君に1万ドルをプレゼントするよ
ただし現金じゃなく1万ドル分の弾丸でね!
—高校鉄拳伝タフ:パブロ・スバーン

◇◇◇◇◇

架空の東京 新宿 歌舞伎町

観光客とキャッチ、それを取り締まる警官がいない大通りにて明らかに日本人じゃない大隊がいた。

何処で手に入れたのか突撃銃を携え、目出し帽を着用。その腰には黒曜石でできた原始的なナイフを挿している。

全身黒に包んだ一団は統制が取れているかのように並んでいた。彼らの前に1人男が出てくる。他のものよりも装備が良く、腰には黒曜石のナイフのほかにマチェーテが刺さっていた

「諸君よく集まりました!」

大きくはないがはっきり聞こえる声だ。他の隊員と同じように目出し帽で顔ははっきりわからないが女である。


「えー、我ら『アワ・カルテル』の船出………門出………出発………とにかく出動の時です!」

女の隊員の演説に生ぬるい空気が流れ始める。その雰囲気に女の隊員は少しイラッとしたが無視した。

「我らが相対する敵は国の軍と同等と考えてください!しかし我らには『叔父貴と王』がいます!たかが軍!我らは簡単に粉砕できることでしょう!」

女の隊員の口から熱が伝播する。雰囲気は引き締まり、隊員達のやる気が高まる。女の隊員は腰の黒曜石のナイフとマチェーテを暗闇の空に掲げた。

「アワ・カルテルに栄誉を!」
『アワ・カルテルに栄誉を!』
「では散華!」

女の隊員の一言は大隊を中隊、小隊まで落とし、光のつかぬ繁華街を後に闇へと溶け込んでいく………

◇◇◇◇◇

架空の東京 新宿 東急歌舞伎町タワー デラックススイートルーム

「でかい部屋はいい部屋だ」

暗闇でナニも見えぬ窓を見ながら日本酒をワイングラスを飲む男がいる。均整の取れた褐色の筋肉を惜しげもなく見せびらかし、長い髪を後ろに結んだポニーテール、その目は外の夜よりも暗く、光を飲み込む黒色だ。

「従者(マスター)、あまり見苦しい格好するのをやめてくれないか?」

眉を顰めながら窓にいる男に文句を言う。この声も男の声だ。髪はなく黄金比に沿った頭、その格好は簡素ながら気品を感じる装飾をつけた半裸、そして福耳が目立つ柔らかな顔立ち。見るものが見ればその男から立ち上る魔力の塊に気絶するだろう。

「見苦しいとは………酷いことを言いますね。俺は部屋だと服はいらないんですよ。」
「せめて下着は履いておくれ」
「いやと言ったら?」
「言うのか?」

従者(マスター)と呼ばれた男はもう1人の雰囲気を察し渋々パンツを纏う。

「キャスター。貴殿の寛容の心で許してくれませんか?」
「今履いたからそこに関してはもう許すよ」
「そうですか………」

脱ぐことは許されないようだ。従者(マスター)は肩を落とし、キャスターの反対に座る。

「今どちらが勝っています?」
「私だ従者(マスター)。だが………エーアイとは中々やるもんだ」

キャスターはテーブルの上でテーブルゲームを行なっている。『オク・チャトラン』、カンボジアのチェスだ。キャスターはコウル(杭:ビショップ)を置き、相手のスダーイッ(王:キング)の逃げ道を塞ぐ。

「勝負がついたな」

キャスターの言葉へ反応するかのようにAIは画面に白旗を振った。

「流石ですなキャスター。やはり戦術眼がある」
「これは遊びですわ、戦争とは違います」
「それでも腕がありますよ」
「褒め言葉は嬉しいね」

キャスターは置いてある瓶から茶を注ぎ口に含む。茶色の茶の冷たさに少しばかり目を丸くした。

「技術の発展はすごいの従者(マスター)」
「何百年も経ってますからなキャスター」

面白そうに笑うキャスターの話に適当な返答をする従者(マスター)。キャスターはその様子を気にすることなく、麦茶をもう一杯飲んだ。

「なんか他にゲームないか従者(マスター)よ。流石にオク・チャトランを何度もやるのも飽きた。」
「じゃあパソコンのこれとかどうです?」

従者(マスター)は自らのパソコンを起動してアプリを立ち上げる。虹色に光るキーボードがキャスターの目を少しばかりくらませつつ、起動したゲーム画面を見た。

「これはどういったゲームだ従者(マスター)?」
「文明の長となって開拓内政外交戦争を通して勝者を目指すものになってます」
「ほう………色んな文明がいるもんだな」

ホイールを回し、文明の能力を確認するキャスター。だがキャスターのホイールはとある文明を見つけた時止まることになった。

「おお、余がおる。」

そこに映った文明の名はクメール。そこの指導者の名前は………【ジャヤーヴァルマン7世】

「このゲーム私ファンでして。選ぶにあたって参考にしたところありますね」
「誰と悩んだのよ従者(マスター)」
「ハンムラビかマティアス・コルヴィヌスかジョン・カーティンか………ってところでしたかな」
「ゲーム基準で強いやつを選ぶとは中々狂気だな?」
「いいじゃないですか。正気ならこんな戦争来てませんよ」

従者(マスター)は日本酒を飲み干し、冷蔵庫からもう一本日本酒を取り出した。

「体に気をつけろよ、死んだら叶わん」
「まあ日に二本くらいヘーキですよ」
「全く………おっ?」

キャスターは少し声を顰める。その腹にはには傷があった。だがキャスターは自らが纏う神性を手へ移動させ、傷に当てる。すると不思議なことに傷は一切なくなっていた。

「戦闘が始まったようですねキャスター」

◇◇◇◇◇

「サーヴァント遭遇!魔術髄液用意!」

25人の小隊は首に浮き出ている脊髄に注射器を指す。中の液体が注がれると身体に魔力が回り、目に見えて強化される。

「戦闘開始!」

銃から弾が発射される当たり前の現象。だが弾丸を槍で簡単に弾くのは理外の光景だ。

『槍を持つサーヴァント、その身軽な身体裁きと獲物からランサーと推定!』

通信による状況判断は小隊の動きを決定つける。小隊の約半分はあろうことかランサーに突撃したのだ。自殺行為とも思える蛮行にランサーは冷静だ。無慈悲に槍を振るい傷をつける。『傷をつける』?この現象に違和感を持つのがランサーだ。今彼は本気で殺そうと隊員に槍を振るった。だがその傷は深傷とは程遠い。何らかの力が?

一瞬の気の緩みが命取りだった。突撃してきた隊員たちにランサーの四肢を捉える。残りの隊員は突撃銃を構え、ランサーに射撃。飛び散る薄い魔力ある弾丸がランサーを貫き、ついに霊格を致命的に破損させた。

無念の中ランサーはふと思う。この隊は一体何人いるんだ?

◇◇◇◇◇

アワ・カルテル。南米を拠点とし活動する、麻薬カルテル。その力は国の軍すら跳ね除け、かの合衆国ともことを構える武闘派だ。

そのアワ・カルテルは魔術世界にも根を張っており、今回の聖杯戦争を掴んだのである。今回派遣されたのはカルテルの専属魔術師にしてカルテルの幹部の1人。『エルキン・サンチェス』、別名『黒曜石』。従うは450人の大隊『マイクロリス』。

アワ・カルテルは聖杯戦争で数を武器にして闘うのだ。

サーヴァント
【クラス】キャスター
【真名】ジャヤーヴァルマン7世
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力D 耐久A++敏捷D 魔力B幸運B宝具EX
【クラススキル】
陣地作成:A
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。“工房”を上回る“寺院”を形成することが可能。

道具作成:B
魔力を帯びた器具や薬を作成できる。王が授ける器具はサーヴァントに対する頼もしいお守りといえる。王の調合した薬は力を底上げする。

【保有スキル】
寛容のカリスマA
大軍団を指揮する天性の才能。
寛容の名を示す通り属性が一つでも異なる者に対してより強くカリスマが働く。ジャヤーヴァルマン7世は自身の敵対者をも配下として国を平定した。

呪術B
クメール呪術。原始的な呪いの一つであり、ジャヤーヴァルマン7世はヒンドゥーと仏教の呪いを混ぜ込んだ非常に攻撃的な性質を持つ。メコンの水の如く呪術を敵に流し込む。

無量の神性A
ジャヤーヴァルマン7世、彼の建立した寺院の特徴の一つに、あらゆる神性をまとめ上げ一つに集めた点が挙げられる。
夥しい数の神性の塊を纏っており、耐久を2ランクアップさせる。またそれらを消費してあらゆる行動に対してプラス補正をかけ、傷を癒す。

【宝具】
『万人の施療院(タ・プローム・ケル)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大捕捉:500人
ジャヤーヴァルマン7世は、それまでの病院を再編成し、自身が病人の療養と薬剤の供給に携わり、碑文においても「身体を冒す病は心も蝕む、民の苦しみが大きくなれば王の苦しみもそれだけ大きくなる」と記した。
マスター以外の人間と簡易的なリンクを繋げることが可能。リンクを繋いだ人間の負傷を半分引き受ける。致命傷を重症に、重傷を軽症に。

『万神の寺院(アンコール・トム)』
ランク:EX 種別:対城宝具/対人宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:800人/1人

彼の心象風景に基づく固有結界。夥しい神性が人の姿を保ち、夥しい寺院が一つとなった巨大な城塞が召喚される。兵士、戦象、医者、労働者、僧侶。それらが歯車のように働く一つの国のような宝具。侵入者には苛烈な試練が襲いかかる。
主な施設
象のテラス:兵士、戦象、兵器が跋扈する軍隊の貯蔵庫
ライ王のテラス:王族の火葬場。死した歴代の王の幻影、王族特攻の火炎放射が存在する。
バヨン:『美しい塔』。ジャヤーヴァルマン7世の瞑想像が安置されており、雑多かつ多層的に美しい。雑多な神性の力を一つに凝縮し、メコン川の氾濫の如く解き放つ。
【weapon】なし
【人物背景】
現在のカンボジアに存在していたクメール王朝にて最盛期を築き上げた偉大な王
仏教徒にして寛容、好戦的な性質だったと言われており、数多くの寺院も建立した。

【外見・性格】
福耳、髪のない頭、簡素ながら風格のある装飾を身につけて半裸

寛容。味方なら全て受け入れて許し、完全に敵対するのなら容赦なく滅ぼす。
何にでも興味を示し、感嘆する。その性質故にもう一度王朝をやり直せるならやり直したい。学んだことを活かしたいと考えている。

【身長・体重】
175cm・95kg

【聖杯への願い】
また王朝をやり直したい(こうすればうまくいくのではないか?という疑問は尽きない。)

【マスターへの態度】
従者。味方。

マスター
【名前】エルキン・サンチェス
【性別】男
【年齢】28
【属性】混沌・悪
【外見・性格】
均整の取れた肉体を惜しげもなく見せびらかしている。下着だけ履いている。黒髪のポニーテール。闇より黒い目

自分のやりたいことしかやりたくない京楽主義者。優先度によっては目的を折ることはできる。

【身長・体重】
198cm・78kg
【魔術回路・特性】
異常
質B 量B

【魔術・異能】
黒曜石を媒体にした呪術
マカナを用いた戦闘技能
450人ほどの大隊『マイクロリス』の統制

『マイクロリス』
エルキンが『アワ・カルテル』から与えられた部隊。黒の目出し帽と黒曜石のナイフがトレードマーク。装備として各種銃器が与えられており、キャスターの製作した弾丸や魔術髄液を利用した戦略的な行動を取ることが大きな強み。

【備考・設定】
南米の麻薬カルテル、『アワ・カルテル』の幹部。アワ・カルテルは金を出して成果は求めないのでお得意様として重宝している。今回聖杯戦争へはアワ・カルテルからの命令で派遣された。この恩でさらに充実した生活と研究を送りたいと考えている。

【聖杯への願い】
アワ・カルテルに献上する

【サーヴァントへの態度】
駒。でもウマが合う。

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最終更新:2024年07月27日 23:11