桜場コハル作品エロパロスレ・新保管庫

捕まえろ!!

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coharu

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「おい、藤岡! これはいったいどう言う事だ!!」
「どう言う事って言われても……」
藤岡はじゃんけんで負けた。だからこの水中鬼ごっこに置いて、鬼の役をやる。
ルールも簡単。水中から出なければ何したってOK。3人すべてを捕まえると鬼は交代。
私は間違った事は一つも言ってないはずだ。なのにこのバカ野郎ときたら……
「もう一度だけ言うぞ。いいか藤岡、お前はちゃんと鬼をしろ!」
「だ、だから、その……どこにタッチして良いのか分からないって言うか……」
「そんなのドコだっていいだろ!? お前は今まで鬼ごっこをした事がないのか!!」

なんだよ。ケイコもリコも変な目でこっちを見て。私は間違ってないだろ?
……もういい。皆がそう言う態度をとるなら仕方あるまい。
「分かったよ。私が鬼をやってやるからお前たちは必死に逃げろ」
「ええ!? みなみが鬼で……タッチするってこと?」
「そうだよ。お前だって逃げるくらい分かるだろ? ほら、10数えるぞ」
1、2、3、4、5────

さてと、とりあえず皆いったか。
ふむふむ、ケイコは運動が苦手だしね。
あそこまで逃げるのがせいいっぱいか。
リコのやつは……あれで隠れてるつもりか?
後は藤岡か。あいつはやる気なさそうだったけど……あれ? どこ行った?
まぁいいや。とりあえずさっさとドジな二人を捕まえてしまうか。

「ほい、リコみっけ。ぱいたっち」ムニュリ
「ちょ、ちょっとカナ! あんたどこ掴んでるのよ!!」
「お次はケイコもしりタッチ……っと」ムニ
「いやぁーん!」
さて、二人を捕まえた所でメインディッシュと行くか。
あいつはタダじゃ済まさないぞ。さんざんワガママを言ってくれたからね。
あそこを握って、引っ張って、噛みついて────

「っと、藤岡!! 見つけたぞ!!」
「あぁっ!!」
バカな奴め。この流れるプールに置いて必死に逃げた結果、一周回って私の元へ戻ってくるとは……
「分かっているとは思うが、水からでたらダメだからな」
「うぅっ……」
「それから流れるプールを逆方向に進むのはプールの決まりで禁止だ」
「……」
律儀な奴め。プールから出る事も無ければ逆方向へ進む事もしない。
ただ壁にひっついてるだけか。まったく。本当にまったく。

──ザバザバ
「ちょっ……! みなみ!? 逆方向に進むのはプールの決まりで禁止なんじゃ――」
「だが鬼ごっこの決まりに置いて禁止ではない。故に私は進む! 逆方向にな!!」
「え……えぇー!?」
「問答無用! 覚悟しろ!! おりゃー!!」

抱きっ……!!



あったかい。プールの中なのに?
特に背中が熱いくらいで、柔らかくて、背中に当たる髪の毛が少しくすぐったくて……
え? 髪? 誰の?
「さぁ藤岡。もう逃げられないぞ」
「へ……?」
振り返ると背中にぴったりみなみがひっついてて、
それも胸が潰れるぐらいギュッと……オレの背中にぴったり顔まで付けて……
うぅっ、こんなの意識したら、自然と体が前のめりに──

「おっと。往生際の悪い奴だな。まだ逃げようとするのか?」
「ち、ちがっ、胸が、柔らかくて、オレが、硬く……っ」
「はぁ? なに訳わかんない事いってんだ? とにかく、お前にはとっておきの必殺技をお見舞いしてやる!」
みなみはそう言うと、さらにギュッと身体を密着させてオレの体を……身体を……
あれ? なんだこれ?

「秘儀、水中バックドローーーーッッ、やっぱりあがんねぇー!!」
「へ?」
「…………よし、とりあえずタッチな。次はお前が鬼だから10数えろよ!」ペシッ
なにがなんだか分からない……
とりあえず分かっている事は、オレが鬼に任命されたこと。
そして今度これを拒否すれば確実にみなみに嫌われてしまう事くらいか……
うぅ、オレはいったいどうすれば────

……って! 何を後ろ向きに考えてるんだオレは!!
これはチャンスじゃないか!
みなみはオレにタッチするとき後ろから抱きついた。
これはつまりオレがタッチするときも、その、えっと……う、後ろから抱きついても問題ないって事……だと、思う……けど……

……うん。無理だ。オレはなんて肝の小さな人間なんだ。
そんな、いきなり好きな女の子を後ろから抱きしめるなんて……
いきなり、好きな……いきなり?
そうだ、いきなりじゃなかったらいけるんじゃないか!?
例えばほら、練習って訳じゃ無いけど、他の二人を先に捕まえて!
その時になれてしまえば、みなみにだって────

「えっと、次はオレが鬼みたいだけど良いかな?」
「え? 藤岡くん……鬼出来るのかしら……?」
「わ、わたしは! 藤岡君さえよければ何だって! ハアァ……♪」
よし、二人の了解は得たぞ。
さっきのみなみのタッチを見てOKしてくれたんだ、これで心おきなくタッチできる!
まずは髪の長いリコちゃん……だっけ?
なんだかクネクネして動かないみたいだから……タッチしてもいいのかな?
って、何を迷ってるんだオレは! さっきの勢いで行くしかないじゃないか!!



ハアァ……藤岡くんが鬼って事は、私タッチされちゃうのね……♪
きっと、あんな所や、こんな所まで……っ
変な声とか出ちゃったらどうすればいいの?
ハッ! も、もしかして、変な所を触れれて、変な声が出ちゃって、おかしな事に……!?
だ、だめよリコ! こんな公衆の面前で!
そ、そりゃ、藤岡くんが望むなら……私は拒否はしないけど……
でも、そう言う事はプールの中じゃ不衛生だし……それにやっぱりムードが──

「リコちゃん、捕まえちゃうよ?」
「……へ? ああっ!」
ふ、藤岡くん!? まるで獲物を見る野獣のような目で私の身体を……
ドコにタッチするつもりなの? なんだか身体全体を見てるように見えるけど。
もしかしてドコに触るか考えてるのかな? ……ちょっと胸元を強調してみたりしちゃって。
って! 何やってるのよ、私は!!
でも……そんな舐めるような目で全身を見られたら、私……

「ふ、藤岡くん、私はもう逃げられないから……好きな所にタッチして……っ」
「いいの?」
「うん。でも恥ずかしいから……うしろ向いてる……」
はあぁ……私のいくじなし。
後なんてむいちゃったら肩にタッチされるに決まってるじゃない。
そりゃ、前向いてても肩だったかもしれないけど……
でも前さえ向いてればイレギュラーな何かが起こったかもしれないのに!
それなのに私は、私は────

ムギュッ

「リコちゃん捕まえた」
「…………」
ん? な、なんか、首のあたりが苦しい……?
それに背中が暖かくて、硬くって……
そっか……、首の周りに藤岡くんの腕があるんだ。
肩の上から抱き締められて、それで背中に藤岡くんの体が当たって────

「ええぇぇぇ!?」
「あっ、ご、ごめん! 嫌だった!?」
「い、いい、嫌とか、そ、そういうんじゃないんだけど、どど……っ」
お、落ち付くのよリコ! 別におかしな事をしてる訳じゃないじゃない。
ただ後ろから抱き締められてるだけで……む、胸とか触られてる訳じゃないし!

……でもやっぱり少しくすぐったい。藤岡くんの手が私の二の腕にあたって────
あれ? そう言えば二の腕の柔らかさって、胸と同じ柔らかさって誰かが言ってたような……
じゃあ藤岡くんは今私の胸と同じ柔らかさを、さ、触って!?
「……あはは、やっぱり女の子って柔らかいんだね。タッチしてるだけなのに緊張しちゃうよ」
「や、柔らかい!? え!? あ、いや、その! えっと、確かに最近成長期で、あっと……」
「リコちゃん!? 大丈夫!?」
「にゃ、柔らか……あっ、そんな揉まれたら……ハアァ……ッ」

ドポン……ブクブク……



「ほらっ! もっとシャキシャキ歩け!! まったく!!」
「ハアァ……っ♪」

結局カナの機嫌は直らず、私たちは気まずい空気の中帰り道を歩いていく。
鬼ごっこは中止。なぜかって言うと……
プールの底に沈んだリコが助けた後もポーッとして、
幸せそうな顔でうわ言を言って鬼ごっこどころじゃ無くなったから。
「カナ、もう少しゆっくり歩いてあげようよ」
「うるさい! ケイコは今日何もしてなかったんだから黙ってろ!!」
はぁ……なんで私がとばっちりを……

「ごめんね、オレのせいで……」
「ううん、気にしないで。いつもの事だから」
そう、いつものこと。次の日には全部忘れてケロッとしてるんだから。
でも────
「はぁ……オレ、どうすれば許してもらえるのかな……」
こっちは重症な感じ。
見てるとちょっと可哀想だし、んー……

「藤岡くん、ちょっと耳いいかな?」
「はい?」
「ごにょごにょ……で、場所は……ごにょごにょ……」
「ほ、本当に!?」
「うん。あの子単純な子だから、きっとそれで大丈夫じゃないかな」
私からの秘策を受け取り、藤岡くんは少し緊張した様子でカナに近づいて行く。

「み、みなみ……?」
「なんだ! うるさい! 黙れ!! あっち行けッッ!!」
カナ……そんな事言ったら藤岡くん死んじゃうよ……
「こ、この先にケーキが美味しい店があるんだけど! これからいかない……?」
「…………」
「もちろんオレの奢りで!!」
「ほ、ほんとか!? 何個でもいいのか?! 食べ放題か!?」
カナったら、本当にげんきんな子なんだから。
でもそこがカナの可愛い所なんだけどね。

さっきまでと打って変わってニコニコしながら先頭を歩くカナ。
藤岡くんは私に近づいてソッと耳打ちをする。
「ありがとう、助かったよ! 今度なにかお礼するね!」
「そんなに気を使わなくても……」
「いや! お礼は男として当然だから! 何でも言ってよ!」
困ったな。別にそう言うつもりじゃなかったんだけど。
でも何か言わないと収まらない雰囲気だし……

「じゃあ……」
「うん!」
「次にプールで鬼ごっこをする時は、私をはじめに捕まえてもらえるかな?」
「ええ!? 捕まえるって……タッチは──」
「大丈夫、私はリコみたいになったりしないから。なんならココで試してみる?」
「で、でも……えっと、あの、あ、え!? あとっ……」

うわー……藤岡くん可愛いなぁ。こんなに慌てちゃって。
でもこれ以上いじめちゃったら可哀そうかな?
「ふふっ、冗談だよ。じゃあ私もケーキを奢ってもらおうかな?」
「う、うん! それくらいならいくらでも!!」
「おい! 藤岡!! 良く考えたらお前が前を歩かないと何処か分からないだろ!!」
「ご、ごめんごめん! 今いくよ!!」

こうして私たちは今日も仲良くケーキ屋さんへ向かったのでした。


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