ゲームの観戦

では、実際にゲームを見てみましょう。
以下のゲームは1969年に世界選手権で指された、スパスキー対ペトロシアンの試合です。


[Date "1969.06.04"]
[White "Spassky, Boris V"]
[Black "Petrosian, Tigran V"]
[Result "1-0"]
[ECO "B94"]

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6

シシリアンディフェンスの中でも、最も強力なナイドルフ・バリエーションです。
お互いに危険な展開になりやすい定跡で、とある本には「黒番で勝とうと思うならこの定跡を選択すべき」と書いてありました。
現在も多くのプレイヤーに愛用されています。

6. Bg5 Nbd7 7. Bc4 Qa5 8.Qd2 h6 9. Bxf6

ビショップを引くのは手損だという考えでナイトと交換します。
序盤の一手に高い価値があるのは説明した通りです。

9...Nxf6 10. O-O-O e6 11. Rhe1 Be7

黒がキングサイドにキャスリングを行う場合は、白からのキングサイドアタックに十分注意する必要があります。
当然、黒はその可能性を考慮していたでしょう。そのうえで、b5,b4とポーンを進め、空いているcファイルからの攻撃を狙っています。

12. f4 O-O 13. Bb3(図1)

図1


この手を入れることによって、黒のb5が先手ではなくなります。
同時に、今まで浮いていたビショップにひもをつけます。

13...Re8 14. Kb1 Bf8?

黒は一刻も早く、クイーンサイドに駒を集めて展開したいところです。
14...Nd7 から Nc5 を狙うか、14...e5 15. Nf5 Bxf5 としてビショップを捌く必要がありました。
14...b5? は 15. Nc6! で白が優勢です。以下、15...Qb6 16. Nxe7 Rxe7 17. Qxd6

15. g4!?

スパスキーはこういった攻撃的な手を好みました。
非常に面白い手です。

15...Nxg4 16. Qg2 Nf6 17. Rg1 Bd7 18. f5 Kh8 19. Rdf1 Qd8 20. fxe6 fxe6 21. e5!(図2)

図2

ナイトのためにe4のポジションを空ける、素晴らしい手です。
当然、勝ちまで読みきれていなければ指せません。

21...dxe5 22. Ne4 Nh5 23. Qg6!

23...Nf4 でも、24. Rxf4 exf4 25. Nf3 Qb6 26. Rg5!
として、次の 27. Nf6を受ける手がありません。

23...exd4 24. Ng5 1-0
最終更新:2011年05月28日 15:19
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