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北上&アサシン」(2016/05/30 (月) 00:49:17) の最新版変更点

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  <新宿>区内の安アパート。   ちりちりという小さな目覚まし時計の音で目を覚ます。   隣にはもう誰も居ない。薄っぺらいせんべい布団は、北上一人でいっぱいいっぱいな大きさ。   昔のことを忘れるためにわざとそういうのを用意したんだからしょうがないけど、やっぱり寂しいもんは寂しい。   一人ぼっちになってから何日が過ぎただろう。   いちいち数えるほどには未練がましいたちじゃない。   ただ、いつまでたっても晴れない心の曇り空が、今何日続いてて、あと何日続くのかなと少し嫌になるくらいはある。 「目が覚めましたか、マスター」 「んー。さめた」   北上がぽけーっと壁を眺めていたら、部屋の奥からアサシンが出てきた。   朝ご飯を作ってくれていたらしい。   髪の収集なんていう変態チックな趣味を持っているけどいいサーヴァントだ。   言うこと聞いてくれるし、料理も美味しい。髪の手入れとか手伝ってくれる。あと、結構いい匂いがする。   普通のサーヴァントじゃこうはいかない、というのはアサシン自身の言葉だった。   起きてぼさぼさになった髪にアサシンが丁寧に櫛を通していく。   恥ずかしながら北上は自分の髪の手入れが上手く出来ない。自分でやるとへたくそだからいつも他の人にやってもらっていた。   髪の手入れはだいたい大井がやってくれていた。二人で喋りながら、たまに鼻歌を歌いながら。   アサシンは何も言わずにやってくれる。ただ、髪を見る目がちょっと熱っぽいのは気になるけど。   ちゃきちゃき素早く髪を三つ編みに結うアサシンに尋ねる。 「今日、どっちだっけ」 「和食ですよ」   今日の朝ご飯は和食らしい。   ご飯を食べたら学校だ。   戦争が終わっても、忙しいのは変わらない。むしろ戦争中よりも今のほうが忙しい気もする。   結われた三つ編みと壁近くにかけてある制服を見て、ふと、ここに来る前の自分のことを思い出した。   思えば、遠くに来たものだ。 ☆北上   戦争が終わった。   海からの侵略者たちとの明けも暮れもの戦いが、終わった。   いつか終わるだろうとは思ってた。でも、思ってた以上に最後はあっさり訪れた。   四方八方手を尽くして敵の根城を発見し、そこにしこたま魚雷をぶちこんだらあっけなく終わった。   あっけなかった。人外との戦争には交渉も和睦もないから、どっちかの領域を徹底的に破壊しつくしたら終わり。そんなもんなんだろう。   世界中に広がっていた海はみるみる引いていって陸と海の対比が昔通りの3:7くらいに戻った。   暑い夏の日。8月15日。   深海棲艦と人類との戦争は、人類の完全勝利で幕を閉じた。   戦争が終わった。   そうなるともう、艦娘は必要ない。   各鎮守府の艦娘たちは艤装を解体して、意外とはやく日常生活に戻っていった。   ある子は田舎へ帰り学業を修めるといい、民間学校に編入している。   ある子は田舎へ帰り海水の被害にあった土地の復旧作業に従事してる。   ある子は手腕を買われ軍に残って海軍下士官として腕をふるっている。   ある子は特にやることもないので就職してOLとして働いている。   那珂ちゃんはお茶の間のアイドルになって世間を騒がせている。   妖精さんたちはどうなったかは詳しくは知らない。   この前自動販売機の中から出てくるのを見たから皆なにかしら働いてるんだろう。   仲のいい子とは文通やら電信やらを使いながら。   それほど仲が良くなかったことはそれきり。   散り散りばらばらになって、皆が皆思い思いの普通の女の子やっていく。   そこについては北上も一緒だった。   ぽけーっと普通の女の子になって泣いたり笑ったり抱き合ったりしてる艦娘たちを見ていたら、名前が呼ばれた。   艤装が解体される、魚雷が撃てなくなる。   まあしょうがない。戦争は終わったんだから。   球磨型の姉妹艦、姉の球磨と多磨は軍に残るらしい、妹の木曽は別の形で海に関わると言っていた。   それじゃあ北上はどうしよう。   未来の展望がまるでない。まぁ、大井と離れる姿だけは予想がつかなかったけど。   二人で田舎に引っ込んで……いや、提督と三人で田舎に引っ込んでのんびり暮らそうか。   そこまで考えてようやくああ、戦争が終わったんだなぁと実感を得た。   これからは女の子に戻って海とは無関係な暮らしをしていくんだろうなぁと思うと、不思議な気持ちになった。   艦娘数十人分の艤装を解体するとなれば数日かかる。   北上の日程は最終日、それも最後から二番目だった。   北上が艤装の解体が終わる頃には鎮守府に艦娘はほとんど居なくなっていた。   残った子たちももう涙を拭い、新しい未来への進路を定めている。   うむうむいいことだと頷きながらぷらぷらと人がめっきり少なくなった鎮守府を歩いて、司令室にたどり着く。   ドアを開けると、そこはもう見慣れた司令室ではなかった。   木張りの床、質素な壁、窓に映っている景色さえ変わっている。   なんだかまるで、別の場所だ。   司令室はいつだってたまり場だった。   北上と、大井と、提督で、くだらない話をしてどうでもいいことをして過ごしたもんだ。   司令室にバーカウンターを置いてお酒を飲んだことがあった。大井がおいおい泣きながら提督の頭に焼酎をかけて謹慎されたことがある。   司令室にお風呂を用意して半身浴をしたことがあった。汗だくになったあとで飲んだフルーツ牛乳が美味しかった。   司令室にキッチンカウンターを置いて三人でチョコを作ったこともあった。あえて提督に渡さず妖精さんに撒いたら提督が泣いていた。   司令室に布団を敷いて寝ていたら、まさか布団が入り口近くに敷いてあるとは思わず入ってきた大淀に踏みつけられたこともあった。あれは痛かったなあとくすくす笑っていたら、司令室のドアを誰かがノックした。   扉が開く。   そこには、大井と提督が立っていた。 「見てよこれ。あたしが刻んだハイパー北上様参上の文字、消されててさ」   大井と提督が笑う。   見れば、全艦娘で一番最後だった大井の艤装の解体も終わっていた。   ただ、提督から大井に、全艦娘内で唯一支給されたアクセサリーの回収はされていなかった。大井の左手の薬指が、きらきら光っている。   そっか、と思い至る。この二人、ケッコンカッコカリがようやく仮じゃなくなったんだ。   特に感慨はない。この二人はいつかそうなるんだろうなぁと思ってた。 「なになに、隅に置けないじゃん。あたしはのけもの?」   脇腹をつついてやると、二人は幸せそうに笑った。お互いの顔を見合わせて、とても幸せそうに笑った。   でも、そこではたと気づいた。   それまではなかったものがある。   北上と二人の間には壁がある。   二人は変わらず接してくれてたけど、薄い皮膜のような何かが、確かに北上には見えた。 「じゃあ……まあ、お幸せにね。ないとは思うけど、浮気とかしたら怖いよ」   なんとなく居心地が悪かった。   あれだけずっと一緒に居たのに、もう一緒に居られないと思ってしまった。   分かってしまった。   もう、三人ではなく、二人と一人なんだと。   それからほどなくして、北上は大井たちと別れた。   大井は今生の別れのようにわんわん泣いてたけど、その涙も、なんだかあたたかみを感じなかった。   実際はそんなことはないだろうけど。でも、北上がそう思ってしまうのは、たぶん、どうしようもないことなんだと思う。   だって、カッコカリではなくなった二人の間に入る余地なんて見当たらないから、逃げ出すように離れるしかないと思った。   自覚はなかったけど、北上はきっと凄く我儘なんだろうと振り返って思う。   泣きわめく大井に頭を下げて、提督に大井を任せて、北上は走った。   その時、あまり感情を表に出さない北上も、もしかしたら初めて人前で泣いていたかもしれない。   行く宛がなかったので、とりあえず手間取らず、そして仮拠点として安く住める場所を見つけて移住した。   透き通った青色の鍵の家だった。   交通の便はよくない。ゴミ捨て場からもちょっと遠い。   建ってから結構な年月が立っているらしく、階段は踏むたびに軋んでぱらぱらと錆びた鉄くずを撒いた。   鍵で戸を開け部屋にはいると、それなりにい草の匂いが香った。   ガラス越しの光を受けて、塵か何かが輝いている。   入ってまっすぐ窓の鍵を開け、空気の入れ替えがてら錆びかけのアルミ窓を開け放つ。   当然、磯の香りとか潮風とか、そういう海っぽい感じはしない。   見える景色は陸ばかり。ああ、つまらない世界に来てしまったなあと思って鍵を放り投げる。   天井に当たる音がした。畳の上に落ちる音は聞こえない。   もしかして天井に刺さったかなと思って振り返ると、そこには占い師風の格好をした女の人が立っていた。 「お初にお目にかかります。私はアサシン。此度の聖杯戦争におけるあなたのパートナーを務めさせて頂くサーヴァントです」   聖杯戦争。聞きなれない単語だ。   どういうものなのと聞くと、懇切丁寧に説明してくれた。   大方の事情を理解して頷くと、アサシンが本題に移った。 「それでマスター、あなたはなにか願いが?」 「え?」 「ええ。なにか願いがあったから、聖杯戦争の舞台である<新宿>に呼び出されたのだと思いますが」 「願い……願い、か」   願い。   言われてはたと気付く。   そうか。あの時。薄い皮膜を見たあの瞬間、北上の心に去来したものは『願い』だったのだ。   願いの形は見えている。   大井の涙にあたたたみを感じられなかったあの違和感が、たぶんそのまま、北上の願いだろう。   でも、なんと言っていいかわからない。言葉が見つからない。   あれや、これやと考えて、ようやくわかりやすい言葉が浮かぶ。 「……アサシン、あたしさ」   口に出すのが少しだけ恐ろしかった。   遠くに聞こえた蝉の鳴き声がやんだ気がした。 「よくわかんないけど、たぶん、世界が平和になってほしくなかったんだと思う」   遠くで猫がにゃあと鳴いた。運命の羅針盤が回る音が聞こえた気がした。   深海棲艦との戦争中は、とても楽しかった。   北上はきっと、心の何処かでそれがいつまでも続いてくれることを望んでいた。   提督が居て。   大井が居て。   北上が居て。   あとまあ魚雷が撃てればそれでおっけー。問題なし。   戦いに終わりはなくて。   でも、安心できる場所があって。   いつまで続くか分からない戦いを毎日毎日続けていき、いつまでも続けていたい安息を毎日毎日暮らしていく。   戦争も。   関係も。   全部がカッコカリのまま、三人揃っておじいちゃんおばあちゃんになるまで楽しい毎日を続けていく。   世界に平和が訪れた今、北上はたぶん誰よりも強く、心の底からこう願っている。   軽巡洋艦・重雷装巡洋艦としてもう一度生きたい。   北上某なんて名前じゃなく、艦娘北上として。   提督と、大井と、三人で。   すべてがカッコカリのままの、もうもどれないあの日のままで。   もう一度深海棲艦と戦いたいと。   もう一度だけ、あの日に戻りたいと。 「とても不思議な願いです」   アサシンは目を閉じて、ゆっくりと答えた。   そうしていると、衣装も相まって本物の占い師みたいに見えてくる。 「でも、分かりますよ。守りたかったものがあったんでしょうね」   アサシンは見透かしたような言葉がよく似合う人だった。   どんな時も朗らかに笑っていたし、身のこなしも立派だ。   度量が大きいのか、北上のけったいな願いを聞いても一言も口を挟まなかった。   いや、一言もじゃないか。アサシンは北上の言葉を聞いて的外れに一言こう言った。 「あなたは、きっといい魔法少女になれたと思います。今の私に魔法少女を選ぶ権限がないのが非常に残念です」   冗談めいた言葉。だが同時にどこか不思議と真実味を感じさせる言葉だった。   アサシンが笑う。その笑顔はどこまでも朗らかで、世界をもう一度海の底に沈めようとする相棒としてはいささか眩しすぎる気がした。   不思議な人だ。でも、なんとなく信頼できる。   それがアサシンとの出会い。北上の聖杯戦争の始まりの記憶。 ☆ アサシン   今思い返しても、素晴らしい願いだと思う。   鬱屈した感情。世界を変えたいという強い願い。我儘を肯定できる傲慢さ。そして心の強さ。   アサシンの理想の要素を兼ね備えた少女の願いを聞いて、興奮しないわけがない。   願いを聞いた瞬間、アサシンが心の底からの笑みでその願いを受け止めたのは言うまでもないだろう。   思い出しての興奮冷めやらぬ内に北上の髪を口に含む。   普段はテイスティングまではしないのだが、マスターとサーヴァントは一心同体なので髪の毛くらいいつでも手に入るから今回は我慢する必要がない。   少し潮の匂いがする。海軍のような機関で働いていた、と言っていたからその時の名残だろう。   でも海の潮風に負けて傷んだりはしていない。むしろ荒波に負けないほどの力強さが篭っている。   本人に髪のことを尋ねると、大井っちが毎朝やってくれてたと答えていた。   この艶、このハリ、この味、このキューティクル。よほどその『大井っち』という人が手入れに熱心だったんだろう。   この美しさの価値がわかる人物が居て、その美しさを誰かに伝えるためにその人物が尽力したということがわかると一層うれしくなる。   『大井っち』。   北上の原動力の一端であり、北上の髪の理解者。   アサシンは声に出さず胸の内でお礼を言って、口の中の髪の毛を優しく布巾で拭いて懐紙に包んだ。   懐紙を袖口にしまい、代わりに別の懐紙を取り出してその中空数本の髪の毛を取り出し順番に指に巻いていく。   髪を巻いた指を水晶玉にかざすと、水晶玉に髪の持ち主の姿が映った。   指を入れ替える。チャンネルが変わるように映っている人物が切り替わる。   感度良好。制限も加えられていない。   これなら、アサシンは自分を見失わずに戦い続けることが出来る。   アサシンらしく、慎重に、時には大胆に、冷静に、時には情熱的に、敵の、味方の、自分自身の未来を水晶玉に委ねられる。   トイレに行っていた北上が帰ってきて、水晶玉を覗き込み感嘆の声をあげる。   内緒ですよ、と口に指を当てて言うと気の抜けたような笑顔を返してくれた。   そんな笑顔が、愛おしくてたまらない。   微笑み返して水晶玉に再度向き直る。   北上は、学校に行くと言って家から出た。   チャンネルを切り替えて北上を移す。アサシン渾身の三つ編みを揺らしてかけていく愛しいマスターの姿がそこにはあった。   アサシンの方針は決まっている。   愛おしいマスターのために持ちうる限りの力を尽くす。   ついでに色々な髪の毛を拝借して楽しむ。英霊たちの髪の毛は、それはもう、口舌尽きない程のものばかりだろう。   そしてあわよくば、自分の願いを叶える足がかりにする。これはライフワークであるため聖杯で叶わなくても大丈夫。   楽しみと、趣味と、淡い願望が同居した物語。   夢と、希望と、剣と、魔法と、逃走と、闘争と、救済と、暗躍に満ちた物語。それが聖杯戦争だ。   その先に何が待つとしても、結末がどこへ向かおうとも、アサシンにとって素晴らしい物語であることには変わりない。   それでは、素晴らしい物語の幕を開けよう。   アサシン―――ピティ・フレデリカはそんな素晴らしい物語の紡ぎ手としてここにいる。 ---- 【クラス】 アサシン 【真名】 ピティ・フレデリカ@魔法少女育成計画JOKERS 【パラメーター】 筋力:C 耐久:C 敏捷:C 魔力:B 幸運:A 宝具:B 【属性】 混沌・中庸 【クラススキル】 気配遮断:E 自身の気配を消すスキル。 アサシンは宝具の性質上本体が気配を消す必要が無いため気配遮断のランクがすこぶる低い。 E程度ならば他人の部屋を物色していても発見されるまでは気配を感付かれない程度。 【保有スキル】 魔法少女:A 魔法少女である。ランクが高いほど高水準の魔法少女となる。 魔法少女は人間離れした戦闘能力と視覚聴覚を得、排泄や食事などの新陳代謝行為を一切行わなくて良くなる。 また、疲労の蓄積する速度が人間よりも遥かに遅く、長期の不眠不休にも耐えられるスタミナと常人離れしたメンタルを持つ。 更に、固有の魔法を1つ使える。アサシンの場合それは宝具となる。 アサシンは魔法少女としての技術・スキルは最高水準、かつ魔法も希少価値が高く戦闘や交渉・対魔法少女の駆け引きにも優れているため最高のAランクとなる。 そしてアサシンは魔法少女の状態で呼び出されているためこのスキルの発動は阻害できない。 収集癖(髪):A 髪の毛に対する性愛まで届かんほどの執着。 とりあえず目に付いた髪の毛は集めておくし、一度髪の毛を手に入れた相手からも何度も髪の毛を入手しようとする。 みずみずしい髪の毛、つやめいた髪の毛などが大好きで宝具越しにそれらを見ると入手したくてしょうがなくなることもしばしば。 特に魔法少女の髪の毛が大好物。 行動時に髪の毛についてのあれこれで行動を失敗する可能性が高くなる。 ただし、どれほど魅力的な人物・魅力的な髪の持ち主であったとしても死んでしまえば彼女/彼の髪への興味はなくなる。この点に関しては例外あり。 性癖由来のスキルであるため無効化不可能。無効化するとキャラ崩壊となる。 審美眼(髪):A 髪を見分ける力。 一度出会った人間ならば髪の毛を見誤ることはない。また、集めた髪の毛を見誤ることもない。 更に相手が髪に対して特殊な逸話を持つ人物であったならば、その髪を見ただけで真名までたどり着ける。 性癖由来のスキルであるため無効化不可能。無効化するとキャラ崩壊となる。 情報管理:A 情報を集め、それらを記憶しておくスキル。 宝具によって収集した情報のすべてを記憶する知能の持ち主。 更に人づてや本やテレビなどからの情報も決して忘れない。 戦略家:B 話術や策略といった舌戦・頭脳戦関係のスキルの複合スキルであり、それらすべてを高度に使いこなすことが可能。 彼女の交渉成功率は限りなく高く、作戦の成功率もまた高い。 相手の心理を完璧に読みきっての行動なども多く、挑発などにも一切応じない胆力を持つ。 ただし完璧というわけではない。不意を付かれれば失態を犯すし、不確定要素で失敗も起こす。 【宝具】 『水晶玉に好きな相手を映し出せるよ』 ランク:B 種別:対人 レンジ:99 最大捕捉:10 アサシンの暗殺者たる性能を裏付ける宝具。 発動には他者の髪が必要不可欠。 指に髪の毛を巻き付けて水晶玉にかざすことで手持ちの水晶玉にその髪の持ち主の姿を写すことができる。 それ単体で一切相手に感付かれない魔法の監視カメラであり、一方的に相手の動向を探ることが可能である。 同時に捕捉できるのは両手の指分の10人、かざす指を変えることでチャンネルを変えるように写す相手を変えられる。 また、巻きつける髪の毛を変えるというワンアクションを挟むことで捕捉する相手を切り替えられる。 更にアサシンは研鑽を積むことで水晶玉越しに相手に干渉すること・水晶玉から相手を引きずり出し、水晶玉の先へ自分を含む別のものを転送させる魔法へと進化させている。 この宝具の発動するには相手の髪をアサシンが入手している・相手の髪がアサシンの指に巻きつけることが可能であるという条件をクリアする必要がある。 髪の毛が短い、痛みが酷くちぎれやすい、ハゲみたいなもんなどの相手には通用しない。 ただし、髪の毛を持つ相手ならばNPC・マスター・サーヴァントの誰でもこの宝具の対象たりえる。 変身によって姿形が変わる相手や髪の毛入手後に散髪した相手なども髪の毛を持っていれば変身前・散髪前の髪を入手していれば永続的に把握が可能。 【weapon】 魔法の水晶玉。これを奪われるとアサシンは宝具を使用できなくなり立ち回りは一気に厳しくなる。 アルバム。すぐに使わない髪の毛は懐に入れずここに挟んでおく。あとで楽しむためには事前の準備が必要だ。 【人物背景】 完全変態☆スーパーヘア~アディクションな魔法少女。 魔法の国の住民ではなく現実世界で暮らす何の変哲もない魔法少女だった彼女。 その本質は狂信者。『完璧な魔法少女の誕生』という崇高な目標を掲げて、その目標のために自分自身を含めた全てを使い潰していく狂気の魔法少女。 一度は積み重ねてきた罪から次元の狭間に幽閉されるも、彼女の支持者によって次元の狭間から脱出。 その後紆余曲折あって魔法の国の影として暗躍を始めた。 お手つきの魔法少女は置いてきた。操作用のレイピアがアサシンの宝具と認識されなかったから連れてこれなかったらしい。 【マスター】 北上@艦隊これくしょん(ブラウザゲー版) 【マスターとしての願い】 世界の平和なんてほしくなかった。 【能力・技能】 甲標的を扱わせれば艦娘一。 ただし艤装は解体されている。 軍事知識は豊富。 一応深海棲艦との戦争においての最終生存艦なので運もいい。 銃火器の扱いは人並み。艦娘の銃火器と現実の銃火器は勝手が違うので彼女も特に取り扱いに長けているわけではない。 【人物背景】 北上様。 戦争終了及び艤装解体後から参戦。 彼女の世界線では大井が秘書官+全艦娘中唯一カッコカリしており、終戦後も提督の側に居ることになった。 北上様は大井とも提督とも仲が良かったが、二人の間に居づらくなって飛び出し、一人暮らしをはじめたというところで参戦。 曖昧な状態で三人で居るのが楽しかったのだということにようやく気付き、艦娘だったころに戻りたいと願っている。 ちなみに。 誤解があるかもしれないが、ブラゲ版の大井っちはカッコカリ後なら北上様も好きだが同時に提督ラブ勢(重量級)。 北上様の反応は提督に対しても大井っちに対してもほどほどに薄いが、そういう女の子なんだと思う。 【方針】 出来ることなら聖杯は欲しい。願いを叶えたい。 とりあえずアサシンにまかせておけばなんとかなるかとは思うが、それでも気持ちが良いものではない。 ただ、願いの代替案があるならそれでも構わない。 どちらにしろ、大井や提督と、あのほんわり幸せな日常を取り戻したい。 アサシンの立ち回りはいかにして他人の髪を集めるかにかかっている。 髪の毛を集めて、愛でて、口に含んで、楽しんで、そして聖杯戦争となる。 短髪のサーヴァント・マスターとは分が悪いとは言え、それ以外にはものすごく強い。 NPCすら武器に出来るという長所を利用できれば上手く立ち回れるだろう。
  <新宿>区内の安アパート。   ちりちりという小さな目覚まし時計の音で目を覚ます。   隣にはもう誰も居ない。薄っぺらいせんべい布団は、北上一人でいっぱいいっぱいな大きさ。   昔のことを忘れるためにわざとそういうのを用意したんだからしょうがないけど、やっぱり寂しいもんは寂しい。   一人ぼっちになってから何日が過ぎただろう。   いちいち数えるほどには未練がましいたちじゃない。   ただ、いつまでたっても晴れない心の曇り空が、今何日続いてて、あと何日続くのかなと少し嫌になるくらいはある。 「目が覚めましたか、マスター」 「んー。さめた」   北上がぽけーっと壁を眺めていたら、部屋の奥からアサシンが出てきた。   朝ご飯を作ってくれていたらしい。   髪の収集なんていう変態チックな趣味を持っているけどいいサーヴァントだ。   言うこと聞いてくれるし、料理も美味しい。髪の手入れとか手伝ってくれる。あと、結構いい匂いがする。   普通のサーヴァントじゃこうはいかない、というのはアサシン自身の言葉だった。   起きてぼさぼさになった髪にアサシンが丁寧に櫛を通していく。   恥ずかしながら北上は自分の髪の手入れが上手く出来ない。自分でやるとへたくそだからいつも他の人にやってもらっていた。   髪の手入れはだいたい大井がやってくれていた。二人で喋りながら、たまに鼻歌を歌いながら。   アサシンは何も言わずにやってくれる。ただ、髪を見る目がちょっと熱っぽいのは気になるけど。   ちゃきちゃき素早く髪を三つ編みに結うアサシンに尋ねる。 「今日、どっちだっけ」 「和食ですよ」   今日の朝ご飯は和食らしい。   ご飯を食べたら学校だ。   戦争が終わっても、忙しいのは変わらない。むしろ戦争中よりも今のほうが忙しい気もする。   結われた三つ編みと壁近くにかけてある制服を見て、ふと、ここに来る前の自分のことを思い出した。   思えば、遠くに来たものだ。 ☆北上   戦争が終わった。   海からの侵略者たちとの明けも暮れもの戦いが、終わった。   いつか終わるだろうとは思ってた。でも、思ってた以上に最後はあっさり訪れた。   四方八方手を尽くして敵の根城を発見し、そこにしこたま魚雷をぶちこんだらあっけなく終わった。   あっけなかった。人外との戦争には交渉も和睦もないから、どっちかの領域を徹底的に破壊しつくしたら終わり。そんなもんなんだろう。   世界中に広がっていた海はみるみる引いていって陸と海の対比が昔通りの3:7くらいに戻った。   暑い夏の日。8月15日。   深海棲艦と人類との戦争は、人類の完全勝利で幕を閉じた。   戦争が終わった。   そうなるともう、艦娘は必要ない。   各鎮守府の艦娘たちは艤装を解体して、意外とはやく日常生活に戻っていった。   ある子は田舎へ帰り学業を修めるといい、民間学校に編入している。   ある子は田舎へ帰り海水の被害にあった土地の復旧作業に従事してる。   ある子は手腕を買われ軍に残って海軍下士官として腕をふるっている。   ある子は特にやることもないので就職してOLとして働いている。   那珂ちゃんはお茶の間のアイドルになって世間を騒がせている。   妖精さんたちはどうなったかは詳しくは知らない。   この前自動販売機の中から出てくるのを見たから皆なにかしら働いてるんだろう。   仲のいい子とは文通やら電信やらを使いながら。   それほど仲が良くなかったことはそれきり。   散り散りばらばらになって、皆が皆思い思いの普通の女の子やっていく。   そこについては北上も一緒だった。   ぽけーっと普通の女の子になって泣いたり笑ったり抱き合ったりしてる艦娘たちを見ていたら、名前が呼ばれた。   艤装が解体される、魚雷が撃てなくなる。   まあしょうがない。戦争は終わったんだから。   球磨型の姉妹艦、姉の球磨と多磨は軍に残るらしい、妹の木曽は別の形で海に関わると言っていた。   それじゃあ北上はどうしよう。   未来の展望がまるでない。まぁ、大井と離れる姿だけは予想がつかなかったけど。   二人で田舎に引っ込んで……いや、提督と三人で田舎に引っ込んでのんびり暮らそうか。   そこまで考えてようやくああ、戦争が終わったんだなぁと実感を得た。   これからは女の子に戻って海とは無関係な暮らしをしていくんだろうなぁと思うと、不思議な気持ちになった。   艦娘数十人分の艤装を解体するとなれば数日かかる。   北上の日程は最終日、それも最後から二番目だった。   北上が艤装の解体が終わる頃には鎮守府に艦娘はほとんど居なくなっていた。   残った子たちももう涙を拭い、新しい未来への進路を定めている。   うむうむいいことだと頷きながらぷらぷらと人がめっきり少なくなった鎮守府を歩いて、司令室にたどり着く。   ドアを開けると、そこはもう見慣れた司令室ではなかった。   木張りの床、質素な壁、窓に映っている景色さえ変わっている。   なんだかまるで、別の場所だ。   司令室はいつだってたまり場だった。   北上と、大井と、提督で、くだらない話をしてどうでもいいことをして過ごしたもんだ。   司令室にバーカウンターを置いてお酒を飲んだことがあった。大井がおいおい泣きながら提督の頭に焼酎をかけて謹慎されたことがある。   司令室にお風呂を用意して半身浴をしたことがあった。汗だくになったあとで飲んだフルーツ牛乳が美味しかった。   司令室にキッチンカウンターを置いて三人でチョコを作ったこともあった。あえて提督に渡さず妖精さんに撒いたら提督が泣いていた。   司令室に布団を敷いて寝ていたら、まさか布団が入り口近くに敷いてあるとは思わず入ってきた大淀に踏みつけられたこともあった。あれは痛かったなあとくすくす笑っていたら、司令室のドアを誰かがノックした。   扉が開く。   そこには、大井と提督が立っていた。 「見てよこれ。あたしが刻んだハイパー北上様参上の文字、消されててさ」   大井と提督が笑う。   見れば、全艦娘で一番最後だった大井の艤装の解体も終わっていた。   ただ、提督から大井に、全艦娘内で唯一支給されたアクセサリーの回収はされていなかった。大井の左手の薬指が、きらきら光っている。   そっか、と思い至る。この二人、ケッコンカッコカリがようやく仮じゃなくなったんだ。   特に感慨はない。この二人はいつかそうなるんだろうなぁと思ってた。 「なになに、隅に置けないじゃん。あたしはのけもの?」   脇腹をつついてやると、二人は幸せそうに笑った。お互いの顔を見合わせて、とても幸せそうに笑った。   でも、そこではたと気づいた。   それまではなかったものがある。   北上と二人の間には壁がある。   二人は変わらず接してくれてたけど、薄い皮膜のような何かが、確かに北上には見えた。 「じゃあ……まあ、お幸せにね。ないとは思うけど、浮気とかしたら怖いよ」   なんとなく居心地が悪かった。   あれだけずっと一緒に居たのに、もう一緒に居られないと思ってしまった。   分かってしまった。   もう、三人ではなく、二人と一人なんだと。   それからほどなくして、北上は大井たちと別れた。   大井は今生の別れのようにわんわん泣いてたけど、その涙も、なんだかあたたかみを感じなかった。   実際はそんなことはないだろうけど。でも、北上がそう思ってしまうのは、たぶん、どうしようもないことなんだと思う。   だって、カッコカリではなくなった二人の間に入る余地なんて見当たらないから、逃げ出すように離れるしかないと思った。   自覚はなかったけど、北上はきっと凄く我儘なんだろうと振り返って思う。   泣きわめく大井に頭を下げて、提督に大井を任せて、北上は走った。   その時、あまり感情を表に出さない北上も、もしかしたら初めて人前で泣いていたかもしれない。   行く宛がなかったので、とりあえず手間取らず、そして仮拠点として安く住める場所を見つけて移住した。   透き通った青色の鍵の家だった。   交通の便はよくない。ゴミ捨て場からもちょっと遠い。   建ってから結構な年月が立っているらしく、階段は踏むたびに軋んでぱらぱらと錆びた鉄くずを撒いた。   鍵で戸を開け部屋にはいると、それなりにい草の匂いが香った。   ガラス越しの光を受けて、塵か何かが輝いている。   入ってまっすぐ窓の鍵を開け、空気の入れ替えがてら錆びかけのアルミ窓を開け放つ。   当然、磯の香りとか潮風とか、そういう海っぽい感じはしない。   見える景色は陸ばかり。ああ、つまらない世界に来てしまったなあと思って鍵を放り投げる。   天井に当たる音がした。畳の上に落ちる音は聞こえない。   もしかして天井に刺さったかなと思って振り返ると、そこには占い師風の格好をした女の人が立っていた。 「お初にお目にかかります。私はアサシン。此度の聖杯戦争におけるあなたのパートナーを務めさせて頂くサーヴァントです」   聖杯戦争。聞きなれない単語だ。   どういうものなのと聞くと、懇切丁寧に説明してくれた。   大方の事情を理解して頷くと、アサシンが本題に移った。 「それでマスター、あなたはなにか願いが?」 「え?」 「ええ。なにか願いがあったから、聖杯戦争の舞台である<新宿>に呼び出されたのだと思いますが」 「願い……願い、か」   願い。   言われてはたと気付く。   そうか。あの時。薄い皮膜を見たあの瞬間、北上の心に去来したものは『願い』だったのだ。   願いの形は見えている。   大井の涙にあたたたみを感じられなかったあの違和感が、たぶんそのまま、北上の願いだろう。   でも、なんと言っていいかわからない。言葉が見つからない。   あれや、これやと考えて、ようやくわかりやすい言葉が浮かぶ。 「……アサシン、あたしさ」   口に出すのが少しだけ恐ろしかった。   遠くに聞こえた蝉の鳴き声がやんだ気がした。 「よくわかんないけど、たぶん、世界が平和になってほしくなかったんだと思う」   遠くで猫がにゃあと鳴いた。運命の羅針盤が回る音が聞こえた気がした。   深海棲艦との戦争中は、とても楽しかった。   北上はきっと、心の何処かでそれがいつまでも続いてくれることを望んでいた。   提督が居て。   大井が居て。   北上が居て。   あとまあ魚雷が撃てればそれでおっけー。問題なし。   戦いに終わりはなくて。   でも、安心できる場所があって。   いつまで続くか分からない戦いを毎日毎日続けていき、いつまでも続けていたい安息を毎日毎日暮らしていく。   戦争も。   関係も。   全部がカッコカリのまま、三人揃っておじいちゃんおばあちゃんになるまで楽しい毎日を続けていく。   世界に平和が訪れた今、北上はたぶん誰よりも強く、心の底からこう願っている。   軽巡洋艦・重雷装巡洋艦としてもう一度生きたい。   北上某なんて名前じゃなく、艦娘北上として。   提督と、大井と、三人で。   すべてがカッコカリのままの、もうもどれないあの日のままで。   もう一度深海棲艦と戦いたいと。   もう一度だけ、あの日に戻りたいと。 「とても不思議な願いです」   アサシンは目を閉じて、ゆっくりと答えた。   そうしていると、衣装も相まって本物の占い師みたいに見えてくる。 「でも、分かりますよ。守りたかったものがあったんでしょうね」   アサシンは見透かしたような言葉がよく似合う人だった。   どんな時も朗らかに笑っていたし、身のこなしも立派だ。   度量が大きいのか、北上のけったいな願いを聞いても一言も口を挟まなかった。   いや、一言もじゃないか。アサシンは北上の言葉を聞いて的外れに一言こう言った。 「あなたは、きっといい魔法少女になれたと思います。今の私に魔法少女を選ぶ権限がないのが非常に残念です」   冗談めいた言葉。だが同時にどこか不思議と真実味を感じさせる言葉だった。   アサシンが笑う。その笑顔はどこまでも朗らかで、世界をもう一度海の底に沈めようとする相棒としてはいささか眩しすぎる気がした。   不思議な人だ。でも、なんとなく信頼できる。   それがアサシンとの出会い。北上の聖杯戦争の始まりの記憶。 ☆ アサシン   今思い返しても、素晴らしい願いだと思う。   鬱屈した感情。世界を変えたいという強い願い。我儘を肯定できる傲慢さ。そして心の強さ。   アサシンの理想の要素を兼ね備えた少女の願いを聞いて、興奮しないわけがない。   願いを聞いた瞬間、アサシンが心の底からの笑みでその願いを受け止めたのは言うまでもないだろう。   思い出しての興奮冷めやらぬ内に北上の髪を口に含む。   普段はテイスティングまではしないのだが、マスターとサーヴァントは一心同体なので髪の毛くらいいつでも手に入るから今回は我慢する必要がない。   少し潮の匂いがする。海軍のような機関で働いていた、と言っていたからその時の名残だろう。   でも海の潮風に負けて傷んだりはしていない。むしろ荒波に負けないほどの力強さが篭っている。   本人に髪のことを尋ねると、大井っちが毎朝やってくれてたと答えていた。   この艶、このハリ、この味、このキューティクル。よほどその『大井っち』という人が手入れに熱心だったんだろう。   この美しさの価値がわかる人物が居て、その美しさを誰かに伝えるためにその人物が尽力したということがわかると一層うれしくなる。   『大井っち』。   北上の原動力の一端であり、北上の髪の理解者。   アサシンは声に出さず胸の内でお礼を言って、口の中の髪の毛を優しく布巾で拭いて懐紙に包んだ。   懐紙を袖口にしまい、代わりに別の懐紙を取り出してその中空数本の髪の毛を取り出し順番に指に巻いていく。   髪を巻いた指を水晶玉にかざすと、水晶玉に髪の持ち主の姿が映った。   指を入れ替える。チャンネルが変わるように映っている人物が切り替わる。   感度良好。制限も加えられていない。   これなら、アサシンは自分を見失わずに戦い続けることが出来る。   アサシンらしく、慎重に、時には大胆に、冷静に、時には情熱的に、敵の、味方の、自分自身の未来を水晶玉に委ねられる。   トイレに行っていた北上が帰ってきて、水晶玉を覗き込み感嘆の声をあげる。   内緒ですよ、と口に指を当てて言うと気の抜けたような笑顔を返してくれた。   そんな笑顔が、愛おしくてたまらない。   微笑み返して水晶玉に再度向き直る。   北上は、学校に行くと言って家から出た。   チャンネルを切り替えて北上を移す。アサシン渾身の三つ編みを揺らしてかけていく愛しいマスターの姿がそこにはあった。   アサシンの方針は決まっている。   愛おしいマスターのために持ちうる限りの力を尽くす。   ついでに色々な髪の毛を拝借して楽しむ。英霊たちの髪の毛は、それはもう、口舌尽きない程のものばかりだろう。   そしてあわよくば、自分の願いを叶える足がかりにする。これはライフワークであるため聖杯で叶わなくても大丈夫。   楽しみと、趣味と、淡い願望が同居した物語。   夢と、希望と、剣と、魔法と、逃走と、闘争と、救済と、暗躍に満ちた物語。それが聖杯戦争だ。   その先に何が待つとしても、結末がどこへ向かおうとも、アサシンにとって素晴らしい物語であることには変わりない。   それでは、素晴らしい物語の幕を開けよう。   アサシン―――ピティ・フレデリカはそんな素晴らしい物語の紡ぎ手としてここにいる。 ---- 【クラス】 アサシン 【真名】 ピティ・フレデリカ@魔法少女育成計画JOKERS 【パラメーター】 筋力:C 耐久:C 敏捷:C 魔力:B 幸運:A 宝具:B 【属性】 混沌・中庸 【クラススキル】 気配遮断:E 自身の気配を消すスキル。 アサシンは宝具の性質上本体が気配を消す必要が無いため気配遮断のランクがすこぶる低い。 E程度ならば他人の部屋を物色していても発見されるまでは気配を感付かれない程度。 【保有スキル】 魔法少女:A 魔法少女である。ランクが高いほど高水準の魔法少女となる。 魔法少女は人間離れした戦闘能力と視覚聴覚を得、排泄や食事などの新陳代謝行為を一切行わなくて良くなる。 また、疲労の蓄積する速度が人間よりも遥かに遅く、長期の不眠不休にも耐えられるスタミナと常人離れしたメンタルを持つ。 更に、固有の魔法を1つ使える。アサシンの場合それは宝具となる。 アサシンは魔法少女としての技術・スキルは最高水準、かつ魔法も希少価値が高く戦闘や交渉・対魔法少女の駆け引きにも優れているため最高のAランクとなる。 そしてアサシンは魔法少女の状態で呼び出されているためこのスキルの発動は阻害できない。 収集癖(髪):A 髪の毛に対する性愛まで届かんほどの執着。 とりあえず目に付いた髪の毛は集めておくし、一度髪の毛を手に入れた相手からも何度も髪の毛を入手しようとする。 みずみずしい髪の毛、つやめいた髪の毛などが大好きで宝具越しにそれらを見ると入手したくてしょうがなくなることもしばしば。 特に魔法少女の髪の毛が大好物。 行動時に髪の毛についてのあれこれで行動を失敗する可能性が高くなる。 ただし、どれほど魅力的な人物・魅力的な髪の持ち主であったとしても死んでしまえば彼女/彼の髪への興味はなくなる。この点に関しては例外あり。 性癖由来のスキルであるため無効化不可能。無効化するとキャラ崩壊となる。 審美眼(髪):A 髪を見分ける力。 一度出会った人間ならば髪の毛を見誤ることはない。また、集めた髪の毛を見誤ることもない。 更に相手が髪に対して特殊な逸話を持つ人物であったならば、その髪を見ただけで真名までたどり着ける。 性癖由来のスキルであるため無効化不可能。無効化するとキャラ崩壊となる。 情報管理:A 情報を集め、それらを記憶しておくスキル。 宝具によって収集した情報のすべてを記憶する知能の持ち主。 更に人づてや本やテレビなどからの情報も決して忘れない。 戦略家:B 話術や策略といった舌戦・頭脳戦関係のスキルの複合スキルであり、それらすべてを高度に使いこなすことが可能。 彼女の交渉成功率は限りなく高く、作戦の成功率もまた高い。 相手の心理を完璧に読みきっての行動なども多く、挑発などにも一切応じない胆力を持つ。 ただし完璧というわけではない。不意を付かれれば失態を犯すし、不確定要素で失敗も起こす。 【宝具】 『水晶玉に好きな相手を映し出せるよ』 ランク:B 種別:対人 レンジ:99 最大捕捉:10 アサシンの暗殺者たる性能を裏付ける宝具。 発動には他者の髪が必要不可欠。 指に髪の毛を巻き付けて水晶玉にかざすことで手持ちの水晶玉にその髪の持ち主の姿を写すことができる。 それ単体で一切相手に感付かれない魔法の監視カメラであり、一方的に相手の動向を探ることが可能である。 同時に捕捉できるのは両手の指分の10人、かざす指を変えることでチャンネルを変えるように写す相手を変えられる。 また、巻きつける髪の毛を変えるというワンアクションを挟むことで捕捉する相手を切り替えられる。 更にアサシンは研鑽を積むことで水晶玉越しに相手に干渉すること・水晶玉から相手を引きずり出し、水晶玉の先へ自分を含む別のものを転送させる魔法へと進化させている。 この宝具の発動するには相手の髪をアサシンが入手している・相手の髪がアサシンの指に巻きつけることが可能であるという条件をクリアする必要がある。 髪の毛が短い、痛みが酷くちぎれやすい、ハゲみたいなもんなどの相手には通用しない。 ただし、髪の毛を持つ相手ならばNPC・マスター・サーヴァントの誰でもこの宝具の対象たりえる。 変身によって姿形が変わる相手や髪の毛入手後に散髪した相手なども髪の毛を持っていれば変身前・散髪前の髪を入手していれば永続的に把握が可能。 【weapon】 魔法の水晶玉。これを奪われるとアサシンは宝具を使用できなくなり立ち回りは一気に厳しくなる。 アルバム。すぐに使わない髪の毛は懐に入れずここに挟んでおく。あとで楽しむためには事前の準備が必要だ。 【人物背景】 完全変態☆スーパーヘア~アディクションな魔法少女。 魔法の国の住民ではなく現実世界で暮らす何の変哲もない魔法少女だった彼女。 その本質は狂信者。『完璧な魔法少女の誕生』という崇高な目標を掲げて、その目標のために自分自身を含めた全てを使い潰していく狂気の魔法少女。 一度は積み重ねてきた罪から次元の狭間に幽閉されるも、彼女の支持者によって次元の狭間から脱出。 その後紆余曲折あって魔法の国の影として暗躍を始めた。 お手つきの魔法少女は置いてきた。操作用のレイピアがアサシンの宝具と認識されなかったから連れてこれなかったらしい。 【マスター】 北上@艦隊これくしょん(ブラウザゲー版) 【マスターとしての願い】 世界の平和なんてほしくなかった。 【能力・技能】 甲標的を扱わせれば艦娘一。 ただし艤装は解体されている。 軍事知識は豊富。 一応深海棲艦との戦争においての最終生存艦なので運もいい。 銃火器の扱いは人並み。艦娘の銃火器と現実の銃火器は勝手が違うので彼女も特に取り扱いに長けているわけではない。 【人物背景】 北上様。 戦争終了及び艤装解体後から参戦。 彼女の世界線では大井が秘書官+全艦娘中唯一カッコカリしており、終戦後も提督の側に居ることになった。 北上様は大井とも提督とも仲が良かったが、二人の間に居づらくなって飛び出し、一人暮らしをはじめたというところで参戦。 曖昧な状態で三人で居るのが楽しかったのだということにようやく気付き、艦娘だったころに戻りたいと願っている。 ちなみに。 誤解があるかもしれないが、ブラゲ版の大井っちはカッコカリ後なら北上様も好きだが同時に提督ラブ勢(重量級)。 北上様の反応は提督に対しても大井っちに対してもほどほどに薄いが、そういう女の子なんだと思う。 【方針】 出来ることなら聖杯は欲しい。願いを叶えたい。 とりあえずアサシンにまかせておけばなんとかなるかとは思うが、それでも気持ちが良いものではない。 ただ、願いの代替案があるならそれでも構わない。 どちらにしろ、大井や提督と、あのほんわり幸せな日常を取り戻したい。 アサシンの立ち回りはいかにして他人の髪を集めるかにかかっている。 髪の毛を集めて、愛でて、口に含んで、楽しんで、そして聖杯戦争となる。 短髪のサーヴァント・マスターとは分が悪いとは言え、それ以外にはものすごく強い。 NPCすら武器に出来るという長所を利用できれば上手く立ち回れるだろう。 **時系列順 Back:[[伊織順平&ライダー]] Next:[[英純恋子&アサシン]] **投下順 Back:[[伊織順平&ライダー]] Next:[[英純恋子&アサシン]] |CENTER:Character name|CENTER:Next→| |CENTER:北上|[[全ての人の魂の夜想曲]]| |CENTER:アサシン(ピティ・フレデリカ)|~| ----

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