◇今回予告
セーリア大帝国、帝都フワンジンにたどり着いたどら猫な~ん(仮)一行。帝都でチェン家に関する情報を集めていたキミたちは、偶然にもゼルギアとの再会を果たす。チェン家に伝わるとされる祭具を手に入れるため、ゼルギアと共にチェン本家への潜入を試みたキミたちは、チェン家当主との戦いを余儀なくされる。激戦の末、辛くも勝利したキミたちの前に現われたのは、ある女性の姿だった―――。
アリアンロッド2E EYE'S -another story- 第十四話「セーリア攻略戦」
キミたちはひとつの歴史を紡ぎ始める。
◇オープニングフェイズ
◆オープニング①
「当家もいつかは責を負う日が来るだろう。道を違えたキミたちがどういった結末を迎えるのか…私も見届けてみたかったものだ」そう言い残したチェン家当主チェン・ホウジツは光の粒子に包まれ、その場から姿を消していく。その場に残されたチェン家の人間たちは動揺を隠しきれず、一様に嘆きの声をあげていた。
「あぁ…ホウジツ様!」
「ホウジツ様が亡くなられてしまった!」
「我々は一体どうすればよいのだ!」
「あいつらさえ来なければ…」
「そうだ。あいつらがホウジツ様を殺したんだ!」
「あいつらの肉を食いちぎり、八つ裂きにしてくれよう!」
嘆きの声をあげていたチェン家の人間たちはキミたちの方へ強い敵意を向け始める。
「お待ちなさい」
凜とした澄んだ声がその場に響き渡る。
「皆、その方々に手を出してはなりません」
チェン家の人間たちが道を開けた先に見えたのは、ひとりの女性の姿だった。
「初めまして、異国の方々。私の名はチェン・メイファン。貴方方の倒したチェン・ホウジツの娘です」
「貴方方に是非お話したいことがございます。どうぞ、こちらに」
メイファンはそう口にすると、踵を返し、屋敷の方へと向かっていく。
◆オープニング②
屋敷の一室へと通されると、その場には人払いがなされ、キミたち4人とメイファンだけが残された。上質な着物を身に纏った目の前の女性には、ひとつひとつの所作にも育ちの良さが垣間見えた。
「ようこそ、いらっしゃいました。どら猫な~ん(仮)の皆さん」
「此度は父を一族のしがらみから解放してくださったこと、心より感謝しております」
「長きに渡り、父はカグツチとの盟約を守って神の器となり得る者を選別し、贄としてきました。異世界よりこのエリンの地へと訪れた我々一族は、七柱の神々より疎んじられ、カグツチの後ろ盾なしにはこの地で生きていくことが難しかったのです。チェン家の当主として、父には一族の者たちを守る責務がありました。しかし、我々が生き延びるために父はカグツチの器となり得る人々だけでなく、同族の者たちにすら手に掛け、そして現在精霊を使い不老不死の妙薬を完成させるべく、加速度的に多くの人々の命が奪われています」
「この家の家督はおそらく私が継ぐことになるでしょう。古くから父に仕えてきた者たちがどう言うかはわかりませんが、私はカグツチとの縁を断ち切るつもりです。貴方方がその祭具を使ってカグツチを討ち取るというのであれば、それは貴方方にお渡しします」
「その祭具の名は鬼丸国綱。目に見えぬ鬼を切る刀と言われています。国綱には所有者の命を削る呪いが掛けられているため、代々の当主によってその存在は隠匿されてきました」
「皆さんがどのようにしてその祭具の存在を知り得たかはわかりませんが、それが危険な物であることはどうかお忘れなきよう」
「それと、どうか弟に、
シェンファンに会うことがあれば伝えてください。私には弟や義妹ほどの強い霊応力はありません。ですが、この家を守っていくことはできます。だから、貴方は貴方の為すべきことを為しなさいと」
◆オープニング③【シェンファン】
セーリア大帝国、金紫宮。皇帝の住居であると同時に執務施設でもあるその宮殿へは、皇帝に許されたごく一部の者のみが足を踏み入れることが許される。周辺は「天の城壁」と呼ばれた壮麗な城壁によって取り囲まれ、昼夜を問わず厳重な警備態勢が敷かれている。どら猫な~ん(仮)一行が皇帝のもとへとたどり着くためには、この厳重な警備を突破していく必要があった。時はどら猫な~ん(仮)一行が東方世界に姿を現わしたばかりの頃に遡る。来たるべきその時に向けて、シェンファンはひとり犯罪組織「虎狼党」の拠点を訪れていた。
「止まれ。何者だ」
虎狼党の潜伏場所と思しき建物まで来たシェンファンの前に、屈強なドゥアンとヴァーナの男が立ち塞がる。
「ここはお前みたいな堅気の奴が来るところじゃないぜ?」
「どうしたんだい?騒がしい」
武装したヴァーナの女性が建物の奥から姿を現わす。
「お、お頭…!」
「これは随分と珍しいお客人だね、チェン・シェンファン。アンタがここに来たってことは、皇帝が俺らを本気で潰しに掛かってきたってことかい?」
「いいさ、話を聞いてやろうじゃないか」
「お頭?!コイツは皇帝のい、ぬ…猫?と、とにかく何か企んでるのかもしれません!」
「お前は黙ってな。シェンファン、中に入りな。アンタにその覚悟があるならね。ここは虎の穴…虎子を得たいと思うなら危険を承知で飛び込むしかないさね」
そう言ってヴァーナの女性は建物の中に再び戻っていく。
「お頭の命令だ。通してやる」
屈強なドゥアンの男がシェンファンに道を開ける。
◆オープニング④【シェンファン】
虎狼党の拠点へと足を踏み入れたシェンファンが見たものは、薄暗い部屋の中で不穏な空気を漂わせている戦士たちの姿。よそ者であるシェンファンが虎狼党の党首であるフォン・ランフーの後を追って部屋の奥へと進んでいくと、四方から敵意の含んだ視線を浴びせられた。
「さあ、そこに座りな」
ランフーはシェンファンに目の前の椅子を指し示すと着席を促す。そして近くにいた党員に声を掛けると、その党員は席の周りを囲うようにカーテンを引いていく。
「さて、詳しい話を聞こうじゃないか。 皇帝様の側近が敵対する組織のアジトにまで潜り込んで、一体どんな虎子を得ようとしているのか」
「…話はわかった。それで?アンタに協力したとして、俺らにどんな見返りがあるんだい?」
【知力】判定:達成値18
成功→キミは虎狼党に関するとある噂話を思い出していた。国に対する反逆行為を働くかたわらで、人助けをするといった彼等の一貫性に欠けた活動の裏には、ある信念があると言われている。それは如何にその活動が世の中を震撼させ、自分たちが面白味を感じられるかということだった。
失敗→キミは目の前に腰掛けるランフーの威圧感に動揺を隠しきれず、頭が回らなくなってしまった。
「ほう…アンタ、なかなかに気狂いなことを言ってのけるね。それでアンタに一体何の得があるっていうんだい?」
「ふふっ。あーはっはっはっ」
シェンファンの言葉を聞いたランフーが突然高らかな笑い声をあげる。
「いいよ。その大仕事、俺らも手を貸そうじゃないか。御上に真っ向から喧嘩を売るその姿勢、嫌いじゃないよ。性根の腐った官僚どもにも一泡吹かせてやる」
「金紫宮に乗り込むつもりなら、まずは天の城壁を越えて行かなきゃならないねー。でも魔族や妖魔の活発化で戦力が拡散してる今ならやりようはある」
「作戦名は『紅の皇女』だ」
そう言ったランフーはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
◆ミドル②
時を戻し、チェン本家にて祭具を手に入れたどら猫な~ん(仮)一行のもとに、シェンファンからの書状が届けられた。そこには金紫宮へと乗り込むため、明日の日の入りと共に虎狼党が先んじて強襲をかけること、その騒ぎに乗じてキミたちは侵入を開始し、皇帝のいる玉座まで向かうようにと段取りが書かれてあった。
「明日の日の入りですか…シェンファンはその日中に決着をつけるつもりなのでしょう。決戦の翌日は紅い月の夜を迎えます。皇帝はおそらくその日に転生の儀を執り行うでしょう。そうなってしまえば、現在の器はおそらく…」
メイファンはそこまで口にすると目を伏せて言葉を濁す。
「残された時間はそう多くありません。相手は七柱の神に名を連ねる者。万全の態勢で臨むに越したことはありません。皆さん、どうかお気をつけて」
※何かやりたいことがあればシーンを挟む。
◇ミドルフェイズ
◆ミドル①
翌日、日の入り前。キミたちは金紫宮近郊にある茂みの中に身を隠していた。目の前には天の城壁が立ちはだかり、警備兵たちが城門を守っている。太陽がその身をゆっくりと地平線の彼方に隠していくと、城壁の各所から煙が立ち上り始めたのがわかる。
「全軍!警戒態勢―!くり返す!全軍!警戒態勢―!」
慌ただしく動き回る兵たちは、消火に回る者、首謀者を捕らえようとする者、門の守りを固める者と、各々が行動を開始している。しかし、人手が不足しているのか、門の守りはやや手薄なように感じられた。すると、キミたちのもとに一人の男が忍び寄ってくる。
「お前たちがどら猫な~ん(仮)か」
「お頭から話は聞いてる。俺たちが城門を守ってる兵たちの相手をしてやる。お前たちが城門に近付けば、既に内部に侵入している俺たちの仲間が門を開くはずだ。門が開いたら、雑魚共は気にせず金紫宮への突入を始めろ」
話を終えると、周囲に身を潜めていた虎狼党員が一斉に攻撃を開始する。
キミたちが城門へと近付くと、手筈通り門が開かれていき、金紫宮へと向かう道が姿を現わした。
◆ミドル④
金紫宮を守護する央天軍と虎狼党との戦いが各地で起きている中、金紫宮を目指すキミたちは遭遇する兵たちをあしらいながら皇帝のもとへと向かっていた。金紫宮。その絢爛な外観に比して内部は異様なまでの静寂に包まれており、兵たちの姿も見受けられない。しかし直に騒ぎを聞きつけた北天軍・南天軍が合流してくると見たキミたちは、迷う間もなく皇帝のいる玉座の間を目指し進んでいた。
正面階段を突き進み、最初の扉を開けたキミたちは真っ暗な部屋へとたどり着く。
【危険感知】:達成値18
【戦闘】暗殺者(バグベアシャドウ) Lv38×4 エネミーP80
※ 暗闇(明度2)→ すべての判定のダイスに-1D
◇クライマックスフェイズ
◆クライマックス①
暗殺者たちを退けたキミたちは、ついに玉座の間へとたどり着く。仰々しいほどの大きな扉がキミたちの前に立ちはだかり、この先にかつてキミたちの前へと姿を現わしたセーリア皇帝、もといカグツチが待ち構えているという。自然とキミたちの周りには緊張感が漂っていた。
扉を開けた先には布製の仕切りによって隠された玉座。そこには人影があることがわかる。キミたちが部屋の中へと進んでいくと、背後の扉は閉められていった。
「久方振りだな、どら猫な~ん(仮)の諸君。エルクレストでは惜しくも取り逃してしまったが、こうしてまた貴殿らと相まみえそうとは」
そう言って仕切りによって隠された玉座から姿を現わしたのは、白銀の鎧を身に纏った金髪の騎士。そう、過去にエルクレストでエイテルと紫の処刑を執り行なおうとしていた西方神殿の聖騎士であった。
「あの時はそこにいる黒の貴公子にしてやられた。聖都ディアスロンドに戻った後も引き続き動向を探っていたが、どうにも貴殿らは身を隠すのが得意らしい。ヒヨリシアが受けたゴヴァノン神の天啓がなければ、こうして貴殿らに再び巡り合うことはできなかっただろう。だが、私には聖都ディアスロンドが誇る神聖騎士団団長として、神に背きし者たちを処する責務がある。ここにいる反逆者たちも同様だ」
そう言った騎士の視線の先には、捕縛されたシェンファン、フフ、タダユキの姿があった。
「我が名はローランス!我らが神ゴヴァノンの名の下に貴殿らの魂を浄化する!」
【戦闘】ローランス Lv100 エネミーP152
(聖騎士 Lv20 エネミーP82)
◇エンディングフェイズ
◆エンディング
「よもや邪神の手先に敗れようとは…」
ローランスは膝をつき、キミたちの方へと忌々しげな視線を送る。
「リーフ。ゴヴァノン神によって命を与えられた貴殿が、邪神の力に染まったばかりか、生みの親であるあの御方を害するなど、到底許されることではない」
「しかし、あの御方は直に悲願であった強固な器を手に入れ、邪神の力をも取り込まれるだろう。あの赤い月が、南の空高くに差し掛かった頃、儀式は執り行なわれる。あの御方の浄化の炎により、この世界の粛正がなされるのだ…」
「お前たち、もう時間がない。後のことは任せて急ぎ帝泊山へ向かえ」
タダユキがキミたちに声を掛けてくる。
「シェンファン、お前も一緒に帝泊山へ行ってこい。俺たちが別れたあの場所で、今もきっとリーファは待ってる」
最終更新:2019年01月05日 19:05