでは動けまい

────だが手懐けられなくては元も子もないだろう、彼はミトラを、いやパンドラを感じていた

────私や人間が憎いとでも言ったのかね?
    戯言だな、複製品に感情など存在しない

────……もしもパンドラに会えたなら、変わっていたかもしれない

────……最早関係のないことだ、記憶を削除した後、来るべき時まで混沌世界に生活させる

───哀れな…






NOAH クス…あなた、お名前は?あ、私はNOAHだよ

KARNA そういえば…名前を聞いておらんな

────…名前……

────『Alvis』…それが僕の名前──




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最終更新:2025年01月21日 03:05