ミドルゲーム1

ミドルゲーム1


チェスにおいて通らざるをえないミドルゲームの指し方について書きます。
中盤の指し方において簡単な説明はしましたが、あれだけでは説明不足だと思います。
ここでは具体例も交えて書こうと考えているので、分かりやすくなっているはずです。


ポジションの重要性

チェス初級者の章で紹介したいくつかの手筋は、当然ですがあのようなポジションを取ることでしか成しえなかったことです。
ポジション上の優位に立つことが勝利への鍵となることは間違いありません。
ポジション上の優位に立つとは、つまり相手に多く弱点があり、それらを攻撃する態勢が整っているということです。
では、その形にもっていくためにどの手を指すのがいいのでしょうか。

ナイトポスト

ナイトポストは、ナイトがポーンに追われないような位置のことを指します。ほとんどの場合、相手のポーンが前に出てきているときにぽっかりと空いたようにできます。
ナイトポストにいるナイトは非常に強く、場合によってはルーク以上の価値があります。
そこに存在しているだけで、十分すぎるほどの威力を発揮します。
そのようなナイトがどれだけ強いか、実際に見せましょう。

e5 の位置にいるナイトがとても強いです。f7 にいるポーンでナイトを追いたいところですが、f6にナイトが存在しているために突くことができません。さらにこの場合は d3 のビショップがキングに効いています。

1. Nxd5! exd5
2. Nxd7 Qxd7
3. Bxh7+ Kh8
4. Bf5++-

仮に d5 のナイトを取らなかったとしても、局面は絶望的です。

このような局面になったときに 1. Ne5 は視野にいれてもいい手です。
仮に 1...Nxe5 でも 2. dxe5 Nd7 3.f4と、キングサイドで強い形を作ることができます。
その後、d4 がナイトポストとなり、Nf3 から Nd4 と入ることができます。黒にとっては e4 がナイトポストになるでしょう。
局面はほぼ互角です。

オープンファイルの支配

オープンファイルはポーンの無い縦のラインのことで、そこにルークを置くことでポジション上の優位に立てます。
特に、二つのルークが重なると破壊力は抜群です。
以下の実践譜は1972年に指されたフィッシャーとスパスキーの試合です。

[White "Fischer, Robert James"]
[Black "Spassky, Boris V"]

1. c4 e6 2. Nf3 d5 3. d4 Nf6 4. Nc3 Be7 5. Bg5 O-O 6. e3 h6 7. Bh4 b6 8. cxd5 Nxd5 9. Bxe7 Qxe7 10. Nxd5 exd5
11. Rc1 Be6 12. Qa4 c5 13. Qa3 Rc8 14. Bb5 a6 15. dxc5 bxc5 16. O-O Ra7 17. Be2 Nd7 18. Nd4 Qf8 19. Nxe6 fxe6 20. e4 d4
21. f4 Qe7 22. e5 Rb8 23. Bc4 Kh8 24. Qh3 Nf8 25. b3 a5

オープンファイルを支配するにはオープンファイルを作らなければ始まりません。
当然、作る際には本当に支配できるかどうかを考える必要があります。

26. f5! exf5 27. Rxf5 Nh7 28. Rcf1+/-

ルークを二つ重ねてfファイルを完全に支配しました。

28...Qd8 29. Qg3 Re7 30. h4 Rbb7 31. e6 Rbc7 32. Qe5 Qe8
33. a4 Qd8 34. R1f2 Qe8 35. R2f3 Qd8 36. Bd3 Qe8? 37. Qe4+- Nf6


途中で白は余計なことをしているようにも見えますが、黒の反撃手段を封じ、黒が悪手を指すことを狙っています。
そして、36手目の黒に決定的なミスが出ました。
37. Rf7 がおそらく最善手ですが、37. Qe4 でもまったく問題ありません。白勝勢です。

38. Rxf6! gxf6 39. Rxf6 Kg8 40. Bc4 Kh8 41. Qf4

残り7手以内でメイトできます。
黒はここでリザインしました。

白の勝因はやはりfファイルに二つ重ねたルークです。あまりにも強力すぎたために、黒は全く成す術がありませんでした。
このようにオープンファイルを使った攻撃は強力なので、ぜひ、実戦でもやってみてください。

セブンスルーク

セブンスルークは7段目にいるルークのことで、実戦ではかなりの頻度で出てくる上に非常に強力な攻撃ができます。
7段目にいることによるメリットは非常に大きく、
  1. 相手の弱いポーンを次々と食べれる
  2. 相手ポーンを後ろから狙える
  3. 相手キングの動きを制限し、キングを直接狙える
ことがあげられるでしょう。このセブンスランクを支配することができれば大きなイニシアティブを握れるため、積極的に狙ってください。
下はセブンスルークがいることによって勝った典型的な例です。

1. Rxh7+ Kxh7 2. Qh5+ Kg8 3. Qf7+ Kh8 4. Qxg7#

ビショップの優劣

ルーク、クイーンがない。またはオープンファイルが少ない局面において、ビショップの位置が局面の優劣に大きな差を与えることになります。ここでは話を分かりやすくするために、エンディングの局面を持ち出してみることにします。

白先
駒の損得は同じですが、ビショップの位置の差が大きく白優勢です。

1. Bc6 Nc7 2. Nd6+ Kd8 3. Kd4

図のように黒のビショップが自分のポーンに閉じ込められ、活用するには矢印のように三手必要です。
しかし、白キングがb6に入ることを阻止する有効な手段がなく、パスポーンを作られてしまいます。

ビショップは盤面の半分しか動けないので、いかにして多くのマスを支配するかが大きなポイントです。
黒のビショップのように、自陣で身動きがとれなくなっているビショップを「バッドビショップ」と言います。




最終更新:2010年09月06日 19:46
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。