Another story 第六話 覚え書き

◇今回予告
エルクレスト神殿にて、西方神殿ローランスと合間見えたどら猫な~ん(仮)一行。敵との戦力差に窮地に立たされたキミたちは、その場に突如姿を現した銀髪赤眼の男、ゼルギアによって命を救われる。薄れゆく意識の中、キミたちがゼルギアたちによって連れて行かれた場所とは…?

アリアンロッド2E EYES another story 第6話「明かされた真実」

冒険の舞台がキミを待つ…!

◇オープニングフェイズ
◆オープニング①
ドラドル


◆オープニング②
シェンファン
パチパチ…。火の粉が弾ける音と共に、暖気がキミの身体を優しく包み込んでいく。シェンファンがゆっくりと目蓋を開けると、そこにはログハウスのような木造の部屋が広がっていた。

周囲の様子を見回すと、キミはすぐに他のギルドメンバーたちが横に並べられたベッドで眠っていることに気が付く。皆、怪我の手当てをされた形跡があり、命に別状はなさそうだ。
しぇん「また死に損ないましたか」

コンコン。すると部屋の扉をノックする音が室内に響き渡る。

ガチャ。
「あ、シェンファンさん!目が覚めたんだ。具合はどう?」
入室してきた茜がキミに向かって声を掛けてくる。

「ここはねー。私たちのアジトの1つなんだー。ここにいれば、敵に襲われる心配はないから安心、安心」

「…うーんと、意識をなくす前のことは覚えてる?」

「そうそう。エイテル様と紫の処刑に割り込んで、私たち騎士団の連中に負けちゃったんだよねー。でもそこにタイミングよくゼルギア様が来てくれて、どうにかその場から逃げてきたんだ」
ゴヴァノン教団 儀式

「まあまあそう焦らず。後でゼルギア様から皆にも説明があると思うよー。だから皆の目が覚めるまで、シェンファンさんもゆっくり身体を休めるといいよ。…そうだ!薬膳茶を用意したんだー。良かったら飲んでね」
そんなやり取りを終えると、茜は扉の方へと向き直り、部屋の外へと出ていった。
しぇん「ここで生き残ったのもやはり運命のいたずらなのか」

【何かやることはありますか?】
→【ハムスターを呼ぶ】
シェンファンがそんなことを考えていると、ベッドの下から何か物音が聞こえてくる。カリカリ。パリパリ。シャクシャク。

シェンファンがベッドの下を覗き込むと、そこにはギラリと鋭い眼光を光らせた小さな生き物がいた。

「チュー?」
小首を傾げたその動物の周囲をよく確認してみると、何やら様々な野菜や果物の食べこぼしのようなものが散乱していた。

ハムスターはベッドの下から飛び出し、サイドテーブルの上へと駆け上がる。

ハムスターの瞳は次第に色を帯びていき、何やら神妙な雰囲気を放ち始めた。
「久方振りだな、シェンファンよ。ここのところ、近況の報告が滞っているようだが?」

「まぁよい。今日は貴様に良い報せを持ってきてやった」

「先日、魔族共に大きな動きがあった。このエリンの地にて権勢をふるう3大魔族―――。このうちの2つの勢力が正面から戦に乗り出した。この意味は、わかるな?」

「奴等が狙うは我が至極の逸品。…だがしかし、あれは既に譲った物。別にどうなろうとも構わん。それよりも貴様は自身に課せられた目的を果たせ」

「それと、もう1つ。少し興味深い話を耳にしたので貴様にも教えておいてやろう」

「魔族共が衝突したその地で、分家筋の生き残りが確認されたらしい」

「もし真実であれば我が手中に収めぬ手はない。発見し次第、我が元まで連れて参れ」

しぇん「本当に生き残りが。それならば私は」

◆オープニング③
キミたちが目を覚ました後、エイテルとゼルギアが部屋を訪ねてくる。ダブラルの街で相対したその男は、キミたちの前でも怯む様子は微塵もなく、堂々とした佇まいでその場に姿を現した。

キミがゼルギアに襲い掛かろうとすると、後ろに控えていた葵が刀を構え、キミの喉元に刃を突き付ける。

「俺も随分と恨まれたもんだな。ダブラルの街を襲ったのが余程気に食わなかったか?」

「お前たちに恨まれたところで、俺は別に困りもしないからな」

「だが、先の戦いでお前たちを救ってやったのは俺だ。そのことは忘れるなよ?」
ゼルギアはニヤリと笑みを浮かべて告げる。

「お前たちにはこれからとある場所に行ってもらう」

「"地底都市インフェルティア"その都市の最奥にある神殿にエイテル様をお連れしろ。そこに、エイテル様の記憶にまつわる真実がある」

「エイテル様、このような者たちが護衛では心許ないかとは思いますが、どうかご容赦下さい」
「いいえ。記憶がなく何の力も持たない私をここまで守ってきて下さったのはどら猫な~ん(仮)の皆さんです。心許ないなんてことはありません。本当に頼もしい限りです」
エイテルは穏やかな笑みを浮かべてキミたちの方に顔を向ける。

「インフェルティアへはここから北西の方角、ヴァンスター帝国の領内に入ることになる。かつてエルーラン王国と戦争を行なった際、両軍が激しくぶつかり合ったといわれるミッショネン平原の北方にその入口はある」

「通常、入口は固く閉ざされているが、エイテル様がいらっしゃれば扉は開かれるだろう」

◇ミドルフェイズ
◆ミドル①
数日後。ゼルギアたちの手引きもあり、キミたちは無事ヴァンスター帝国入りを果たす。ミッショネン平野―――。かつての大戦時、ヴァンスター現皇帝が紅蓮の炎と鮮血の赤によってその地を深紅に染め上げたという逸話が、吟遊詩人たちによって語り継がれる広大な大地。キミたちはかつての戦いの傷跡が未だ残るその地に、足を踏み出していた。

「ここがミッショネン平野…随分と見晴らしのいい場所ですね」
ドラドル・ナミキ・エイテルで鎮魂の祈り

【感知】判定 難易度:10
成功→キミは北の方角に湖のようなものが微かに見えることに気が付く。
巨大兵器によって穿たれる

歩くこと数刻。キミたちは漸くその湖に辿り着いた。

キミたちが湖の周辺を探索してみると、そこには動物避けであろう腰の高さほどの石柱が数十個等間隔で立てられているだけで、特に怪しげな物は見当たらなかった。

【知力】or【幸運】判定 難易度:15
(フェイトを使用し何度でも振り直し可能)
成功→キミが石柱(に腰掛けて)を調べてみると、石柱の一部が動き出し、石柱に刻まれた不思議な紋様が姿を現す。

エイテルがその紋様に手を翳すと紋様は光を放ち始め、周囲に地響きが鳴り渡る。湖の水面には亀裂が入り、そこから地中へと続く階段と、周囲に立てられた石柱と同じ石材で建てられた門が姿を現した。

◆ミドル②
キミたちが門の中へと入っていくと、中は洞窟のような造りとなっていた。剥き出しの地層に灯りが取り付けられ、僅かに薄暗さを感じるものの行動に制約を受けるほどのものではなかった。

【トラップ】スパイクボード Lv6(R1改訂P364)
→【敏捷】判定:難易度14
 失敗→[6D+10]の物理ダメージ

キミたちが奥へと進んでいくほどに周囲の気温が徐々に上がっていく。立っているだけで汗が止まらぬほどの暑さにキミたちはじわじわと体力を奪われていった。

そんな話をしているとキミたちは拓けた場所へと出てくる。マグマと火山ガスが所々から吹き出し、ここから奥へと進んでいくには中央に走る一本道を進んでいくほか、道はなさそうだ。

【戦闘】スコーピオンレイ×2 Lv14(エネミーP104)
    ファイアーウォール Lv23(エネミーP105)
【トラップ】荒ぶる炎 Lv4 & 再起動装置 Lv5(R2改訂P316、318)
      溶岩 Lv5(R2改訂P319)
灼熱地獄 Lv6(R2改訂P320)

◆ミドル③
フォーカスシステム開始(R2改訂P152)
成功→成長点10点

【戦闘】ケルベロス Lv18(エネミーP121)※FS判定の結果によって数が増減
進行値0~6:4頭/進行値7~9:3頭/進行値10~12:2頭/進行値12~15:1頭

◇クライマックスフェイズ
◆クライマックス①
キミたちが神殿の中へと踏み込むと、入口の扉がゆっくりと閉ざされる。神殿内はところどころ崩れ落ちており、崩れ落ちた隙間からは淡い光が差し込んでいた。そこでふとキミたちは神殿の奥に人影があることに気が付く。黒いローブを深々と被っているため、確信こそ持てないが、その人物は幼い少女であるように思えた。

「…ようこそ、いらっしゃいました。森の女神と、女神に選ばれし者たちよ。私の名はナタ」

「制約に則り、私の元へ辿り着くことが出来た貴方方に、星の記憶をお見せしましょう」
そう言って少女が両手を空へと掲げると、キミたちの視界がぐにゃりと歪む。そして歪みの中から大きな黒い穴が姿を現し、キミたちはその穴の中へと吸い込まれていった。

キミたちは気が付くと、森の中にいた。森には火の手が上がっており、森の動物たちが火の手から逃れようと一方向へと駆けて行く。しかしキミたちにはその炎の熱さを全く感じられず、そればかりか動物たちと衝突しそうになっても動物たちはキミたちの身体をすり抜けて行った。

「待って!その方に罪はありません…!どうかその方を殺めないで!!」
森の中に女性の叫び声が響き渡る。聞き覚えのあるその声に、キミたちが急ぎ声のする方向へと向かって行くと、そこには傷付いた巨大な竜と、炎と剣、槌のシンボルが刻まれた黒い鎧を身に纏った一人の男が対峙している。銀の長髪に深紅の瞳をしたその男に、リーフの記憶がフラッシュバックする。ゼルギアと似てはいるものの、ゼルギアよりも背丈が高く、何よりその冷徹な目つきにリーフはある種の確信を抱いた。

そして剣を構える男に対し、竜の方はその場に座り込み、抵抗しようとする様子が見られない。その竜から少し離れたところには、同じく黒い鎧を着た騎士たちに捕らえられ今にも連れ去られそうになっている女性が1人。―――エイテルだ。しかし彼女の風貌は先程までとは異なり、簡素な服装ではあるもののサークレットやブレスレット等といった小振りな装飾品を身に付けていた。泣き叫ぶエイテルが騎士たちに連れ去られ、その場から姿を消すと、男は剣を振り上げる。「―――監視者よ。せめて安らかに眠れ」そう口にした男が剣を振り下ろすと、キミたちの目の前に広がっていたその光景は突如薄らいでいき、キミたちは気が付くと再び神殿の中にいた。そこには既に少女の姿はなく、キミたちは短い夢を見ていたような心地になっていた。

「…その様子だと、どうやら無事に1つ目の鍵を開けたようだな」
神殿の奥から茜、紫を伴ったゼルギアが姿を現す。
「ここまでお疲れ様ー!結構大変だったでしょ?!」

「その答えを知りたければ、これから行われる最後の試練を見事通過することだな」

「…私たち3人を倒すことが出来たらこの試練は終わる」
「そういうことー!全力で来ていいよー!!私たちもそれなりに全力で行くからね…!」

「よし、では始めよう」

【戦闘】ゼルギア Lv90
    茜Lv50
    紫Lv50

◇エンディングフェイズ
◆エンディング①
「あーあ、負けちゃったー!勝てると思ったんだけどなー!」
「姉様、手抜きすぎ…」
「そんなことないよー?ローストもベイクも頑張ってくれてたじゃーん!」
茜と紫は戦いに負けた後も比較的元気そうな様子で言い合いを続けている。

「これで試練は終了だ。この地底都市での試練に恐れ戦き逃げ出すようなことがあれば、何としてもエイテル様を俺たちが連れ出すつもりだったのだがな」
(戦いを終え、思考を巡らすゼルギア。さてさて、詳しい話を聞けるのはまたの機会ということで…)

「さて、そこの猛獣。約束通りお前の聞きたいこととやらに答えてやろう。何が聞きたい?」
ゼルギアはリーフに視線を向け、そう口にする。

「奴の名はマテウス=シュミット。元銀閃の風の幹部にして、俺の兄に当たる」

「マテウスは七柱の神の一柱、ゴヴァノンに加担し、火の粛清を起さんとしている。おそらくお前の両親やらは、マテウスがまだ銀閃の風にいた頃に、奴の思惑に気付いたのだろう。エルクレストの神殿にてお前たちを一掃した騎士たちもゴヴァノンの手の者だ」

「さて、一旦話はここまでにしておこう。お前たちには選んでもらわねばならない。エイテル様がお前たちに与えた“森の女神の祝福”と呼ばれる力は、今後エイテル様の記憶の鍵が解き放たれ、力がお戻りになるほどに効力を発揮する。しかし力を得る代償もまた今後大きくなっていくだろう。既にエイテル様の中の1つ目の鍵は解き放たれた。お前たちにエイテル様をお守りする覚悟がないのならば、エイテル様のことは俺たちに任せることだな」

「そうか、それならばもう何も言うまい。一旦アジトに戻るぞ。今後のことはそこで話し合うとしよう」
ゼルギアは茜、紫、そして扉の前で待機していた葵を引き連れ、地上へと続く道を目指す。キミたちもまたその背を追い、地底都市インフェルティアを後にするのだった。
最終更新:2019年01月05日 19:43