【クラス】
ランサー

【真名】
エパメイノンダス@古代ギリシャ

【属性】
中立・中庸

【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷D 魔力D 幸運A 宝具C

【クラススキル】
対魔力:D
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

【保有スキル】
軍略:B
 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
 自らの対軍宝具の行使や、 逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
 ランサーの類まれなる戦術は、テーバイという都市をギリシャ最強の覇権国家へと押し上げた。
 彼の戦術は奇縁にてマケドニアの征服王へと受け継がれ、テーバイは皮肉にもそれによって敗れることとなる。

カリスマ:C
 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
 ランサーは勇敢に前線で戦う将軍であり、常に兵たちと共にあった。

戦闘続行:B
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
 たとえ胸に槍が突き刺さろうと、己の役目を果たすまでランサーが死ぬことは無い。

奮戦の誉れ:C
 集中攻撃に対する防御的直感。
 ランサーにターゲット指定を行っている敵の数に比例して防御に有利な補正がかかる。
 時に窮地の親友を守るため、時に指揮官を先んじて叩くという相手の戦略のため、幾度となく敵からの集中砲火を受けながらもそれを凌いだ。

【宝具】
『神聖なる愛の献身(テーバイ・ヒエロス・ロコス)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:2~40 最大捕捉:300
 浮遊する150対の槍と盾。
 ランサーはこれをある程度自由に指示・操作ができるが、その本懐は150対300個からなる武装群の自立戦闘にある。
 槍と盾はそれぞれ“組”が決まっており、槍は組んだ盾の、盾は組んだ槍のフォローを自動的に行う。
 これにより大まかな指揮のみで複雑な戦闘行為が可能になる他、隊を分けて視界外に配置するなどして問題なく交戦を可能とする。
 槍や盾が破壊されてしまった場合、“組”となるもう片割れは一時的に限界を超えた駆動を行い、後を追うように消滅する。
 真名解放を行わずとも数組程度なら召喚可能。

 テーバイには“神聖隊”と呼ばれる常備軍が存在した。
 それは定員300名からなる歩兵部隊であり、そして“150組の同性カップル”という特色を持っていた。
 曰く、男たちは隣で戦う恋人を守るため、恋人に英雄的な姿を見せるため、恋人に惨めな姿を見せぬため、常よりも勇猛に奮戦したという。
 神聖なりし“愛”というエネルギーをシステマティックに力へと変換する、ギリシャ最強の軍隊のひとつである。

【weapon】
『無銘・槍/盾』
 重装歩兵の装備である槍と盾。
 デザインは『神聖なる愛の献身』で呼び出すものと同じ。
 盾にテーバイの英雄ヘラクレスを示す棍棒が描かれているのが特徴的。

【人物背景】
 紀元前5~4世紀頃に活躍した、ギリシャの都市国家テーバイの将軍。
 貧困貴族の家庭に生まれるも、高度な教育を受け、ピュタゴラス教団の哲学を愛した男。
 テーバイという国家をほんの一時だけ、ギリシャ最強の覇権国家に仕立て上げた稀代の軍略家。

 当時のテーバイはスパルタとアテナイの間で揺れ動く三番手・四番手の立場に過ぎなかったが、エパメイノンダスは精強なる神聖隊を率いて頭角を現す。
 やがて親友ペロピダスと共にスパルタの支配を跳ね除けると、テーバイという国家の短い黄金期が始まった。

 エパメイノンダスはボイオティア同盟軍の司令官となり、スパルタ率いるペロポネソス同盟との決戦に挑む。
 決戦の名は、レウクトラの戦い――――ボイオティア同盟軍7000人前後に対し、ペロポネソス同盟軍11000人前後。
 ボイオティア同盟軍は数で大幅に劣りながらも、エパメイノンダスの優れた戦術眼と的確な陣形指揮によって見事に勝利を収める。

 ギリシャ最強と呼ばれるスパルタの軍勢を正面から打ち破ったテーバイは、瞬く間にギリシャ世界の覇権国家として名乗りをあげた。
 続くペロポネソス遠征の中で、国内の政敵からの政治的攻撃によって将軍の座を追われるなどの瑕疵もあった。
 それでも彼は一兵卒として従軍し、敵の奇襲によって全滅の危機に陥れば指揮権を移譲されて危機を切り抜けるなどの活躍を果たした。

 連戦連勝、常勝不敗。
 攻めあぐねて兵を退かせることはあっても、決してテーバイに敗北をもたらすことはない。
 常に兵士たちと共に前線に立ち、テーバイの栄華を約束する無敵の将軍。

 そんなテーバイの英雄エパメイノンダスの最期は、四度目のペロポネソス遠征。
 スパルタとアテナイ、常ならば反目し合う二つの大都市が手を組み、アルカディア地方の都市マンティネイアと共にテーバイと対立していた。
 そして始まる、マンティネイアの戦い。
 エパメイノンダスはいつも通り前線に立ち、スパルタの指揮官を討ち取り、勢い乗って押しに押した。
 しかしそれ故に敵からの集中攻撃を受け、大いに奮戦してその猛攻を防ぐも――――やがて一本の槍が、とうとう常勝将軍の胸に突き刺さった。
 けれど同時に、ボイオティア同盟軍は敵軍を打ち破って敗走させた。

 エパメイノンダスはしばらくの間生きていたが、指揮権を移譲するべき上級将校がことごとく戦死したことを確認すると、敵と講和するように部下に命じた。
 そして「満足のいく人生だった。敗北を知らずに死ねるのだから」と言って、死んだ。
 親友ペロピダスの戦死から二年後のことであった。

 結局、マンティネイアの戦いは事実上テーバイの勝利ということになった。
 しかし、ペロピダスとエパメイノンダス、二人の偉大な指導者を失ったテーバイに、もはやギリシャの覇権を維持する力は無かった。
 テーバイは見る見る内に衰退し、最後はフィリッポス二世及びアレクサンドロスが率いるマケドニアの軍勢に敗れ、滅びた。

 僅か10年程度の黄金期を味わい、跡形もなく滅び往く。
 そんなテーバイの最期を彩ったエパメイノンダスは、現代でもテーバイ改めティーヴァ市の英雄として銅像が建てられている。


 余談だが、対ファランクス用ファランクス運用戦術『斜線陣』に代表される彼の軍略は、その高度さ故にかテーバイ国内の将校に継承させることはついぞできなかった。
 彼の教えを受け、その軍略を継承できたのは当時テーバイに人質として滞在していたマケドニアの王子フィリッポス二世。
 そのフィリッポス二世こそ、かの“征服王”イスカンダルの父親であり、征服王は父よりエパメイノンダス仕込みの軍略を授かったのである。
 やがてそれを昇華させた『マケドニア式ファランクス』がテーバイを滅ぼしたというのは、なんとも運命の皮肉と言う他はあるまい。


【外見・性格】
 栗色の癖毛、自信に満ちた表情、屈強な肉体と精悍な顔立ち。
 いっそ不敵と評するのが相応しいような、人を率いる気風をごく自然に纏う男。
 真紅の外套の下には、年季の入った重装歩兵の装備を身に着けている。

 見た目の通りに自信家で、楽天家で、野心的で、強欲。
 名誉を好み、勝利を好み、栄華を好み、友情を好み、愛情を好み、哲学を好み、故郷を好む。
 そのどれもを積極的に求めながらも、そのどれもを心から好んでいるためにどれかひとつへの執着を見せないという矛盾を孕んでいる。

 欲しいものは多いのに、それはそれとして手に入らずともあっけからんと納得できる。
 今あるもので満足することもできるのに、それはそれとして貪欲にそれらを求め続ける。

 言ってしまえば「自分の欲望に正直で」「精神的な切り替えが早く」「良かった探しがとてもうまい」という人物。
 それは他人から見れば酷く適当な態度にも見えるだろうが、何があってもくよくよしない前向きさと捉えれば美徳とも言える。

【身長・体重】
 188cm/96kg

【聖杯への願い】
 特になし。
 己の人生に悔いはなく、奇跡に縋ってまで叶えたい願いはない。
 とはいえ使える奇跡を手放すほどの無欲でもなく、受肉して故郷を見に行くのも悪くないと考えている。

【マスターへの態度】
 思い詰めたガキ。
 復讐に思い詰めている、というよりは「復讐をするべき」という彼の中の尺度に思い詰めているという認識。
 もっと楽しく生きればいいのに。まぁ偉大な先達として、ちょっとぐらい助けてやるか!

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最終更新:2024年08月07日 01:29