総括所見:インド(第2回・2004年)


CRC/C/15/Add.228(2004年2月26日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2004年1月21日に開かれた第932回および第933回会合(CRC/C/SR.932 and 933参照)においてインドの第2回定期報告書(CRC/C/93/Add.5)を検討し、2004年1月30日に開かれた第946回会合(CRC/C/SR.946)において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、定められたガイドラインにしたがった締約国の第2回定期報告書の提出を歓迎する。委員会はまた、事前質問事項(CRC/C/Q/IND/2)に対する文書回答が時宜を得た形で提出されたことにより、締約国における子どもの状況についてより明確な理解が得られたことにも留意するものである。委員会は、条約の実施に直接関与するハイレベルな代表団の出席により、締約国における子どもの権利についての理解を向上させることができたことを認知する。

B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、条約の実施のために連邦および州のレベルで行なわれた多くの活動、とくに以下の活動を歓迎する。
  • (a) 6~14歳のすべての子どもを対象とする無償の義務教育について定めた憲法(第86次改正)法(2002年)の採択。
  • (b) 受胎前・出生前診断技術(性選択禁止)法(1994年)の2003年改正の採択。
  • (c) 子どもの権利に対して重要な影響を及ぼす、女性の自助グループ結成のための全国プログラムの開始。
  • (d) 初等学校へのアクセスの拡大。
  • (e) データのより包括的な収集。これにより、女子および非特権化された社会集団の子どものより平等な参加および教育に関して若干の進展が達成されたことが明らかになった。
  • (f) フリーダイヤルの「チャイルドライン」の開設。

C.条約の実施を阻害する要因および困難

4.委員会は、非常に多数の人口および高い人口増加率が条約の実施を妨げる主要な要因であることを認知する。加えて、極度の貧困、大規模な社会的不平等および根強く残るきわめて差別的な態度、ならびに自然災害の影響が、条約に基づいて締約国が負っているすべての義務を履行するうえで深刻な困難となっている。

D.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置

委員会の前回の勧告
5.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/28/Add.10)の検討後に委員会が表明した意見および行なった勧告(CRC/C/15/Add.115)の一部、とくにパラ13(法律の実施)、15(調整)、17および19(監視)、29,31および33(差別の禁止)、37(出生登録)、39~41(拷問)、45(暴力)、47(障害のある子ども)、49および51(基礎保健)、53および55(生活水準)、57~60(教育)、64(武力紛争)、66~71(児童労働)ならびに80~82(少年司法の運営)に掲げられたものが十分に対応されていないことを、遺憾に思う。
6.委員会は、締約国に対し、前回の勧告のうち部分的にしかまたはまったく実施されていないものおよびこの総括所見に掲げられた一連の勧告に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。
第32条に関する宣言
7.条約第32条を漸進的に実施するために締約国がとった多数の措置に照らし、委員会は、この宣言の必要性について深刻な疑問を覚える。
8.前回の勧告(CRC/C/15/ADD.115、パラ66)にしたがい、かつウィーン宣言および行動計画に照らし、委員会は、締約国に対し、条約第32条に関して行なった宣言を撤回するよう促す。
立法
9.委員会は、条約が裁判所で援用可能であり、かつ最高裁判所が条約に基づくさまざまな決定を採択してきたことを歓迎する。しかしながら委員会は、国内法、ならびにとくに家族問題を規律する宗教法および属人法が条約の規定および原則にまだ全面的に一致していないことを、依然として懸念するものである。
10.前回の勧告(前掲、パラ11)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約の規定および原則が締約国全域で実施されることを確保する目的で、連邦および州の双方のレベルで、現行の立法上その他の措置(宗教法および属人法を含む)を注意深く吟味すること。
  • (b) 国内法の実施および幅広い普及を確保すること。
資源
11.一部の社会サービスのための予算配分額を増加させるためにとられた努力には留意しながらも、委員会は、教育のための予算配分額の増加が遅く、かつ他の社会サービスに配分される資金が停滞しまたは減少さえしていることを懸念する。
12.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 「利用可能な資源を最大限に用いて」子どもの権利を実現するために配分される予算の割合を増加させること、ならびに、これとの関連で、適切な人的資源の供給(国際協力を通じてのものも含む)を確保すること、および、子どもに提供される社会サービスに関わる政策の実施が優先事項とされ続けることを保障することを目的として、あらゆる努力を行なうこと。
  • (b) 予算配分額が子どもの権利の実施に及ぼす影響を評価する方法を開発するとともに、この点に関わる情報を収集しかつ普及すること。
調整
13.委員会は、女性・子ども発達局が子どもの権利条約の実施に関わるすべての活動の調整を担当する機関であること、および、全国的な調整機構が2000年1月に設置されたものの、2000年9月に一度会合を開いたにすぎないことに留意する。しかしながら委員会は、条約の実施を担当するさまざまな機関間の調整を、連邦および州のレベルでならびに連邦政府と州との間で強化することがなお必要とされているという見解に立つものである。
14.委員会は、とくに実施プロセスの効率性を向上させることおよび当該プロセスの結果として差別が生じるいかなる可能性も低減させまたは解消することを目的として、締約国が、条約の効果的実施を連邦レベルで、連邦レベルと州レベルの間でかつ州の間で調整するための国家的機構を強化するよう勧告する。
国家的行動計画/国家子ども憲章
15.委員会は、1974年の「子どものための国家政策」および1992年の「子どものための国家行動計画」の存在に留意するとともに、国家政策に代わる「国家子ども憲章」についての議論および子どものための新たな行動計画の起草が進められていることに留意する。にもかかわらず、委員会は、国家子ども憲章が子どもの権利基盤アプローチを採用しておらず、かつ条約のすべての権利および原則を明示的に盛りこんでいないことを懸念するものである。
16.委員会は、条約のすべての分野を網羅し、ミレニアム開発目標を盛りこみ、かつ「子どもにふさわしい世界」を反映した新たな子どものための行動計画を、関連するすべてのパートナー(市民社会を含む)と協議しながら採択すること、その全面的実施のために必要な人的資源および財源を配分すること、ならびに調整および監視のための機構を整備することを目的として、締約国があらゆる必要な措置をとるよう勧告する。加えて、委員会は、締約国が、国家子ども憲章を迅速に採択するとともに、同憲章が子どもの権利基盤アプローチを採用し、かつ条約のすべての権利および原則を網羅するようにするよう、勧告するものである。
独立の監視体制
17.委員会は、国家人権委員会の存在に留意するとともに、国家子どもの委員会法案(2003年)が2003年12月10日に議会に提出されたことを歓迎する。
18.前回の勧告(前掲、パラ19)に照らし、委員会は、連邦および州のレベルにおける条約の実施の進展を監視しかつ評価するため、締約国が、国内機関の地位に関するパリ原則(総会決議48/134)および国内人権機関に関する委員会の一般的意見2号にしたがい、子どものための独立した国家委員会を可能なかぎり迅速に設置するよう勧告する。
NGOとの協力
19.委員会は、サービス提供の分野におけるNGOとの協力および条約に関連するさまざまなプログラムの準備へのNGOの関与に留意するものの、この協力が体系的なものではないことおよびNGO活動の監督が行なわれていないことを懸念する。
20.委員会は、条約の規定の実施においてNGOがパートナーとして果たす重要な役割を強調するとともに、前回の勧告(前掲、パラ23)にしたがい、締約国が、連邦、州および地方における条約の実施のあらゆる段階(政策立案を含む)ならびに今後の定期報告書の起草に、より体系的かつ調整のとれたやり方でNGOの関与を得るよう勧告する。委員会はまた、締約国が、「サービス提供者としての民間セクターおよび子どもの権利の実施におけるその役割 」というテーマで2002年に行なわれた一般的討議の勧告(CRC/C/121、パラ630)を考慮に入れるとともに、とくにサービス提供者の登録および認可のシステムを改善することにより、サービス提供に従事する民間機関の監督を向上させるよう勧告するものである。
データ収集
21.委員会は、とくに子どもに関わるあらゆる問題に対処する計画およびプログラムについての予算の配分額および推移に関するデータを収集する新しいシステムを通じてデータ収集を改善するために行なわれている努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、条約が対象としている一部の領域についてのデータが不十分であることを依然として懸念するものである。
22.委員会は、締約国が、条約に一致し、かつジェンダー、年齢、社会的地位(指定カーストおよび指定部族または宗教的コミュニティ)ならびに都市部および農村部の別に細分化されたデータおよび指標の収集システムを発展させるとともに、これを公的に利用可能とするよう勧告する。当該システムは、とりわけ脆弱な立場に置かれた子どもをとくに重視しながら、18歳までのすべての子どもを網羅するべきである。委員会はさらに、締約国に対し、条約を効果的に実施するための政策およびプログラムの立案にこれらの指標およびデータを活用するよう奨励する。委員会は、締約国が、とくにユニセフ、UNDPおよびUNFPA〔国連人口基金〕の技術的援助を求めるよう勧告するものである。
研修および普及
23.委員会は、前回の総括所見の普及およびさまざまな意識啓発キャンペーンを歓迎するものの、子どもおよび公衆一般ならびに子どもとともにおよび子どものために働いているすべての専門家集団が条約およびそこに体現された権利基盤アプローチについて十分な認識を有していないことを、依然として懸念する。
24.前回の勧告(前掲、パラ25)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 社会的動員を通じて子どもの権利に関する社会の感受性を強化するため、条約の原則および規定を普及する努力を強化し、かつこれらの努力を体系的なものとすること。
  • (b) 条約の実施を阻害する慣習および伝統を根絶するためのプログラムに、議員ならびにコミュニティの指導者および宗教的指導者の体系的関与を得るとともに、非識字の人々および遠隔地の人々を対象とするコミュニケーションのために創造的措置をとること。
  • (c) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団、とくに裁判官、弁護士、法執行官、公務員、自治体および地方の職員、子どものための施設および拘禁場所で働く職員、教員、心理学者を含む保健従事者ならびにソーシャルワーカー)を対象として、条約の規定に関する体系的な教育および研修を実施すること。
  • (d) 初等段階および中等段階の学校カリキュラムならびに教員養成カリキュラムで、子どもの権利を含む人権教育をさらに促進すること。
  • (e) とくにOHCHR、ユネスコおよびユニセフの技術的援助を求めること。

2.一般原則

差別の禁止に対する権利
25.条約第2条に照らし、委員会は、女子、一部の州、農村部およびスラムで生活している子ども、ならびに、一部のカーストおよび部族集団ならびに先住民族集団に属している子どもによる条約上の権利の享受の水準が著しく異なることを深く懸念する。
26.委員会は、もっとも脆弱な立場に置かれた集団を対象としたプログラムのための予算配分額を増加させることも含む政策の見直しおよび方向転換を通じて社会的不平等に対応するため、あらゆるレベルで調和のとれた努力を行なうとともに、とくにユニセフの技術的援助を求めるよう、勧告する。
27.委員会は、指定カーストおよび指定部族ならびにその他の部族集団に属する子どもに対し、根強くかつ相当な社会的差別が行なわれていることを深く懸念する。このような差別は、とくに、1989年指定カースト・指定部族(残虐行為防止)法の違反が多いこと、このような違反が裁判所によって扱われる件数が少ないこと、および、同法に定められた特別裁判所を設置していない州が過半数にのぼることに反映されている。
28.委員会は、締約国が、憲法第17条および条約第2条にしたがって、「不可触性」の差別的慣行を廃止し、カーストおよび部族を動機とした虐待を防止し、かつそのような慣行または虐待に責任のある国または民間の行為者を訴追するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。さらに、憲法第46条にしたがい、締約国は、とくにこのような集団の地位を高めかつこのような集団を保護するための特別措置を実施するよう奨励されるところである。委員会は、1989年指定カースト・指定部族(残虐行為防止)法、1995年指定カースト・指定部族(残虐行為防止)規則および1993年清掃肉体労働者雇用法の全面的実施を勧告する。委員会は、締約国に対し、社会の態度を変革する目的で、とくに宗教的指導者の関与を得ながらカーストに基づく差別を防止しかつこれと闘うための包括的な公衆教育キャンペーンを遂行する努力を、引き続き行なうよう奨励するものである。
29.委員会は、女子に関する国家行動計画および行動綱領を歓迎するものの、女子に対する差別的な社会の態度および有害な伝統的慣行が根強く残っていることを深く懸念する。これには、低い就学率および高い中退率、若年婚および強制婚のほか、婚姻、離婚、乳児の監護および後見ならびに相続のような分野でジェンダーに基づく不平等を固定化させている、宗教に基づく民事的地位法が含まれる。
30.委員会は、締約国に対し、女子に関する国家行動計画を実施するためにあらゆる必要な措置をとるよう促すとともに、保護法を執行するよう奨励する。委員会はまた、締約国に対し、とくに家庭におけるジェンダー差別を防止しかつこれと闘うための包括的な公衆教育キャンペーンを遂行する努力を継続することも奨励するものである。女子をいまなお差別する伝統的な慣行および態度を根絶する努力を支援する目的で、政治的指導者、宗教的指導者およびコミュニティの指導者を動員することが求められる。
31.女子および脆弱な立場に置かれた集団(指定カーストおよび指定部族に属する子どもなど)による権利の享受を向上させるための特別一時プログラムその他の活動は歓迎しながらも、委員会は、これらの集団と同様の状況にあるその他の子どもが同一の利益を享受していない可能性があることに懸念を表明する。
32.委員会は、現在行なわれているおよび今後行なわれるすべての特別一時プログラムについて、その成功を評価し、かつその継続、拡大および普及が正当な理由を見出す目的で、具体的な目標および予定表を定めるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、性別、カーストもしくは部族、または正当化できない差別に至る可能性がある他のいずれかの特徴に基づくのではなく子どものニーズおよび権利に基づいた教育上その他の諸給付を配分するための特別プログラムの策定を開始するよう、勧告するものである。
33.委員会は、受胎前・出生前診断技術(性選択禁止)法(1994年)の2003年改正に留意するものの、0~6歳の年齢層の男女比がこの10年間で悪化したことを依然として深く懸念する。
34.ジェンダー差別に関する勧告(パラ30)に加え、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう強く勧告する。
  • (a) 受胎前・出生前診断技術(性選択禁止)法(1994年)の実施を確保するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (b) 親、コミュニティ、法執行官等の参加を得た大規模な意識啓発キャンペーンをさらに発展させるとともに、選択的中絶および女子の嬰児殺しの慣行を終わらせるために制裁を科すことも含むあらゆる必要な措置をとること。
  • (c) 経済政策および社会政策に関するプログラムを計画する際にジェンダー影響研究を行なうこと。
35.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置のうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮にいれながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。
子どもの意見の尊重
36.委員会は、いくつかの州および地区において子どもの評議会、団体およびプロジェクトを設置することにより子ども参加を増進させようとする取り組みを歓迎するものの、子ども、とくに女子に対する社会の伝統的態度により、家庭、学校、施設およびコミュニティ運営のレベルにおける子どもの意見の尊重がいまなお限定されていることを依然として懸念する。委員会はさらに、子どもの権利および福祉に影響を及ぼす民事上の手続における子ども参加を保障した法規定が実質的に存在しないことに、遺憾の意とともに留意するものである。
37.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約第12条にしたがい、家庭、学校、施設ならびに司法上および行政上の手続における子ども(とくに女子)の意見の尊重を促進するとともに、自己に影響を与えるすべての事柄への子どもの参加の便宜を図ること。
  • (b) 親、教員、政府の行政職員、司法関係者、子どもたち自身および社会一般に対し、子どもに影響を及ぼすあらゆる事柄に関して意見を考慮されかつ参加する子どもの権利についての教育的情報を提供すること。
  • (c) 子どもの意見がどの程度考慮されているかについて、それが関連の政策およびプログラムに与えた影響も含めて定期的に検討すること。

3.市民的権利および自由

出生登録
38.委員会は、締約国における出生登録制度を再検討する意思があること(CRC/C/93/Add.5、パラ281)を歓迎するものの、子どもの約46%が出生時に登録されていないことを依然として深刻に懸念する。
39.前回の勧告(CRC/C/15/Add.115、パラ37)にしたがい、委員会は、締約国が、計画どおり2010年までに(CRC/C/93/Add.5、パラ284)すべての出生が時宜を得た形で登録されることを確保するためにいっそうの努力を行なうとともに、農村部において登録に関わる研修および意識啓発の措置をとるよう勧告する。委員会は、移動登録所ならびに学校および保健施設における登録係の設置のような措置を奨励するとともに、締約国がとくにユニセフおよびUNFPA〔国連人口基金〕の技術的援助を求めるよう勧告するものである。
国籍に対する権利
40.委員会は、インドに在留するパキスタン人難民およびモハジールの子ども(それぞれラージャスターン州およびアーンドラ・プラデーシュ州に在留)が無国籍であることを懸念する。
41.委員会は、締約国が、条約第7条にしたがってこれらの子どもに国籍を与えるための措置をとるよう勧告する。
拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰を受けない権利
42.委員会は、拘禁施設における子どもの不当な取扱い、拷問および性的虐待の報告が多数存在し、かつ、法執行官による子どもの殺害の主張があることを懸念する。
43.前回の勧告(CRC/C/15/Add.115、パラ39-41)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 拷問および他の残酷な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約を批准すること。
  • (b) 逮捕、尋問および警察での勾留中ならびに拘禁センターにおける不当な取扱いに関する法執行官に対しての苦情を受理する、子どもに配慮した機構を設置すること。
  • (c) 苦情を子どもに配慮したやり方で捜査しかつ訴追すること。
  • (d) 子どもの人権に関して法執行官を研修する努力を強化すること。
  • (e) 第39条に照らし、拷問および(または)不当な取扱いの被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を確保するため、あらゆる適当な措置をとること。
体罰
44.委員会は、2000年12月にニューデリー高等裁判所が行なった、その管轄内にある学校における体罰の禁止についての決定に留意するものの、他の州の学校のほか、家庭または子どものためのその他の施設における体罰が禁じられておらず、かついまなお社会で受け入れられていることを依然として懸念する。
45.委員会は、締約国が、家庭、学校その他の施設における体罰を禁止するとともに、体罰に代わる子どものしつけおよび規律の方法について家族、教員ならびに子どもともにおよび(または)子どものために働くその他の専門家を教育するための教育キャンペーンを行なうよう、強く勧告する。

4.家庭環境および代替的養護

親の責任
46.母親が子どもの自然な保護者であることは父親の場合と変わらないという最高裁判所の判決(Githa Hariharan v. Bank of India事件、1999年2月18日)には留意しながらも、委員会は、法律上、子どもに関する主たる責任はいまなお父親が有していることに懸念を表明する。
47.条約第18条にしたがい、委員会は、締約国が、子どもの養育および発達については双方の親が共通の責任を有するという原則が承認されかつ実施されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
養子縁組
48.委員会は、国際養子縁組における子どもの保護および協力に関するハーグ条約が最近批准され、かつ国内養子縁組が重視されていることを歓迎するものの、締約国に養子縁組に関する統一の法律および手続が存在しないこと、ならびに、関係する子どもの権利の尊重を監視し、かつ締約国内外の養子縁組をフォローアップするための効果的な措置がとられていないことについての懸念をあらためて表明する。委員会はさらに、認証を受けていない機関が行なう養子縁組の登録および管理が行なわれていないことを懸念するものである。
49.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 国内養子縁組に関する法的枠組みを見直すとともに、新たに批准した1993年ハーグ条約を実施するためにあらゆる必要な措置(中央当局による新たな指針の採択を含む)をとること。
  • (b) 少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)の関連規定の適用を全領域に拡大すること。
  • (c) 条約第21条を反映した厳格な規則にしたがい、あらゆる宗教の子どもについて養子縁組が可能であることを確保すること。
暴力、虐待、ネグレクトおよび不当な取扱い
50.委員会は、締約国において子どもの暴力、虐待(性的虐待を含む)およびネグレクトが広く蔓延しており、かつこの問題と闘うための効果的措置がとられていないことを懸念する。委員会はさらに、性的虐待に関する法律が時代にそぐわなくなっていることを懸念するものである。
51.条約第19条に照らし、かつ前回の勧告(前掲、パラ45)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 家庭、学校および施設におけるあらゆる形態の身体的および精神的暴力(子どもの性的虐待を含む)を禁止するため、新たな立法上の措置をとり、かつ時代にそぐわない法律を改正すること。
  • (b) 子どもの不当な取扱いの悪影響に関する公衆教育キャンペーンその他の適当な措置を実行すること。
  • (c) 苦情を受理し、監視しかつ調査する効果的な手続および機構(必要なときは介入も含む)を設置すること。
  • (d) 虐待された子どもが法的手続において被害を受けず、かつそのプライバシーが保護されることを確保しながら、不当な取扱いの事案を捜査しかつ訴追すること。
  • (e) 被害者のケア、回復および再統合のための便益を提供すること。
  • (f) 学際的かつ部門横断型のアプローチを用いながら、不当な取扱いの発見、通報および処理について、親、教員、法執行官、ケアワーカー、裁判官、保健専門家および子どもたち自身を訓練すること。
  • (g) とくにユニセフおよびWHOの援助を求めること。

5.基礎保健および福祉

52.委員会は、保健問題に対処するための第9次および第10次5か年計画の間に開始された多数の国家的計画およびプログラムに留意する。にもかかわらず、委員会は、無償のかつ良質なプライマリーヘルスケアが利用できずかつ(または)アクセス不可能であること、専門家による付添いのない自宅出産が急増していることもあって妊産婦死亡率が悪化していること、予防接種率が低いこと、低出生体重児の数が多いこと、発育不全、削痩または低体重の子どもが多いこと、微量栄養素欠乏症が蔓延していること、ならびに、母乳のみの育児および適切な乳児食の導入の割合が低いことを、依然として深刻に懸念するものである。委員会はさらに、一部の州で環境汚染(具体的にはヒ素および鉛による汚染)が広がっていること、ならびに、安全な飲料水および十分な衛生設備にアクセスできない住民の割合が高いことに懸念を表明する。最後に、委員会は、訓練を受けておらず資格を有していない者が伝統医療および近代医療を実践していることに懸念を表明する。
53.委員会は、締約国が、子どもの健康状況を改善するための効果的政策およびプログラム策定の努力を強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、すべての子どもが無償のかつ良質なプライマリーヘルスケアにアクセスできることを確保すること、伝統医療および近代医療の実践を規制しかつ監視すること、母乳育児を含む健康的な栄養習慣を促進すること、予防接種率を向上させること、安全な飲料水および十分な衛生設備へのアクセスを増進させること、ならびに、環境汚染の問題に効果的に対処することも勧告するものである。加えて、委員会は、締約国に対し、子どもの健康改善を目的とした、とくにWHOおよびユニセフとの協力および援助の追加的集団を追求するよう奨励する。
HIV/AIDS
54.委員会は、新規感染の根絶を2007年までに達成することを目的とする「国家AIDS予防統制政策」(2001年)が採択されたことを歓迎する。委員会はまた、子どもおよびおとなに対して抗レトロウィルス薬を無償で提供するという決定も歓迎するものの、HIV/AIDSに感染しかつ(または)その影響を受ける子どもの人数が増加していることを依然として懸念するものである。委員会はさらに、これらの子どもが社会および教育制度で差別を経験していることについて懸念を表明する。
55.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) HIV/AIDSと子どもの権利に関する委員会の一般的意見3号を考慮に入れながら、HIV/AIDSを予防するための努力を強化すること。
  • (b) 母子感染を予防するための措置を、とくに妊産婦死亡を削減するための活動と組み合わせかつ調整することによって強化するとともに、親、教員その他の者のHIV/AIDS関連の死亡が、家族生活に対する子どものアクセスの減少、養子縁組、情緒的ケアおよび教育の面で子どもに及ぼす影響に対処するための十分な措置をとること。
  • (c) とくにHIV/AIDSに感染しかつ(または)その影響を受けている子どもに対する差別を少なくする目的で、HIV/AIDSに関する思春期の子ども(とくに、脆弱な立場に置かれた集団に属する子ども)および住民一般の意識を高めるための努力を強化すること。
  • (d) とくに国連エイズ合同計画のさらなる技術的援助を求めること。
障害のある子ども
56.委員会は、障害者(機会均等、権利保護および完全参加)法(1995年)の存在および2001年国勢調査における障害の考慮には留意するものの、統計データおよび障害児に関する包括的政策が存在せず、かつ差別がいまなお広く存在することを依然として懸念する。また、障害のある子どものための便益およびサービスが限られていること、障害のある子どもとともに働く訓練を受けた教員の人数が限られていること、ならびに、教育制度および社会一般への障害児のインクルージョンを促進するための努力が不十分であることに対しても、懸念が表明されるところである。委員会はまた、障害のある子どものための特別教育プログラムに配分される資源が不十分であることにも、懸念とともに留意する。
57.前回の勧告(前掲、パラ47)にしたがい、かつ障害者の機会均等化に関する基準規則(総会決議48/96)および障害のある子どもに関する一般的討議の日に委員会が採択した勧告(CRC/C/69参照)に照らし、締約国は以下の措置をとるよう勧告される。
  • (a) 障害のある子どもに関する包括的政策を確立すること。
  • (b) 障害のある子どもに関する十分なかつ細分化された統計データを収集するための効果的措置をとるとともに、障害を予防しかつ障害児を援助するための政策およびプログラムを発展させる際に当該データを活用すること。
  • (c) 障害の予防および共生のための早期発見プログラムを発展させる努力を強化すること。
  • (d) 障害児のための特別教育プログラムを確立し、かつ可能なかぎり障害児を普通学校制度に包摂すること。
  • (e) とくに障害のある子ども(精神保健上の問題を有する子どもも含む)の権利および特別なニーズに関する公衆および親の感受性を強化するための意識啓発キャンペーンを実施すること。
  • (f) 職業訓練を含む特別教育および障害のある子どもの家族に対する支援のための資源(財源および人的資源の双方)を増加させること。
  • (g) とくにWHOに対し、障害児とともにおよび障害児のために働く専門職員(教員を含む)の養成および研修のための技術的協力を求めること。
有害な伝統的慣行
58.委員会は、ダウリーおよびデーヴァダーシーに関わる事件のような有害な伝統的慣行の存在を深く懸念する。
59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) ダウリー禁止法(1961年)ならびにカルナータカ州デーヴァダーシー(人身奉納禁止)法(1982年)および同規則(1982年)を執行すること。
  • (b) 男女の子どもの健康、生存および発達にとって有害なあらゆる種類の伝統的慣行を禁止しかつ根絶するため、立法上のおよび意識啓発のための措置をとること。
  • (c) とくに農村部に伝統的態度を変革し、かつ有害な慣行を抑制する目的で、コミュニティの指導者、実務家および一般公衆の参加を得ながら、感受性強化のためのプログラムを強化すること。
60.委員会は、女子の若年婚および強制婚の割合がきわめて高く、女子の健康、教育および社会的発達に悪影響が生じうることを懸念する。
61.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 児童婚禁止法(1929年)を実施するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (b) 若年婚および強制婚を防止する目的で、NGOおよびコミュニティの指導者と協力しながら教育プログラムおよび意識啓発プログラムを強化すること。
  • (c) セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育、精神保健サービスならびに青少年に配慮したカウンセリング・サービスを強化するとともに、これらのサービスを青少年がアクセスできるようにすること。
十分な生活水準
62.国民総生産の増加にも関わらず、委員会は、締約国において貧困が広く存在しており、かつ、十分な生活水準に対する権利(清潔な飲料水、十分な住居およびトイレへのアクセスを含む)を享受していない子どもがいまなお多いことを懸念する。委員会はさらに、生活条件の向上を意図しつつ、子どもをその居住地から分離し、子どものニーズに対応する用意の整っていないことが多い新たな環境へ移転させる、避難およびリハビリテーションのためのプロジェクトの悪影響について懸念を覚えるものである。
63.条約第27条に照らし、委員会は、締約国が、経済的に不利な立場に置かれた家族に対して支援および物的援助を提供し、かつ十分な生活水準に対する子どもの権利を保障するための努力を強化するよう、勧告する。前回の勧告(前掲、パラ53)に照らし、委員会はさらに、締約国が、強制的な居住地移動、避難およびその他のタイプの非自発的な人口移動のいかなる発生も防止するよう、勧告するものである。

6.教育、余暇および文化的活動

64.委員会は、6~14歳のすべての子どもを対象とする無償の義務教育について定めた憲法(第86次改正)法(2002年)の採択、女子の就学者数を増加させるために締約国が行なっている継続的努力、および給食計画を歓迎する。就学率の上昇には留意しながらも、委員会は、6000万人の子どもが初等学校に通学していないことを深刻に懸念するものである。委員会はさらに、低下しているとはいえ非識字の水準が高く、かつ、教育へのアクセス、初等学校および中等学校への出席ならびに中退率の面で男女間に著しい格差があることを、懸念する。委員会はまた、これらの率に関わる著しい格差が、異なる州の間、農村部と都市部との間ならびに富裕層と貧困層および不利な立場に置かれた集団との間にも存在することも懸念するものである。委員会はさらに、訓練を受けた教員、学校および教室の数が不十分であり、かつ関連の学習教材が存在しないことによって教育の質に影響が生じていることを懸念する。
65.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約第29条1項および教育の目的に関する委員会の一般的意見1号に掲げられた目的を達成するために教育制度を改善するとともに、子どもの権利を含む人権を学校カリキュラムに導入すること。
  • (b) 都市部、農村部およびもっとも開発が遅れている地域のすべての女子および男子ならびに指定カーストおよび指定部族に属する子どもが教育機会に平等にアクセスできることを漸進的に確保するための努力を強化すること。
  • (c) 乳幼児期教育の重要性に関する意識を高め、かつ乳幼児期教育を教育の一般的枠組みに導入すること。
  • (d) 学校生活のあらゆるレベルにおける子どもの参加を奨励すること。
  • (e) 教育の質を向上させ、かつ、中退率を下降させること等も通じて教育運営における効率性の向上を確保するため、必要な措置をとること。
  • (f) 資格のある教員の雇用人数を増やし、かつ、これらの教員に対してより多くの研修機会を提供すること。
  • (g) 教員の欠勤を抑制するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (h) 学校のインフラを向上させること。
  • (i) ユニセフおよびユネスコの援助を求めること。

7.特別な保護措置

66.委員会は、少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)第32条1項(iii)にしたがい、かつNGOの力強くきわめて重要な関与を得ながら、政府の支援も受けて約50の都市/地区にフリーダイヤルの「チャイルドライン」が設置されたことを歓迎するものの、これらの「チャイルドライン」を同国のすべての地区に設置するペースが遅いことを懸念する。委員会はさらに、既存のサービスの能力不足のため、これらの「チャイルドライン」を経由して子どもが援助および支援を求める通話に対し、必ずしも十分な対応が行なわれていないことを懸念するものである。
67.委員会は、締約国が、締約国のすべての地区にフリーダイヤルの「チャイルドライン」を設置しかつ強化するために必要な人的および金銭的支援を提供するとともに、委員会に対する次回報告書の提出日を目標期日として定めるよう勧告する。さらに、委員会は、援助を求めて子どもから(または子どもに代わる者から)かかってくる通話に既存のサービス(とくにNGO)が十分な対応を行なえるよう支援し、かつ必要なときは新たなサービスを設置するために、必要な措置をとるよう勧告するものである。
武力紛争
68.委員会は、紛争地域、とくにジャンムー・カシミール州および東北部諸州における状況が子ども、とくに生命、生存および発達に対する子どもの権利(条約第6条)に深刻な影響を与えていることを懸念する。委員会は、子どもがこのような紛争に関与し、かつその犠牲になっているという報告があることにきわめて深刻な懸念を表明するものである。
69.条約第38条および第39条に照らし、委員会は、締約国が、武力紛争の影響を受けている子どもの保護、ケアならびに身体的および心理社会的リハビリテーションを目的とした人権法および人道法の尊重を、とくに子どもによる敵対行為へのあらゆる参加との関連で確保するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、子どもに対して権利侵害が行なわれた場合に公正かつ徹底的な調査が行なわれ、かつ責任者が迅速に訴追されること、ならびに被害者に対して公正かつ十分な補償を行なうことを確保するよう、求めるものである。
子どもの難民
70.インドは、難民および庇護希望者の受け入れに関する締約国の寛容な政策を歓迎するものの、これらの集団に関する法律が存在しないことを依然として懸念する。
71.条約第22条に照らし、委員会は、締約国が、1951年の難民の地位に関する条約および1967年の同議定書への加入を検討するとともに、身体的安全、保健、教育および社会福祉の分野等で子どもの難民および庇護希望者の十分な保護を確保し、かつ家族の再統合を促進するための包括的立法を採択するよう、勧告する。
経済的搾取(児童労働を含む)
72.委員会は、第10次国家児童労働事業計画に留意するものの、経済的搾取に関与させられている子どもが多数にのぼり、かつ、その多くは、とくにインフォーマル部門において、家内制企業において、家事労働者としておよび農業において、危険な条件下で(債務労働者としての労働も含む)働いていることを著しく懸念する。委員会はさらに、雇用に関する最低年齢基準がほとんど執行されておらず、かつ、使用者が法律を遵守することを確保するための適切な処罰および制裁が科されていないことを非常に懸念するものである。
73.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 1986年児童労働(禁止および規制)法、1976年債務労働(制度廃止)法および1993年清掃肉体労働者雇用・乾燥式便所建設(禁止)法の全面的実施を確保すること。
  • (b) 1986年児童労働法を改正し、家内制企業ならびに政府の学校および訓練センターが子どもの雇用の禁止から除外されないようにすること。
  • (c) 児童労働防止のための、コミュニティを基盤とするプログラムを促進すること。
  • (d) 就労のための最低年齢に関するILO第138号条約ならびに最悪の形態の児童労働の禁止および撲滅のための即時的行動に関するILO第182号条約を批准すること。
  • (e) 労働上の危険に関して公衆一般、とくに親および子どもの意識を高め、かつ、使用者団体、労働者団体および市民組織、労働監察官および法執行官のような政府職員ならびにその他の関連の専門家を関与させかつ訓練するための努力を強化すること。
  • (f) ILO/IPECと引き続き連携すること。
子どもの性的搾取/子どもの人身取引
74.委員会は、南アジア地域協力連合(SAARC)・売買春目的の女性および子どもの人身取引の防止およびこれとの闘いに関する条約が批准されたこと、女性および子どもの人身取引および商業的性的搾取と闘うための行動計画が採択されたこと、とくに性的搾取および人身取引の被害を受けた子どもおよび女性の人数に関するデータを収集するための研究が開始されたこと、および、「目的地および送り出し地において商業的性的搾取目的の子どもの人身取引と闘うための試行プロジェクト」が行なわれていることを歓迎するものの、1986年不道徳取引防止法で人身取引が定義されておらず、かつその適用範囲が性的搾取に限定されていることを依然として懸念する。加えて、委員会は、買春およびポルノグラフィーを含む性的搾取の被害を受ける子どもが増えていることに懸念を表明するものである。また、このような虐待および搾取の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためのプログラムが不十分であることに対しても、懸念が表明される。
75.条約第34条および第35条その他の関連条項に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 不道徳取引防止法の適用範囲をあらゆる形態の子どもの人身取引に拡大し、かつ、人身取引の対象とされた子どもが常に被害者として取り扱われることを確保すること。
  • (b) 子どもの人身取引および商業的性的搾取の原因、性質および規模を評価するための包括的研究を実施すること。
  • (c) 国家行動計画を実施するために十分な人的資源、財源および技術的資源を提供すること。
  • (d) 学際的および部門横断型のアプローチを採用するとともに、子どもの性的搾取および人身取引を防止しかつこれと闘うための措置(とくに親を対象とする意識啓発キャンペーンおよび教育プログラムを含む)をとること。
  • (e) 加害者が裁判にかけられることを確保すること。
  • (f) 1996年および2001年の子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバル・コミットメントにしたがって、人身取引の被害を受けた子どもが家族と再統合することを促進し、かつ性的搾取および(または)人身取引の対象とされた子どもに対して十分なケアおよび再統合のためのプログラムを提供する政策を強化すること。
  • (g) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准すること。
  • (h) これらの問題に関する活動を行なっている非政府組織と連携し、かつ、とくにユニセフの技術的援助を求めること。
ストリートチルドレン
76.委員会は、ストリートチルドレンに関する統合プログラムの存在を歓迎するものの、とくに締約国の構造的状況ならびに防止および家族支援のための積極的政策およびプログラムの欠如を理由として、締約国でストリートチルドレンの人数が増えていることを依然として懸念する。
77.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) ストリートチルドレン、とくに女子を保護し、かつ、とくに家族に対する援助ならびに十分な住居の提供および教育へのアクセスの保障を通じてこの現象を防止しかつ低減させることを目的として、ストリートチルドレンが多数にのぼりかつ増加している問題に対処するためのストリートチルドレンに関する統合プログラムを強化しかつ拡大すること。
  • (b) ストリートチルドレンの全面的発達を支援するため、必要なときは公式の身分署名書類も提供しつつ、これらの子どもが十分な栄養、衣服、住居、保健ケアおよび教育機会(職業訓練およびライフスキル訓練を含む)を提供されることを確保すること。
  • (c) 身体的および性的虐待ならびに有害物質濫用の被害を受けた子どもが、回復および再統合のためのサービス、警察による逮捕および不当な取扱いからの保護、ならびに、家族およびコミュニティとの和解のための効果的サービスを提供されることを確保すること。
  • (d) 締約国のストリートチルドレンとともに活動している非政府組織と連携し、かつ、とくにユニセフの技術的援助を求めること。
少年司法の運営
78.委員会は、少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)の制定に留意するものの、刑事責任に関する最低年齢が当該新法で定められておらず、かつ刑法に見られる最低年齢(7歳)がなお有効であることを依然として懸念する。委員会はさらに、最高裁判所が、犯罪が行なわれた日は容疑者が少年であるかどうかの判断には無関係であると決定したこと(CRC/C/93/Add.5, box 8.7)を懸念するものである。委員会はさらに、新法を執行するための機構がほとんどの州で設置されておらず、かつ新法がジャンムー・カシミール州には適用されてないことを懸念する。加えて、委員会は、自由の剥奪が最後の手段としてのみ用いられていないことに懸念を表明するものである。最後に、委員会は、テロリズム防止法(2002年)が特別裁判所による子どもの訴追を認めており、かつこれらの事件で用いられる手続が条約第37条、第40条および第39条を尊重していないことを、深く懸念する。
79.委員会は、締約国が、条約、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもに関する行動についてのウィーン指針のような、この分野における他の関連の国際基準と全面的に一致する少年司法制度を実施するため、あらゆる適当な措置をとるよう勧告する。
80.加えて、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)を改正し、刑法で定められているものよりも高くかつ国際的に受け入れられている規範を反映した刑事責任に関する最低年齢を定めるとともに、当該年齢を犯罪が行なわれたときの年齢と見なすこと。
  • (b) 少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)の適用をジャンムー・カシミール州に拡大すること。
  • (c) テロリズム防止法(2002年)を改正し、子どもへの適用に際しては条約第37条、第40条および第39条その他の関連条項が全面的に尊重されるようにすること。
  • (d) 少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)の全面的実施のために必要な州における執行機構を緊急に設置するため、あらゆる必要な措置をとること。
  • (e) 少年司法制度に関与するすべての専門家を対象とした、関連の国際基準に関する研修プログラムを強化すること。
  • (f) 更生および再統合のためのプログラムを強化すること。
  • (g) 自由の剥奪は最後の手段としてのみ用いること。
  • (h) とくにOHCHRおよびユニセフの技術的援助を求めることを検討すること。
マイノリティ/先住民族の子ども
81.委員会は、マイノリティ(未開部族集団を含む)に属する子どもの状況とともに、これらの子どもが保健ケア、予防接種および教育を含む社会サービスに限られた形でしかアクセスできていないこと、および、これらの子どもの、生命および生存に対する権利、自己の文化を共有する権利ならびに差別から保護される権利が侵害されていることについて、懸念を覚える。
82.パラ29の勧告に加え、かつ先住民族の子どもの権利に関する一般的討議の際に行なった勧告(CRC/C/133、パラ624)にしたがい、委員会は、締約国が、未開部族集団の発展に関して労働福祉常任委員会が行なった勧告(2002年)を実施し、かつ(または)これについて必要なフォローアップを行なうよう勧告する。

8.選択議定書

83.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の両選択議定書を批准するよう奨励する。

9.文書の普及

84.最後に、条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のあるNGOを含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。委員会は、締約国がこの点に関する国際協力を要請するよう勧告する。

10.報告書の定期的提出

85.委員会が採択し、かつ会期別報告書(CRC/C/114およびCRC/C/124参照)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、子どもの権利委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。委員会は、締約国が、条約で定められた第4回報告書の提出期限(2010年1月10日)の18か月前である2008年7月10日までに次回の報告書を提出するよう慫慂する。この報告書は、第3回および第4回報告書を統合したものとなろう。この報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年10月2日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。