総括所見:南アフリカ(第1回・2000年)


CRC/C/15/Add.122(2000年2月23日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.子どもの権利委員会は、2000年1月25日および26日に開かれた第609回、第610回および第611回会合(CRC/C/SR.609, 610 and 611 参照)において、1997年12月4日に提出された南アフリカの第1回報告書(CRC/C/51/Add.2) を検討し、2000年1月28日に開かれた第615回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、定められたガイドラインにしたがい、かつ子どもの状況の批判的評価を提示した締約国の第1回報告書の提出を歓迎する。委員会はまた、第1回報告書が期限どおりに提出されることを確保するために締約国が行なった努力も歓迎するものである。委員会は、事前質問票(CRC/C/Q/SAFR.1) に対する文書回答に留意する。委員会は、締約国との建設的な、開かれたかつ率直な対話に心強い思いを感じ、かつ議論の過程で行なわれた提案および勧告に対する前向きな反応を歓迎するものである。委員会は、条約の実施に直接携わる高い地位の代表団の出席を得たことにより、締約国における子どもの状況をいっそう全面的に評価できたことを認知する。

B.積極的な側面

3.委員会は、法改正の分野で締約国が行なった努力に評価の意を表明する。これとの関連で、委員会は、新憲法(1996年)、とくに、条約でも規定された多くの具体的権利および自由を子どもに保障した第28条を歓迎するものである。さらに、委員会は、国内法と条約とをいっそう調和させるために制定された追加的法律に評価の意とともに留意する。そのような法律として挙げられるのは、国家青少年法改正法(1996年)、法的扶助法改正法(1996年)、刑事訴訟法改正法(1996年)、映画出版物法(1996年)、国家教育政策法(1996年)、子ども養護法改正法(1996年)、体罰廃止法(1997年)、離婚裁判所法改正法(1997年)、家庭裁判所設置法(1997年)、扶養料法改正法(1997年)、婚外子実父法(1997年)および刑事訴訟法第2次改正法(1997年)などである。
4.委員会は、締約国で国内行動計画(NPA)が実施されていることを歓迎する。これとの関連で、委員会は、計画を特定すること、プログラムを調整および評価すること、ならびにNPAの実施および条約にもとづく義務の遵守に関する進展報告書を内閣に定期的に提出することを担当する国内行動計画運営委員会(NPASC)が設置されたことを歓迎するものである。委員会は、NPASCが、子どもの権利の促進に携わるさまざまな省庁および機関の代表、および、NGOおよび国家子どもの権利委員会を含む市民社会およびユニセフ南アフリカの代表から構成されていることに留意する。
5.委員会は、南アフリカ人権委員会が設置されたこと、および子どもの権利を担当する局長が任命されたことを歓迎する。
6.委員会はまた、人権高等弁務官事務所の支援を得て「人権制度強化プロジェクト」が実施されていることも歓迎する。委員会は、このプロジェクトに、南アフリカ警察が作成した人権研修パッケージを完成させるための助言サービスの提供、人権基準および人権実務に関する警察向けのポケット・ガイドの刊行、南アフリカ人権委員会(SAHRC)に対する助言および援助、裁判官、検察官および司法運営に携わるその他の職員の養成カリキュラムに人権を統合するための司法省司法大学に対する助言および援助、ならびに、一連の人権研修ワークショップの開発および資料センターの設置のためのフォート・ハレ大学への支援が含まれていることに留意するものである。
7.委員会は、子どもプログラムに関わる政府支出についての総合的視点を発展させ、かつ当該支出が子どもの生活に与える影響を検討することを目的として開始される「子ども予算プロジェクト」の設置のために締約国が行なっている努力を歓迎する。
8.委員会は、学校環境における締約国のとりくみを評価する。これとの関連で、委員会は南アフリカ学校法(1996年)が制定されたことを歓迎するものである。同法は、教育制度における子どもの参加権の増進、自己の学習言語を選択する子どもの権利(多言語主義)、および学校における体罰の廃止につながった。委員会はまた、すべての子ども、とくに経済的に不利な立場にある家庭の子どもの就学奨励および通学促進を目的とした、統合的な国家初等学校栄養プログラムが設置されたことにも評価の意とともに留意する。委員会はまた、「カリキュラム2005」のもとで、とくに障害児およびHIV/AIDSに感染した子どもの差別の禁止を奨励しかつそのインクルージョンを促進するためのプログラムを含む、学校環境における追加的なとりくみが構想されていることにも留意するものである。「カリキュラム2005」は、アパルトヘイト時代に設置された教育制度の不平等に対応することも目的としている。

C.条約の実施を阻害する要因および困難

9.委員会は、ひきつづき子どもの状況に悪影響を及ぼしかつ条約の全面的実施を阻害しているアパルトヘイトの残滓を克服するうえで締約国が直面している課題を認知する。とりわけ、委員会は、社会のさまざまな層のあいだにひきつづき膨大な経済的および社会的格差が存在すること、および、失業および貧困の水準が相対的に高いことが、条約の全面的実施に悪影響を及ぼし、かつ締約国にとって依然として課題となっていることに留意するものである。

D.主要な懸念事項および委員会の勧告

1.実施に関する一般的措置

立法
10.委員会は、法改正を行ない、かつ国内法と条約とのいっそうの一致を確保する措置を導入するために締約国が行なっている努力に留意する。委員会はまた、とくに家族間暴力の防止、学校におけるHIV/AIDS方針、新たな少年司法制度の設置、保育システムの拡大および性的虐待を受けた子どもの保護に関わる追加的な法改正を行なう目的で、南アフリカ法律委員会が現在、法律および慣習法の見直しを進めていることにも留意するものである。しかしながら、委員会は、法律およびとくに慣習法がいまなお条約の原則および規定を全面的に反映していないことを依然として懸念する。委員会は、締約国に対し、法改正の分野でひきつづき努力を行ない、かつ国内法が条約の原則および規定と全面的に一致することを確保するよう奨励するものである。
国際人権文書の批准
11.委員会は、締約国がまだ経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約を批准していないことに留意する。委員会は、この国際文書を批准することにより、その管轄下にあるすべての子どもの権利を保障する義務を満たそうとする締約国の努力が強化されるという見解に立つものである。委員会は、締約国に対し、この文書の批准を完了する努力を強化するよう奨励する。
調整
12.子どもの保護およびケアに関わるプログラムの実施を調整するため国内行動計画運営委員会(NPASC)が設置されたことには留意しながらも、委員会は、地域共同体レベルにおける充分なプログラムの導入を確保するために行なわれた努力が不充分であることを懸念する。これとの関係で、委員会はさらに、条約の促進および実施にあたって地域共同体を基盤とした団体を関与させるために行なわれた努力が不充分であることに懸念を表明するものである。委員会はまた、条約の実施を担当する省庁間で調整が行なわれていないことも懸念する。委員会は、締約国が、NPASCのプログラムおよび活動が農村部および地域共同体レベルで確立されることを確保するために効果的な措置をとるよう勧告する。地域共同体を基盤とした団体の能力構築を促進し、かつ条約の調整、促進および実施へのこのような団体のインクルージョンをさらに促進するために、締約国があらゆる効果的な措置をとることが奨励されるところである。委員会は、締約国が、条約の実施を担当する省庁および部局間でいっそうの調整を確保するための努力を強化するよう勧告する。
独立した監視機構
13.委員会は、締約国が、社会のあらゆるレベルで基本的人権の遵守を促進する権限を持った南アフリカ人権委員会を設置したことを、評価の意とともに歓迎する。委員会は、同委員会が、調査を行ない、召喚状を発し、かつ宣誓証言を行なわせる権限も有していることに留意するものである。しかしながら、委員会は、同委員会がその権限を効果的に遂行できるようにするために配分された資源が不充分であることを懸念する。加えて、委員会は、同委員会の活動が、とくに官僚的形式主義およびさらなる法改正の必要性によってひきつづき妨げられていることに、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、条約にもとづく権利侵害についての子どもからの苦情を登録し、かつそれに対応する明確な手続が存在しないことも懸念する。委員会は、締約国に対し、南アフリカ人権委員会の効果的な職務遂行を確保するために充分な資源(人的資源および財源のいずれも)が配分されることを確保するよう、奨励するものである。委員会は、締約国が、自己の権利の侵害に関わる子どもからの苦情を登録し、かつそれに対応するための明確かつ子どもに優しい手続を確立すること、および、そのような侵害に対する充分な救済を保障することを、勧告する。委員会はさらに、締約国が、そのような機構の子どもによる効果的な利用を促進するための意識啓発キャンペーンを導入するよう提案するものである。
データ収集
14.委員会は、達成された進展の監視および評価ならびに子どもに関して採択された政策の影響の評価を行なうことを目的として、あらゆるグループの子どもとの関連でかつ条約が対象とするあらゆる領域に関して細分化された質的および量的データを体系的かつ包括的に収集するためには、現行のデータ収集機構では不充分であることを懸念する。委員会は、条約が対象とするあらゆる領域を編入することを目的として、データ収集システムの見直しを行なうよう勧告するものである。そのようなシステムは、18歳未満のすべての子どもを対象とし、かつ、女子、障害児、児童労働者、イースタンケープ、クワズルナタールおよび北部地域ならびに不利な立場に置かれたその他の黒人居住地域を含む遠隔地の農村部で生活している子ども、コイコイ人およびサン人のコミュニティに属する子ども、路上で働きかつ(または)生活している子ども、施設で生活している子ども、経済的に不利な立場に置かれた家庭の子どもおよび難民の子どもを含む、とくに傷つきやすい立場に置かれた子どもをとくに重視しなければならない。この分野における、とくにユニセフの技術的援助が奨励されるところである。
予算配分
15.委員会は、とくに財源の点で法律の持続可能性を確保するために新法の「経費見積もり」をする慣行を導入するという締約国のとりくみを歓迎する。委員会は、締約国が現在、少年法案の財政的持続可能性について判断するため同法案を「経費見積もり」していることに留意するものである。委員会は、とくにかつて不利な立場に置かれていたコミュニティのあいだに残っているアパルトヘイトの社会的および経済的残滓に対応するうえで、締約国が直面している課題に留意する。委員会はまた、支出が子どもの政策に及ぼす影響を改善する目的で、子どもプログラムとの関連で政府支出を監視する「子ども予算プロジェクト」を設置するための締約国の努力も歓迎するものである。条約第4条に照らし、委員会は、子どもプログラムおよび子ども活動のために配分される資源の充分な分配を確保するための努力が不充分であることを、依然として懸念する。条約第2条、第3条および第6条に照らし、委員会は、締約国に対し、利用可能な資源を最大限に用いて、かつ必要な場合には国際協力の枠組みのなかで子どもの経済的、社会的および文化的権利が実施されることを確保するための予算の配分および分配を優先することにより、条約第4条の全面的実施に特段の注意を払うよう奨励するものである。
普及および意識啓発
16.条約の原則および規定に関する意識を促進しようとする締約国の努力は認めながらも、委員会は、条約およびそこに掲げられた権利中心アプローチに関する専門家グループ、子ども、親および公衆一般の意識が全体として充分ではないことを依然として懸念する。委員会は、条約の規定が農村部および都市部の双方のおとなおよび子どもによって広く知られかつ理解されることを確保するため、いっそうの努力を行なうよう勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、条約を地方の言語で入手できるようにし、かつとくに伝統的なコミュニケーション手段の活用を通じてその原則および規定を促進および普及するための努力を強化するよう奨励するものである。委員会はさらに、心理学者を含む保健従事者、ソーシャルワーカー、中央または地方の行政職員および子どものケアのための施設の職員のような、子どもとともにおよび子どものために働く専門家グループ、および伝統的な地域共同体の指導者を対象とした充分かつ体系的な研修および(または)感受性の増進を強化するよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国がとくに人権高等弁務官事務所およびユニセフの技術的援助を求めるよう提案するものである。

2.子どもの定義

刑事責任および性的同意
17.刑事責任に関する法定最低年齢を7歳から10歳に引き上げる法案を締約国が起草したことには留意しながらも、委員会は、10歳という法定最低年齢は刑事責任に関しては相対的に低いものであることを依然として懸念する。委員会はまた、性的同意に関する法定最低年齢が男子(14歳)および女子(12歳)とも低いこと、およびこの問題に関する法律が女子に対して差別的であることも懸念するものである。委員会は、締約国が、刑事責任に関して提案されている法定最低年齢(10歳)を引き上げる目的でこの問題に関する法案を再評価するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、性的同意に関する法定年齢を男女とも引き上げ、かつこの点に関して女子に対する差別の禁止を確保するようにも勧告するものである。

3.一般原則

差別の禁止
18.差別の禁止の原則(第2条)が新憲法および国内法に反映されていることには留意しながらも、委員会は、すべての子どもが教育、保健その他の社会サービスへのアクセスを保障されることを確保するためにとられた措置が不充分であることを、いまなお懸念する。とりわけ懸念されるのは、黒人の子ども、女子、障害をもった子ども、とくに学習障害児、児童労働者、農村部で生活している子ども、路上で生活しかつ(または)働いている子ども、少年司法制度の対象となっている子どもおよび難民の子どもを含む、傷つきやすい立場に置かれた一部のグループの子どもである。委員会は、締約国が、とくに傷つきやすい立場に置かれたグループとの関連で、差別の禁止の原則の実施および条約第2条の全面的遵守を確保するための努力を強化するよう勧告する。
子どもの意見の尊重
19.子どもの意見の尊重を促進しかつ子ども産科を奨励するうえで締約国が行なっている努力は認めながらも、委員会は、とくに州および地方のレベルにおいて、伝統的な慣行および態度により条約第12条の全面的実施がいまなお制約されていることを懸念する。委員会は、締約国に対し、子どもの参加権に関する公衆の意識の促進、および、学校、過程、社会制度ならびにケアのための制度および司法制度における子どもの意見の尊重の奨励を継続するよう奨励するものである。

4.市民的権利および自由

出生登録
20.委員会は、出生死亡法においてすべての子どもの出生時登録が規定されていること、および、とくに農村部において出生登録のプロセスを改善および促進するためのとりくみが最近行なわれていることに、留意する。しかしながら、委員会は、登録されない子どもがいまなお多いことを懸念するものである。条約第7条および第8条に照らし、委員会は、締約国に対し、出生登録が締約国のすべての親にとってアクセスしやすいものとなることを確保するため、とくに移動型のクリニックおよび病院を通じてひきつづき努力するよう奨励する。委員会はまた、すべての子どもが出生時に登録されることを確保するため、政府職員、地域共同体の指導者および親の意識を啓発するための努力を行なうようにも勧告するものである。
拷問または他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いもしくは処罰
21.非拘禁者の処遇および不必要な実力行使の禁止について警察を研修しようとする締約国の努力は認めながらも、委員会は、警察による残酷な行為の発生件数が多いこと、および、子供がその身体的および精神的不可侵性および固有の尊厳を尊重して取り扱われることを確保するための現行法の執行が不充分であることを、懸念する。委員会は、条約第37条(a)および第39条の規定を全面的に実施するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告するものである。これとの関連で、委員会はさらに、警察による残酷な行為を防止し、かつ、被害を受けた子どもがその身体的および心理的回復および社会的再統合を促進するための充分な治療を提供されることおよび加害者が制裁を受けることを確保するため、いっそうの努力を行なうよう勧告する。

5.家庭環境および代替的養護

親の指導
22.委員会は、ひとり親家庭および子どもを世帯主とする家庭の数の増加、およびそれが子どもに及ぼす(財政的および心理的双方の)影響について懸念する。親の指導および責任の分野の支援および相談が不充分であることも懸念の対象である。締約国は、条約第18条に照らし、とりわけ親、とくにひとり親の訓練を含む支援を提供することを通じて、家庭教育を発展させ、かつ親の指導および親の共同責任に関する意識を発展させるための努力を強化するよう奨励される。委員会は、子どもを世帯主とする世帯の数を減少させかつその増加を防止するとともに、すでに存在する当該世帯を支援するための充分な機構を導入するため、締約国があらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、ひとり親家庭、一夫多妻の家庭および子どもを世帯主とする家庭の状況に関する研究を、それが子どもに及ぼす影響を評価する目的で行なうよう勧告する。
扶養料
23.子どもの扶養料の回復について規定した法律が制定されたことには留意しながらも、委員会は、扶養料支払命令の執行を確保するためにとられた措置が不充分であることを懸念する。条約第27条に照らし、委員会は、締約国が、扶養料支払命令の遵守および子どもの扶養料の回復を確保するため効果的な措置をとるよう勧告するものである。
福祉サービス
24.委員会は、経済的にもっとも不利な立場に置かれた家庭の子どもにいっそうの財政支援を行なうことを目的とした子ども支援手当を導入するため締約国が最近行なったとりくみに留意する。委員会は、扶養手当の段階的縮小、および、現在当該プログラムの利益を得ている、経済的に不利な立場に置かれた女性および子どもにそれが及ぼす可能性のある影響について、依然として懸念するものである。委員会は、締約国が、子ども支援手当を拡充しまたはそれに代わるプログラムを発展させることにより、まだ就学している18歳未満の子どもに対する支援も含まれるようにすることを勧告する。委員会は、締約国に対し、経済的に不利な立場に置かれた家庭を対象とした支援プログラムが継続されることを確保するために効果的な措置をとるよう奨励するものである。
代替的養護
25.家庭環境を奪われた子どもの状況に関して、委員会は、かつて不利な立場に置かれていたコミュニティにおいて代替的養護のための施設数が不充分であることに懸念を表明する。措置の監視が不充分であること、およびこの分野において資格のある職員の人数が限られていることに対しても、懸念が表明されるところである。委員会はさらに、里親託置プログラムへの措置の監視および評価が不充分であることに、懸念とともに留意する。委員会は、締約国が、代替的養護を促進するための追加的プログラムを発展させ、ソーシャルワーカーおよび福祉ワーカーに追加的研修を施し、かつ代替的養護のための施設を対象とした苦情申立ておよび監視のための独立した機構を設置するよう勧告するものである。また、締約国が、親を対象とした訓練を含む、子どもの遺棄を抑制するための支援を提供する努力を強化することも勧告されるところである。委員会はさらに、締約国が、里親託置プログラムへの措置が充分にかつ定期的に再審査されることを確保するよう勧告する。
国内および国際養子縁組
26.子ども養護法(1996年)で養子縁組が規制されていることには留意しながらも、委員会は、国内および国際養子縁組のいずれについても監視が行なわれていないこと、および、締約国において非公式養子縁組の慣行が広く行なわれていることを懸念する。委員会はまた、国際養子縁組を規制する法律、政策および制度が不充分であることも懸念するものである。条約第21条に照らし、委員会は、締約国が、国内および国際養子縁組のいずれについても適切な監視手続を確立すること、および伝統的な非公式養子縁組の慣行の濫用を防止するために充分な措置を導入することを、勧告する。加えて、国際養子縁組の効果的規制を確保するために、締約国が立法上および行政上の措置を含むあらゆる必要な措置をとることが勧告されるところである。委員会はさらに、締約国に対し、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約の批准を完了させる努力を強化するよう奨励するものである。
家族間暴力、不当な取扱いおよび虐待
27.委員会は、子どもの保護を強化するために子ども養護法および家族間暴力防止法が制定されたことに留意する。委員会はまた、女性および子どもに対する犯罪に焦点を当てた国家犯罪防止戦略、および、虐待の被害を受けた者、とくに女性および子どものエンパワーメントを促進する被害者エンパワーメント・プログラムが最近導入されたことにも留意する。しかしながら、委員会は、子どもを対象とした家族間暴力、不当な取扱いおよび虐待(家庭における性的虐待も含む)が多数発生していることに、依然として重大な懸念を覚えるものである。条約第19条に照らし、委員会は、家族間暴力、不当な取扱いおよび虐待の規模および性質を理解するため、締約国がこのような慣行に関する研究を行なうよう勧告する。委員会はまた、締約国が、家族間暴力、不当な取扱いおよび虐待を防止しかつそれと闘うための包括的戦略を正式なものとする努力を強化し、かつ、態度の変化に貢献する充分な措置および政策をさらにとるようにも勧告するものである。委員会はまた、子どもに対する家族間暴力、不当な取扱いおよび虐待(家庭における性的虐待も含む)の事案を子どもに優しい司法手続において適正に調査し、かつ、子どものプライバシー権の保護を正当に考慮しながら加害者に制裁を科すようにも勧告する。法的手続において子どもに支援サービスが提供されること、条約第39条にしたがって強姦、虐待、放任、不当な取扱い、暴力または搾取の被害者が身体的および心理的に回復しかつ社会的に再統合すること、および、被害者が犯罪者として扱われかつスティグマ(烙印)を押されるのを防止することを確保するためにも、さらなる措置がとられるべきである。委員会は、締約国がとくにユニセフの技術的援助を求めるよう勧告する。
体罰
28.学校、ケアのための施設および少年司法制度における体罰が法律で禁じられていることは承知しながらも、委員会は、体罰が家庭においていまなお認められていること、一部の学校およびケアのための施設ならびに社会一般において体罰が日常的に用いられていることを、依然として懸念する。委員会は、締約国が、ケアのための施設における体罰を法律で禁ずるために効果的な措置をとるよう勧告するものである。委員会はさらに、しつけおよび規律の維持が子どもの尊厳に一致した方法で、かつ条約にしたがって行なわれることを確保する目的で、締約国が、体罰の悪影響に関する意識を高めかつ文化的態度を帰るための措置を強化するよう勧告する。締約国が家庭における体罰の使用を法律で禁止するための効果的措置をとり、かつ、この文脈において、すでに同様の法律を制定した他国の経験を検討することも、勧告されるところである。

6.基礎保健および福祉

プライマリーヘルスケア
29.委員会は、一般的健康状況および子どものための保健サービスを向上させようとする締約国の最近のとりくみに留意する。児童期疾病統合管理(IMCI)イニシアチブの導入、および、6歳未満児ならびに妊婦および授乳期の女性に対する無償の保健ケアの提供などである。しかしながら、委員会は、地区および地方における保健サービスがひきつづき充分な資源(財源および人的資源のいずれも)を欠いていることを依然として懸念する。委員会はまた、締約国における子どもの生存および発達が、急性呼吸器系感染症および下痢のような幼児期疾病によってひきつづき脅かされていることも懸念するものである。委員会はまた、乳幼児死亡率および妊産婦死亡率が高いこと、栄養不良率、ビタミンA欠乏率および発育阻害率が高いこと、衛生状態が貧弱であること、および、とくに農村部地域において安全な飲料水へのアクセスが不充分であることも、懸念する。委員会は、とくに農村部における子どもの健康状況を改善するために適切な資源を配分しかつ包括的な政策およびプログラムを発展させる努力を締約国が強化するよう勧告する。この流れにおいて、委員会は、締約国が、プライマリーヘルスケア・サービスへのアクセスの拡大を促進すること、妊産婦、幼児および乳児の死亡率を削減すること、とりわけ傷つきやすくかつ不利な立場に置かれたグループの子どもの栄養不良を防止しかつそれと闘うこと、および、安全な飲料水および衛生設備へのアクセスを高めることを勧告するものである。加えて、委員会は、締約国に対し、IMICイニシアチブに関連する技術的協力を継続するとともに、必要な場合には、とくにWHOおよびユニセフとともに、子どもの健康を向上させるための協力および援助の追加的手段を追求するよう奨励する。
環境保健
30.とくに大気汚染との関連で環境悪化が進んでいることに懸念が表明される。委員会は、締約国が、とくに大気汚染との関連で環境悪化を防止するために持続可能な発展プログラムの実施を促進する努力を増進するよう勧告するものである。
青少年の健康
31.委員会は、10代の妊娠、中絶、薬物および有害物質の濫用(アルコールおよびタバコの使用を含む)、事故、暴力および自殺を含む青少年の健康の分野で、プログラムおよびサービスの利用可能性が限られておりかつ充分なデータが存在しないことについて懸念を表明する。委員会は、精神保健上の問題を有する子どもの状況についての統計的データが存在しないこと、および、このような子どものための政策およびプログラムが不充分であることに懸念を表明するものである。委員会は、タバコの供給を規制する強力な立法(1991年)およびその改正法(1999年)を導入することによって締約国がタバコに反対する厳しい姿勢を示した一方で、法定年齢に満たない多くの喫煙者がいまなおタバコ製品を買えることに留意する。HIV/AIDSおよび性行為感染症(STD)とともに生きる人々を対象としたカウンセリング・治療センターの設置をとくに目的とした「HIV/AIDSと闘うパートナーシップ・プログラム」(1998年)を締約国が開始したことには留意しながらも、委員会は、HIV/AIDSおよびSTDの発生率が高くかつ増加していることを依然として懸念するものである。委員会は、とくにタバコ製品の使用との関連で法律が全面的に実施および執行されることを確保するため、締約国が効果的な措置をとるよう勧告する。委員会は、締約国が、とくに事故、自殺、暴力および有害物質濫用との関連で青少年の健康に関する政策を強化するよう勧告するものである。また、締約国が、精神保健上の問題を有する子どもの状況を評価するための研究を行ない、かつこのような子どもに充分なケアおよび保護を保障するプログラムを導入することも勧告される。加えて、青少年を対象として、子どもの最善の利益にかなう場合には親の同意を得ることなくアクセスできる、青少年に優しいカウンセリング、ケアおよびリハビリテーションの便益を発展させるため、締約国が充分な人的資源および財源の配分を含むさらなる措置をとることが勧告されるところである。委員会は、青少年を対象とした、リプロダクティブ・ヘルス、HIV/AIDSおよびSTDに関する訓練プログラムの強化を勧告する。このようなプログラムは、知識の獲得のみならず、青少年の発達に不可欠な能力およびライフスキルの獲得をも基盤とするべきである。委員会はさらに、国、地域および地方のレベルにおけるHIV/AIDS対応戦略の策定に青少年が全面的に参加すべきことを勧告する。HIV/AIDSに対する公衆の態度を変えること、および、HIVに感染した子どもおよび青少年がひきつづき経験している差別に対応する戦略を特定することが、とくに重視されるべきである。
障害のある子ども
32.委員会は、障害、とくに精神障害のある子どものための法的保護、プログラム、便益およびサービスが不充分であることについて懸念を表明する。障害者の機会均等化に関する基準規則(総会決議48/96)および委員会が障害児に関する一般的討議の日に採択した勧告(A/53/41, chap.IV, sect.C参照)に照らし、締約国が、障害を予防するための早期発見プログラムを強化し、障害児のための特別教育プログラムを確立し、かつ障害児の社会へのインクルージョンをさらに奨励するよう勧告されるところである。委員会は、締約国が、障害児とともにおよび障害児のために働く専門職員の研修を目的としてとくにユニセフおよびWHOの技術的協力を求めるよう勧告する。
伝統的慣行
33.委員会は、男子の割礼が場合によって医学的に安全ではない条件下で行なわれていることを懸念する。委員会はまた、女子の健康を脅かし、自尊感情に影響を与え、かつプライバシーを侵害する処女性検査の伝統的慣行についても懸念するものである。女性器切除(FGM)の慣行およびそれが女子の健康に及ぼす有害な影響も、委員会にとって懸念の対象である。委員会は、男子の割礼を行なうさいに男子の健康を確保し、かつ医学的に安全ではない条件から保護するため、締約国が施術者の研修および意識啓発を含む効果的措置をとるよう勧告する。委員会はまた、処女性検査が女子に及ぼす身体的および心理的影響を評価するため、締約国がこの慣行に関する研究を行なうようにも勧告するものである。これとの関連で、委員会はさらに、条約第16条および第24条3項に照らして伝統的な態度を変え、かつ処女性検査の慣行を抑制するため、締約国が施術者および公衆一般を対象とした感受性強化および意識啓発のプログラムを導入するよう勧告する。委員会は、締約国が、FGMの慣行と闘いかつそれを根絶するための努力、および、伝統的な態度を変えかつ有害な慣行を抑制するために施術者および公衆一般を対象とした感受性強化プログラムを実施する努力を強化するよう勧告するものである。

7.教育、余暇および文化的活動

34.委員会は、学校法(1996年)の制定、統合的な国家初等学校栄養プログラムの導入、および、とくに教育へのアクセスにおける格差の是正を目的とした「カリキュラム2005」の開始を含め、教育の状況を向上させるために締約国が最近行なってきた努力に留意する。法律では7歳~15歳の義務教育が規定されていることには留意しながらも、委員会は、初等教育が無償ではないことを懸念するものである。一部の地域で、とくに黒人の子ども、女子および経済的に不利な立場にある家庭の子どものあいだで教育へのアクセスの不平等が残っていることにも懸念が表明される。このような子どもの多くはいまなお学校に行っていない。委員会は、一部の学校で、とくに異人種共学校で学ぶ黒人の子どもに対してひきつづき差別的慣行が行なわれていることを懸念するものである。教育の一般的状況に関しては、委員会は、一部地域でひどい過密状態が見られること、中退率、非識字率および留年率が高いこと、基礎的な養成教材が存在しないこと、インフラストラクチャーおよび設備の維持が貧弱であること、教科書その他の教材が不足していること、とくに伝統的に黒人が居住しているコミュニティにおいて訓練を受けた教職員の人数が不充分であること、および教職員の志気が低いことに、懸念とともに留意する。委員会は、とくに黒人コミュニティの多くの子どもが余暇、レクリエーションおよび文化的活動への権利を享受していないことに、懸念とともに留意するものである。締約国は、とくにこれまで不利な立場に置かれていた子ども、女子および経済的に不利な立場に置かれた家庭の子どもの通学を促進および助長する努力をひきつづき行なうよう奨励される。条約第28条に照らし、委員会は、初等教育をすべての者が無償で利用できることを確保するため、締約国が効果的措置をとるよう勧告するものである。委員会は、学校環境における差別の禁止を確保するため締約国が追加的措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、教育の質を向上させ、かつ締約国におけるすべての子どもが教育にアクセスできるようにするための効果的措置をとるよう勧告するものである。これとの関連で、締約国が、ユニセフおよびユネスコとのいっそう緊密な協力を通じて教育制度の強化に努めることが勧告される。締約国はさらに、少なくとも義務教育期間中は学校に留まるよう子どもに奨励するために追加的措置を実施するよう促されるところである。第31条に照らし、委員会は、子ども、とくに黒人コミュニティの子どもが余暇、レクリエーションおよび文化的活動への権利を享受することを確保するため、締約国が効果的な措置をとるよう勧告する。

8.特別な保護措置

難民および庇護希望者である子ども
35.難民および庇護申請者の子どもの権利のいっそうの保護を保障した最近の法改正には留意しながらも、委員会は、家族の再統合を確保し、かつ難民の子どもが教育および保健にアクセスする権利を保障する正式な立法上および行政上の措置がとられていないことを依然として懸念する。委員会は、締約国が、家族の再統合を保障および促進する立法上および行政上の枠組みを策定するよう勧告する。加えて、締約国が、難民および死後申請者の子どもに対してあらゆる社会サービスへの充分なアクセスを保障する政策およびプログラムを実施することも勧告されるところである。委員会はさらに、締約国が、難民の地位に関する条約(1951年)および議定書(1967年)の採択を完了する努力を強化するよう勧告する。
武力紛争下の子ども
36.委員会は、アパルトヘイト期に武力紛争の影響を受けた子どものリハビリテーションを促進する充分なプログラムを導入するための努力が不充分であることを懸念する。このような子どもたちの状況は、締約国における暴力および犯罪の現行水準が高いことに反映されているところである。委員会は、武力紛争の影響を受けた子どものリハビリテーションおよび再統合を促進する新たなプログラムを導入し、かつ現行のプログラムを強化するため、締約国があらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
児童労働
37.委員会は、包括的な全国児童労働統計を作成する目的で国レベルの調査を行なうため、締約国がILOの児童労働撲滅国際計画との了解覚書に調印したことに留意する。国内法を国際労働基準に一致させようとする締約国の努力には留意しながらも、委員会は、10~14歳の子どもの20万人以上が労働、主として商業農園労働および家事労働に現在従事していることを懸念するものである。委員会は、締約国に対し、労働法の執行を確保しかつ経済的搾取から子どもを保護するための監視機構を改善するよう奨励する。委員会はまた、締約国が、ILOの最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)を批准する努力を強化するようにも勧告するものである。
薬物および有害物質の濫用
38.委員会は、青少年のあいだで薬物および有害物質の濫用が多数発生しており、かつ増加していること、および、この点に関して利用できる心理社会的および医学的プログラムおよびサービスが限られていることを懸念する。条約第33条に照らし、委員会は、麻薬および向精神薬の不法な使用から子どもを保護し、かつこのような物質の不法な生産および取引に子どもを利用させないために、締約国が教育上の措置を含むあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。この流れで、さらに、麻薬および向精神薬の有害な影響に関して子どもを教育するためのプログラムを学校環境において強化することが勧告されるところである。委員会はまた、締約国が、国際連合薬物統制計画の指導を得て締約国が国レベルの薬物統制計画を策定するようにも勧告する。委員会はまた、締約国に対し、薬物および有害物質の濫用の被害を受けた子どもに対応するリハビリテーション・プログラムを支援するようにも奨励するものである。委員会は、締約国に対し、とくにユニセフおよびWHOの技術的援助を求めるよう奨励する。
性的搾取
39.子どもの性的搾取を防止しかつそれと闘うための立法、政策およびプログラムを実施しようとする締約国の努力には留意しながらも、委員会は、商業的性的搾取が多数発生していることを依然として懸念する。条約第34条その他の関連条項に照らし、委員会は、子どもの性的搾取を防止しかつそれと闘うための適切な政策および措置(ケアおよびリハビリテーションを含む)を立案および実施する目的で、締約国が研究を行なうよう勧告するものである。
子どもの売買、取引および誘拐
40.委員会は、国内法において国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約を採択したことも含め、子どもの売買、取引および誘拐の状況に対応するため締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら、委員会は、子ども、とくに女子の売買および取引の発生件数が増加していること、および、立法上の保障を執行し、かつこの現象を防止しかつそれと闘うために充分な措置がとられていないことを、懸念するものである。条約第35条その他の関連規定に照らし、委員会は、締約国が、法執行を強化するために効果的な措置をとり、かつ、子どもの売買、取引および誘拐についての地域の意識を高める努力を強化するよう勧告する。委員会はさらに、子どもの売買、取引および誘拐を防止し、かつそのような子どもの保護および家庭への安全な帰還を促進するため、締約国が近隣諸国との2国間協定の締結を追求するよう勧告するものである。
マイノリティ・グループ
41.委員会は、とくに教育および養子縁組手続との関連で、国内法において子どもの文化的、宗教的および言語的権利が保障されていることに留意する。委員会はさらに、マイノリティに対していっそうの保護を保障する第一歩として締約国が「文化的、宗教的および言語的コミュニティの権利の保護および促進のための委員会」を設置しようとしていることにも留意するものである。しかしながら、委員会は、マイノリティ・グループに属する子どもに保障された権利の全面的実現が、慣習法および伝統的慣行によってひきつづき脅かされていることを懸念する。委員会は、コイコイおよびサンを含むマイノリティ・グループに属する子どもの権利、とくに文化、宗教、言語および情報へのアクセスに関わる権利が保障されることを確保するため、締約国があらゆる適切な措置をとるよう勧告するものである。
少年司法
42.少年司法を改善するための最近の努力は歓迎しながらも、委員会は、少年司法制度が締約国の全地域を網羅していないことを懸念する。委員会はさらに、以下の点について懸念するものである。
  • (a) 少年司法が効率的および効果的に運営されていないこと、および、とくに少年司法の運営が条約およびその他の関連の国際連合基準と両立していないこと。
  • (b) 少年事件の審判が行なわれるまでに長時間かかること、および少年事件に関して守秘義務が存在していないように思われること。
  • (c) 拘禁が最後の手段として以外にも用いられていること。
  • (d) 拘禁施設が過密であること。
  • (e) 未成年者が成人の拘禁施設および刑務所に収容されていること、法律に抵触した子どものための充分な便益が存在しないこと、および、このような子どもとともに働く訓練を受けた職員の人数が限られていること。
  • (f) 少年司法制度で扱われている子どもの人数に関して信頼のおける統計的データが存在しないこと。
  • (g) 少年司法制度で扱われているあいだにも子どもが家族との接触を維持することを確保するための規制が不充分であること。
  • (h) 少年の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための便益およびプログラムが不充分であること。
 委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに少年司法の運営に関する国際連合最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国際連合指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則のようなこの分野における他の国際連合基準にしたがって少年司法制度を実施するため、追加的措置をとること。
  • (b) 自由の剥奪は最後の手段として、かつもっとも短い可能な期間でのみ用いること、自由を奪われた子どもの権利(プライバシーへの権利を含む)を保護すること、および、少年司法制度で扱われているあいだにも子どもが家族との接触を維持することを確保すること。
  • (c) 少年司法制度に携わるすべての専門家を対象として、関連の国際基準に関する研修プログラムを導入すること。
  • (d) 少年司法技術的助言調整委員会を通じ、とくに人権高等弁務官事務所、国際犯罪防止センター、少年司法国際ネットワークおよびユニセフの技術的援助を求めることを検討すること。

9.委員会の報告書の普及

43.最後に、委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した第1回報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにし、かつ、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。そのような文書は、政府およびNGOを含む公衆一般のあいだで条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年12月19日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。