総括所見:ウクライナ(第2回・2002年)


CRC/C/15/Add.191(2002年10月9日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2002年9月26日に開かれた第821回および第822回会合(CRC/C/SR.821 and 822参照)においてウクライナの第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.11)を検討し、2002年10月4日に開かれた第833回会合(CRC/C/SR.833)において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、報告ガイドラインにしたがった締約国の第2回定期報告書および委員会の事前質問事項(CRC/C/Q/UKR/2)に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会は、締約国代表団との建設的かつ有益な対話に留意するものである。

B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、個人の人権および自由を法的に承認した新憲法の採択(1996年6月)を歓迎する。
4.委員会は、事前質問事項に対する文書回答に挙げられた、低所得家庭のための国家社会扶助法(第1768-III号、2000年6月)、子どものころから障害がある者および障害のある子どものための国家社会扶助法(第2109-III号、2000年11月16日)、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国住宅法改正法(第1525-III号、2000年3月12日)、児童福祉法(第2402-III号、2001年4月26日)、移民法(第2491-III号、2001年6月7日)、難民法(第2557-III号、2001年6月21日)、ウクライナ市民権法(第2235-III号、2001年1月18日)、子ども・若者ソーシャルワーク法(第2558-III号、2001年6月21日)、ドメスティックバイオレンス防止法(第2789-III号、2001年11月15日)(とくに学校、施設および家庭における体罰を禁止)、刑法(2001年9月1日)、就学前教育法(2001年6月11日)、課外教育法(2001年6月22日)、子どものいる家庭のための国家扶助法改正法(2002年1月1日)、家族法(2002年1月10日)などの新法の制定を歓迎する。
5.委員会は、国際労働機関・最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)の批准を歓迎する。委員会はさらに、1996年の「教育について」の法律の導入および1997年の「職業訓練および技術訓練について」の法律の採択による教育制度の改革、ならびに、学校カリキュラムへの人権の導入、子どもの状況に関する年次報告書ならびに国営のテレビおよびラジオにおける子どもの権利に関する番組を歓迎するものである。

C.条約の実施を阻害する要因および困難

6.委員会は、締約国が、子どものいる家庭に影響を及ぼす生活水準の悪化、高い失業率および貧困につながってきた長期の経済的移行期のさなかにあり、委員会がその第1回報告書を検討したときと同じ重大な経済的および社会的問題の多くに引き続き対処していることに、留意する。さらに委員会は、チェルノブイリ原子力発電所事故の悪影響およびHIV/AIDSの汎発流行の有害な影響が根強く残っており、住民一般に対してならびにとくに子どもの健康および発達に対して影響を及ぼしていることに、留意するものである。

D.主要な懸念事項、提案および勧告

1.実施に関する一般的措置

委員会の前回の勧告
7.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/8/Add.10)の検討を受けて採択された総括所見で表明された懸念および行なわれた勧告の一部(CRC/C/15/Add.42、パラ8、17、18、20、22、25、26、29および30)への対応が不十分であることを、遺憾に思う。委員会は、この文書で同じ懸念表明および勧告が行なわれていることに留意するものである。
8.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうちまた全面的に実施されていないものに対応し、かつこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。
立法および実施
9.委員会は、条約に関する法律が宣言的な性質のものとみなされており、したがって全面的に実施されていないことを懸念する。委員会はまた、報告対象期間後に制定された法律についてごくわずかな情報しか受領できなかったため、これらの法律が権利を基盤とするアプローチに立っており、かつ条約に一致しているかどうか評価することが困難であったことも懸念するものである。
10.委員会は、条約に掲げられた権利との全面的一致を確保し、かつ条約に関連するすべての法律の実施機構を強化する目的で、締約国が法律を見直し、必要に応じて改正しかつ更新するよう、勧告する。
国家的行動計画および調整
11.委員会は、国家プログラム「ウクライナの子どもたち」を含む国家青少年政策、国家家族・青少年問題委員会(中央および地方の行政レベルにおける家族、女性および子どもの権利についての国家的政策の実施ならびに中央当局と国連児童基金(ユニセフ)その他の国際機関間の協力の調整を担当)および省庁間子ども福祉委員会(条約、子どもの生存、保護および発達に関する世界宣言および国家プログラム「ウクライナの子どもたち」を実施するための措置の調整を担当)について受領された情報に、留意する。
12.しかしながら委員会は、国家青少年政策が、社会扶助、保健ケア、教育、代替的養護および子どもの保護〔のみ〕を対象としていること、および、権利牙なプロ―チを欠いており、かつ条約に掲げられたすべての権利を包含していないことを、依然として懸念する。委員会はさらに、条約上のすべての権利を実施するための取り組みが明確な形で調整されていないことを懸念するものである(前掲パラ18)。
13.委員会は、国家的行動計画が権利を基盤とし、かつ条約のすべての規定および原則を網羅するべきことを勧告する。
14.委員会は、締約国が、中央および地方の公的機関間で活動を効果的に調整し、かつ非政府組織(NGO)および市民社会のその他の部門と協力する等の手段により、国および地方のレベルで条約の実施を調整する単一の常設機関を設置し、またはそのような機関を指定するよう、勧告する。
独立の監視体制
15.ウクライナ最高会議人権コミッショナーが任命されたことには留意しながらも、委員会は、同コミッショナーの委任事項で、条約の実施における進展の定期的監視および評価について定められていないことを依然として懸念する。委員会はさらに、同コミッショナー事務所に、とくに条約で保障された権利の侵害に関する個別の苦情に対応するための機構が含まれていないことを懸念するものである。
16.委員会は、締約国に対し、既存の体制内で子どもの権利についてとくに責任を負うコミッショナーを任命するか、子どもによる苦情申立てに子どもに配慮したやり方で対応することにとくに責任を負う、子どもの権利担当の特別部課を設置するかのいずれかの措置をとるよう、奨励する。これとの関連で、委員会は、国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号を参照するよう求めるものである。
子どものための資源
17.委員会は、締約国が保健および教育に優先順位を与えていること、および、情報によれば2000~2001年度予算が増額されたことに留意する。しかしながら委員会は、社会サービス、保健および教育のための資源水準が全体として低いことにより、サービスの質およびアクセス可能性に悪影響が生じ、そのことがとくに貧困下で暮らす有子家庭に影響を及ぼしていることを、依然として懸念するものである。委員会はまた、「ウクライナの子どもたち」プログラムに十分な資金が拠出されていないことも懸念する。委員会はさらに、再調整プログラムが、社会サービスの計画および予算策定において適切な対処が行なわれない場合には子どもに不相応な悪影響を与える可能性があることを、懸念するものである。
18.条約第2条、第3条および第6条に照らし、委員会は、締約国が、以下の措置をとることによって条約第4条の全面的実施に特段の注意を払うよう、勧告する。
  • (a) 条約の実施のための予算をさらに増額し続けるとともに、社会サービスの提供および財政の地方分権化を考慮しながら、利用可能な資源を最大限に用いることによる子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施を確保するための予算配分、とくに社会的に周縁化された集団への予算配分を優先させること。
  • (b) 貧困削減戦略(2001年)を実施するための努力を強化すること。
  • (c) 「ウクライナの子どもたち」を含む子どものための国家的プログラムおよび政策を全面的に実施するための十分な資源を確保すること。
  • (d) 支出の影響を評価する目的で、かつさまざまな部門で子どもに提供されているサービスの費用、アクセス可能性、質および実効性の観点からも、官民の制度または組織を通じて子どもに用いられている国家予算の額および割合を特定すること。
データ収集
19.委員会は、条約が対象とするあらゆる領域、ならびに、ひとり親家族の子ども、離婚した父母の子ども、遺棄された子どもおよび施設に措置された子どもを含むあらゆる集団の子どもの関するデータおよび指標を体系的かつ包括的に集積することのできる、調整および監視のための効果的な機構を発展させるべきである旨の、締約国に対する前回の勧告が十全にフォローアップされていないことを遺憾に思う(前掲パラ10)。
20.委員会は、締約国が、条約が対象とするすべての領域を編入し、かつ、特別な保護を必要とする子どもをとくに重視しながら18歳未満のすべての子どもを網羅する、細分化されたデータの体系的収集に優先的に取り組むよう、勧告する。締約国はまた、条約の実施に関して達成された進展を効果的に監視しおよび評価しならびに子どもに影響を与える政策の効果を評価するための指標も開発するべきである。これとの関係で、委員会は、締約国がユニセフの技術的援助を求めるよう、勧告する。
研修/条約の普及
21.委員会は、前回の勧告(前掲パラ21)にしたがい、条約の普及ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家の研修のために締約国が行なった努力を歓迎する。しかしながら委員会は、条約の原則および規定に関する広範な意識および理解を生み出すための措置を、継続的および体系的なやり方でさらに強化しかつ実施する必要があるという見解に立つものである。
22.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家集団(議員、裁判官、弁護士、法執行官、保健従事者、教員、学校管理者および必要に応じて他の専門家)を対象として、子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修および(または)感受性強化措置を行なうための努力を継続しかつ強化すること。
  • (b) とくに地方レベルで条約を促進するための、いっそう創造的な手法(絵本およびポスターのような視聴覚補助手段およびメディアの活用も含む)を引き続き発展させること。
NGOとの協力
23.委員会は、政府とNGOとの協力の増加にともない、政府と市民社会との関係が改善していることを歓迎する。しかしながら委員会は、権利基盤アプローチにしたがった条約の実施に市民社会の関与を得るための努力が不十分であることを、依然として懸念するものである。
24.委員会は、市民的権利および自由に関するものも含む条約の規定を実施する際のパートナーとして市民社会が果たす重要な役割を強調するとともに、締約国が、NGOとのいっそうの協力を促進し、かつ、とくに、条約の実施のあらゆる段階を通じ、子どもとともにおよび子どものために活動するNGO(とくに権利を基盤とする団体)および市民社会のその他の部門のいっそう制度的な関与を得ることを検討するべきである旨の、前回の勧告(前掲パラ18)をあらためて繰り返す。

2.子どもの定義

25.委員会は、前回の勧告(前掲パラ17)にも関わらず、男子(18歳)および女子(17歳)の最低婚姻年齢に関して格差が残っていることを懸念する。委員会はまた、性的同意に関する法定最低年齢が明確に定められていないことも懸念するものである。
26.委員会は、締約国が、女子の最低婚姻年齢を18歳に引き上げることにより男女間の婚姻年齢格差を是正するべきである旨の、前回の勧告をあらためて繰り返す。委員会はまた、親の同意なく医療上の助言およびカウンセリングを求めることのできる法定最低年齢を引き下げ、かつ性的同意に関する明確な法定最低年齢を定めることも勧告するものである。

3.一般原則

27.委員会は、差別の禁止、子どもの最善の利益、生命、生存および発達、ならびに、年齢および成熟度にしたがって子どもの意見を尊重される権利の原則が、国および地方のレベルにおける締約国の法律、政策およびプログラムに全面的には反映されていないことを懸念する。
28.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約の一般原則、とくに第2条、第3条、第6条および第12条を、子どもに関わるあらゆる関連の法律に適切な形で統合すること。
  • (b) 政治上、司法上および行政上のすべての決定ならびに子どもに影響を及ぼすプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいてこれらの原則を適用すること。
  • (c) あらゆるレベルの計画および政策立案、ならびに、社会保健福祉機関、教育機関、裁判所および行政機関によるあらゆる行動においてこれらの原則を適用すること。
差別の禁止
29.委員会は、差別の禁止の原則が、経済的に不利な立場に置かれた世帯の子ども、農村部で暮らしている子ども、施設の子ども、障害のある子ども、ロマの子どもおよびHIV/AIDSの影響を受けている子どもを対象として、とくに保健ケア、社会福祉および教育との関連で全面的には実施されていないことを、依然として懸念する。
30.委員会は、締約国が、経済的に不利な立場に置かれた世帯の子ども、農村部で暮らしている子ども、施設の子ども、障害のある子ども、ロマの子どものような国民的マイノリティに属する子どもおよびHIV/AIDSの影響を受けている子どもの状況を監視するよう、勧告する。このような監視の結果に基づき、とくに教育および保健ケアへのアクセスに関するものを含むあらゆる形態の差別の解消を目的とした、具体的かつ十分に的を絞った行動を掲げる、包括的かつ積極的な戦略が策定されるべきである。
31.委員会は、とくに、脆弱な立場に置かれた前掲の集団に属する子どもへの差別的な態度または偏見の悪化を防止するための措置がとられるべきである旨の、前回の勧告(前掲パラ22)をあらためて繰り返す。
32.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。
子どもの意見の尊重
33.委員会は、締約国による子ども議会の創設を歓迎するものの、子どもに対する社会の伝統的態度により、家庭、学校およびコミュニティのレベルにおける子どもの意見の尊重がいまなお制限されていることを、依然として懸念する。委員会はさらに、子どもの監護権をめぐる手続ならびに代替的養護(里親養護または施設養護その他の形態の代替的養護など)に関わる決定も含め、司法上または行政上の決定の文脈において、子どもの意見がその年齢および成熟度にしたがって十分に考慮されていないことを懸念するものである。
34.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約第12条にしたがい、家庭および学校ならびに司法上および行政上の手続において、子どもに影響を与えるすべての事柄に関する子どもの意見の尊重および子どもの参加を促進し、かつその便宜を図ること。
  • (b) 子どもの参加権および意見を考慮される子どもの権利について、とくに親、教員、政府の行政職員、司法関係者、子どもたち自身および社会一般に対して教育的情報を提供すること。
  • (c) 委員会はさらに、締約国が、子どもの意見がどのぐらい考慮されているか、またそれが政策およびプログラムの実施ならびに子どもたち自身にどのような影響を与えているかについて定期的検討を行なうよう、勧告する。

4.市民的権利および自由

拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰
35.委員会は、2001年刑法における拷問の定義が、国の職員による拷問(心理的拷問を含む)の行為を明示的に含んでいないため、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約における拷問の定義と両立しないことを懸念する。刑法は、拷問によって得られた証拠の証拠能力が否定されることも宣言していない。
36.委員会はまた、子ども、とくにロマの子どもが法執行官による不当な取扱いおよび拷問を受けているという訴えが続いており、かつ、これらの訴えについて独立の公的機関による効果的捜査が行なわれていないことも懸念する。
37.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 拷問を定義した法律を改正し、条約第37条(a)に一致させること。
  • (b) 子どもの拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰の訴えに対応すること。
  • (c) 拷問を使用して得られた証拠に証拠能力が認められないことを確保すること。
  • (d) 子どもの権利条約にも関連する、自由権規約委員会および拷問禁止委員会の勧告がフォローアップされることを確保するための措置をとること。
  • (e) マイノリティ、とくにロマに属する子どもに対する警察官の暴力に終止符を打ち、かつ、そのようないやがらせ行為に対する不処罰が蔓延している状態に対抗するための即時的措置をとること。
  • (f) あらゆる形態の拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰を禁止するため、あらゆる立法上の措置をとること。
  • (g) 被害者のケア、回復、再統合および補償のための支援を提供すること。

5.家庭環境および代替的養護

家庭環境
38.委員会は、締約国報告書に記されているように、高い離婚率、ひとり親家庭の増加および親によるネグレクトの事案を含む家族の解体現象が悪化しつつあることに、深い懸念とともに留意する。委員会はさらに、貧困線以下の生活を送る家族の割合が上昇していることを懸念するとともに、子どもの養育責任を果たすにあたって両親を援助するシステムを強化するために締約国がさらなる措置をとるべきである旨の前回の勧告(前掲パラ25)がフォローアップされていないことを、遺憾に思うものである。さらに、家族に対する金銭的援助が減少している。
39.委員会は、親のケアを受けられない状態に置かれた子どもの人数が増加していることに深刻な懸念を表明するとともに、脆弱な立場に置かれた家族を援助するための包括的戦略を策定するべきである旨の、締約国に対する前回の勧告(前掲パラ26)がフォローアップされていないことを遺憾に思う。
40.第18条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 安定した家庭環境に対する子どもの権利を保護するための努力を強化するとともに、これとの関連で、包括的な新子ども法を通じ、子どもが効果的に保護され、かつ、窮乏するすべての子どもおよび親が金銭的援助にアクセスできることを確保すること。
  • (b) 最近起草された、社会保障手当制度の再編成を目的とする社会扶助法案について措置を講じること。
  • (c) 子どもと親の前向きな関係を促進するため、助言および教育を通じた家族への社会的援助および支援を向上させること。
  • (d) ソーシャルワーカーに対して十分な研修を行なうこと。
  • (e) 非行、犯罪および薬物依存のような問題につながる社会的条件の解消の一助とするため、家族およびコミュニティの役割を支援することのような防止措置を強化すること。
  • (f) 貧困削減戦略2001に基づく、貧困下で暮らす有子家庭に対する金銭的支援の、国、広域行政圏および地方のレベルにおける増額を検討すること。
体罰
41.委員会は、新たなドメスティックバイオレンスからの保護法(2001年)を歓迎するものの、同法がまだ実施されていないことを依然として懸念する。
42.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 家庭における子どもの不当な取扱い、虐待およびネグレクトの性質および規模を評価するための研究を実施し、かつこれらに対応するための政策およびプログラムを立案すること。
  • (b) 不当な取扱いおよびあらゆる形態の家族間暴力(体罰を含む)の苦情を受理し、監視しおよび調査し(必要なときは介入の手段によることも含む)ならびにこれらの事案を捜査しおよび訴追するための、効果的な手続および機構を設置すること。その際、虐待を受けた子どもが法的手続において被害を受けず、かつそのプライバシーが保護されることを確保すること。
  • (c) 子どもに対するあらゆる種類の暴力の発見、通報およびこれに対する対応について、教員、法執行官、ケアワーカー、裁判官および保健専門家の研修を行なうこと。
  • (d) 子どもに対する暴力についての一般的討議の際に委員会が採択した勧告(CRC/C/100、パラ688およびCRC/C/111、パラ701-745)を考慮すること。
  • (e) 子どもの不当な取扱いの悪影響に関する公的教育キャンペーンを実施するとともに、体罰に代わる手段としての、積極的かつ非暴力的な形態のしつけを促進すること。
扶養料の回復
43.委員会は、ひとり親に対する国の援助が不十分であること、および、子どもの扶養料を回復するための制度が非効率であり、ときには数年に及ぶ支払いの遅延を許していることを、懸念する。
44.委員会は、締約国が、扶養料の支払い責任を負う親からそれを徴集するためのいっそう積極的な、時宜を得たかつ効果的な政策を実施しかつ監視する機構を設置するよう、勧告する。
家庭環境を奪われた子ども/代替的養護
45.委員会は、教育省および保健住宅省が代替的養護施設の担当であることに留意する。
46.委員会は、困難な状況にある子どもに援助を提供する目的で施設措置による対応が顕著に利用されていること、および、18歳に達するまで長年にわたって施設で養護される子どもが、施設退所後に自立生活を送るのに必要な教育上および職業上のスキルを獲得していないことを、懸念する。委員会はまた、一部の施設における養護の質の低さおよびこれらの施設の環境についても懸念を表明するものである。
47.委員会は、里親養護その他の形態の家族を基盤とする代替的養護が十分に発展しかつ利用可能とされていないことを懸念する。委員会はさらに、子どもが自己の措置に関する懸念および苦情を伝達する効果的機構を有していないことを懸念するものである。
48.条約第20条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 社会福祉制度内で代替的養護を担当する機構を、国、広域行政圏および地方のレベルで設置しまたは強化することを検討すること。
  • (b) 子どもの遺棄を防止しまたは削減するため、戦略の策定および意識啓発活動の発展を含む効果的措置をとること。
  • (c) 里親養護、家庭型里親ホームその他の家族を基盤とする代替的養護を増やしおよび強化し、ならびにそれに応じて代替的養護の一形態としての施設養護を減らすための効果的措置をとること。
  • (d) 子どもの施設措置は最後の手段および一時的措置としてのみ行なうこと。
  • (e) 条約第3条3項にしたがい、施設の環境を改善するためにあらゆる必要な措置をとるとともに、子どもの参加を高めること。
  • (f) ソーシャルワーカーを含む施設職員に対して支援を提供しかつ研修を行なうこと。
  • (g) 養護の水準を引き続き監視するとともに、条約第25条に照らし、措置の定期的再審査を確立すること。
  • (h) 施設養護を離れた子どもに対し、フォローアップおよび再統合のための十分な支援およびサービスを提供すること。
養子縁組
49.委員会は、締約国が国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)の批准を検討するべきである旨の前回の勧告がまだフォローアップされていないことを、遺憾に思う(前掲パラ28)。委員会は、養子ができるかぎりその実親の身元を知る権利を有していないことを懸念するものである。
50.委員会は、締約国が国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)を批准するべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。条約第3条および第7条に照らし、委員会は、締約国が、すべての養子が可能なかぎりその親の身元に関する情報を入手できるようにするため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。

6.基礎保健および福祉

51.委員会は、保健ケアサービスの質およびアクセス可能性が深刻に下降していることを深く懸念する。委員会はさらに、家を離れた子どもが医療援助にアクセスできないこと、子どもの有病率が上昇していること、妊産婦死亡率が高いこと、障害児の人数が増えていること、および、とくに低所得世帯の子どもの間でヨウ素欠乏症および栄養上の問題が多数発生していることを、懸念するものである。
52.委員会は、締約国が以下の措置をとることを緊急に勧告する。
  • (a) すべての子ども、とくにもっとも脆弱な立場に置かれた集団の子どもがプライマリーヘルスケアにアクセスできることを確保すること。
  • (b) 乳幼児期の発達に対する統合的かつ多層的アプローチを確保するため、健康および栄養に焦点を当てた国レベルの政策を策定すること。
  • (c) とくにユニセフおよびWHOとの活動を引き続き行ない、かつその技術的援助を求めること。
障害のある子ども
53.委員会は、障害のある子どもの劣悪な状況が広がっていること、および、1993~1997年の期間に障害児の人数が増えたことを懸念する。とくに、委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 障害のある子どもの施設措置が慣行となっていること。
  • (b) 障害児を対象とする、国によるカウンセリングおよび心理的ケアが存在しないこと。
  • (c) 障害児のいる家族に対する国の支援が行なわれていないこと。
  • (d) 障害のある子どもが社会的差別に直面していること。
  • (e) 入所ホームに配分される資源が相当に減少していること。
  • (f) とくに教育制度との関連で、日常生活のさまざまな分野への障害児のインクルージョンおよびこれらの分野への障害児によるアクセスが限定されていること。
54.条約第23条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の前回の勧告をあらためて繰り返す。
  • (a) 子どもの障害の原因およびその予防方法を明らかにするための研究を行なうこと。
  • (b) 障害のある子どもの状況および権利に関する意識を高めるための公的キャンペーンを実施すること。
  • (c) 障害のあるすべての子ども、とくに農村部で生活している子どものためのプログラムおよび便益に対して必要な資源を配分するとともに、このような子どもが家族とともに自宅で生活できるようにするための、コミュニティを基盤とするプログラムを強化すること。
  • (d) 障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/86付属文書)および障害のある子どもの権利に関する一般的討議の際に採択された委員会の勧告(CRC/C/69、パラ310-339)に照らし、教員に対して特別研修を行ない、かつ学校をいっそうアクセスしやすいものとする等の手段もとりながら、障害児の普通教育制度への統合および社会へのインクルージョンをさらに奨励すること。
環境保健
55.委員会は、締約国が、チェルノブイリ原発事故の影響をもっとも受けている地域から家族を移動させた旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国報告書に記されているように、チェルノブイリ原発事故の結果として子どもの健康(および妊婦の健康)に有害な影響を与える主要な要因が残っていること、大気および食料品の化学汚染物質の水準が高いことならびに騒音公害の水準が高いことを、依然として懸念するものである。委員会はさらに、チェルノブイリ原発事故が健康面および心理社会面でもたらした長期的影響に対して十分な注意が向けられていないことに留意する。
56.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) チェルノブイリ原発事故の影響を受けている子どもに提供される専門的保健ケアを、その心理社会的側面も含めて引き続き向上させること。
  • (b) 放射能汚染関連疾患の発見および予防のための努力を強化すること。
  • (c) とくにこの分野における国連の取り組みを支援することを通じ、住民の援助に対する長期的開発アプローチにいっそう焦点を当てること。
  • (d) 環境および食料品の汚染を含む環境悪化が子どもたちに及ぼす有害な影響を防止しかつこれと闘うため、国際協力を求めることも含むあらゆる適当な措置をとること。
思春期の健康およびHIV/AIDS
57.思春期の健康に関して、委員会は、薬物、アルコールおよび喫煙に依存する子どもおよび青少年の人数が増えていることを懸念する。委員会は、医療上のカウンセリングおよび助言に親の同意なしでアクセスできないことに、懸念を表明するものである。委員会はまた、10代の妊娠中絶件数が多数行なわれており、これが妊産婦の死亡の主要な原因になっていることも懸念する。
58.HIV/AIDSの分野における締約国の努力には留意しながらも、委員会は以下のことを依然として懸念する。
  • (a) 若者のHIV/AIDS感染者数が増加していること。
  • (b) HIV/AIDSが、これに感染しまたはその影響を受けている子どもの、条約の一般原則を含む文化的、経済的、政治的、社会的および市民的権利(とくに差別の禁止、保健ケア、教育、食料および居住ならびに情報および表現の自由)にきわめて深刻な影響を与えていること。
  • (c) 締約国のHIV/AIDS予防プログラムの効率性を管理し、監視し、実施しおよび評価する効果的な国レベルの制度が設けられておらず、かつ、HIVとともに生きる人々および家族のためのケア、治療、医療サービスおよび社会的援助について規制する統一基準が定められていないこと。
  • (d) HIV/AIDS感染者、とくに青少年に対して提供されるカウンセリングサービスが不十分であること。
59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) アルコールの濫用、喫煙および薬物依存の増加に対応し、かつ、子どもの発達しつつある能力を考慮に入れながら、青少年が親の同意を得ずに医療上のカウンセリングおよび助言にアクセスできるようにするために、必要な措置をとること。
  • (b) 青少年が、リプロダクティブヘルスおよび思春期の健康に関わるその他の問題(精神保健を含む)についての教育にアクセスできおよびこのような教育を提供されること、ならびに、子どもに配慮した、秘密が守られるカウンセリングサービスを提供されることを確保すること。
  • (c) 思春期の健康に関わる問題(性感染症およびHIV/AIDSの悪影響を含む)の規模および性質を評価するために包括的かつ学際的な研究を行なうとともに、これを、青少年の全面的参加を得ながら、思春期の健康に関わる政策およびプログラムの立案の基盤として活用すること。
  • (d) HIV/AIDSと人権に関する国際指針(E/CN.4/1997/37付属文書I)を活用する等の手段により、かつ、差別から保護される子どもの権利ならびに健康、教育、食料および住居に対する子どもの権利ならびに情報および表現の自由に対する権利をとくに参照しながら、HIV/AIDSに感染した子どもおよびその影響を受けている子どもならびにその家族のためのHIV/AIDS政策および戦略の策定および実施に、子どもの権利の尊重を統合すること。
  • (e) HIV/AIDS予防のための努力を強化するとともに、HIV/AIDSが存在する世界で暮らす子どもに関する一般的討議の際に採択された委員会の勧告(CRC/C/80、パラ243)を考慮すること。
  • (f) とくにUNAIDS〔国連エイズ合同計画〕および国連開発計画に対してさらなる技術的協力を求めること。

7.教育、余暇および文化的活動

60.委員会は、学齢のすべての子どもを対象とする義務的中等教育の提供を確保することのような目的を含む「教育について」の法律の導入により、教育制度を改善するために締約国が行なっている努力を歓迎する。委員会はまた、高等教育に関する国家的基準が採択されたことも歓迎するものである。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念する。
  • (a) 制度の財政管理が非効率的であり、かつ透明でないこと。
  • (b) 教育費用の上昇により、経済的に不利な立場に置かれた世帯の子どもによるアクセスが制約されてきたこと。
  • (c) 就学前教育施設数の減少により、就学前教育への子どものアクセスが制約されていること。
  • (d) 中等教育および職業教育における中退率が上昇しつつあること。
  • (e) 教育施設の数および利用可能な教育の質に関して重要な地域格差があり、農村部がとりわけ不利な立場に置かれていること、および、ロマのような少数の国民的マイノリティの子どもが、自己の言語によるものも含む良質な教育を受けていないこと。
  • (f) 教育改革が、必要な事前準備および教員の研修をともなわずに実施されていること。
61.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 農村部のコミュニティの子ども、ロマの子ども、クリミア・タタール人の子どもおよびその他のマイノリティの子どもならびに不利な立場に置かれた背景を有する子どもに特段の注意を向けながら、締約国のすべての子どもを対象として、無償の初等教育が利用できることおよび良質な教育(子ども自身の言語によるものを含む)にアクセスできることを確保すること。
  • (b) 就学前教育施設の数を増やすために必要な措置をとること。
  • (c) この目的のための適切な資源の提供等も通じ、義務教育に関する法律が執行されることを確保すること。
  • (d) 教育改革が十分な準備を経て実施され、かつ改革を実施するための支援(特別資金および教員研修を含む)が提供されることを確保するとともに、新たなプログラムの良質な評価のための手続を確立すること。
  • (e) 条約第29条1項および教育の目的に関する委員会の一般的意見1号に掲げられた目標を達成するため、全国で教育の質を向上させるとともに、子どもの権利を含む人権の教育が学校カリキュラムに含まれることを確保すること。

8.特別な保護措置

子どもの難民および国内避難民
62.委員会は、2001年難民法が制定されたことは歓迎しつつも、以下のことを依然として懸念する。
  • (a) 締約国報告書に記されているとおり、子どもの難民の一部(とくに年長の子ども)が学校に通っておらず、そのためこのような子どもが教育を受けることを妨げられ、かつウクライナ社会で孤立することにつながっていること。
  • (b) 登録手続および難民認定手続が2001年8月以来停止しており、新難民法の実施が保留となっていること。
  • (c) 入国地点で拘束され、かつ国境警備施設に収容されている不法移民(子どもを含む)に対して提供される栄養面および医療面のケアが不十分であること。
63.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 締約国報告書で示唆されているとおり、保護者のいない子どもの難民の具体的なニーズおよび状況に対応するための手続を策定すること。
  • (b) 2001年難民法を実施すること。
  • (c) 子どもの庇護希望者、難民および不法移民が教育および保健サービスにアクセスできることを確保すること。
  • (d) 国境警備施設に収容されている子どもに対し、栄養面および医療面の十分なケアを確保すること。
  • (e) 無国籍者の地位に関する条約および無国籍の削減に関する条約に加入すること。
経済的搾取
64.委員会は、とくに子どもに関わる労働法の遵守を監視することに責任を負う労働社会政策省が1996年に創設されたことには留意しながらも、とくに危険な労働および強制労働との関連でウクライナ労働法が十分に執行されていないこと、および、多数の子どもがとくにインフォーマル部門で働いている旨の報告があることを、依然として懸念する。
65.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 児童労働を防止しかつこれと闘うための国家的行動計画を採択しかつ実施する目的で、児童労働の原因および規模に関する全国調査を行なうこと。
  • (b) すべての子どもを、経済的搾取から、かつ危険があり、その教育を妨げ、またはその健康もしくは身体的、心理的、精神的、道徳的もしくは社会的発達にとって有害となるおそれのあるいずれかの労働に就くことから保護するための努力を継続すること。
性的搾取および人身取引
66.委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 子どもがセックス産業にますます関与するようになっていること。
  • (b) 女性および子どもの人身取引を防止する国家行動計画が実施されていないこと。
  • (c) 性的その他の形態の搾取を目的とする子ども(とくに女子)の人身取引が大規模に行なわれていること、および、性的同意に関する法定最低年齢が明確に定められていないこと。
67.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの人身取引、児童買春その他の形態の子どもの性的搾取と闘うための行動を起こすこと。
  • (b) 1996年および2001年の子どもの商業的性的搾取に反対する会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバルコミットメントを考慮に入れながら、子どもの性的搾取および商業的搾取に反対する国家的行動計画を実施すること。
  • (c) とくに女性および子どもの人身取引を防止する新たな国家行動計画を通じて女性および子どもの人身取引と闘うための努力を継続しかつ強化するとともに、このプログラムに、その効果的実施を保障するのに十分な資源が提供されることを確保すること。
  • (d) 被害を受けた子どもの回復および社会的再統合のためのプログラムを確立すること。
  • (e) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准すること。
ストリートチルドレン
68.委員会は以下のことをとくに懸念する。
  • (a) ストリートチルドレンの人数が増えており、かつ、この状況に対応するため少年問題担当機関が実施している政策およびプログラムが容認不可能なものであること。
  • (b) 「授業」、「ストリートチルドレン」、「列車の駅」および「休日」のような予防的特別一斉摘発が行なわれていること、および、遺棄および犯罪防止のための社会的援助という名目でこれらの子どもに関する情報の特別データベースが維持されていること。
  • (c) ストリートチルドレンが、とくに性的虐待、暴力(警察による暴力を含む)、搾取、教育へのアクセスの欠如、有害物質濫用、性感染症、HIV/AIDSおよび栄養不良の被害を受けやすい状態に置かれていること。
69.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) ストリートチルドレンの全面的発達を支援するため、これらの子どもに対して十分な栄養、衣服、住居、保健ケアおよび教育機会(職業訓練およびライフスキル訓練を含む)が提供されることを確保すること。
  • (b) ストリートチルドレンに対し、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進するサービスが提供されることを確保すること。
  • (c) この現象の範囲および原因を評価するための研究を行なうとともに、これらの子どもの最善の利益にかなう形でかつその参加を得ながらこの現象を防止しかつ減少させることを目的とする、ストリートチルドレンが多数にのぼりかつ増加している問題に対応するための包括的戦略の策定を検討すること。
  • (d) 少年問題担当機関ではなく青少年社会福祉機関の制度内でストリートチルドレンの状況に対応することを検討すること。
少年司法の運営
70.委員会は、子どもに関わる社会的保護および犯罪防止を担当する「少年問題担当機関および特別少年施設について」の法律が1995年に採択されたこと、および、少年警察班が設置されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、とくに以下のことを依然として懸念するものである。
  • (a) 専門の少年裁判所および少年裁判官が、国内法にこれらの機関について定めた法律上の規定があるにも関わらず存在せず、かつ、この分野で働く法曹、ソーシャルワーカー、コミュニティ教育者および監督官の人数が限られていること。
  • (b) 被拘禁者の家族が拘禁について長時間告知されないこと、裁判官の前に引致されるまでの拘禁時間が長いこと(72時間)および未決勾留が長期にわたること(18か月)。
  • (c) 11~18歳の子どもが特別省の管轄下にある少年接受/分散センターで隔離して措置されており、かつ、これらのセンターおよび子どもが自由を剥奪されるすべての施設の環境が劣悪であること。
  • (d) 矯正施設その他の施設で提供される教育および指導が不十分であり、かつ、社会的および心理的更生のためのサービスが提供されていないこと。
71.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 1995年に行なわれた、少年司法の運営に関する委員会の一般的討議(CRC/C/69参照)に照らし、少年司法に関する基準、とくに条約第37条、第40条および第39条ならびに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)および少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)の全面的実施を確保すること。
  • (b) 未決拘禁を含む拘禁は、最後の手段としてのみ、可能なかぎり短くかつ法律で定められた期間を超えない範囲で用いること。
  • (c) 第39条に照らし、少年司法制度に関わることになった子どもの回復および社会的再統合を促進するための適当な措置(再統合を促進するための十分な教育および認証を含む)をとること。
  • (d) 「少年司法に関する技術的助言および援助についての国連調整パネル」を通じ、とくに国連高等人権弁務官事務所、国連国際犯罪防止センター、少年司法国際ネットワークおよびユニセフの援助を求めること。
刑法
72.委員会は、2001年刑法に関する包括的情報が全般的に欠けていることを懸念する。しかしながら委員会は、文書回答で受領した情報によれば、秩序紊乱行為が社会にとっての危険を構成する重罪と定められており、これによって行動上の問題が犯罪化されていることを、とりわけ懸念するものである。委員会はさらに、2001年刑法に基づいて未成年者に重罰が科されることを懸念する。
73.委員会は、締約国が、14~16歳の子どもの刑事責任の範囲を最小限に留める目的で重罪の分類を見直すよう勧告する。委員会はさらに、条約第37条、第39条および第40条に照らし、子どもに対する処罰が、条約第40条1項に掲げられた少年司法の目標の実現に資するものとなり、かつ少なくとも求刑法に基づく処罰よりも厳しくなることがないよう、締約国が2001年刑法を見直すよう勧告するものである。
マイノリティ集団に属する子ども
74.委員会は、ロマの状況の改善を目的とした試行プログラムがいくつかの州で行なわれているにも関わらず、ロマがいまなお広範な差別の被害を受けており、それによって教育、健康および社会福祉に対する子どもの権利が阻害される事例も生じていることを、懸念する。
75.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 社会一般ならびにとくに保健、教育その他の社会サービスを提供する公的機関および専門家の間に存在する、ロマに対する否定的態度に対処することを目的としたキャンペーンを、すべての段階およびすべての州で開始すること。
  • (b) ロマのすべての子どもを主流の教育に統合することおよびロマの子どもの特別教室への隔離を禁止することを目的とし、かつ、ロマの子どもがそのコミュニティにおける第一学習言語を学ぶための就学前プログラムを含んだ計画を策定しかつ実施すること。
  • (c) ウクライナ社会でロマに対する理解、寛容および尊重を促進するため、すべての学校を対象とした、ロマの歴史および文化を含むカリキュラム参考資料を開発すること。

9.選択議定書

76.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の両議定書に締約国が署名したことを歓迎するとともに、締約国に対し、両議定書を批准するよう奨励する。

10.報告書の普及

77.条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。このような文書は、締約国のあらゆる行政段階および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。

11.次回報告書

78.委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、一部の締約国が時宜を得た定期的報告書の提出に関して困難を経験していることを認識する。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、第3回・第4回統合定期報告書を、第4回報告書の提出期限である2008年9月26日までに提出するよう慫慂するものである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年1月4日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。