総括所見:ナミビア(第1回・1994年)


CRC/C/15/Add.14(1994年2月7日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、1994年1月13日に開かれた第109回および第110回会合(CRC/C/SR.109-110) においてナミビアの第1回報告書(CRC/C/3/Add.12) を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。
  • (注)1994年1月28日に開かれた第130回会合において。

A.序

2.委員会は、ナミビア政府が条約を批准したことを歓迎する。委員会はまた、締約国に対し、作成された報告書がとくに詳しくかつ包括的であること、および、代表団との対話が率直かつ建設的なものであったことに、評価の意を表したい。

B.積極的な側面


3.委員会は、同国に、子どもの状況を改善しようという政治的決意が存在することを歓迎する。委員会はまた、自己批判的な姿勢をとり、かつ、社会において子どもが直面する問題に対応するための創造的かつ革新的なアプローチを模索することに対して政府が前向きな姿勢を見せていることにも評価の意を表したい。委員会は以下の取り組みにとくに留意する。子ども自身も含めて、子どもの権利に関する公衆の意識をさらに促進するために行なわれた活動、子どもの権利を促進しかつ保護する努力における、地域、国および国際的コミュニティとの協力を奨励していること、「幼児期保護発達プログラム」、「ストリート・チルドレン」プログラム、学校における「内部からの規律プログラム」、および、青年評議会の発展である。最後の2つのプログラムに関して、委員会は、条約のさまざまな規定、とくに第12条を現実のものとするためにとりうる措置として、これらのプログラムの重要性を強調する。
4.委員会はまた、学校中退の水準を低下させる試みとしてより多く職業訓練校が設置されるべきであるとの提案に、関心を持って留意する。

C.条約の実施を阻害する要因および困難

5.委員会は、ナミビアが、植民地支配、アパルトヘイトおよび戦争の結果に苦しんだすえに1990年に独立国となったことに留意する。委員会は、これらの要因が、貧困の問題とあいまって、条約の規定の実施を抑制する影響を与えてきたことを認識するものである。とくに、委員会は、国際文書およびナミビア憲法の規定に矛盾する独立前の期間の法律が残っていることに注意を促す。

D.主要な懸念事項

6.委員会は、ナミビアがまだすべての主要国際人権文書の締約国になっていないことを認め、かつ、子どもの権利条約の規定と一致させるために多くの国内法が依然として改正されなければならないことを懸念する。これとの関連で、委員会は、子どもの定義に関して国内法に矛盾があることに留意するものである。
7.委員会は、ジェンダーにもとづく差別、および婚外子およびとくに困難な状況にある子どもへの差別が相当に行なわれていることを懸念する。委員会はまた、障害児に対して行なわれている差別に懸念を表明するものである。
8.10代の妊娠、生計維持者がひとりの世帯の発生件数の多さ、および、親の共同責任に対する幅広い理解が親のあいだに欠けているように思えることなど、子どもの状況に否定的な影響または結果を及ぼす可能性のある一部の現象は、委員会の懸念するところである。
9.委員会はまた、教育の質の向上に関わる問題に留意する。
10.同様に、委員会は、児童労働、とくに農場およびインフォーマル部門における児童労働の発生件数、および、学校を中退する子どもの数の多さを含む、とくに困難な状況にある子どもの状況を懸念する。
11.ナミビアに現在設置されている少年司法制度に関して、委員会は、それが子どもの権利条約、とくに第37条および第40条、ならびに北京規則、リャド・ガイドラインおよび自由を奪われた少年の保護のための国際連合規則などの関連国際文書に一致しているかどうか、懸念する。

E.提案および勧告

12.委員会は、ナミビアがすべての主要国際人権文書の締約国になる可能性を考慮するよう勧告し、かつ、この点に関して国際連合人権センターに援助を要請してはどうかと提案する。
13.同様に、委員会は、締約国が、子どもの権利の実施のための国内法の枠組みおよび国内行動計画に子どもの権利条約を全面的に統合するよう提案する。さらに、委員会は、子どもの権利条約の原則および規定ならびに締約国との対話の過程で委員会が提示した所見を全面的に考慮にいれた新たな「子ども法」を早期に採択するよう勧告するものである。
14.子どもに関するものも含む人権侵害の苦情申立てを取り扱う権限を持ったオンブズマン事務所が設置されたことに満足感とともに留意しながらも、委員会は、締約国が、子どもの権利の実施に貢献する同事務所の努力を支援するために何らかのさらなる措置が必要とされているかどうかを判断する目的で、現在のオンブズマン事務所が子どもの権利を保護するために行なっている活動の評価を行なうよう提案する。
15.委員会は、子どもの権利の実施を向上させるための努力、とくに、女子、障害児および婚外子に対する差別を助長する可能性のある一部の伝統および慣習の悪影響を克服するための努力において、地域共同体の指導者が果たす重要な役割に留意する。委員会はまた、締約国に対し、子どもの権利を促進しかつ保護するための活動に市民社会および非政府組織を引き続き全面的に関与させるよう奨励するものである。
16.子どもの参加権および意見表明権の実施に関して、委員会は、締約国の次の報告書において、青年評議会および学校評議会の機能、および、子どもおよび青年が直面する問題に対応するための取り組みへのこのような機関の参加に関して、さらなる情報を受領したいと考えるものである。
17.委員会は、家庭状況において子どもが直面している問題、および、これらの問題に対応するためにソーシャルワーカーの訓練、家族計画に関する教育およびアルコール・薬物濫用センターの設置のようなプログラムを発展させる必要があることを、締約国がはっきりと認識していることに留意する。委員会はまた、家庭を背景として行なわれる性的虐待の問題に関して調査を行なうよう提案するものである。
18.教育問題に関して、委員会は、教育の質を向上させ、かつ、教員の間で子どもの権利に関する意識を高める機会を与えるために、学校教員にさらなる訓練を提供するための取り組みを発展させるよう奨励する。
19.委員会は、周縁化されたグループの子どもに関する研究を優先事項として行なうよう勧告する。
20.委員会は、締約国の少年司法制度は、子どもの権利条約第37条および第40条、ならびに北京規則、リャド・ガイドラインおよび自由を奪われた少年の保護のための国際連合規則を含むこの分野における関連の国際基準の規定にしたがって運営されるべきであるとの見解に立つものである。さらに、少年司法の運営に関する国際基準に関して、法執行官、裁判官、拘禁センターで働く職員および罪を犯した少年のカウンセラーを訓練するための措置をとることが提案される。委員会は、これらの勧告に照らして技術的援助プログラムの必要性を強調し、かつ、締約国に対し、これとの関連で〔国際連合〕人権センター、国際連合事務局犯罪防止刑事司法部およびユニセフとの協力を継続するよう奨励するものである。
21.委員会はまた、締約国が、児童労働の問題に関する政策および立法が子どもの権利条約および関連のILO条約の規定に一致することを確保するよう勧告する。
22.さらに、委員会は、締約国が、親の責任に関して公衆一般を教育し、かつ、これとの関連でカウンセリングを提供する可能性を検討するための措置およびプログラムを行なうよう提案する。加えて、委員会は、締約国が、子どもの権利条約についての意識をさらに普及する努力のなかで、締約国報告書、議事要録および委員会の総括所見を適切な手段により広く入手可能にするよう勧告するものである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年12月19日)。