台湾・子どもの権利条約実施法


中華民國103年6月4日總統華總一義字第10300085351號(2014年6月4日公布/2014年11月20日施行/2019年6月19日改正)
原文:中文
日本語訳:平野裕二(翻訳は、台湾政府の英訳をもとにし、原文を随時参照しながら行なった)

第1条
 1989年の子どもの権利に関する条約(以下「条約」)を実施し、子どもおよび若者の身体的および精神的発達を完成させ、かつ子どもおよび若者の権利の保護および促進を具体化するために、この法律を制定する。

第2条
 子どもおよび若者の権利の保護および促進に関する条約の規定は、国内法としての効力を有する。

第3条
 条約の規定が適用される法律および行政措置は、条約の趣旨および国際連合子どもの権利委員会による条約の解釈を参照するものとする。

第4条
 各級政府機関は、子どもおよび若者の権利の保護に関連する条約の規定にしたがってその権限を行使し、子どもおよび若者の権利の不法な侵害を防止し、かつ子どもおよび若者の権利の実現を積極的に促進する。

第5条
 各級政府機関は、現行法が定める業務職掌に基づき、条約に規定された事項の計画、促進および実施に責任を負い、かつ、当該業務の見直しをさらに進める。ある事項を複数の機関が所掌するときは、当該機関間で連絡調整を図るものとする。政府は、条約が保護する子どもおよび若者の権利を保護しかつその実現を促進する目的で、各国政府、国内外の非政府組織および人権機関と協力する。

第6条改正内容
 条約に関連する業務を促進するため、行政院は、子どもおよび若者、学識経験者ならびに民間機関および関連する公的機関の代表を招請し、子どもおよび若者の福祉および権利の促進のための委員会を設置する。同委員会は、定期的会合の召集、調整、研究、検証および協議を行ない、かつ次の事項を遂行する。
  • 1.条約に関する広報および教育訓練。
  • 2.各級政府機関による条約の実施の監督。
  • 3.国内における子どもおよび若者の権利の現状に関する研究および調査。
  • 4.国家報告書の提出。
  • 5.条約違反に関する苦情の受理。
  • 6.条約に関連するその他の事項。
 前項にいう子どもおよび若者、学識経験者ならびに民間機関および関連する公的機関の代表の人数は、委員総数の2分の1を下回らないものとする。
 第1項にいう委員会の男女の委員数は、それぞれ委員総数の3分の1を下回らないものとする。

第7条
 政府は、子どもおよび若者の権利に関する報告制度を設置し、かつ、この法律の施行後2年以内に第1回国家報告書を提出する。その後は、5年ごとに国家報告書を提出するものとする。当該報告書の審査のため、関連の学識経験者および民間機関の代表を招請する。政府は、その意見に基づいてその後の政策の検討および研究を行なう。

第8条
 各級政府機関による条約の実施における子どもおよび若者の権利の保護のために必要な予算は、財政状況に基づいて優先的に配分され、かつ漸進的に執行される。

第9条

各級政府機関は、条約の規定に基づいた、その管轄下にある立法および行政措置に関する優先的見直し事項リストを、この法律の施行後1年以内に提出する。条約の基準と一致しないすべての法令の是正(追加、改正または廃止による)および行政措置の改善は、この法律の施行後3年以内に行なうものとする。その余の法令の制定(改正)、修正または廃止および行政措置の改善は、この法律の施行後5年以内に完了するものとする。

第10条
 この法律は、2014年11月20日より施行する。

  • 更新履歴:ページ作成(2019年10月12日)。/2019年6月19日の改正内容(第6条)を反映。
最終更新:2020年03月26日 21:55