34-833

34-833 名前:まほ落語 二つ目 くぎみ屋[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 20:32:59 ID:???

まほ落語 二つ目 くぎみ屋(たが屋)

『♪トントントトン・・・』
木乃香「どうもどうも〜。近衛亭木乃香やえ〜。
    7月も後半になると祭りがあると思いますが、祭りといえば花火やなぁ。
    祭りを堪能した後に花火を観るってのはええもんやぇ、今月末には東京の隅田川で
    『隅田川花火大会』が行われるから、せっちゃんと観に行こかな〜。
    ちなみに、隅田川花火大会は日本で始めての大規模な花火大会らしいえ。
    この大会は、1733年に前年に大流行したコレラの犠牲者を弔うため
    両国川開きに合わせて行ったのが始まりらしいんよ。
    そうそう、キレーな花火に『た〜まやー!』と褒めるのもええけど、『鍵屋』も忘れんといてや。
    『玉屋だと 又またぬかすわと 鍵屋云ひ』、『橋の上 玉屋玉屋の声ばかり
    なぜに鍵屋と 言わぬ情なし』、たまや〜ばっかり言っとると鍵屋さんからなめんなって言われるえ〜。
    さあ、沢山の見物人が集まる花火大会は花火職人たちにとっての最大の見せ場。
    年に1度のお祭りだとみんな気合が入っております。」
34-834 名前:まほ落語 二つ目 くぎみ屋[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 20:33:57 ID:???
円「さあ、今日は隅田川で花火大会だ。くぎみ屋の最高傑作を見せてやるぞ〜!」

木乃香「例に漏れず、この花火職人も気合が入ってますなぁ。
    でも、実は遅刻しておりまして、見物客がひしめいて大混雑の両国橋を横断中や。」

円「はいごめんよ!ちょっと通してね!・・・おっとっとぉ!!!」

木乃香「見物人にはじき出されまして、道具箱からかんしゃく球がポロリ。
    拍子悪くそれを踏んだ人がおりまして、かんしゃく玉の
    バンッ!って破裂音にビックリしたんよ。しかも運悪く踏んだのが家来を従えたお侍さん」

美空「うわぁぁぁぁぁ!!!貴様!ビックリさせるな!」
円「あいや済みません!」
美空「ビックリして耳が大きくなっただろうが!貴様!屋敷に参れ!」
円「申し訳ありません。姉妹が2人、私の揚げる花火を楽しみに河原で待っております。
  私は逃げも隠れもしませんから、どうか花火をあげ終わるまでまtt」
美空「ならぁぁぁぁん!!」
円「どうか、どうか。どうかお願いいたします。」
美空「ならん!ならんならぁぁん!ならぁぁぁぁぁぁん!(CV:若本規夫)」

木乃香「さあ、とんでもない騒ぎにいつの間にか野次馬が集まるんですが、
    侍の態度に野次馬から」

千雨「おいおい、お侍さんよぉ!くぎみ屋の大将、逃げも隠れもしないって言ってるだろぉ、
   家族に自分の花火を見せてやりたいって言ってんだ、少し待ってやれよ!」
夏美「そうだ!そうだ〜」
アキラ「侍が庶民の楽しみの、くぎみ屋の花火を奪うの!」
夏美「そうだ!そうだ〜」
千雨「・・・お前も何か言えよ。」
夏美「え、え〜と。そうだ!そうだ〜」
千雨「(だめだこりゃ)」
34-835 名前:まほ落語 二つ目 くぎみ屋[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 20:34:51 ID:???
木乃香「と、野次が飛び交うんですが、侍はまったく気にせず。」

美空「えぇい黙れ黙れ下民ども!もういい!この場で打ち首だ!」
円「・・・黙っていれば言いたい放題言ってくれるじゃん!逃げも隠れもしない、花火をあげた後に
  屋敷に行くって言ってんのによぉ!てめぇみてえなのを四六の裏って言うんだよっ!」
美空「四六の裏?」
円「四六の裏ってのはなぁ、サンピンって言うんだよっ!」
美空「なにぃぃぃ!誰に向かってサンピンと言うか!?」
円「てめぇに決まってんだろ、この地味キャラが!」
美空「地味ってゆ〜な〜!貴様、この2本差しの刀が見えぬのか?!」
円「見えなかったらてめぇの皮剥いで三味線こさえて弾いてやるよ!」
美空「ぬうぅぅ。おい、お前ら!コイツを斬り捨てぇ!」

刹那「ハッ!(適当に追い払えば良いでしょう。)」
茶々丸「了解しました。(面倒くさい。)」

木乃香「と、思い脅し程度に斬りかかるんやけど、職人の喧嘩拳法もなかなかの物でして
    そうこうしている内に」

円「おんどりゃ〜!」
刹那「ぐはっ!なっ・・・やられた・・」
円「悪いね。刀、借りるよ。」

木乃香「さあ、お次は喧嘩剣法!もう一方の侍も」

茶々●「あー、斬られた〜や〜ら〜れ〜た〜」
美空「ちょ!あんたロポットだろ!斬られる分けないだろ!」
34-836 名前:まほ落語 二つ目 くぎみ屋[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 20:36:20 ID:???
木乃香「共を2人倒し、後はお前だと睨みつけますと
    侍も刀を抜き」

美空「まったく!ドイツもコイツもフランスも、役に立たん!こうなれば私が相手だ!」

木乃香「さあ!両国橋で花火師と侍、両者入り乱れ大立ち回り」

美空「おりゃ!どりゃ!」
円「よっ!はっ!」
千雨「いけ〜!そこだ〜ぶった斬れ〜!」
夏美「そこだ〜!」
千雨「お前も何か言えよ。」
夏美「え〜、えっと、がんばれ〜!」
千雨「(やっぱ、だめだこりゃ。)」

木乃香「先の二人と違って、この侍は腕が立ちます。
    職人、ついに橋の欄干まで追い詰められて絶体絶命!」

美空「ふっふっふ、これで仕舞いだ!仕舞いだけに
   貴様の姉妹は私が寝床で可愛がってやろう!」
円「(ブチッ)私の姉妹に手を出させぇぇぇぇん!!!!」

木乃香「と、侍をドゴォ!。
    爆風で吹き飛ばされてしもうた侍を観て、野次馬たちが大合唱

    『お〜!あがった、あがった!く〜ぎみや〜!』

     お後がよろしいようで。」

34-840

34-840 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 21:34:23 ID:???
刀子 幸せの時


1/2
り〜ん、ご〜ん・・・

チャペルから鳴り響く、荘厳な鐘の音が聞こえてくる
私は耳を閉じてその音を聞いた
しばらくしてそれは余韻を残しつつ、鳴りややむ
でも私の中では、鐘の音はまだ響いていた

目を開ける
すると、瞳に飛び込んできたのは大きな姿見(鏡)だった
そして姿見には一人の女性が映っている
純白のウエディングドレスに身を包んだ、一人の女性が・・・


コンコン
刀子 「どうぞ・・・」
ノックの返事の後、小さな音を立ててドアが開いた

二ノ宮 「いる?どんな感じ?」
しずな 「また式の前に泣いてるかもよ?」
入ってきたのは15年来の悪友でした
美しいドレスに身を包んだ優雅な女性と、男装の麗人
知らない人が見ればお似合いのカップルにも見えるだろう

刀子 「泣いてなんかいないわ。それに二度目だからね」
二ノ宮 「くそう・・・私たちはまだ一度だって挙げていないって言うのに」
しずな 「そうね、二度目の結婚式、失敗しちゃダメよ?」
34-841 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 21:36:19 ID:???
2/2
刀子 「わかっている。もう、逃がさないから・・・」
しずな 「私たちもそろそろしたいんだけどね」
二ノ宮 「同性からならいっぱいプロポーズされてるけどな」
小さな控え室に私たちの笑い声がこだました。こうやって笑うのって・・・久しぶりのような気がする

そのときです。再び誰かが扉をノックしました

コンコン・・・
?? 「新郎様が来ておられます。お会いになられますか?」
二ノ宮 「おや、新郎が待ちきれなくなって新婦をさらいに来たらしいな」
しずな 「私たちはお邪魔なようね。入れ替わりに出て行くわ」
二人はいたずらっぽくそう言うと、左右の扉の取っ手をつかみ、ゆっくりと開き始めたのです

二人 「ごたいめ〜ん〜」
扉は左右にゆっくりと開いていきました。そしてその向こうに・・・私の旦那様が私を見つめていたのです

超 「あはは・・・ワタシ、新郎になて責任とるヨ。ワタシ、経済力も十分、百合暴もとても元気。刀子サン、幸せにするネ・・」

あなた、幸せにしてね。あなた、子供は三人欲しい。あなた・・・あなた・・・超?


刀子 「うぐあぁぁぁ・・・超・・・また貴様か・・・私の・・・幸せを・・・返せぇぇぇ・・・・超刀子?」
ここは教会地下の研究室別館。刀子はそこにブーケを持たされて眠りについていた
ハルナ 「今日はいったい何したの?」
超 「新発明、夢見るブーケ、ネ。持って寝ると結婚式の夢、見れるネ」
ハルナ 「結婚式か・・・その割にはあんたの名前を出してうなされているじゃない」
超 「寝る前、最後に見た人が新郎になるネ。だからワタシと結婚する夢、見てるネ」
ハルナ 「アンタ・・・わざとやってるでしょ?」
超 「まさか・・・そんなことは、無いヨ♪」

34-859

34-859 名前:ネギ先生にアピール(1)[sage] 投稿日:2006/07/03(月) 10:14:23 ID:???
「のどか、双子さん、さっちゃん、皆さんに集まってもらったのは他でもないです。」
夕映達6人はある日の放課後、カラオケボックスに集まっていた。
「最近クラスの総百合化が深刻なのはご存じですよね。」
「うん、それでネギ君落ち込んでたよ。バレンタインのチョコ1個ももらえなかったって。」
それで同性の恋人がいないわたしたちが慰めるわけですね。
「さっちゃん、それは間違ってはないですが、本題ではないです。
わたしたちの目的は、そのスキを狙ってネギ先生にアピールをすることです。」
「ア、ア、ア、アピール?」
のどかが顔を赤くして慌てふためいた。その時、さっきから一人で歌っていた柿崎が歌うのをやめ、話に入ってきた。
「ネギ君にアピール?ガンガンやっちゃおうよ。」
「柿崎さん、アナタには彼氏がいたのでは。」
「ネギ君とつきあえるんだったら今のカレなんていつでも別れちゃうんだから。」
く、黒い。ここにいる全員がそう思った。
「誰ですか。こいつ連れてきたの。」
史伽が申し訳なさそうに言った。
「私とお姉ちゃんが、今回の会議について話してたら、柿崎さん盗み聞きしてて、しかも『カラオケボックス』のとこだけ反応して、
『私も連れていきなさい。』って。」
「ま、いいです。ここに皆を呼び出した理由は抜け駆けをさせないことですから。
さ、くじをひくです。」
なんで?
「私たちはこれからペアを組んでネギ先生にアピールをしていくです。その組み合わせを決めるためのくじです。」
くじを引いた結果、柿崎&風香、のどか&史伽、夕映&五月と組み合わせが決まった。
「皆さん、このことは秘密です。特にハルナや朝倉には言ってはダメです。」
「ハルナを呼ばなかったのはそのためなんだね。」
果たして夕映のもくろみはうまくいくのか。
つづく

34-866

34-866 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/03(月) 19:01:38 ID:???
アコ「なぁなぁ、うち保健委員やろ。うちが具合悪い時はどないするんやろ?
   誰が保健室連れて行ってくれるん?」
裕奈「んーアコったらそんなこと気にしてたの?わ・た・しがいるじゃん♪
   アコだったらお姫様抱っこで連れて行ってあげるにゃー♪」
アコ「いやや!ゆーなはあかん!もっと責任感があって頼りになる人やなきゃあかんやん」
裕奈「(アコにとって私は頼りにならないって言ってるの・・・泣)」

龍宮「ん?仕事の話か?」
アコ「あぁ、龍宮さんかー。裕奈と違って頼りになりそうやー!」
龍宮「仕事は最後まで責任を持ってやり遂げるぞ?」
アコ「ホンマ頼りにしとるでー!」
龍宮「で?報酬はどれぐらい貰えるんだ?」
アコ「えっ・・・何ゆうとるん?クラスメイトからお金取るんかー!?」
龍宮「決まっている。払えないのなら私は面倒見てやらん。気が向いたら札束を揃えて声をかけるんだな」
裕奈「・・・で?頼りになった?」
アコ「あかん・・・」

楓「んー?どうしたでござるかー?」
アコ「長瀬さん!これが正真正銘の救戦士や!」
楓「?にんにん、拙者は守人でござるよ?」
裕奈「(怪しさいっぱいなんですけど)」
アコ「長瀬さんは無償で助けてくれるやろ?」
楓「んーそうでござるな。任せておくでござる!」
アコ「わーお やっぱ頼りになるわー!」
風香「楓姉〜食堂に新しいプリンアラモードが出たってー!」
史伽「1日10個限定みたいですぅ。早く行かないとなくなるですー!」
楓「 ま・・・待つでござる!拙者プリンのことなら何を捨ててでも行くでござる!!」
裕奈「長瀬さんもムリみたいだね・・・」
アコ「・・・プリンに負けてもうた・・・」
34-867 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/03(月) 19:02:09 ID:???

茶々丸「何かお困りですか?」
アコ「最後の切り札やー!茶々丸さんはロボやし安心や!」
裕奈「そうだねー!試しに私、お姫様抱っこしてもらっちゃおうかにゃー?」
茶々丸「了解しました。・・・・・『ピーピーピー』」
裕奈「えっ!?どうしたの!?」
茶々丸『警告!警告!重量オーバー!重量オーバー!ピーピーピー』
裕奈「がびん Σ(´○ω○`)」
ハカセ「茶々丸ーダメじゃない、昨日からいじってるんだから大人しくしてなきゃー!」
茶々丸「・・・は・・・カセ・・・」
ハカセ「あー至急修理しなくちゃー」
アコ「・・・・・・・・・・あかん」


アコ「仕方ないわー裕奈でえーわ、頼りにしてないけど頼んだで」
裕奈「(○Д○)」
アコ「あかん・・・裕奈魂抜け取る・・・ゆーなー 見た目かわいいから重さは関係あらへんでー!」

アキラ「・・・・・・アコ・・・それとどめの一撃・・・」

34-870

34-870 名前:真名ちゃんもっこり日記86[sage] 投稿日:2006/07/03(月) 19:57:28 ID:???
真名ちゃんもっこり日記86

退屈な午前の授業も終わってようやく昼休みになった。
私はアキラの手を引いて学食へと向かった。
昨日は激しくしすぎたせいで二人とも寝過ごしてしまいそうだった。何しろ1時間目の本鈴がなる数分前だったからな。

「真名ぁ、もう遅くまでしないでね。そろそろテストが近いんだから」
「すまなかった。だが昨日は我慢できなくてな」
それはいつものことだがな。
さて今日のアキラは学食の何ランチを取る気だ?
「…私はBランチにしようかな」
そう言ってアキラはBランチの食券を買った、450円か。よし、私も………あ。
「すまないアキラ。どうも朝寝坊をした時のバタバタで別の財布を持ってきてしまった。少し貸してくれ」
「いいよ。いくら?」
おお、貸してくれるのか。やさしいなアキラは。
「450円だ」
「…」

私の財布の中はゲーセンで集めたメダルしか入ってなかった。
…すまん。馬鹿な私を罵倒してくれ。

―お知らせ―
『真名ちゃんもっこり日記』は作者都合によりしばらく休載します。



34-875

34-875 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/03(月) 22:45:34 ID:???
千雨 目覚め


朝、いつものように目が覚める
まだ眠い目をこすりながら、私は上体を起こした
隣には誰もいない。確かに寝る前までは一緒にいたはずなのに・・・
先に起きたのだろうか?

私はベッドから降りると、朝の光を遮っているカーテンを開けた
朝っぱらだというのにかなり強い日差しが入ってくる。もう夏は近いらしい

ぱたぱたぱた・・・

窓を開けるとともに、一羽の鳥が入ってきた
ザジの人間とは別の相棒、名前はまだ教えてもらってはいない
もしかするとザジの概念からすれば、名前なんて必要ないのかもしれない。ただ、一緒にいてくれればそれでいいのだろう

その鳥はタンスの上に止まった
何でそんな所に止まるのだろうかと思ったら・・・答えはすぐにわかった
私の隣で寝ていたはずのザジがそこで寝ていたからだ
何であんなところに、なんて思うが、時々ザジはそんなことをする
台所のテーブルの下で寝ていたり、クローゼットの中で寝ていたり、洗濯機の上で寝ていたりする
何でそんなところで寝るのか一度聞いてみた。しかしザジは何でそんなことを聞くんだろう?といった表情で返してくる
それ以降は聞くのを止めた。無意味だと思ったからだ

千雨 「おい、起きろ。そんなところで寝ていると落ちるぞ?」
私はタンスの上のザジをつつく。鳥もくちばしでザジの頬をつついた

こんな朝が何日続いただろう。そう、そろそろ一年になる
この奇妙なやつに出逢ってから・・・もうじき一年。その日は記念日にでもしてやるか・・・

34-877

34-877 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/03(月) 23:28:09 ID:???
ザジ「後、30分で一周年だね」
ちう「ああ…そうだな」
ザジ「……」
ちう「……」
ザジ「ちう…」
ちう「ん?」
ザジ「……一年間ありがとう」
ちう「ありがとうはまだはえーよ。一年どころかこれから先ずっとおまえと一緒だ」
ザジ「ちう…」
ちう「ザジ…」


34-880

34-880 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 00:07:43 ID:???
停電の夜

この日、千雨とザジは二人で千雨の部屋で宿題をすませていた。
二人でやると意外と早く済んだため、千雨はノートを片付けパソコンの前に座る。
ザジは答えは分かったがノートにまだ書ききれていないため急いで書いていた。

「ちうだぴょーん。今日もありがとー♪」
相変わらずメガネを掛けていないときとのギャップが違う。
滑らかにそして正確にキーボートを叩いてチャットをする千雨の横でやっとノートを片付けるザジ。
外を見ればもう夜であった、時間が経つのは早い。

―ちうちゃんって好きな人っているの?
一人の投稿者からの何気ない書き込み。千雨は少し指を止めたがすぐにたたき出す。
―今はいないよ。気になる人くらいかな。
千雨はあえて本心は避けた。
NO.1ネットアイドルを維持するためにも、好きな人が今いますと言ってファンが離れるのは避けたかった。
「ふぅ、これだからネットアイドルはつらいもんだ」
「ちう」
そっと後ろから抱きしめるザジ。
「おいおい」
千雨が少し頬を赤くして反応したその時、部屋の明かりがいきなり消えた。

「停電!?」
「うわぁー最悪ー!こんな時にー!!」
チャット中だったパソコンは問答無用で電源が落ちてしまった。千雨はやり場のない怒りに怒り出す。
「どうする?」
「今日は月が出てないから何にも見えねぇな。復旧するまで待つしかないな」
だるそうにため息をついて椅子に深く腰掛けた。
34-881 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 00:08:18 ID:???
こんな日に限って月が出ていない。
普段から薄暗い部屋だったため停電のせいで真っ暗、外では停電で驚く同じ寮の誰かが喚いていた。
「ちう」
「大丈夫だって、えーっと懐中電灯はどこだっけな……あっ、これだ」
ザジをその場に置いて手探りで探して懐中電灯の明かりをつけた。
「千雨、見えるの?」
「あぁ、ちょっと慣れた」
ザジは明かりに浮かぶ千雨の姿に向かって進んだが、何かに躓いて千雨の近くで転んでしまった。
「キャッ」
「うわっ」
ザジは千雨を巻き込んで倒れてしまう。
「ちう…」
暗い個室に千雨とザジは重なり合っていた。
服越しに互いの体温がはっきりと伝わる、千雨の耳にザジの吐息が降りかかる。
「ふぁっ、ザジ…ちょっとどいてくれ…?」
「ちう?」
顔がそばにあるのにザジは全く千雨の姿を認識していない。
「お前、ここまで近くにいてまだ分からないのか?」
千雨がザジの顔をつかんで自分の方向に向けた。今度は唇にザジの吐息が降りかかった。
甘い濃厚なキス。
出会ってもう1年なのに、もう何度もやってきたはずなのに。心臓が爆発しそうなくらい心音が高まる。
「ち…う…」
上のポジションのザジは千雨の行為に笑い、覆いかぶった。

「…あー腰痛てー」
34-882 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 00:09:30 ID:???
ベッドの中で腰を抑える千雨は窓の外を見ながら電気が戻るのを待っていた。
その横ではザジが寝息を立てていた。
「あーあ、出会って一年目の夜に停電なんてな。ついてねーの」
千雨はそんな悪態をついていた、そりゃまだ電気が復旧していない上にパソコンも回復していない。
だが内心、電力会社に感謝していた。
窓の外は綺麗な星が夜空を色取り、美しいイルミネーションを描いていた。
何度も見てきた夜空だったが、その日だけ違う感じがする。
「ちう…」
ザジはそう呟いて静かになる、そんなザジの頭を千雨はそっと撫でていた。


34-888

34-888 名前:帰り道7『一緒の写真』(1)[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 01:01:30 ID:???
夕陽に縁取られた私たち二人のシルエットは、誰もいない橋を横切って伸びている。
街灯はまだ静かに時を待っていて、暗くなりかけた街からは夕飯の匂いが漂う。
ふわりと爽やかな風が、橋の上を駆け抜けた。
橋から眺めた夕焼けは、雲の群れを千切り、私たちの顔を熱く照りつける。
でも、その温もりはどこか寂しげで、「また明日」と手を振る友人の声に似ていた。

「なぁ、ザジ」
私の声に、ザジは夕陽を封じ込めた瞳を向ける。その中には、水晶玉のように世界が映り込んでいた。
「友達と別れて家に帰るのって、本当に寂しかったはずなんだよな」
ザジはやや首を傾げた。輪郭に沿って下げられた両側の髪が、揺れて褐色の頬を撫でる。
「でも、寮生活になって、そんな気持ちも忘れちまってた」
私は再び夕陽を見た。さっきより沈んだかもしれない。太陽の時間はあと僅かだ。
「思い出しちまったよ、別れる寂しさ。もう二度と会えないって訳じゃないのにな」
そして私は照れ隠しに微笑む。瞼を半分下げて、涙を忘れようと努める。

でも、やっぱり、無理だ。
「千雨も…心細い?」
ザジがその小さな唇で言った。水槽の中から覗いたような風景が、眼に揺らいでいる。
「当たり前だろ。一緒に暮らしてるんだから。…でも、また会えるんだから、悲しくない」
ザジはこくりと頷いた。

「頑張れよ、孤児院とか病院の子供たちを笑顔にするんだろ?たった二週間の別れだ」
ザジは再び頷いた。
「それじゃあな。無理して怪我すんなよ」
こうして私は、サーカスの慈善興行に旅立つザジを見送った。
34-889 名前:帰り道7『一緒の写真』(2)[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 01:03:19 ID:???
ザジと別れた後、私は徐々に暗闇と紛れる自分の影を見つめ続けた。
延々と伸びる道の先まで、全てが自分の影に思える。
しかし、心が迷子になっているにも関わらず、身体は自ら帰り道を選び、辿っていく。
まるで、決心を待たずして過ぎゆく時の流れの様。
そこで私はふと気が付いた。はたして、ザジは決心していたのだろうか?

パシャッ!

突然の光。雷のような瞬間の昼。
顔を上げると、朝倉がカメラを構えていた。
「ち、ちぃ〜す。ちうちゃん、浮かない顔だねぇ…何かあった?」
「そんな顔の奴、写真に収めて楽しいか?」
「なら笑顔のちうちゃん撮らせてよ」
「ふん。勝手にしろ」
眉を半分傾けて、朝倉はため息をついた。すると、カメラを下ろし、代わりにポケットから何か取り出す。
「はい、コレ。前に撮った写真なんだけど、イイ顔してるじゃん」
差し出された一枚の写真、そこに写ったザジと私は笑顔で小鳥に手を差し延べていた。
私はその写真を受け取ると、朝倉の傍を通り過ぎた。朝倉は振り返らない。
「あれ?いつもは、受け取らないのにねぇ…」
なんでいつもコイツの声は悪戯っぽく響くのか。
「ザジが喜ぶかもしれないからな」
「ふーん、ザジちゃんの為に貰ったんだ?」
「そうだよ」
嗚呼、あと二週間か…。
「それじゃあ、ちうちゃん。私は用事があるから」
手をひらひら振って、別れを告げる朝倉。私は、手を振り返すのでもなく、そんな朝倉をただ眺めていた。
「……もう二度と会えないって訳じゃない」
朝倉…、今回はありがとな。

【おわり】

34-908

34-908 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 14:50:35 ID:???
千雨とザジの部屋
千雨はホームページの更新をしていると、ザジが抱きついてきた
「ちう・・・」
「もうちょっとだから、な」
何とかなだめてザジはおとなしくなった
千雨は作業を続けながらふと考える
『そういや、もう一年か』
そう、二人が恋人同士になってから一年が過ぎようとしていた
最初は考えられなかった
無口で無表情な変わった同居人、それが最初だった
でも今はかけがえの無い人、千雨はザジにだけ本当の自分をさらけ出せる
またザジも千雨にだけ笑顔や他の人には見せない面を見せてくれる
「そうだな・・・」
更新を早々と済ませると、千雨はザジを呼んだ
「ちう・・・終わったの?」
「うん、ああ」
子供のような無垢な瞳のザジに千雨は改めて愛おしさを感じる、そして
ザジを抱きしめてキスをする、最初驚いたザジだがすぐに抱き返してきた
暫しのキスの後、千雨は言う
「ザジ、大好きだ。一年間お前がいて幸せだった、そしてこれからもずっと・・・」
「ちう・・・」
改めて抱き合う二人、その影はやがて部屋の明かりと共に消えた

34-911

34-911 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 17:45:17 ID:???
一周年記念風。

「……はぁー」
煙草を深く吸い、煙と一緒に大きく息を吐いた。
屋上は千雨の学校での喫煙スポットの一つ。
放課後に屋上で一服吸うのは最近の楽しみだった。
隣でゴホゴホと咳き込んでる朝倉が居なければもっと良いが。
「うー、間接喫煙は体に悪いんだけどなぁ」
「じゃあここに居るな」
冷たい言葉で追い払う態度は見せるが、この程度で朝倉は退かない。
千雨もその事が分かってるし、もう諦めてもいた。
「……それにしても、変わったねぇ」
朝倉が突然話を切り出す。
「何がだよ」
「ちうちゃんとかさ」
「どこが変わったって?」
「前は煙草吸わなかったじゃん」
言われて手元の煙草を見つめる。
そういえば、一体いつから吸い始めたっけ。
「それに性格もさ。丸くなったような、黒くなったような」
「黒くねぇ……、ロボには負けるけどな」
「茶々丸さん?あー、エヴァちゃんも可哀想だよねー」
微塵も可哀想とは思って無さそうな口調で朝倉は言った。
「他にも変わった奴はいるよな」
「例えば?」
「和泉」
「あー」
「何であんな壊れた性格になったんだ?」
「原因はちうちゃんじゃなかったっけ」
「…………」
34-912 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 17:45:52 ID:???
そういえば、そんな気もする。
「あと隊長も、最初らへんクールだった気がするけどねー」
「そういや柿崎はいつからあんな大酒呑みになったんだか」
「くぎみーは爆破スキル持ったしねぇ」
「超が黒いのは?」
「元からじゃない?」
最後はどうかと思ったが、なるほど、色々変わったもんだ。
なんとなく感慨に耽ってると、またもや朝倉が口を開いた。
「でもさ、変わってないものもあるよね」
「何だ?」
「愛、とか」
……コイツは素面で何を言ってるんだ。
でも、まぁ。
確かに愛って奴は。
私とザジの愛って奴は、変わってないな。
「お前にしちゃ珍しく良い事言ったな」
「珍しくってのは余計だよ」
不満そうな顔をする朝倉。
それを尻目に千雨は煙草の火を消した。
「あれ、もう帰るの?」
「あぁ。ザジに会いたくなった」
「ふーん、じゃあ私もさよちゃんに会いに行くとしますか」
二人して屋上を後にし、途中の廊下で別れた。
朝倉は教室へ。
そして千雨は寮の部屋に、変わってない愛を確かめに。

34-915

34-915 名前:まほ落語 真打 立ち切り[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:34:48 ID:???
『♪チャンチャカチャンチャカ・・・』
ハルナ「ザジちうスレ一周年記念まほ落語寄席もクライマックスが近づいてまいりました。
    真打は、早乙女亭ハルナでございます。
    え〜、時計というものがなかった頃にどうやって時を数えていたかと言いますと
    お寺の鐘の数えてました。
    でも、お寺の鐘は一時間毎なので細かい時を数えられなかったんですね。
    では短い時間をどう計ったのかと調べますと、どうやら壷に目盛りを刻み、
    そこに水を一定の速さで流しこみ、どのくらい溜まったかで計ったそうです。
    でもこの装置は大きく、室内に置くことができないので、代わりに線香を使用したそうです。
    何を計ったか?大食い競争の残り時間とか、時間になったらそこまでってものを計ったそうです。
    最近は線香なんて滅多に見たいですからどのくらいの長さかは知りませんが」
34-916 名前:まほ落語 真打 立ち切り[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:35:44 ID:???
ハルナ「さて、こちらは夜のオカズの大店のあやか屋。ここの若旦那は遊びが過ぎて親を怒らせ、
    若旦那の居ないうちに親類・番頭などが集まりまして、どうしたものかと会議中で」

あやか「まったく、跡取りだというのに芸者狂いだなんてなってませんわ!」
亜子「ホンマや!お金の有難みっちゅうもんを知らんのか?!
   こうなったら重労働でもさせて、金の有難みを教えなぁあかんな!」
夕映「前そう言って働かせたものの、数日後にはケロッと忘れてたです。
   こんなできの悪いボンクラは海にでも沈めるです。」
まき絵「ただ沈めるんじゃつまらない。腐った船で鮫の居る海に放り出して、
    沈むのでも見物しようよ〜」

ハルナ「まぁ無茶な事を言っておりますと」

円「あ、あの〜・・・」
あやか「あら、番頭。何かいい案でも?」
円「旦那様、沈める沈めないよりも若旦那はたった一人の跡継ぎでございます、死んではお店の一大事。
  ここは、蔵住まい百日程度にしておきましょう。」
あやか「ああそうでしたわ、死んでしまうとこまりますわよね。
    では、番頭の言うとおりにしましょう。千雨を呼んできてくださいな。」

ハルナ「番頭のとりなしで罰が決まり、蔵の前で若旦那は」

千雨「離せ!止めろ!」
夕映「そうは行きません!」
千雨「まき絵!まき絵!たすけ」
まき絵「もし訳ありません、旦那様の命ですから!」
千雨「わ〜!やめ〜!」

ハルナ「バタン。と戸が閉まりまして」
34-917 名前:まほ落語 真打 立ち切り[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:36:31 ID:???
千雨「お〜い!開けろ〜!出してくれ〜!」
夕映「百日たてば出られるです。」
千雨「今日は柿崎屋に約束が」
夕映「こんな時まで遊びの事しか考えてないですか?
   少し蔵の中で頭を冷やしてください。」

ハルナ「蔵に入れられてから」

のどか「ご、ごめんくださ〜い。柿崎屋の使いです。」
夕映「はいはい。何の御用で?」
のどか「あの〜、こちらの若旦那は?」
夕映「若旦那ですか?若旦那はいま遠くへ出てるもので、いつ帰るかは解らないです。」
のどか「そうですか・・・では、この手紙を内密にお手渡し願います。」
夕映「はいはい、解りました。」

ハルナ「これを見せたら外に出たがるからと引き出しへ。
    翌日になりまして」

のどか「ご、ごめんください。」
夕映「はいはい・・・おや、昨日の。」
のどか「あの〜、こちらの若旦那は?」
夕映「まだ帰っておりませんが。」
のどか「そうですか・・・では、この手紙を内密に・・・」
夕映「はいはい、解りました。」
34-918 名前:まほ落語 真打 立ち切り[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:37:22 ID:???
ハルナ「また翌日」

のどか「ご、ごめんください。」
夕映「はいはい・・・おや、昨日の。」
のどか「あの〜、こちらの若旦那は?」
夕映「まだ帰っておりませんが。」
のどか「そうですか・・・では、この手紙を内密に・・・」
夕映「はいはい、解りました。」

ハルナ「またまた翌日」

のどか「ご、ごm(ry」
夕映「はいh(ry」
のどか「あの〜、k(ry」
夕映「まだk(ry」
のどか「そうd(ry」
夕映「はいh(ry」

ハルナ「数十日」

夕映「ご、ごめんください。」
のどか「はいはい・・・おや、昨日の。」
夕映「あの〜、こちらの若旦那は?」
のどか「まだ帰っておりませんが。」
夕映「そうですか・・・では、この手紙を内密に・・・」
のどか「はいはい、解りました。」
34-919 名前:まほ落語 真打 立ち切り[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:38:28 ID:???
ハルナ「と、まいにち手紙が届くもんですから」

夕映「う〜、どうしたものかです。」
円「ん?どうしたんだ?」
夕映「番頭、毎日のように手紙が届いたら商いに集中できませんです。」
円「手紙?」
夕映「これです。」
円「ん〜どれどれ?・・・柿崎屋の桜子。ああ、あの子か。」
夕映「知ってるですか?」
円「ああ。田舎の出らしく、家が貧乏で出稼に芸者をやってるそうだ。
  そいつが純な子で、稼ぎのほとんどを家に送ってるんだとよ。
  そんで若旦那がその意気に惚れ込み、そうとう入れ込んでるんだ。
  この間なんか、三味線をこさえてあげたそうだぞ。」
夕映「へぇ」
円「あの日から結構立つ、相当な数きたろう。
  私が若旦那に渡してこようか?」
夕映「いえ、これを見せたら外に出たがるでしょう。
   私が百日たつまで預かります。」

ハルナ「毎日のように手紙が届いていたんですが、八十日目にぱたりと来なくなった。」

夕映「(まぁ所詮、芸者はこんなもんですよ。)」
34-920 名前:まほ落語 真打 立ち切り[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:39:24 ID:???
ハルナ「さあ、百日がたちまして。」

円「若旦那、百日たちましたよ。」
千雨「ん?おう、番頭。やっと出れるのか?」
円「はい、出れますよ。お食事・風呂・床屋も呼んでますから身なりを整えて・・・
  あぁそうそう、柿崎屋の桜子さんからお手紙が来てたそうで、
  夕映が預かってますからお受け取りください。」
千雨「ん?うんうん、じゃあ手紙からにするか。
   ・・・・・おい、夕映!手紙とやらを見せてもらおうか。」
夕映「ああ、はい。・・・・よいしょっと、ふう。
   蔵に入られたから毎日来てましたよ・・・といいたい所ですが、八十日目で来なくなったです。
   旦那様が、百日よこせば結婚を認めるとか言ってましたが・・・」
千雨「ふ、ふ〜ん。どれどれ?・・・お元気ですか?私は元気です。・・ふんふん。」
円「若旦那、風呂が沸きました。まずは身をお清めください。」
千雨「おう。・・これで全部か?持って行くぞ。」

千雨「ん〜。・・・ふんふん。」
円「若旦那、風呂で手紙を読むのは・・・」

千雨「どれどれ。・・・ふんふん。」
円「若旦那、美容室ちゃいますがな。」

千雨「ふんふん・・・」
円「若旦那!食事中ですよ!行儀わr」
千雨「・・・・。」
円「若・・旦・・・那?」
千雨「(この手紙が着き次第お越しくださらなき時は、これがこの世のお別れに・・・。)
   ん、あ、いや、なんでもない。・・・番頭、ちょっと出かけてくる。」
円「へぇ。付き添いに誰か付けましょうか?・・・要らない、解りました。お気をつけて。」
34-921 名前:まほ落語 真打 立ち切り[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:40:27 ID:???
ハルナ「店を飛び出しますと、柿崎屋へ向かい」

千雨「女将!女将!あやか屋の千雨だ!桜子は居るか?!」
美砂「・・・居ます。どうぞ、こちらへ。」
千雨「何だ、居るのか。この世の別れとか物騒な手紙を送ってくるからビックリしたぞ。
   ・・・・・ここ?お〜い、千雨だ。入るぞ〜。・・・なんだ?誰も居ないじゃないか?」
美砂「ちょっと待っててください。・・・・・ここに・・・。」
千雨「ここにって、位牌なんかとりだ・・・まさか・・・・誰だ!誰が殺したんだ!」
美砂「誰かと言えば・・若旦那が、になります・・・。」
千雨「え?えぇぇ?!私?!」
美砂「ええ。若旦那が、芸者なら三味線の一つでも弾けないとだめだ。って
   いつも三味線の稽古を付けてくれたでしょ?
   桜子、それが嬉しくてね、いっつも喜んでた。
   最後に来てくれたとき、手作りの三味線を贈ったでしょ?
   次に来る時はそれを弾くって約束して、毎晩遅くまで練習してたんです・・・。
   そうこうしてるうちに若旦那が来なくなった事に気づいて、手紙を出し始めたんだけど
   返事の一つも来ないから、芸に精進しろって無言の応援だと思ってたの。
   でも、八十日目。桜子は、若旦那に嫌われたんじゃないかなんてわんわん泣き出して・・・
   そのうち病にかかって倒れてしまったんです。
   ・・・で、逝く日の朝・・早くに起きて・・・若旦那から貰った三味線を弾きながら・・・。
   若旦那、今日は桜子の三七日・・どうか桜子に線香を・・・。」
千雨「・・・私が遊びすぎて・・・蔵に入れられてる時に・・・。
   可哀想な事をしてしまった・・・グスッ・・・」
34-922 名前:まほ落語 真打 立ち切り[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:41:29 ID:???
ハルナ「と、してますと、どこからか三味線の音が」

千雨「ん?誰も居ないはずだろ?」
美砂「あ、仏壇の前の三味線が・・・」

ハルナ「そうしますと若旦那、仏壇の前に行きまして」

千雨「・・・この曲、私が教えた・・ハッピー☆マテリアルじゃないか。
   桜子、済まなかった・・・こうと知っていれば、蔵を破ってでも来たのに・・・。
   私は・・もう、女房なんてものは貰わないから、堪忍してくれぇぇぇっ」
美砂「今の一言、桜子はきっと喜んでいます・・・。」
千雨「うぅ・・うっ・・・」

ハルナ「若旦那が嗚咽してますと、曲は途中で鳴り止み」

千雨「何で、途中で終わる?・・・糸が切れたか?」
美砂「・・・・いえ、糸は切れてないです・・・。」
千雨「何で?これ、良い歌なのに。何で最後まで弾いてくれないんだ」
美砂「ああ。・・・若旦那、もう桜子は三味線を弾きません。」
千雨「な、何でだ?」

ハルナ「『ちょうど線香が立ち切れました。』

    立ち切りの一席でございました。」
34-923 名前:まほ落語 おまけ[sage] 投稿日:2006/07/04(火) 18:42:06 ID:???
さよ「ザジちうスレ一周年記念まほ落語、最後は大喜利のコーナーです。
   しばらく前に笑点の司会者が正式に交代したのを受け、
   気まぐれで司会者に抜擢されました相坂亭さよです。どうぞよろしくお願いします。
   さて、私が抜けた分、回答者が新しく入りましたのでメンバーさんのご挨拶からどうぞ。」

亜子「ワールドカップ残念やったなぁ〜、日本代表監督問題も大変なことになっとるし。
   ジェフファンもオシム監督を惜しむ・・・べ、べつに駄洒落あらへんからな!
   次のワールドカップこそはと期待しとる和泉家亜子でございます。」
円「ワールドカップ観戦のためにドイツへ行こうとしたら
  なぜか爆弾魔だと警官に追われました。くぎみ家円です。」
古「どうやらワールドカップは格闘とは関係ないそうアル。
  私より強いやつ、いたら出てくるアル!くーふぇいアルッ!」
葉加瀬「春風亭昇太師匠=低身長+メガネ=葉加瀬って訳じゃないですよ。
    愛と正義の新感覚癒し系魔法噺家、葉加瀬家聡美ッス!」
茶々丸「えぇ、前回までの大喜利司会者でした和美師匠は残念ながら・・・次回があれば復帰だそうです。
    大体、司会者をやるにも格というものがありますよ。
    たとえば和服の似合い、日本文化を極めた・・」
さよ「・・・。」
茶々丸「高性能ロボットとかが適任ですよね。絡繰亭茶々丸でございます。」
まき絵「ワタシ、ムズカシイハナシワカラナイヨ、コノバカタレスケベシャチョ〜。
    では皆様、まいりましょう!1・2・3・チャンラ〜ン!まき絵で〜す!」
さよ「最後に歌のとても上手な椎名さんのご挨拶です。」
桜子「♪舞い降りてきた〜白い天使よ〜 あ、もういいよ〜。
   笑点の山田君って〜実は噺家だったんだよ〜。ただそれだけ〜。
   座布団と千雨ちゃんへの愛を運ぶ、椎名桜子でございま〜すっ!」

さよ「では一問目。と行きたい所ですが、そろそろお時間のようです。
   以上、ザジちうスレ一周年記念寄席、ここらでお開きです。
   またご縁がありましたらお会いしましょう。ありがとうございました。」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年07月29日 02:27