桜場コハル作品エロパロスレ・新保管庫

3

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3.

お昼をご馳走になった後、再び二階の部屋へ。
家の中がヤケに静かだなと思ったら、今日、藤岡くんのお父さんとお母さんはクルマで御殿場のアウトレットモールに出掛けているらしい。
今日私が来ることは前から話していたので、お昼は朝のうちに二人分作ってくれたそうだ。
─────今、この家に居るのは、私と藤岡くん…だけ。

「まだ唇の感触が残っている…」
私は唇に人差し指を当てながら、さっきのコトを思い出す。
つい一時間前の出来事なのに、あれから何日も何十日も経った様な感覚だ。
まさに、浦島太郎状態。
「さ、どうぞ」
彼は隣の部屋から持って来た座布団を二人分敷いて、座る様に促す。
………何か違うんだ。
「あ、あの……」
「あ、椅子がいい? それじゃあこの机の椅子を…」
「ち、違うの」
「じゃあ、ベッドに腰掛け…」
「それも違うの! あの…」
彼は気付いてくれるだろうか? 私がどんな格好で座りたいか、を。
「え…えっと………おれは…どうすれば…いい…かな?」
私は指をいじりながら上目遣いで合図するものの、彼は全く気付いていない。
いや、もしかして、気付かないフリをして私をからかっているのだろうか?
「あのね………」
私もチアキと同じコトをして欲しい。
この一言を言う勇気が、私には無い。
お互い立ったまま向かい合うこと数分、彼はやっと私の意志に気付いたのか、自分から床に座り出した。
そして────、

「おいで」

 ドクン
「い、いいの?」
「だって、キミがそうしたいんでしょ? ちょっと恥ずかしいけど……」
恥ずかしいけど…って、チアキの時は平気じゃない!
「じゃ、じゃあ…遠慮なく…………」
私はおそるおそる藤岡くんに近付き、ゆるく組んだ両脚の空間に、最近大きくなった様な気がするお尻をゆっくり落とす。
「そ、そんな…き…きき…緊張しなくても…、い、いいよ?」
そう言う藤岡くんもガチガチに緊張している。
「こ、こう…かな?」
私はチアキがしていた様に、ゆっくりと身体を彼にあずける。
「う…うん。そんなカンジで……」
彼の心臓の音がドクドク言っているのが、身体全体に伝わる。
そこで妙な感覚を覚える。



やっと夢が叶った。
私が藤岡くんに興味を持って以来、ずっとやりたかったコト。
この時の私は、とにかく幸せだった。
もう何も要らない…と言うのは嘘だけど、しばらくこうして居たい。
「あの……重くない?」
私はチアキと比べれば身体が大きいので、彼に負担が掛かっていないか気になった。
「ううん、大丈夫だよ。身体は伊達に鍛えてないよ?」
「そっか。そうだよね」

私は『藤岡椅子』を堪能し、私が持って来たお菓子を一緒に食べながら色んなお話をした。
「あそこの喫茶店、また行こうね」
「うん。でも値段が高いから次小遣い貰った時だね」
「店員のお兄さん、ちょっと変わった人だったよね」
「でも特製パフェは美味しかったんでしょ? ──あ、それ取って」
「あ、これね。はい、あーん──。うん。すっごく美味しかったよ☆」
藤岡くんは私の体重を支えるために両手を後にやっているので、私が食べさせてあげる。
こんな格好、ウチでやったら絶対怒られるね。「行儀が悪いからやめなさい」って。
あ、それ以前の問題か。
やっぱりどこうかと思ったんだけど、彼は「このままでいいよ」と言う。
それなら座椅子を用意しようと私が提案したんだけど、彼は「下から持ってくるのが面倒」と言う。
結局私達はこのまま動くコトは無かった。
藤岡くんも椅子にされるコトはいっこうに構わないと言う。
それどころか、彼も最初から私を座らせたかった様で、恥ずかしくて言えなかったという。
つまり、あの時は気付いていなかったワケでもなく、意地悪をしていたワケでも無かったんだ。
悪いコト、しちゃったな。



しばらく座っていると、お尻が痛くなってきた。
藤岡くんも何度か体勢を変えながら『椅子』を続けている。
やっぱり私、身体が重いのだろうか? 一応標準体型なんだけどね。
そして、またしても事件は起こる。
「も、もうちょっと、後にさがっていいかな?」
「えっ?」
藤岡くんにさがっていいか訊いてみると、彼は突然困った様な顔をした。
「あ、そうか。あまりくっつくのは、やっぱりダメだよね……」
「い、いや、そういうワケじゃなくて」
「?」
彼の様子がまたおかしくなってきた。
「えっと…その………さ、さがるコト自体は別にいいんだけど、あの……おれの自制心が……」
「ジセイシン?」
「あ、えっ、い、い、いや………」
藤岡くんはたまにハッキリしない時がある。
でも、私も人のこと言えたクチじゃないので、文句は言えない。
「ご、ごめん! お尻痛い! ちょっとだけ! ちょっとだけさがるね! よいしょっと」
「え? あっ…」
我慢の限界に達した私は、少しだけ、本当に少しだけ後にさがった…つもりだった。
でも、さがり過ぎて身体が文字通りピッタリと密着。
その時だった───。

 にゅむ

「────ッ!!!?」
「??」
お尻…尾てい骨に『何か』が当たった。
何だろう? 骨が当た……るワケがない。
私のお尻に当たる様な骨は、『前』には付いていない。
──────『前』?
藤岡くんは凄い汗を流しながら、小声で何かブツブツ言っている。
「ジチョウしろ、ジチョウしろ」って言っている様に聞こえるんだけど、早口なので何て言っているのかはよく分からない。

 びくびくっ

「───ッ!?」
「???」
尾てい骨に当たっている『何か』が二度、細かく震えた……様な気がした。
そして、その『何か』はさっきより固くなった……様な気がする。
その『何か』が何かはよく分からないけど、さっきから『前』という単語が頭から離れない。

「ふ、藤岡くん? だ、大丈夫??!」
「う、うん。お、おおおおれはへ、へへへへへへ平気だよ?」
どう考えても平気じゃない。
「ごめん、どくよ」
「だ、だだだだだ大丈夫だから。ね? ね?」
私は大丈夫だけど彼はどう見ても大丈夫そうじゃない。
真っ赤だった顔は今度は青くなっていく。理科の実験で使うあの紙(名前なんだっけ?)の様に。
非常事態だと察した私は慌てて立ち上がり、手を引いて藤岡くんを立たせようとする。
「ベッドで休んだ方がいいよ。ほら、立って」
「わ、わわわわ悪いね。へへ、えへへへへへ」
彼は顔を青くしたまま無理矢理作った笑顔を私に見せる。
そんな笑顔を見せられても私は安心なんか出来ない。
立ち上がった藤岡くんは、私の手に引かれてフラフラとベッドへ向かう。
しかも、何故か猫背のままで。
それにしても、すっごい汗だ。心臓もドクドク波打っている。
病院、連れて行った方がいいのかな?
「び、病院なんか行かなくても大丈夫だよ。はは、ははは」
「うそ! だって凄い具合悪そうだもん!! ほら、横になって」
私はベッドに腰掛けた汗だくの彼を寝かせようとするけれど、彼はどういうワケか座ったまま動きたがらない。
「わ、分かったよ。でも、横になってちゃんと寝た方がいいよ?」
「ここ、この体勢のほ、方がいいんだ! うん、この方が! うん! 大丈夫!!」
「大丈夫じゃないよ!! ほら、横になって!!」
「だ、大丈夫だから……うわっ?!」
私は彼を半ば強引に寝かせる。
けれども、今度は『お腹の中の赤ちゃん』の格好のまま動こうとしない。
「も、もしかして、腰、痛めちゃった? ごめん。私、重いから…」
「い、いや、こ、ここ、腰は、だ、だだだだ大丈夫だよ?」
そっか。腰は大丈夫か。
「腰が大丈夫なら、ちゃんと真っ直ぐ寝た方がいいよ?」
「い、いや、そういう問題じゃないんだ。うん。そうなんだ」
「じゃあどうなの?」
焦っているからだろうか? 私は少しイライラしてきた。
私はこれまで、藤岡くんに怒ったことは無い。今の所ケンカはしていない。
ん? そう言えば………。
さっきから両手を脚と脚との間───お股───に当てながら蹲っている。
も、もしかしてさっきまで当たってた『何か』って……………。
いや、ちょっと待って。どうやら私も平常心を失いつつあるようだ。
まずは藤岡くんをちゃんと寝かせないと。
「ちゃんと寝ないと身体ヘンになっちゃうよ?」
「お、おれ、こ、ここここの格好がすすすす好きだから。ね?」
「だーめ!!」
藤岡くんは起き上がって両手を伸ばし、私の肩を押して抵抗し始めた。
凄い力でぐいぐい押される。
彼に悪気は無いのは分かっている。でも私、心配なんだ。
私も同じように両肩を押して対抗する。


押したり引いたりのせめぎ合いがしばらく続く。
このままでは一向に埒があかない。
はっ!!
私、自分の意見を彼に押し付けている?
藤岡くんにとって、今の『お腹の中の赤ちゃん』スタイルが一番寝るのに相応しいのかも知れない。
彼は何が原因で具合が悪いのかは分からないけれども、もしかしたら、この格好がいちばんベストな寝方なのかも知れない。
私は藤岡くんの意志を尊重して、押していた肩から力を抜いた。
しかし、タイミングが悪かった……。

「うわぁっ?!」「ひぁっ?!」
 ドサッ!!

私は目一杯押されている状態で力を抜いてしまったので、押された反動で彼に向かってダイヴする格好となってしまった。
「「あ………………」」
今の状態を誰にも見られなかったコトだけは、不幸中の幸いだったのかも知れない。
私のムネにはちょうど藤岡くんの顔があり、左手は真っ直ぐ向こうへ伸びた状態。
右手は……………その………………。
彼の『アレ』がある部分を思いっきり掴んでおり、その手は『汗』をかいているのか、じっとりと湿っていた。

「え……えっと………」
「………………………はは、ははは」

藤岡くんは放心状態で、かなり引きつった笑顔のまま完全に沈黙していた。
「だ………大丈…夫?」
「う……うん………なんとか…………ね?」



藤岡くんも私も一旦下へ降りて、藤岡くんはもう一度シャワーを、私は洗面台を借りて顔を洗うことにした。
洗面台と脱衣所は繋がっているので、藤岡くんがお風呂場に入ったのを確認してから、私は洗面台に入る。
「……………」
スリットガラスの入った扉の向こうには、裸でシャワーを浴びる藤岡くん。
洗面台には大きな鏡があって、その鏡はお風呂の扉…の向こうでシャワーを浴びる彼のシルエットが映し出されている。
なるべく意識しない様にしているんだけど、この鏡のせいでどうしても『彼』を意識してしまう。
「か、顔……洗おう」
意を決して(?)蛇口を捻ろうと右手を伸ばす。
「右手…………か…」
さっきの事件を思い出し、顔が熱くなる。鏡に映った私の顔は、ペンキで塗った様に真っ赤になっていた。
私は何を思ったのか、無意識にそのまだ洗っていない手を鼻に近づけ、匂いを嗅ぐ。
 くんくん───。
「───ッ!?」
何これ?
「凄い変なにおい……」
私はその変な匂いに耐えきれず、反射的に蛇口を捻って手を洗い、続けて顔を洗う。
あ、そろそろ藤岡くん、シャワー終わるかな?
私は借りたタオルで急いで顔を拭いて洗面台を後にした。

あ、何かトイレに行きたくなった。
トイレを借りて鍵を閉めてキュロットを降ろす。
そして、異変に気がついた。
「あ…………」
私のショーツはぐっしょりと濡れていた。
いや、"ぐっしょり"というか、"ねっとり"濡れている。
五年生にもなって漏らしてしまうとは何とも情けない。
あれ? おしっこは"ねっとり"なんかしてないよね?
じゃあこれは一体なに?
それに、トイレに行きたいと思ったのは今が初めてで、
もしおしっこを漏らしてたとしたら何かしら前兆があっても不思議でない。
いずれにしろ………、
「藤岡くん、お漏らしする様な子は嫌いだろうなぁ」
私はガックリと肩を落とし、用事を済ませた。
ショーツの予備なんて持っていないし、かと言って何も履かないのは人としてどうかと思うので、
私はしょうがなくねとねとして気持ち悪いショーツを履いてトイレを後にした。
そう言えば藤岡くん、まだシャワー浴びてるのかな?



「今日は色々あったね」
「うん、色々……あったね」
「明日は藤岡くんもチアキの家に行くんだよね?」
「うん、行くよ。カナに呼ばれてるからね」
「そっか。じゃあ、一緒に行こう?」
「うん、そうだね。それじゃあ、気をつけてね」
「大丈夫だよ。家すぐそこなんだし」
「あ、そっか。でも、この前門池公園に変な人が出たって言うから、本当に気をつけて」
「うん、有り難う」


こうして長い長い一日が終わった。
ショーツが濡れていて気持ち悪いのを我慢しつつ、私は家へ向かって歩き出した。




結局、ショーツが濡れた原因は分からなかった。
そして、その原因が分かる様になるのは、もっと後の話になる────────。


  • アニメ4期おめ -- 名無しさん (2013-02-04 17:21:59)
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