あの日、全てが変わった。
燃えてゆく思い出と愛。
周りは私を蔑んだ。
「疫病神」って。

だから私は見限った、世界を、私から大切なものを奪った全てを。
そう、この残酷で吐き気のする世界を。

そんな私を、古びた懐中時計が、導いた。


都内某所。
高校から、一人の少女が出てくる。
周りの波に合わせながら、緑の髪を靡かせ歩いていく。
そんな彼女の周りを、他のものは彼女の噂で囲んでいた。

「ねぇ…あの子…」
「たしか、富豪の子で」
「海外の人らしいよ、確か名前は…」
「カリス、カリス・ヴォロ・スライベイスラト、覚えづらい名前ね…」
「いつも一人でいるらしいよ…」
「寂しく無いのかしら…」

そんな群衆に、カリスは冷徹な視点で返す。
「…くだらない」
その少女は、噂を意図に返さず、見下し、帰っていった。


「…ほんと最悪」
カリスはまたしても学校から出てきた。
理由はただ一つ、忘れ物をした。
理由は不明、よくわからず、そんなヘマをした。

「…さっさと帰ろ…」
校門を抜けたその時だった。
道の真ん中に、一人の男が立っている。

(なに…?新手の不審者…でも…そんな情報は…)
そんな事を考えてる隙に、男が先に声を張り上げた。
「不用心な奴だ!下劣な女の癖して…」
なんの理由もなく差別してくる存在を、カリスは悟った。
「…敵マスター?面倒くさいんだけど…」
「言ってくれるな凡骨…俺のサーヴァントを見て、その威勢はまだ崩れないかな?やれ!ランサー!」
細身の男が、魔術師の横に現れる。
その長槍には乾ききってない血がついており、なんにもの手術を葬り去っていたことが知れる。

「…」
「どうした?驚いて声も出ぬか?三騎士を眼の前にして、臆しなかった事は評価してやろう!だが貴様はここで、血を散らすのだ!」
ランサーがクラウチングスタートの体勢になり、土をける。
そして少女の喉先へと――

魔術師がなんの警戒もなく、カリスにランサーを突撃させたのは理由があった。
一、所詮は魔術の知識のない凡骨な女、魔術回路も最低であり、碌なものではないと判断したから。
二、サーヴァント出していない、理由はキャスタークラスかなんかを召喚したからだろうと、短慮した。
三、ランサーは優秀、絶対に勝てるという自信があった。

以上を踏まえて、魔術師は勝ちを確信し、槍を振り上げさせた――その代償が、死で償われることを知らずに。

「な…」
ランサーの眼の前に現れた、甲冑姿の偉丈夫。
黒ひげを蓄え、大太刀で剛槍を防ぎ、黒衣の鎧を着こなす姿は、まさに中世日本の戦士「サムライ」

「たっく…少しは頼れよマスター…」
「…今回ばかりは、認める」
カリスとそのサーヴァントは、攻めてきたサーヴァントを意に返さず、話し合う。
魔術師は己の短慮を後悔した。
その武装――それが示すのものはまさに――

「なぜ…なぜ貴様ごときにセイバーのサーヴァントが!」
「…引き運でしょ?」
最優、セイバー。
大太刀から、それがすぐに分かった。

「…すぐ済ませよう、セイバー」
「あいよ」
素早く大太刀を振り下ろす、ランサーの取り柄は俊敏だ、もちろんそれに槍捌きも含まれる。
しかし、仰け反った。
強い、力が強すぎる。
そして、正確で早い。
もちろん立て直すも、防戦一方、一撃さえ入れられない。
「どうした?西洋の槍兵さんよ!もう終わりか!?」

ランサーも意地がある、あんな下劣なマスターに従ってた己を恥じ、眼の前のセイバーとの戦闘を全力で楽しみたかった。
一つ笑みを浮かべ、攻めの態勢を伺う。
そして一方は――

「く、来るな!」
「先にやってきたのはあんたでしょ」
表情を変えずに、カリスは迫る。
魔術師は自身が一瞬にして崩れ去っていくのを体感した。
逃げの、逃げの一手を打つことを模索する。
これしかないと目をやるのは令呪。

「令呪を持って命ずる!俺を守――」
言い切る前に、男の令呪の腕を、カリスは斬った。
それは手のひらから出た、剣、正真正銘、貫通して出てきている。

「これ、痛いから使いたく無いんだけど」
「ヒィィィィィ!」
傲慢な魔術師は、自身の才能すら忘れて、のたうち回る。
そんな男を、カリスは見下す。
そして、冷徹な視線と共に、不気味な笑みを浮かべる。

「じゃあ、死のうか」
喉仏を貫いたのは、ランサーの槍ではなく、カリスの剣であった。


「…終わり?」
「おうよ、悪くねぇ奴だった、こんなクズ以外なら、最も活躍できたであろうよ」
戦闘を終えたセイバーがこちらに近づく。
すでにランサーは息絶えて、消えていた。
しかし、口ぶりからして、満足いって死んだことは目に見えていた。

「で、こいつはどうすんだ?」
「…地獄の轟炎よ、敵を炎で嬲りたまえ、灼熱地獄(エストニス・インフェルニ)」
カリスは何かを詠唱した次の瞬間、魔術師が炎に包まれた。

「これで、おしまい」
「…えげつねぇな、まぁ、俺もやってきたことは変わんねぇんだねどよ」
セイバーを髭をいじりながらそう語る。
カリスは燃え尽きたのを見届けて、速歩きになる。

「…帰るよ」
「はいよ」
少女の後ろを偉丈夫が歩く。
聖杯という、呪いの奇跡に巻き込まれた少女とともに。


――だから私は拒絶した世界を。

――呼ばれて目の前に現れたのは、最優のクラスを冠した男。

――歴史の敗者(ルーザー)、長宗我部盛親。

――ほとんどの戦に勝てず、家を潰した男。

――私と同じ、運命に弄ばれた男。

――ねぇ、だから、会いたよ。

――ママ…パパ…
サーヴァント
【クラス】セイバー
【真名】長宗我部盛親
【属性】混沌・中庸
【ステータス】
筋力C 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運D 宝具B
【クラススキル】

対魔力:C
 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:C
 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、
 野獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】

勇猛:A
 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

戦闘続行:A+
 往生際が悪い。
 霊核が破壊された後でも、最大5ターンは戦闘行為を可能とする。


邪魔者:A
デメリットスキル。
セイバーが何処かへ行く際、高確率で何かしらの妨害が発生する。
関ヶ原の戦いにて、吉川軍にとうせんぼされ、肝心の戦いに出向けなかったことに由来する宝具。

【宝具】
『一領具足(いちりょうぐそく)』
ランク:D- 種別:対軍宝具 レンジ:―― 最大捕捉:――
長宗我部氏特有の制度。
法螺の吹く音が聞こえれば、すぐさま仕事を引っ張り出し、戦場へと向かう。
具足が一領しかないためこう言われた。
その場に馬に乗った「単独行動:E」を持つ騎馬兵を召喚する。

父元親などと違い、しっかりと使った逸話がないために、ランクはダウンしている。

『釣り野伏せ(つりのぶせ)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:3000人
セイバー最後の戦い、大阪夏の陣にて使った戦法が宝具かしたもの。
宝具の名称自体は正式なものではなく、限りなく近い島津軍の戦法名があてがわれた。

「一領具足(いちりょうぐそく)」とは別の足軽を召喚(足軽は「単独行動:E」を習得した状態で召喚される)、セイバー共々一時的に「気配遮断:A」を付与。
対象が接近した際、伏せていた場所から敵に対して奇襲をかける。

【weapon】
身の丈ほどある大太刀
【人物背景】
長宗我部元親の四男。
本来の継承者である信親が死亡したため、家臣たちの反対を押し切り後継者に指名させられる。

関ヶ原の戦いの際には西軍に寄与。
関ヶ原本戦にも出向くも、吉川軍に妨害され、ろくに戦えず撤退する。
戦争後は徳川家康に取りなし御堪忍分を与えられようとするも、反故にさせられる。
その後は京都で寺子屋を開いていたが、豊臣側からの誘いを受け、大坂の陣に参戦する。

冬の陣・夏の陣両方において活躍するも、敗北。
最後は処刑された。
【外見・性格】
黒髭を蓄えた偉丈夫。
常に黒色の鎧を身にまとっている。

粗暴だが寺子屋をやってたこともあり頭は悪くなく、また部下や子どもの面倒みもいい。
【身長・体重】
177cm 78kg
【聖杯への願い】
長宗我部家の再興
【マスターへの態度】 
心底ガキのくせしてそれぽくないマスター。
少しは頼れってんだ。

マスター
【名前】カリス・ヴォロ・スライベイスラト/Karis Volo Slaibeysurat
【性別】女
【年齢】16歳
【属性】混沌・中庸
【外見・性格】
緑色のセミロング、白色の肌、黄色のハイライトを持つ。
服装は白のセーラー服と黒のスカート、下半身を覆うタイツ。

性格は退廃的、過去の経験からこの世の全てを意味のないものだと解釈している。
何が起きても冷徹な少女。
しかし、その裏には、家族への情愛を抱えている。
【身長・体重】
168cm 体重47kg
【魔術回路・特性】
質:C 量:C
特性:変質
ゴミ捨て場に捨ててあった懐中時計を拾い招かれた。
もともと魔術師の家系ではなかっただが、潜在能力は高かったのであろう。
【魔術・異能】
三獣変質(アニマルズ・イミテーション)
呪文を詠唱し、獣に変貌する魔術
巨躯の大鷲、砂場の暗殺者の大サソリ、海岸の支配者のトド、いずれかに変化する、上記の動物を思い浮かべて変化する。
詠唱の文言は
「我、獣に変化す」
灼熱地獄(エストニス・インフェルニ)
相手を燃やす魔術、威力は弱いが持続性が強く、相手をじわじわ苦しめる事に特化している。
彼女の魔術の性質とは違うが、本人曰く
「私の過去でも覗いて習得させたんでしょ、ほんと悪趣味」らしい
詠唱の文言は
「地獄の轟炎よ、敵を炎で嬲りたまえ」
骨剣(オース・グラディオ)
腕もしくは足の骨を鉄の剣へと変化させる。
肘、膝、指先、太腿、上記の範疇ならどこでも剣を出現させられる。
剣が壊されると生成した場所の骨の修復は不可。
また、発動及び解除の際には、反動のダメージが入る(痛みとしては骨折と同じ痛み)
詠唱の文言は
「我が体よ、苦痛を代償として、敵を貫け」
【備考・設定】
イギリス生まれ、魔術のなんの拘りの無い家系である。
元々は活発であり、看護師を夢見ていた。
13歳のある日、家が強盗に燃やされ自身を除く家族を全員失う。
彼女だけを生き残った真実を、周りは疫病神と蔑み、今の彼女の性格へと繋がった。
身寄りのない彼女は、孤児院に入ることを拒み、ゴミなどを漁りながら各地を点々としていく。
そんな中、いつも通りゴミ箱を漁っていると、見つけたのは懐中時計。
そこからこの世界へと呼ばれた。

ロールは海外の大富豪の娘、偽りの家族の出資を受けて、東京で一人暮らし中。
【聖杯への願い】
もう一度、家族と幸せに暮らす。
【サーヴァントへの態度】
やかましい男、けど、剣としては優秀。
そして、私と同じ、運命に弄ばれた者。

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最終更新:2024年06月12日 00:29