ぼくは、ニックと呼ぼうか。
さて、どうすっかな、と俺は独り言ちる。
俺?俺はまぁ、普通の人だ。そこら辺にいるフリーターだし他の人間と何一つ変わらない喫煙者だ。
ついでに落ちて居た懐中時計をセ〇ンドストリートに持って行ったら金になるかな、と思って拾った哀れな被害者だ。
そんな訳で、俺は今出現したサーヴァントとかいう奴と共にラーメンライスを注文した。
「何かな、これは」そう奴…20歳ぐらいのアメリカ系の青年は言ったが、俺は「日本は初めてか?」と言って飯を啜った。
「名前は?」「…ニック・アダムス」「歳は?」「サーヴァントだから関係ないよ」「そか、飯冷めるぞ」
二人してラーメンを啜っている間に、俺はニックから今の状況を訊いた。
一つ。これは聖杯戦争という殺し合い…戦争だということ。
二つ。自分はマスターで、ニックは召喚された隷者…サーヴァント、という人物ということ。
三つ。俺とニックにはそれぞれ異能が備わっている、ということ。
公園に行って魔術とやらの使い方を教わろうとしたが、俺は魔術だの回路だの言われても何も分からなかった。
だけど、「休憩すっか」と自販機に触れた瞬間に、それは起こった。
突如意識が飛び、火花が散る。…意識を取り戻して、我に返った時に見たのは、取り出し口から山ほど飛び出たジュース缶だった。
これが俺の魔術か、と俺は呟いた。「触れた機器を操る」…それが俺に与えられたギフトだった。
…スマホに触れ意識を集中させてみたが、確かに触れてるだけで、操作しなくても弄れる。…それどころか、俺を映している監視カメラの映像とか俺が見ようとしたアニメの公式サイトの管理システム画面とかが『直に瞳ごしに視える』。
「…まじか」と俺は言った。パスワードなどセキュリティがかけられているページ等もスマホに触れてれば瞳に『念写』できるので、成程使い勝手がいい。機械やネットワークに関わることなら大抵のことはアクセスして操作できるようだった。
便利だ、と感じた。この魔術を使って俺は早速…
パチ屋に行って店員にバレない程度に玉を出していた。「…マスター、何をしているんだい?」「…いや、まぁ夢っちゃあ夢だったんで」
山ほどの景品と現金に交換してから、俺達は再び公園で景品菓子を食いながら打ち合わせをする。
「…ニック、聖杯に叶えたい願いについてだが」
「…うん」
「もう叶えた」
「…は?」
「…は?」
「これがありゃ食うのには困らねぇだろ。ならこれ以上はいらねぇ」
「……。」
「…となると生き残って家に帰らねぇといけねぇ訳だが…最悪軍隊の兵器をぺしゃんこにする連中とか神様とかが相手になる訳だろ?」
「…うん、そうだね」
「…で、お前の武器はさっき見せてもらったビンテージ物の鉄砲とか拳銃とか手榴弾な訳だ」
「…うん」
「無理だと思う」
「…ごめんね」「…いやいいけどさ。」俺は頭を掻く。確かに生き残れる気がしないというのが本音だ。
俺は移動してコンビニの前に座り、煙草を吸いながら考える。こうしている間にも最後の一本になるかもしれねぇ、と思いながら。
「…でもさ、何か助けてやれる事はできねぇかな」
「…助ける、とはどういう事かな」
「いや、まぁ、何か……俺、確かにやりたい事ないし、金だけありゃそれでいい、とは思ってるんだけどさ」…俺は一息ついて、言った。
「俺の人生、本当にこれでいいのかな、って……上京した時から思ってたんだよな」
「……そうか。」
「…何かやりたい、って思っても、何したらいいか分かんねぇし……なら、今、苦しんでる奴に何かできねぇかな……とかは思ってるのよ。」
「…ふむ」
「だからさ、ま……生き残るのは無理そうでも」何かやってみたいのよ、俺は。
そう言って、俺は奴の返事を待った。
「…コウスケと言ったね。君は死ぬのが怖くないのか?」
「…いや、まぁ成るべくなら死にたくないよ?…でも、どうしようもない状況になったら笑うしかねぇだろ。それと同じだ」
「…そうか。君は負けたくないのかもしれないね」なら…君がやりたい事を見つけるまで、せめて私が銃になろう。そう奴は言った。
「…じゃ、まず徒党を組める相手を探さねぇとな。…俺ので探せるだけ探してみる。」
てかお前、キャラ変わってね、と俺は言ったが、奴は平然として、「…ニックは"私"の小説での名前だ。…私の名前は」
そうして、奴は名前を告げていった。
【クラス】
キャスター
【真名】
アーネスト・ヘミングウェイ(ニック・アダムス)
【属性】
混沌・中庸
【ステータス】
筋力D 耐久D 敏捷E 魔力C 幸運E 宝具C
【クラススキル】
陣地作成:D
キャスターのクラススキル。魔術師として、自身に有利な陣地を作り上げる。
ヘミングウェイの場合は、『~とはこうあるものだ』という存在や認識を強化(自らが語る事によって現実や存在認知を編集)する事ができる。
【保有スキル】
人間観察:EX
人々を観察し、理解する技術がスキル化したもの。
彼の場合は、著書にあるように(青年期である事も踏まえて)「人間の奥底にある勇気」を観ることによってその地位が成り立っている事も多々あり、
それを引き出す力と彼の"語り継ぐ力"と組み合わさればその存在はとても強固なものになるだろう。
高速詠唱:B
魔術の詠唱を高速化するスキル。本来は詠唱速度のスキルだが作家なので執筆速度のスキルに置き換わっている。
生前膨大な数の作品、テキスト量を遺していることもあり、その能力は強大。
人間賛歌:A
近年によってそう解釈され、知名度を残した概念。人間観察のスキルが昇華されたもの、その極地とも言える。
『人間は負けるようには造られていない』とヘミングウェイが語った言葉の効力によるもので、ヘミングウェイが語る事によって「その人間の可能性」を引き出すことができる。
【宝具】
【われらの時代(In Our time)】
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
カルカノM1891から放たれた弾丸の、『撃ち込んだ相手の状況(リアリティ)を書き換える』ことができる。
"相手"は生物・無生物問わず有効であり、偶然の操作なども可能。
その他、以下の制約がある。
- 書き換えられる状況は簡潔な"一文のみ"でなければならない。
- 余りにも現実的に不自然(とニックが判断した)描写は実現不可能。
ただし、"ヘミングウェイの物語"として成立する、と判断した場合はその限りではない。
【weapon】
第一次世界大戦のイタリア軍の武装一式(M1891小銃、ベレッタ、手榴弾、スコップ等)
【人物背景】
20世紀を代表する文豪。人間の奥底の勇気を描いた小説『老人と海』が有名。
1961年没。
【外見・性格】
黒髪の青年。従軍の経験からか第一次世界大戦時のイタリア軍の武装を使用する。
性格は小説で描かれた自身の分身である『ニック』と老人口調の『ヘミングウェイ』の二つの性格に分かれている。
【身長・体重】
183cm・85kg
【聖杯への願い】
特に無いが、生を受けた以上もう一度生きてみるのも悪くないかもしれない。
…生き残れればだが。
【マスターへの態度】
自分にも本が売れなかった時にこういう時期があったかな。
【名前】加多康介(かたこうすけ)
【性別】男性
【年齢】23
【属性】秩序・善
【外見・性格】
外見はTシャツにジーパンといった普通の一般人。Tシャツはアウトレット物とはいえ地味にブランドだったりと身だしなみには気を遣っている。
「楽してテキトーに生きたい」と思ってる性格だが、使命感は強くやる時はやり頭もそこそこ切れる。それなりにお人よしで、東京で自分探しをしている他に、偶々立ち寄った先で人を助けることも少なくない。喫煙者。
【身長・体重】
162cm・62kg
【魔術回路・特性】
質:C 量:C
特性:電子機器の思念操作
【魔術・異能】
『思念による電子機器の操作』大分類では固有結界に当たる。
電子機器に触れることで心象世界を機器のコンピューターと転写・同調させ、あらゆる操作が可能となる。
早い話がコンピュータープログラムに干渉できる「構造解析」のようなもので、魂をデータ化している訳ではない。
…そしてパチンコのゴト行為ぐらいにしか利用していない。
【備考・設定】
東京で生計を立てるフリーター。東北出身。
地方暮らしが嫌で上京したものの、特にやりたい事もなくその場しのぎのバイトで生計を立てている。
【聖杯への願い】
生き残る。優勝する機会があれば聖杯はテキトーに金に換金する。(そもそも願いを叶える代物なんて碌な物じゃなさそうだから月並みな願いでやって無事終われれば良し)
基本的にやむを得ない時はサーヴァントだけ斃して人殺しはしない方針。
【サーヴァントへの態度】
なよなよしてると思ったら老人っぽくなったり分からん奴。
最終更新:2024年06月22日 00:25