Another story 第十五話 覚え書き

◇今回予告
虎狼党の協力を得て、セーリア大帝国金紫宮へと突入したどら猫な~ん(仮)一行。しかし玉座の間に華王帝リーファの姿はなく、かつてエルクレストにて敗戦を期した強敵、ローランスと対峙することとなる。聖騎士の軍勢に苦しめられながらも激戦を制したキミたちは、カグツチの転生の儀式が行われようとしていた帝泊山へと乗り込むのであった―――。

アリアンロッド2E EYE'S -another story- 第十五話「神々の試練―オーディール―」

キミたちはひとつの歴史を紡ぎ始める。

◇オープニングフェイズ
◆オープニング①
タダユキ、フフの手助けを得て金紫宮を抜け出したキミたち。帝都フワンジンの近郊にそびえ立つと言われる霊山、帝泊山への道中、リーフはローランスから言われた「ゴヴァノン神によって命を与えられた貴殿が、邪神の力に染まったばかりか、生みの親であるあの御方を害するなど、到底許されることではない」という言葉に動揺を隠し切れずにいた。

「やるべきことは変わらない、お前はそう言っていたはずだが?」
リーフに対しゼルギアが言葉を掛ける。

「半端な覚悟なら、ここで引き返すんだな。相手は仮にも七柱の神。足手まといを抱えたまま対峙すれば、全滅は免れない」

そこでゼルギアがいきなり立ち止まり、キミたちへと神妙な顔を向ける。
「お前たちに話しておかなくてはならないことがある」

「お前たちも邪神や魔族を倒すためには神の加護を宿した武具が必要なことは知っているな?」

「邪神に限らず、対の加護を宿した武具は神殺しを行なう上では必須なものだ。七大神を倒そうとするのであれば尚のこと、邪神の加護を受けた神具は不可欠と言えるだろう」

「いいか?カグツチとはまともにやり合おうとするな。俺たちの目的はエイテル様の救出。ついでに器となっている現皇帝の女も助け出せるかもしれないが、多くは望まないことだ」

帝泊山はすぐそこだ。

◆オープニング②
帝泊山。限られた者にしか立ち入りを許されないその神域が、まるでキミたちの前に立ちはだかるかのように聳え立つ。そこには何人も寄せ付けぬ、神聖な気が充満しているように感じられた。

「さて、見たところ目の前の石段を登っていけば山頂まで行けそうだが…どうする?」

キミたちが帝泊山へと近付いていくと、バチッと稲妻が走ったかのような衝撃を感じ、先に進むことを阻まれた。

シェ「結界ですか」
リ「こういうの詳しいんだろう」
シェ「発生源を探るか、一時的に解除する手立てがあれば」
「これを打ち破るには時間がかかりすぎる。そうこうしてるうちに儀式が終わるかもしれんな」
ナ「別の道を探そうにも」

ふとキミたちは結界の奥に人影が見えることに気が付く。黒ローブを身に纏い、白い仮面で顔を隠した集団がぞろぞろと頂上へと向かっている。そして集団に囲われるようにして共に歩く一人の少女の姿。シェンファンは礼装を身に纏ったその少女の姿を見て、焦燥感を募らせた。

シェ「どうやらギリギリ間に合ったようですが」

「チェン家が誇る異能部隊『死霊』。本家を離れているとは聞いていたが、まさかここで姿を現わすとはな…」

シェ「このままではマズイ。儀式が…」
リ「待てこら!」
ガン無視。

「どら猫な~ん(仮)の皆さん。お久し振りです」
キミたちが声のする方向に目を向けると、そこにはクウのもとへと案内をしてくれた少年、リクの姿があった。

「皆さん、ご無事で何よりです」

「皆さん、お困りのようですね」

「どうぞ、主があちらでお待ちです」
ナ「先生のお力があれば、破るどころじゃないでしょうね」

リクの案内でキミたちが進もうとすると、ゼルギアはその場で立ち止まっている。

「お前たちだけで行ってこい。俺はこの辺りのことをもう少し調べておく」

◆オープニング③
リクの案内で再びクウの夢の世界を訪れたキミたち。そこには古代の遺跡の中にも似た不思議な空間が広がっていた。キミたちの四方には大きな扉がそびえ立ち、上空では星々が煌めいている。
「皆、元気そうで良かった」
キミたちの方へと歩み寄ってきたクウが声を掛けてくる。

「あそこは僕が作った世界だからね。アロケンは取り逃がしてしまったけれど、他の魔族たちはあの世界諸共消滅したはずだよ」

「でも神域に張られた結界によって近付くことすらかなわない、と」
ナ「恥ずかしながら」
リ「なんとかならないのか」
「その程度の実力しか持ち合わせていないのなら、諦めて引き返すことをお勧めするよ」
リ「できるわけないだろう!」

リ「やってみなきゃわからないだろ!」

「ふぅ…ナミキ、キミも彼と同じ意見なのかい?」
ナ「力が足りてないことは認識。壁を破らなければ」
シェ「ではなぜここに招いたのですか」

「キミの中にある禁書が、下手をすればこの世界をも滅ぼすかもしれないとわかっていて、言っているのかい?カグツチの手にそれが渡れば、この世界の均衡は大きく崩れるだろう」
ナ「力は足りるのでしょうか」
「現状足りていないだろうね」

「本当に行きたいと思っているのかい?」

「覚悟は十分に持っていると」
リ にらみつける

「わかった。それなら僕も、微力ながら力を貸そう」

「とは言っても、僕はこの世界から出ることができなくてね。僕が手伝えるのは、キミたちの持つ力を引き出してあげることくらいかな」

「キミたちの身体に刻まれた紋章…それを要に、僕の作った夢の世界と、女神の夢を繋ごう。そこでキミたちはオーディールを受けてくるんだ」

「オーディールとは神々より与えられる試練。しかも邪神と呼ばれる女神から与えられる試練だ。一歩間違えればキミたちは闇に落ち、妖魔と化すだろう。それでもキミたちは更なる力を欲するかい?」
ナ「やるしかありませんね」
リ「結界を破れるのか」

「僕は案内人としてキミたちに道を指し示そう。目の前にある四つの扉は、それぞれがキミたち一人一人に対する試練へと繋がっている。扉に入るのは一人ずつ。試練に挑んだ者の様子はキミたちの足下の鏡に映し出される。残った三人はこの場に残り、試練に挑んだ者が完全に闇に囚われてしまわないよう楔の役割を担ってもらうよ」

「それじゃあ準備はいいかな?誰から扉の中に入る?」
ド「俺がお前の露払いだ」
リ「いいのか?」
ド「帰ってこなかったらエイテルを頼む」

「わかった。それではキミの目の前にある扉の錠を開こう」
クウの合図と共に目の前の扉がゆっくり開かれると、キミはその扉の中へと誘われた。

◇ミドルフェイズ
◆ミドル①~④【シェンファン
シェンファンは気が付くと、見晴らしの良い場所に立っていた。ここはシェンファンにとって忘れることのできない場所。目の前には隕石でも落ちたかと思うほどの大きなクレーターと、その中央に建てられた社。 転生の儀式が執り行なわれる地、帝泊山。

キミが辺りの様子を見回していると、社の前には見覚えのある二つの人影があった。その姿はリーファとシャオレイ。彼女たちは向かい合い、何やら話をしていた。
「はじめまして、私はシャオレイと申します。次代の皇帝の即位の議をここで執り行なわせていただいております」

「私はリーファです。シャオレイさん、私はここで何をすれば?」

「リーファさんにはこの社の前で祈りを捧げていただければ、それで構いません。後のことは私が行ないます」

「わかりました」
社へと向かっていくリーファにシャオレイは声を掛ける。
「リーファさん、貴女は逃げ出したくはならないんですか?皇帝になれば、今までのような自由はなくなってしまうかもしれないのに…」

「そうですね…もちろん先のことは怖くもあります。料理人になる夢を叶えられなかったのも、心残りと言えばそうかもしれません。でも、それはきっと私の代わりにあの人が叶えてくれるから。だから私は、私にしかできないことをやろうと思います。それがきっと彼を守ることにも繋がるから」

「貴女は強いんですね」

「そんなことはないです。シャオレイさんの方こそ、私とそう歳も代らなそうなのに、こんな重大なお役目を任されてすごいですよ。あ、そうだ!もしよければ私とお友達になってくれませんか?シャオレイさんとなら皇帝のお役目に就いた後も楽しくおしゃべりとかできそう!…あ、私の勝手な思い違いですかね?」

「いえ、私もリーファさんみたいな方とお友達になれたら嬉しいです」

「じゃあなりましょう!これからもよろしくお願いしますね!」

「ええ」

「よし!ちょっと不安な気持ちが楽になりました!そろそろ儀式を始めなきゃですよね。じゃあ行ってきます」
再び社へと向かっていくリーファの後ろ姿を、シャオレイは涙を浮かべながら見送っていた。

そこでシェンファンの見ていた景色は一度闇に包まれると、また別の風景が目の前に広がった。儀式を終えて家へと戻ってきたシャオレイが見たもの、それは業火に包まれた分家の屋敷と、血を流し倒れていた親族たちの姿だった。
「お父さん!お母さん!しっかりして!」

「シャオレイ…すぐに逃げなさい…本家の部隊に見つかってしまう前に…」

「本家の、部隊…?これをやったのは本家の人たちなの…?」

「本家は、儀式を行なえる貴女のこともきっと狙ってくるはず…だから、その前にこの国を離れて…どこか安全なところへ…」

「嫌…私1人逃げ出すなんて、できないよ…」

「大丈夫…貴女は強い子よ…だから、貴女だけでも生き延びて…」
両親が事切れた後、目の前のシャオレイはゆっくりと立ち上がり、シェンファンの方に視線を向ける。
「兄さん…どうして?どうして私たちを裏切ったの?」
悲しみと憎しみの混じったような表情で、シャオレイはそう問いかける。

シェ「くっ…(何て可哀想なシャオレイ)。シャオレイはずっと1人で抱えて。それなのに俺は自分のことばかり」

するとその時、鏡の中から複数の黒い影が這い出てくる。
「それは彼の心の陰。心の内に留めきれなくなった感情が漏れ出てきているんだ。それらを倒すことで彼の心をこちら側に繋ぎ止め、妖魔化するのを食い止めることができる」

【戦闘】シャドウ①(アンクー)エネミーP150

シェンファンシャオレイの幻影との話をつけてもらう

シェ「私たちが生きることでこのような悲しみが続くなら、宿縁は断ち切らなければいけない」
燃えさかる家を立ち去る

◆ミドル①~④【ナミキ】
ナミキは気が付くと、街の中にいた。人が行き交い、活気のある街並みはどこかエルクレストの街を彷彿とさせる。するとこちらに駆け寄ってくる1人の少女の姿。少女は来た方向を振り返ると、背後にいた人物に声を掛ける。
「マテウス!早く、早くー!」

「ナタ様。そのように急がなくても、時間はまだまだあるのですから」
ナタと呼ばれたその少女は、ナミキがこれまで何度も話をしてきたあのナタと瓜二つの姿をしていた。しかし、目の前の少女にはどこか子どもらしさのようなものも感じられる。

「だって今日は満喫したいもの!マテウスも目一杯楽しむのよ?」

「はい、私でよろしければお付き合い致します」

ナタたちが人混みの中に姿を消すと、目の前の景色が変わっていく。戦争。国同士の領土を巡る苛烈な争いに、街は破壊され、多くの人々が傷付き倒れていく。そして国を統べる王の傍にナタの姿があった。
「ナタよ。この戦を終わらせ、我が国が勝利するためにお前の力が必要だ。禁書レメゲトンの力が。平穏な世を築くために、力を貸してくれるな?」

「はい…」
先程見た光景とは打って変わって、ナタは暗い表情を浮かべている。

「さあ、私にこの星の未来を見せておくれ。そうすれば私がこの世の王となれる!」

「おやめください!ナタ様!レメゲトンの力を使ってはなりません!」

「マテウス…」

「マテウス、護衛であるお前がナタの邪魔をするのか!」

「パリス国王よ!レメゲトンの力を使えば、適合者であるナタ様の心は失われてしまいます!」

「それが適合者であるナタの務めであろう。ナタを守るためにこれまでどれほどの者たちが命を落としたと思っている。禁書の力を使えば、戦が終わり、多くの者たちが救われるのだ」

「私のことなら大丈夫よ、マテウス。レメゲトンを使ったとしても死ぬわけではないもの。私の心は禁書の中で生き続ける。生きていればいつかまた会えるわ」
ナタはマテウスに笑みを向けると、身体の中からレメゲトンを取り出した。するとレメゲトンは眩い光を放ち始める。

「いけません!ナタ様―――!」
目の前の景色が移ろいでいくと、ナミキは暗闇の中に取り残された。
「これが自分の前の適合者の最後の記憶…」

すると暗闇の中から、ダブラル首長であるフィルと、エルクレストカレッジの教員であるエルヴィラが姿を現わした。
「2人とも…」

「貴方さえいなければ、エルクレストの街が魔族に襲われることもなかったのに…」

「キミさえいなかったら、監視者(オブザーバー)としての務めもなく、ただ平穏な暮らしが送れたというのに…」

「そう、ですね…。オブザーバーからすればありがた迷惑な代物ですし、自分がいなければ」

するとその時、鏡の中から複数の黒い影が這い出てくる。ナミキの心の陰が3人に襲い掛かってきた。

【戦闘】シャドウ②(ヴァンパイアブレイド)エネミーP72
    シャドウ③(ヴァンパイアロード)エネミーP72

※ ナミキにフィル、エルヴィラの幻影との話をつけてもらう。

「その通りですね。でも自分は禁書とナタに向き合えるほど覚悟はできていません。いつかできた時に迷惑の精算はします。それまでは我儘に過ごそうと思います」

「迷惑を掛けながら生きていこうというのか」

「この禁書が存在する理由をわかる必要があると思うので」

「先生、皆、ごめんなさい」
扉の外に出て行く

◆ミドル①~④【ドラドル
ドラドルは気が付くと森の中にいた。焼き焦げた森の木々の匂いが充満し、あたりには薄らと霧が掛かっている。そしてそこにはエイテルとマテウス、2人の姿があった。
「マテウス、どうして私を助けたのですか?この森を焼き、多くの命を手に掛けてまで私を連れ去った貴方が…」

「カグツチに従う理由はなくなりました。この剣さえあれば、私は私自身の目的を果たせる」

「マテウス、わかっているのですか?その剣の危うさが」

「血を吸うほどにその力を増す魔剣ストームブリンガー。わかっております。いつかこの剣は私自身をも喰らおうとするでしょう。しかし、この身がどうなろうとも私には救いたいものがあるのです」

「エイテル様。私は一族の掟を犯し、貴方をこの地より連れ去った。今更その行ないに言い逃れをするつもりはありません。しかし、貴方が私たち一族に与えてくださった恩恵も、私は忘れてはおりません。貴方をこの地にお戻しすること、それが私にできるせめても償いです」

ド「エイテル…」

「ありがとう、マテウス。しかし、この地にあった多くの命が戻ることはもうありません…私は彼らを守ることができなかった。そのことがとても悲しいのです…。貴方は先程、自分の身がどうなろうとも救いたいものがあるとおっしゃっていましたね?」

「私も同じ気持ちです。ですから、私はこの地で眠りにつこうと思います。この地に新たな命が芽吹き、以前のように豊かな森へと戻ることを祈って」

ド「だめだ、だめだ、だめだ、だめだ」
出て行った。
2人に声は届いていないようだ
ド「これは幻影?こんなにもリアルだというのに」

ナミキの本が輝き始める
ナ「これは…」
ク「ナミキの力が試練に干渉しているようだね」「今は様子を見るしかあるまい」

「貴方の神力がこの地に満ちれば、森がかつての姿を取り戻すことも叶うでしょう。しかし、そのようなことをすれば貴方は記憶を失うことになるやもしれません」

「構いません。貴方は再び戦場に赴くのですか?」

「ええ。監視者(オブザーバー)たちを退け、レメゲトンを手にするためには、より強大な力が必要です。そのためにはこの魔剣の力を今以上に引き出さなければ」

「そうですか…」
そう言ってエイテルはマテウスのもとに歩み寄ると、魔剣に片手をかざす。
「ルーヴァ様…どうか貴方のお力でこの者をお守りください」
魔剣はエイテルの声掛けに反応するかのように僅かに淡い光を放った。

景色が移ろいでいくと、ドラドルの目の前に巨大な竜が姿を現わす。それは神々より生み出されし竜の王、神竜王セフィロスの姿であった。
「ルーヴァよ…貴様、与えられた任を放棄したばかりか、竜が与えられし神性の源である逆鱗まで奪われたか」
ド「俺に話しかけているのか?」
セ「記憶まで欠落しているか」
ド「そうか、そうなのか?この記憶の欠落はそういうことなのか?確かに俺に逆鱗はない。わからない…思い出せない…エイテル…」

「それで、この件に関する贖罪をどう為すつもりか?」
ド「任務が何かはわからないが、逆鱗は取り戻せる気がする。今の俺は完全体ではないのか。贖罪がどうかはわからないが、逆鱗を取り戻せということか」
セ「これまでどれほどの被害が出ているか」
ド「俺のせいだったのか」

するとその時、鏡の中から複数の黒い影が這い出てくる。ドラドルの心の陰が3人に襲い掛かってきた。
ナ「ドラドルのために」

【戦闘】シャドウ④(ミストドラゴン)エネミーP137

ドラドルにセフィロスの幻影との話をつけてもらう。

ド「記憶はないが、悪いことをしたのであれば、それは甘んじて受け入れるしかない。贖罪とは何を求めるのか」
セ「逆鱗を我に返還するがいい」
ド「俺は死ぬということか?」

ド「それであいつらは救われるのか」
「死した魂は救われるかもしれんな」
ド「わかった。それで構わない。だがそれまでの間は奴等を守ってやりたい」
「よかろう。それがお前の覚悟だというのなら」
ド「ああ言った手前戻りたくないけど、しょうがない」

◆ミドル①~④【リーフ】
リーフは気が付くと玉座の前にいた。そこはリーフにも見覚えのある場所。そう、そこは帝都フワンジンにある金紫宮の中であった。玉座には貫禄のある男が座っている。
「マテウスめ…神殺しと化した魔剣を使って私を滅ぼすつもりか。この城から邪神を連れ出し、何処かに匿ったばかりでなく、私が作り出した剣を使って刃向かってこようとは。直接手を下してやってもいいが…ここは少し遊んでやるとしよう。出てこい」

カグツチの声掛けに従ってその場に姿を現わしたのは、驚いたことにリーフと同じ外見の少年であった。

「さて、お前の出番だ。マテウスと相対するにはちょうどよいだろう。私の作り出した新たな神具、意思を持って戦う自動人形。まあその身は生身の人間と変わらんが。あとはお前に、神具としての役目を与えれば完成だ。ついでに人としての記憶も与えてやろう。それがどう作用するか、見物だな」
カグツチがリーフの額に手を当てると、空虚だったリーフの瞳に光が宿っていく。

「さあ、親の敵であるマテウスに復讐をしてくるがいい」
リーフはコクリと頷きを返すと、その場を去って行った。

そこからは戦いの記憶。幾度となくマテウスに戦いを挑み、その度に敗北を喫する。そして最後の戦いが終わった後、キミは傷付いた身体を休めるため、森の中に身を隠していた。そこに近付いてくる人影。それはダブラル首長フィルのものだった。
「大丈夫かい?酷い怪我だ。この近くに私の暮らしている街がある。そこで手当をするといい」
フィルに連れられて辿り着いたダブラルの街。温かな人の温もり。それはリーフの記憶にあるものだった。そして目の前にいたリーフがキミに問いかける。
「俺は一体誰なんだ?この記憶は本物か?これも作り出されたものではないのか?」
リ「ちがう」
「ならば何故ここにいる」

「俺は自分の意思でここまで」

両親を殺された記憶にノイズが走る。
リ「あの時の悲しみも偽物だったというのか」

するとその時、鏡の中から複数の黒い影が這い出てくる。リーフの心の陰が3人に襲い掛かってきた。

【戦闘】シャドウ⑤(バルバトス)×3 エネミーP149

※ リーフに自身の幻影との話をつけてもらう。

リーフの頭の中に、Fに拾われたあたりからの記憶が蘇る。
リ「始まりは作り物だったかもしれない。でも今は仲間がいて、助けを持っている人がいる。俺のことを諭してくれる奴も。期待に答えたいと思っているおれがいる。この気持ちと記憶は作り物じゃない。俺は俺だ」

「俺は心の鏡。それを乗り越えたようだね」

「お疲れ様。どうやらキミたちは自分自身の心に打ち勝てたようだね」
リ「これで何かが変わったのか」

◇クライマックスフェイズ
◆クライマックス①
それぞれの試練を乗り越えたキミたちは再びクウのもとへと集まった。キミたちの使った4つの扉は姿を消し、目の前には大きな扉が1つ新たに姿を現わした。

「オーディールは神々より力を授かるための試練。だから、強大な力を律するための心の強さを持っていなくてはならないんだ。そして最後の試練はあの扉の先に」
リ「この先か」「じゃあ行くか」

「扉の先の試練を終えれば、キミたちは元の世界に戻れる。僕が手伝えるのはここまでだ」
リ「ありがとう。クウ先生」
シェ「貴方のおかげで決心がつきました」
「最後の試練がキミたちにとって最も過酷なものかもしれない」

「キミたちの今後の無事を祈っているよ」

キミたちが扉を開けて先へと進むと、真っ暗な闇の中、青い炎があたりの様子を照らしてくれる。
シェ「神の試練というからには何らの神に属するものが顕れてもおかしくないですね」

進んだ先に待っていたのは、攫われたはずのエイテルの姿だった。
「皆さん、お元気そうで」
ド「エイテル!」

「今、皆さんの意識と私の意識は繋がっています。身体はカグツチのもとに残されたままですが、こうしてお話をする分には問題はありません」
シェ「すみません、エイテル。もとはと言えば私が招いたこと」
シェンファンさんにも為さねばならないことがあったんですよね」
シェ「謝っても謝りきれるものではない。しかし今貴方の力を借りたい」

「皆さんはここにオーディールを受けるためにいらっしゃったんですよね?」

「わかっていますか?邪神の力を得ることの意味を。下手をすれば、人でなくなってしまうかもしれません」
リ「それでもアンタを助けるのに必要な力なら」
ド「俺はどんな姿になっても構わん」
「ありがとうございます」
ナ「自分は半分人ではないようなもの」
「犠牲になって欲しくない」
リ「おれたちが望んだことだ。全部終わらせて元の場所に帰ろう」

「皆さんのお気持ちはわかりました。なら私も覚悟を決めなければいけませんね」

「構えてください。最後の試練は、私と戦い、皆さんの力を示してもらうことです」
リ「な、なに?」

【戦闘】エイテル(ペルセポネ)西方P174

◇エンディングフェイズ
◆エンディング①
戦いを終え、エイテルがその場に膝を着く。
「さすがですね。やはり皆さんはお強いです」

するとエイテルの身体が光りを放ち始め、徐々に薄らいでいく。
ド「行くな、エイテル!」
「もう時間のようです。皆さん、紋章をご覧ください」

キミたちの身体に刻まれた紋章が形を変えていることに気が付く。

「皆さんは無事に私から力を得たようです。神竜の力を持ったドラドルさん、神具としての力を持ったリーフさんは聖と邪、両極にある力を。来寇者(マリジナント)であるシェンファンさん、禁書を身に宿したナミキさんは理を侵す力が更に強まる形になるでしょう」

「しかし、力は万能ではありません。なので、この先、決して無理はなさらないでください」

「皆さんの無事を祈っています」
そう言うと、エイテルはその場から姿を消し、キミたちもまた夢の世界から現実世界へと引き戻されていくのだった。
最終更新:2019年01月05日 19:10