総括所見:ニュージーランド(第2回・2003年)


CRC/C/15/Add.216(2003年10月27日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2003年9月18日に開かれた第896回および第897回会合(CRC/C/SR.896 and 897参照)において、ニュージーランドの第2回定期報告書(CRC/C/93/Add.4)を検討し、2003年10月3日に開かれた第918回会合(CRC/C/SR.918参照)において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、包括的であり、優れた形式および内容を有しており、前回の勧告のフォローアップについて詳細に記述され、かつ締約国における子どもの状況についていっそう明確に理解することを可能にした、締約国の定期報告書の提出を歓迎する。委員会はさらに、締約国がハイレベルな代表団を派遣したことに評価の意とともに留意し、かつ、対話についておよび議論の過程で行なわれた提案および勧告に対する前向きな反応について歓迎の意を表するものである。

B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、締約国が、ILOの最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)を2001年に批准したこと、国連・国際組織犯罪防止条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を2002年に批准したこと、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約に1998年に加入したこと、および、対人地雷の使用、貯蔵、生産および移譲の禁止ならびに廃棄に関する条約(1997年)を1999年に批准したことを、歓迎する。

C.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置

委員会の前回の勧告
4.締約国の第1回報告書(CRC/C/28/Add.3)の検討後に採択された委員会の前回の総括所見(CRC/C/15/Add.71)に掲げられた勧告の実施に対して締約国が注意を払ってきたことは認めながらも、委員会は、一部の勧告について十分な対応が行なわれていないことに懸念とともに留意する。委員会はとくに、刑事責任年齢および最低就労年齢を含む国内法の条約との調和に関する勧告(パラ23)、ならびに、体罰の禁止、および、不当な取扱いおよび虐待の被害者の回復を確保するための機構の設置に関する勧告(パラ29)について懸念を覚えるものである。
5.委員会は、これらの懸念をあらためて表明するとともに、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に表明するために持続的努力を行なうよう、促す。
留保
6.締約国が条約に付した留保の撤回を検討中であることには留意しながらも、委員会は、このプロセスの進みが遅く、かつまだ留保の撤回に至っていないことに失望の念を抱く。委員会は、締約国の一般的留保ならびに第32条2項および第37条(c)に付された具体的留保について、依然として非常な懸念を覚えるものである。
7.1993年のウィーン宣言および行動計画に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 一般的留保ならびに第32条2項および第37条(c)に付された留保の撤回のために必要な、法律および行政手続の変更をいっそう迅速に進めること。
  • (b) 条約の適用をトケラウに拡張する目的で、トケラウの住民との議論を引き続き行なうこと。
立法
8.締約国が、1993年人権法との両立性を確保するために国内法の全般的再検討(「一貫性確保2000」)を行なったことに留意しつつ、委員会は、子どもに影響を与える法律の包括的再検討がこれに含まれていなかったこと、および、国内法が条約の原則および規定に全面的には一致していないことを遺憾に思う。
9.委員会は、締約国が、子どもに影響を与えるすべての法律の包括的再検討を開始し、かつ、法律を条約の原則および規定と調和させるためにあらゆる必要な措置をとるべきである旨の勧告を、あらためて繰り返す。
調整および国家的行動計画
10.委員会は、ニュージーランドの「子どものための課題」および「若者発達戦略」が2002年に採択されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、子どものための政策およびサービスの調整がいまなお不十分であるという締約国の懸念を共有するものである。
11.委員会は、締約国が、条約、「子どものための課題」および「若者発達戦略」を実施するすべての主体および関係者による活動を調整するための常設機構を設置するよう、勧告する。これらの文書が全面的に実施されかつ効果的な調整の対象とされることを確保するため、十分な財源および人的資源が配分されるべきである。
独立の監視
12.委員会は、子どもコミッショナー事務所を強化するための努力に留意するとともに、同事務所が子どものために行なっている活動および国家人権委員会の活動を歓迎する。しかしながら委員会は、国家人権委員会と子どもコミッショナー事務所との間で活動の重複が生じる可能性があること、および、後者がその活動を効果的に遂行するための十分な資源を有していないことを懸念するものである。
13.国内人権機関に関する一般的意見2号に照らし、委員会は、締約国が、子どもコミッショナー事務所および国家人権委員会が同様に独立していることおよび両機関が同一の政治的機関に報告することを確保し、かつ、これらの2つの期間の関係(それぞれの活動の明確な分担を含む)を定義する目的で、子ども法に関してコミッショナーが現在議会に提出している討論を活用するよう勧告する。加えて委員会は、締約国に対し、子どもコミッショナー事務所に対してその委任事項を遂行するための十分な人的資源、物的資源および財源が与えられることを確保するよう、促すものである。
子どものための資源
14.委員会は、貧困が根強く残っているにも関わらず、締約国が、前回の勧告どおり、経済改革政策が子どもに与える影響についての包括的研究を行なっていないことを懸念する。委員会はさらに、子どものための予算配分額に関する利用可能なデータが存在しないことを懸念するものである。
15.委員会は、締約国が、「利用可能な資源を最大限に用いることにより」子ども、とくに経済的に不利な立場に置かれた集団に属する子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施を確保するための予算配分を優先させることにより、条約第4条の全面的実施に特段の注意を払うよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、子どものための予算配分額に関する細分化されたデータを収集し、かつ、経済政策に関わるすべての取り組みが子どもに及ぼす影響を体系的に評価するよう、勧告するものである。
データ収集
16.委員会は、収集されるデータの性質と条約の原則および規定との間に整合性が存在しないことを懸念する。
17.委員会は、締約国が、先住民族の子どもに関する細分化されたデータに特段の注意を払いながら、条約のすべての分野を網羅したデータ収集システムを発展させるとともに、すべてのデータおよび指標が、条約の効果的実施を目的とする政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されることを確保するよう、勧告する。
普及および研修
18.委員会は、子どもおよび公衆一般ならびに子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家集団が、条約およびそこに掲げられた権利基盤アプローチについて十分な認識を有していないことを懸念する。
19.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 一般公衆およびとくに子どもたちを対象とした子どもの権利に関する公衆意識啓発キャンペーンを、マスメディア等を通じて行なうこと。
  • (b) 子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家、とくに教員、裁判官、議員、法執行官、公務員、自治体職員、施設および子どもの拘禁場所で働く職員、心理学者を含む保健従事者ならびにソーシャルワーカーを対象として、条約の原則および規定に関する体系的な教育および研修を行なうこと。

2.子どもの定義

20.委員会は、刑事責任に関する最低年齢(10歳)が低すぎること、法律に抵触した18歳未満のすべての者に対して特別な保護が提供されているわけではないこと、および、就業に関する最低年齢が定められていないことに、懸念とともに留意する。
21.委員会は、締約国が、条約の原則および規定との一致を確保する目的で、子どもに影響を与えるさまざまな法律で定められた年齢制限を見直すよう勧告する。委員会はまた、具体的に、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 刑事責任に関する最低年齢を国際的に受け入れられる水準まで引き上げ、かつ、これがすべての犯罪に適用されることを確保すること。
  • (b) 子ども、若者およびその家族法(1989年)の適用を、18歳未満のすべての者に対して拡大すること。
  • (c) 就業が認められるための単一のまたは複数の最低年齢を定めること。

3.一般原則

差別の禁止
22.委員会は、締約国も認めているように、マオリの子ども、マイノリティの子ども、障害のある子どもおよび市民でない者のような、脆弱な立場に置かれた集団の子どもに対する差別が根強く残っていることを懸念する。委員会は、マオリ、太平洋諸島およびアジア系の子どもに関する諸指標が相対的に低い値を示していることを、とりわけ懸念するものである。
23.委員会は、締約国が、差別の禁止を保障する現行法の実施および条約第2条の全面的遵守を確保するための努力を強化するとともに、いかなる事由に基づくものであれ、脆弱な立場に置かれたすべての集団に対する差別を撤廃するための積極的かつ包括的な戦略を採択するよう、勧告する。
24.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された宣言および行動計画をフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載することも要請する。
子どもの意見の尊重
25.委員会は、たとえば若者議会を通じ、国および地方のレベルで意思決定プロセスに子どもたちを包摂するために行なわれている努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、自己に影響を与える行政上および司法上の手続において意見を聴かれかつ考慮される子ども個人の権利が法令に体系的に記載されていないことを、懸念するものである。
26.委員会は、条約第12条にしたがい、意見を聴かれかつ考慮される子ども一人ひとりの権利が法令に適切な形で統合されかつ適用されることを確保するため、締約国が、子どもに影響を与える法令(子ども養護法案のような提案中の法律案を含む)の再検討を行なうよう、勧告する。

4.市民的権利および自由

不当な取扱いを含む暴力
27.委員会は、児童虐待の蔓延に関する締約国の懸念を共有するとともに、虐待の防止および回復に関する援助の提供を目的としたサービスに対して十分な資源が与えられておらず、かつその調整も不十分であることに、遺憾の意とともに留意する。
28.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 虐待被害者援助のためのサービスおよびプログラムを拡大するとともに、これらのサービスおよびプログラムが、被害者のプライバシーを尊重する、子どもに配慮したやり方で提供されることを確保すること。
  • (b) 家庭、学校および施設における児童虐待を防止するためのプログラムおよびサービスを増やすとともに、これらのサービスを提供する、十分な資格および訓練経験を有する職員の人数を十分に確保すること。
  • (c) 脆弱な立場に置かれた家族および虐待被害者のためのサービスの調整を引き続き向上させること。
体罰
29.委員会は、法律の見直しが行なわれたにも関わらず、締約国が、親が子どものしつけのために合理的な有形力を用いることを認めた1961年刑法第59条をいまなお改正していないことを、深く懸念する。家庭における積極的かつ非暴力的な形態のしつけを促進するために政府が行なっている公衆教育キャンペーンは歓迎しながらも、委員会は、条約ではあらゆる形態の暴力(体罰を含む)からの子どもの保護が要求されており、かつ、これととあわせて法律および保護される子どもの権利に関する意識啓発キャンペーンが行なわれるべきであることを、強調するものである。
30.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 法律を改正して家庭における体罰を禁止すること。
  • (b) 体罰の悪影響に関する意識啓発を図りながら、積極的かつ非暴力的な形態のしつけおよび人間の尊厳に対する子どもの権利の尊重の促進を目的とした公衆教育のためのキャンペーンおよび活動を強化すること。

5.家庭環境および代替的養護

代替的養護
31.委員会は、とくにソーシャルワーク登録法(2003年)の採択および入所型施設における苦情処理委員会の設置を通じて子どもの保護および代替的養護を強化しようとする締約国の取り組みを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、子ども・若者・家族サービス局がその責任を効果的に履行するのに十分な財源および人的資源を与えられていないことを、依然として懸念するものである。捜索および押収に関する警察の権限について締約国から提供された追加的文書回答は歓迎しながらも、委員会はまた、代替的養護に措置されている子どもに対して行なわれる身体検査および持ち物検査の回数が増加している旨の報告があることも、懸念する。
32.委員会は、締約国が、以下の措置をとることにより子ども保護システムを強化するための努力を引き続き行なうよう、勧告する。
  • (a) ソーシャルワーカーおよび子ども保護システムで働く要員の資質を向上させるとともに、資格のある専門的職員を職に留めておくための措置を定めること。
  • (b) 子ども・若者・家族サービス局と子どもにサービスを提供している機関との間の調整を改善するための効果的措置をとること。
  • (c) 施設養護が最後の手段としてのみ用いられることを確保しつつ、代替的養護に配分される財源を増加させること。
  • (d) 条約第25条にしたがい、養護措置の対象とされたすべての子どもが、その処遇についておよび自己の措置に関連するあらゆる事情について定期的再審査を受けることを保障するための努力を強化すること。
養子縁組
33.委員会は、締約国が養子縁組に関する法律を改正しようとしていることを歓迎する。ただし委員会は、予定されている改正が、条約および国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)の原則および規定に全面的には一致していないことを、懸念するものである。
34.養子縁組に関する法律の改正の検討にあたり、委員会は、締約国が、第12条および意見を聴かれ、かつ子どもの年齢および成熟度にしたがってその意見を正当に重視される子どもの権利に対し、特段の注意を払うよう勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものでる。
  • (a) 一定の年齢に達した子どもについては、養子縁組に対する本人の同意を要件とすること。
  • (b) 自己の実親に関する情報に可能なかぎりアクセスする養子の権利を確保すること。
  • (c) 子どもが元のファーストネームのいずれかを維持する権利を可能なかぎり確保すること。

6.基礎保健および福祉

35.委員会は、1998年に「子ども健康戦略」が採択されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、予防接種率が100%ではないこと、ならびに、乳児死亡率および子どもの受傷率が相対的に高いことを懸念するものである。委員会はまた、子どもの健康にかかわる指標がマオリ住民の間で全般的により低くなっていることにも、懸念とともに留意する。
36.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 「子ども健康戦略」を実施するために十分な人的資源および財源を配分すること。
  • (b) 予防接種の完全実施を確保するためにあらゆる必要な措置をとるとともに、相対的に高い乳児死亡率および受傷率に効果的に対応する、親および家族を対象とした予防保健のためのケアおよび指導を発展させること。
  • (c) 民族的コミュニティ間、とくにマオリ住民における保健指標の格差に対応するためにあらゆる必要な措置をとること。
思春期の健康
37.委員会は、若者の自殺率、10代の妊娠率および青少年のアルコール濫用率が高いこと、ならびに、若者向けの精神保健サービスの水準が、とくに農村部においてかつマオリの子どもおよび入所型施設の子どもに関して不十分であることについての締約国の懸念を共有する。
38.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) とくに若者自殺防止プログラムを強化することにより、若者の自殺、とりわけマオリの若者の自殺に対応するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (b) とくに、性教育を含む健康教育をが高カリキュラムの一部とし、かつ避妊手段の使用に関する情報キャンペーンを強化することにより、10代の妊娠率を削減するための効果的措置をとること。
  • (c) 青少年によるアルコール消費の増加に対応するための効果的な防止措置その他の措置をとるとともに、とくにマオリの子どもを対象としたカウンセリング・サービスおよび支援サービスの利用可能性およびアクセス可能性を高めること。
  • (d) 精神保健サービスおよびカウンセリング・サービスを、これらのサービスがすべての青少年(マオリの子どもならびに農村部および入所型施設の子どもを含む)にとってアクセスしやすくかつ適切であることを確保しながら、強化すること。
障害のある子ども
39.委員会は、障害のある子どもが社会のあらゆる側面に全面的に統合されているわけではないこと、および、諸サービス、とくに教育制度におけるサービスが、障害のある子どもの家族にとってしばしばアクセス困難なものとなっていることを、懸念する。
40.委員会は、締約国が、「ニュージーランド障害戦略」、とくに普通教育および社会のその他の側面への障害児の統合に関わる諸側面を実施するために十分な人的資源および財源が配分されることを確保するよう、勧告する。
生活水準
41.委員会は、締約国の子どもの相当な割合が貧困下で暮らしており、かつ、女性が筆頭者であるひとり親家庭ならびにマオリおよび太平洋諸島民の家族が不相応な影響を受けていることを懸念する。
42.条約第27条3項にしたがい、委員会は、締約国が、親(とくにひとり親)および子どもに責任を負う他の者が十分な生活水準に対する子どもの権利を実施することを援助するために適切な措置をとるよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、マオリおよび太平洋諸島民の家族に提供される援助においてその伝統的な拡大家族体制が尊重されかつ支援されることを確保するよう、勧告するものである。

7.教育、余暇および文化的活動

43.委員会は、マオリを対象とする2言語教育の発展を歓迎する。しかしながら委員会は、異なる民族的集団の子どもの間で就学率および中退率の格差が根強く残っていることに、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、退学に関する方針および隠れた教育費用負担の増加が、とくにマオリの子ども、妊娠した女子、特別な教育上のニーズを有する子ども、低所得家庭、市民でない者および新規移民にとって教育へのアクセスの制限につながっていることも、懸念する。
44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 締約国のすべての子どもが無償の初等教育にアクセスできることを確保すること。
  • (b) 義務教育に関する法律を執行し、かつ妊娠のような恣意的事由による退学を禁止するとともに、義務教育年齢の生徒であって正当な理由で退学させられた者が他の場所で就学できることを確保すること。
  • (c) 2言語教育のためのプログラムを強化する等の手段により、就学率および中退率に関する民族的集団間の格差に対応するための効果的措置をとること。
  • (d) プライバシーに対する生徒の権利を尊重しつつ、生徒の行動上の問題に対応するためにあらゆる必要な措置(学校における良質なカウンセリング・プログラムの提供を含む)をとること。

8.特別な保護措置

子どもの難民
45.委員会は、子どもの難民の統合および機会均等を確保するために締約国が提供しているサービスに留意する。しかしながら委員会は、この点に関して行なわれている活動が、統合という所期の目標を達成するうえで完全に効果的なものとはなっていない可能性があることを懸念するものである。
46.委員会は、締約国が、子どもの難民を社会に統合するための努力を引き続き行なうとともに、現行プログラム、とくに語学訓練について、その有効性を向上させるための評価を実施するよう勧告する。
子どもの経済的搾取
47.委員会は、雇用における18歳未満の者の保護が条約の原則および規定に全面的には一致していないことを懸念するとともに、就業が認められるための最低年齢が定められていないことについての懸念(前掲パラ20参照)をあらためて表明する。
48.委員会は、締約国が、18歳未満のすべての被雇用者を保護する法律を再検討しかつ強化するために進められているプロセスを加速させるよう勧告するとともに、締約国に対し、ILO第138号条約を批准するよう奨励する。
少年司法
49.「青少年犯罪戦略」および青少年犯罪者特別委員会ならびに家族集団会議の活用には留意しながらも、委員会は、刑事責任年齢が低いこと、および、法律に抵触した18歳未満のすべての者に対して特別な保護が提供されているわけではないことに関する懸念(前掲パラ20参照)をあらためて表明する。委員会はさらに、罪を犯した少年が、女子であれ男子であれ成人の犯罪者から分離されておらず、かつ、警察の留置房に数か月間勾留されることさえあることを懸念するものである。
50.委員会は、パラ21に掲げた勧告をあらためて繰り返すとともに、さらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 少年司法の運営に関する委員会の討議(1995年、CRC/C/69)も照らし、少年司法に関する基準、とくに条約第37条、第39条および第40条ならびに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)および少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)の全面的実施を確保すること。
  • (b) 法律に抵触したすべての少年が審判前および審判後の拘禁の際に成人と別に収容されるよう、十分な青少年施設が利用できることを確保すること。
  • (c) 少年司法における家族集団会議の活用について体系的評価を行なうこと。

9.選択議定書

51.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書に署名はしたものの批准していないことに留意する。
52.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。

10.文書の普及

53.最後に、条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。

11.次回報告書

54.委員会が採択し、かつ第29会期に関する報告書(CRC/C/114)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、子どもの権利委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、2008年11月5日、すなわち第4回報告書の提出期限の18か月前までに、単一の統合報告書として第3回および第4回定期報告書を提出するよう慫慂する。この報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。


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