総括所見:スペイン(OPAC・2007年)


CRC/C/15/Add.28(2007年10月17日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2007年10月1日に開かれた第1276回会合(CRC/C/SR.1276参照)においてスペインの第1回報告書(CRC/C/OPAC/ESP/1)を検討し、2007年10月5日に開かれた第1284回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、締約国の第1回報告書の提出を、提出の遅れは遺憾に思いながらも歓迎する。委員会は、国防省の上級代表を含むハイレベルな多部門型の代表団との建設的対話を評価するものである。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2002年6月4日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.185)および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して2007年10月5日に採択された総括所見(CRC/C/OPSC/ESP/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

B.積極的側面

4.委員会は、以下のことに評価の意とともに留意する。
  • (a) 選択議定書の批准時に締約国が行なった、軍隊への志願入隊に関する最低年齢は18歳である旨の宣言。
  • (b) 国際人権条約は国内法の一部を形成し、かつ国内裁判所による執行が可能である旨の、締約国による確認。
  • (c) 紛争を経験しているまたは紛争後の状況下にあるいくつかの国における、子ども兵士のリハビリテーションおよび再統合のためのプロジェクトに対する締約国の貢献。
  • (d) 子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表への委任事項および安全保障理事会決議1539に対する締約国の支持。
  • (e) 欧州連合総務・対外関係理事会が2003年12月に採択し、かつ2005年に改訂された子どもと武力紛争に関する指針を促進するために締約国が行なっている努力。
5.委員会はさらに、締約国が、選択議定書に関連する国際文書(以下のものを含む)に加入しまたはこれを批准したことを称賛する。
  • (a) 国際刑事裁判所ローマ規程(2000年10月24日)。
  • (b) 最悪の形態の児童労働に関するILO条約(1999年)(2001年4月2日)。
  • (c) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書(2001年12月5日)。

C.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置

立法および実施措置
6.委員会は、志願入隊に関する最低年齢制限を18歳に引き上げることに対する締約国の支持を称賛する。委員会は、選択議定書上の犯罪が、締約国の刑法で、国際条約への言及によって間接的に対象とされていることに留意するものの、18歳未満の者の義務的徴募を犯罪化する具体的規定がないことを懸念するものである。
7.軍隊または武装集団への子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置をさらに強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの徴募および敵対行為への関与に関わる選択議定書の規定の違反が締約国の法律で明示的に犯罪とされることを確保すること。
  • (b) これらの犯罪が、締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によって、またはこれらの者に対して行なわれた場合の、当該犯罪についての域外裁判権を強化すること。
  • (c) 軍の規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定および精神にしたがうことを確保すること。
普及および研修
8.委員会は、平和維持部隊の参加者を含む軍のすべての要員が、子どもの権利条約および選択議定書の規定を含む人権に関する研修を受けていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、子どもとともに働くすべての専門家集団が十分な研修を受けているわけではないことを懸念するものである。さらに委員会は、平和教育が学校における人権教育の一要素となっていることに満足して留意するものの、選択議定書に関する子ども、親および教員の意識が低いことを懸念する。
9.委員会は、締約国に対し、平和維持部隊要員を含む軍隊の構成員、ならびに、選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもとともにおよびこのような子どものために働くすべての関連の専門家集団またはこのような子どもと接する可能性がある専門家(保健従事者、ソーシャルワーカー、教員、弁護士、裁判官、医療専門家、ならびに、とくに、子どもの庇護希望者、難民および移民のためにおよびこのような子どもとともに働く公的機関など)を対象として、選択議定書に関する研修活動を引き続き実施するよう、奨励する。
10.さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じて、公衆一般ならびにとくに子どもおよびその親に対し、選択議定書の規定を広く知らせるよう勧告する。

2.武装解除、動員解除および社会的再統合に関してとられた措置

社会的再統合措置
11.委員会は、子どもからの庇護申請を処理するために締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、スペインへの到着前に徴募されまたは敵対行為で使用された可能性がある子どもの特定が不十分であること、および、このような子どもに関するデータが体系的に収集されていないことを懸念するものである。委員会は、このような子どもを特定することができなければ、ノンルフールマンの原則の違反につながる可能性があることを懸念する。
12.さらに委員会は、徴募されまたは武力紛争で使用された子どもの庇護希望者が、庇護手続について十分に情報を提供されておらず、かつ、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための学際的援助を提供できる特別な専門家に不十分な形でしかアクセスできていないことを、遺憾に思う。委員会は、オンブズマン事務所の重い作業負担により、子どもの最善の利益に悪影響が生じる可能性があることを懸念するものである。
13.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) その管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移民であって国外で徴募されまたは武力紛争で使用された可能性がある子どもを特定し、かつこのような子どもに関するデータを体系的に収集するための措置をとること。
  • (b) スペインにいる子どもの難民および庇護希望者であって敵対行為に関与した可能性がある子どもに特段の注意を払うとともに、子どもに対してその身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための十分な学際的援助を提供する目的で専門家を増員すること。
  • (c) 子どもの庇護希望者を対象としてヘルプラインを含む情報へのアクセスを向上させ、かつ、このような子どもが利用可能な法的助言サービス(オンブズマン事務所におけるものを含む)を強化すること。
  • (d) すべての自治州における選択議定書の全面的実施を保障すること。
  • (e) 子どもの送還に関する決定に際し、子どもの最善の利益およびノンルフールマンの原則が第一次的に考慮されることを確保すること。
14.これとの関連で、委員会は、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)に留意するよう勧告する。

3.国際的な援助および協力

武器輸出
15.委員会は、締約国がEU武器輸出行動規範(1998年)を支持しており、かつ違法な武器貿易を犯罪化したことを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国の法律において、武器の販売を認めないための基準として、武器の最終目的地国で子どもが徴募されまたは敵対行為において使用されている可能性が具体的に挙げられていないことに留意するものである。
16.委員会は、締約国が、子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国を最終目的地とする武器の販売について、具体的禁止規定を導入することを検討するよう勧告する。
国際協力
17.委員会は、武力紛争の影響を受けた子どもを保護しかつ支援するための多国間および二国間の活動に対する締約国の財政支援を称賛する。
18.委員会は、締約国が、とくに防止活動ならびに選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進することにより、武力紛争に関与した子どもの権利に対応するための多国間および二国間の活動に対する財政支援を継続しかつ強化するよう、勧告する。

4.フォローアップおよび普及

19.委員会は、締約国が、前述したすべての関連の専門家集団を対象として、選択議定書の規定に関する、すべての公用語による継続的かつ体系的な教育および研修を引き続き発展させるよう、勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じて、公衆一般ならびにとくに子どもおよびその親に対し、選択議定書の規定を広く知らせるよう勧告するものである。
  • 訳者注/パラ10との重複(第2文)、公的機関への総括所見の送付等に関する勧告の遺漏は原文ママ。
20.加えて、選択議定書第6条2項にしたがい、委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。

5.次回報告書

21.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2012年11月26日)。