Another story 第三話 覚え書き

◇今回予告
赤眼の男、ゼルギアによるダブラル襲撃を辛くも凌ぎ切ったどら猫な~ん(仮)一行。
ゼルギアとは一体何者だったのか、エイテルはどうして狙われたのか、そして黒い靄(もや)を弱めたあの雄叫びは何だったのか。
わからないことだらけの現状の中、キミたちはある依頼を引き受けることとなる。

アリアンロッド2E 第3話「伝承を求めて」

冒険の舞台がキミを待つ!

◇オープニングフェイズ
◆オープニング①
ゼルギアとの戦いを終え、ダブラルの街を覆っていた黒い靄が晴れると、付近の家屋の住人たちが続々と外に出てくる。
「おい、今何が起きたかわかるか?」
「いや、俺も気絶してたみたいで…どうなってるんだ?」
どうやら街の人々の多くは気を失っていたようであった。

すると、街の入り口の方から複数の馬の蹄の音が聞こえてくる。
その音は徐々にこちらへと近寄ってくるのがわかった。
キミたちが音のする方へと目を凝らしてみると、馬に跨り先頭を切って走ってくるのはダブラル首長であるフィル・ルースターであった。
「ふぅ、依頼を終えて帰ってきたらこれか。誰か、今の状況を説明できる人はいるかい?」

「…ん?どうやらキミたちは多少状況の理解が出来ているようだね?よし、ここで立ち話というのもなんだから、長老の家まで一緒に来てもらえるかな?」
フィルはキミたちにそう声をかけてくる。

◆オープニング②
フィルに連れられ、キミたちは長老の家を訪れる。長老の家に着くとフィルは周囲の人払いをし、家の中にはダブラル首長であるフィルと、家主である長老、そしてシェンファン、リーフ、ナミキ、エイテルが残されていた。
「さて、詳しい話を聞く前に少し状況の整理をしたいんだけど構わないかな?」

「まずは初めましての挨拶かな?私はフィル・ルースターと言います。このダブラルで首長を務めています。どうぞフィルと呼んでください」
フィルはエイテルの方を向くと挨拶をし始める。
「あ、はい…初めまして。エイテルと申します」
エイテルもフィルの方に向き直ると、丁寧にお辞儀をしながら挨拶を交わした。

「はい、よろしくお願いしますね。…さて、挨拶が済んだところで早速本題に移るけど、私が傭兵団の皆と共に街に帰ってきた際、街には何らかの結界のようなものが張られていてね。色々試してはみたけど、どうやら外部からの干渉を一切受け付けないものだったらしく、街の中に入ることができなかったんだ。で、打つ手もなく暫く様子見状態になっていたところ、結界が突然消えたもんで、周囲を警戒しつつ、慌てて街の中に入ってきたわけなんだけど…」
フィルはそう言うと、キミたちの方に視線を配っており、どうやら状況の説明を求めているようであった。

「なるほど…そんなことがあったんだね。長老はこの状況をどう考える?」
フィルが長老に話を振ると、長老は悩ましげな表情で何やら考え込んでいる。
「むぅ…お主らが見たという黒い靄と、街に張り巡らされた結界…あれは、精霊の力を利用した高位結界術じゃ」

「周囲の者が視認できるほど多くの精霊をその場に呼び集め、その力を使役し結界を張る。しかも、あの結界は外部からの干渉を完全に遮断するばかりでなく、内部にいる他者の力を奪い自らの力に変換するという非常に高度な術式で組まれたものじゃ。そのゼルギアという男、相当な実力者よ…お主ら、よく生き残れたの~…」

「まあ何はともあれ、戦場で生き残るっていうのは傭兵において最も重要な才能だから。こうして誰一人欠けることなく敵を退けたキミたちはよくやってくれたと思うよ。でもエイテルさんが狙われていたというのは…どうしてだろうね?そのゼルギアという男は何か話してはいなかった?」

「そうか、その男がそんなことを…。薄々そうかもしれぬと思ってはいたが、これは放っておくわけにもいかなくなったようじゃの~…」

「エイテルさん、もしや貴女は“森の女神”なのではないですかな?」
「…え?」
突きつけられたその言葉に、エイテルは困惑の表情を浮かべている。
「魔を封じておるとされる危険な場所に、何の力も持たぬおなごが1人で入って行ったというのはどうにも考えにくいことじゃ…しかし、入って行ったわけではなく、あの場所に初めからおったというのなら説明はつく。そしてゼルギアという男、そやつはもしかしたら……いや、今日のところは、この話はここまでにしておこう。お主らも、今日は家に帰ってゆっくり休むとよい」

「まあまあ。キミたちが疲れているのは確かなんだし、長老の言う通り、今日はこれくらいにして休むことにしようじゃないか」

キミたちが長老の家を出て、各々の家に向かっていった後
「長老、どうやら賽は投げられたようだね。おそらく次は…」

◆オープニング③【シェンファン】
長老の家を出て、キミたちが各々の家へと帰宅していった後、シェンファンもまた宿屋で身体を休めていた。すると、突然の来客が訪れ、部屋の扉をノックする音が聞こえてくる。

キミが部屋の扉を開けると、そこにはフィルの姿があった。
「やあ、夜遅くにごめんね。ちょっと話があるんだけど、入れてもらっても構わないかい?」

「ふぅ…今日はお疲れ様。ここんとこ街に来た依頼をリーフたちとこなしてくれていたそうだね?人手も足りてなかったし、助かったよ」

「それで、今日ここを訪ねたのは昔キミに頼まれた件について話をしておこうと思って。他の人たちにはあまり聞かれたくなさそうだったし、私もバタバタしていたからすっかり話をするのが遅くなってしまった」

「単刀直入に言うと、他者に乗っ取られた肉体を取り戻す方法…私なりに調べてはみたんだが、残念ながら具体的な方法に関して有益な情報は得られなかった。そういうことに特化しているのはやはり、キミがいた東方世界のカンナギたちなんだろうけど、こちら側、西方世界ではキルディアのシャーマンたちが詳しいかもしれない。あとは…そうだな、魔術関連の知識ということであればエルクレストの大図書館に当たってみるのもいいと思う。とまあ、私から話せることはこんな感じなんだが…大した力になれなくて申し訳ないね」

「キミがどうしてそんなことを知りたいのかはわからないけど、わざわざこちら側に来てまで調べているのだから、キミにとっては大事なことなんだろうね」

「もしキミがエルクレストの大図書館を当たるというのであれば、私から知人に連絡を取って図書館を利用できるようにしておこう。…ただ、その代りと言ってはなんだけど、またキミに1つ頼みごとをしたい」

「明日、改めて皆に伝えようとは思ってるんだけど、ドラドル、リーフ、ナミキ、そしてエイテルさんで、彼女の記憶を取り戻すための旅に出てもらおうと思っているんだ。そこにぜひキミにも同行してもらいたい。どうかな?」

「ありがとう。リーフもドラドルも放っておくと偏った食生活を送って、栄養失調で倒れかねないからね。キミがいてくれると安心だ。よろしく頼むよ」

「それじゃ時間も遅いし、そろそろお暇しようかな。それじゃまた」

くっまだ、まだ見つからないのか

◆オープニング④
翌朝、キミたちは首長から呼び出され総務局を訪れていた。
朝の総務局は仕事に向かう傭兵たちで溢れかえっており、昨日の襲撃が嘘のように活気に満ちていた。
「おっはよー!新人諸君っ!おっ!今日はドラドルくんもちゃんと一緒だね?いやー元気になって何よりだよー」
受付嬢のチルチルが元気よくキミたちに声をかけてくる。

「さてさてっ!これからキミたちには、ひっじょ~に重要な依頼に取り掛かってもらうよっ!拒否権はないから心して聞くようにっ!」

「よし!誰も反論はないようだねっ!素直でよろしい!」

「それじゃ仕事の内容に関しては、首長から直々に説明があるからね!首長ー!カモーンっ!!」
「いやはや、いつも元気だね~チルチルは」
キミたちが声のした方を振り返ってみると、苦笑いを浮かべたフィルがこちらへと歩み寄ってきていた。
「元気っ娘が僕の売りだからねっ!依頼でお疲れの皆に僕の元気を分けてあげるよっ☆」
「うん、いつもありがとね。それじゃあ早速、皆に依頼内容の説明を始めようかな」

「端的に言うとね。キミたちには、エイテルさんに記憶を取り戻してもらうべく、彼女と共に旅に出てもらおうと思っていてね」

「長老としてはもう暫くこの街で様子をみていようと思っていたみたいなんだけどね、キミたちも知っての通り、彼女を狙う者がこの街に攻め入ってきた。しかも、ご丁寧にも単独で、傭兵が集うこの街に、だ。相手が力量も計れない愚か者でなければ、おそらく相当な手練れというわけだね」

「昨夜の一件で、彼女がこの街にいることは相手にバレてしまったし、そもそも相手の結界術の性質上、数で攻めるような戦い方はあまり利口とは言えない。その点、キミたちは昨晩の戦いで相手の結界内でも自由に行動してみせたし、街の外に出てしまえば相手に消息を掴ませづらくもなる。キミたちほど、この依頼に適任な人材はいないというわけだ。…どうだい?やってくれるかい?」

「うん、ありがとう。まずは南方にあるエルクレストの街に向かうといい。あの街なら神話や伝承に関する資料も沢山あるだろうし、信頼できる知人もいるしね」

「エルクレスト・カレッジで教員をやっているエルヴィラさんという方だよ。優しくて面倒見のいい女性だから、安心していい」

「それじゃ早速旅の支度を始めてくれ。そうだな…今から3刻後に街の入場門前に集合しよう。それじゃ解散っ!…っと、そうだ。ナミキは後で家に寄ってもらってもいいかな?少し話があるんでね」

◆オープニング⑤【ナミキ】
ナミキがフィルの家を訪れると、フィルはいつもの朗らかな表情でキミを出迎え、お茶を振る舞ってくれる。
「大したもてなしも出来なくて悪いけど、よかったら飲んでくれ」
そう言うとフィルは湯のみをキミの前に差し出す。

「ズズッ…ふぅ……話と言うのは、キミたちのエルクレスト行きに関してだ」

「キミにとってあの場所は苦い思い出しかないかもしれないけどね…私は、良い機会なんじゃないかなって思ってるんだよ」

「キミはキミ自身が抱えてしまったものをもて余してしまっているように私には見えるからね。積極的にそれをどうこうしろと言っているわけではないよ?ただ、それに振り回されて、キミがキミ自身の人生を生きられなくなってはやっぱりいけないと思うんだ」

あの人と同じことを言う あの人のようになれるように 変なところ

「この旅はエイテルさんの記憶を取り戻すためのものだ。でも、旅の目的は何も1つでないといけないわけではない…キミにはこの旅の中で、キミ自身の目を通して色々なものを見てきて欲しい。そして色々なことを経験して、自分の意志で、この先の未来を決定していくんだ」

「キミのご両親のことなら心配は要らない。あそこはどこよりも安全だし、彼等は信用できる人たちだからね」

「うん、キミが出した結論を私も楽しみにしているよ。…それともう1つ。これは私から折り入ってキミにお願いしておきたい。リーフとドラドルのこと、どうかよろしく頼む。私はあの2人と血の繋がりはないけれど、実の子供のように育ててきたつもりだ。それこそ、2人が失くしてしまったものを埋めてあげられるように。でもきっとこの旅で、2人が辛い現実にぶち当たることもあると思うんだ。だから、どうかその時にはキミの力を2人に貸してあげて欲しい。よろしく頼む」
フィルはそう言うと、キミに向かって頭を下げた。

「ありがとう」

◆オープニング
ニャルフォンス
「アイツ、オイラの存在に気付いてたにゃ。トラップをアイツに向けて作動させた後、黒いのがグワーってオイラの方に押し寄せてきて、逃げるのが大変だったにゃ」

人とは違う気配

マスター
「そうだ、リーフ。これから長旅に出るんだってな。こいつは選別だ。持っていきな」
そう言ってマスターは酒瓶を一本キミに手渡してくる。火酒(アイテムP61)入手。

ハムスター
《食べ物をあげますか?》【空腹判定:10】
野菜&にく:2 / 果実:3 / 料理:5
書簡→『偽りの神に集いし者たちを駆逐せよ』

エイテル(ドラドルとの友好度1上昇)
「皆さんにはご迷惑をお掛けしてしまって、本当に申し訳ございません…」
「私は、長老さんがおっしゃっていたように、本当に森の女神なのでしょうか?未だに何も思い出せなくて…」
「ありがとうございます。これからもどうかよろしくお願いします」

記憶ない 背中に乗せてくれ

◇ミドルフェイズ
◆ミドル①
3刻後。キミたちは首長に言われた通り、旅の支度を済ませ街の入場門前に集まっていた。そこにはフィルと長老、そしてチルチルがキミたちを見送りに来ていた。
「それじゃあ皆、道中十分に気を付けてね」
「リーフ、あまりいたずらばかりして皆を困らせるでないぞ。ドラドルはあまり食べ過ぎぬようにな」
「ははは、長老。二人共もう子供じゃないんだから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。…それじゃあナミキとシェンファンも気を付けてね。」

「ちょおっと待ったああああ!!キミたち、そんな軽装備で旅に出るつもり?!ピクニックじゃないんだよ?!!首長も!なに普通に送り出そうとしてるんですか?!」
「え、でも道中で色々調達していけば大丈夫じゃ…」
「あっまーーーーい!!!そんなサバイバルな旅を初っ端から想定してどうすんですか?!だいたい寝るとことかどうすんですか?!野宿ですか!エイテルさんもいるんですよ?!あーもう!これだから男共は…!」
「ははは…面目ない」
チルチルの勢いに、フィルは苦笑いを浮かべ、たじろいでいる。

「全く…やっぱり見送りに来といて正解だったよ。ほら、馬車を用意しておいたから使って。水とか食料とか道中必要なものもある程度積んであるから」

「うん。皆、元気でね。もし寂しくなったら馬車の天蓋を見上げてみて。僕の特大ポスターが貼ってあるから、それを見て元気を出して☆」

「それじゃあ今度こそ。皆、気を付けて。また元気な姿を見せてくれ」
そうして皆の笑顔に見送られ、キミたちの旅は始まった―――。
※ 馬車(アイテムP65)入手。街から街への移動中は基本的には馬車に全員騎乗もしくは同乗しているものとする。またその状態で戦闘に入った場合、馬車は耐久値(HP)が100に設定され、0になると馬車は破壊され、積荷も奪われるものとする。

◆ミドル②
キミたちが南方に位置するエルクレストへと向かう道中、街道脇に具合が悪そうにうずくまっているマントを被った人の姿を発見する。
【声をかける】→【危険感知:達成値13】
【成功】→PCはその人に声をかける直前、妙な気配を察知し、皆に注意を促す。
     「ちっ!気付かれたか!野郎共、やっちまえ!!」
【失敗】→PCはその人に近付き、声をかける。
     「すみません。少し気分が悪くて…でも大丈夫そうです、よっ!!」
     そう言うと、その人はキミの腹部に強烈な拳による一撃を加える。
     PCに[4D+11]の物理ダメージ&奇襲攻撃
【声をかけない】→ 奇襲攻撃

【戦闘】賊robber(「ボディガード」エネミーP53)lv4×5

◆ミドル④
旅の夜を迎える。キミたちは途中にあった小川の側へと馬車を付け、野宿をすることにする。夜空には星々が輝き、穏やかな川の流れがキミたちの眠気を誘った。
【危険感知:達成値15】
 【成功】→キミは誰かに見られているような気配を感じ、他の人たちにも警戒を促す。
      すると、ガサガサッ!近くの茂みから武装した黒づくめの男たちが現れ、攻撃を仕掛けてきた…!
 【失敗】→奇襲攻撃

【戦闘】明度2(すべての行為判定のダイスが1個減少)
    暗殺者assassin(「ドラゴントゥース」エネミーP53)lv5×3

◆ミドル⑤
キミたちは数日間に及ぶダブラルからの道のりを経てエルクレストに到着する。賢者の街エルクレスト。多くの知識人がこの街に集い、魔道の道を志した多くの若者が日夜研鑽に励む。また、この街には豊富な知的財産と魔道具が保管されており、それらを狙って陰で蠢く勢力が後を立たなかった。
「あの~。もしかして、どら猫な~ん(仮)の皆さんですか?」
街の中に入ると、学生服を身に纏い頭には真っ黒な魔女の帽子を被った一人の少女が、キミたちに声をかけてくる。

「やっぱり!良かった~。無事に皆さんと合流することができて。あ!申し遅れました。私はファムリシアと申します。ファムって呼んでください。エルクレスト・カレッジの学生で、今日は皆さんの案内係をするようにとエルヴィラ先生から言付かってます!若輩者ではありますが、何卒よろしくお願い致します!」

「早速ですが、校内にて先生がお待ちですので、そちらにご案内致しますね」

ファムに案内されるままに、街中を通ってエルクレスト・カレッジへと向かっていると、道端で話をしている学生たちの会話がキミたちの元まで聞こえてくる。
「…聞いたか?アルテインで神具が奪われたってよ」
「…あぁ、聞いた聞いた。街も大半が燃やされたらしいぜ。怖ぇよなー」
「…こういう事態が起こる前に神具をこの街に預けるようにって先生たちも再三言ってたのに。勿体ないことをしたぜ、全く」
聞こえる限りではあるが、どうやらアルテインの街で神具が奪われたらしいということがその話からわかった。

「…北にあるアルテインの街が先日魔族に襲われたそうです。街で祀っていた神具も奪われてしまったみたいで…」

「奪われてしまったものは仕方ありませんが、やはり惜しいことをしたなとは思います。奪われてしまった神具に関してはまだきちんと調査がなされていませんでしたし…」

「その点、この街にも創設時から神具は保管されていますが、警備が厳重なので何も心配は要りません。エルクレスト・カレッジの魔道技術は凄いですから!」

「ささっ!そんなことより早く先生の元に向かいましょう!」

◆ミドル⑥
ファムに案内されるまま、キミたちはエルクレスト・カレッジの敷地内へと入っていく。敷地内ではファムと同じように学生服に身を包んだ多くの若者たちがそこかしこで何やら小難しい話を繰り広げており、さすがはエリンディル内でもトップクラスの学生たちが集う学校だけはあるといった様子であった。そのままキミたちが敷地内にある建物の1つへと入っていくと、豪華なエントランスがキミたちを出迎える。エントランスの中央には1人の女性が佇んでおり、キミたちの姿を見付けると、ふっと微笑みを浮かべる。

「あっ!先生ー!大変お待たせしました!どら猫な~ん(仮)の皆さんをお連れしてきました!」
ファムは大きな声でそう告げると、その女性の元へパタパタと駆けていく。
「ご苦労様、ファムリシアさん。…皆さん、初めまして。私はこの学校で教員をしていますエルヴィラと申します」

「皆さんのことはフィルさんから伺っていますわ。今日は当大学の大図書館で調べ物をしたいとのこと…皆さんが必要とするものがあるかはわかりませんが、当大学ほど豊富な資料が揃っている場所もないでしょう。どうぞこちらへ。ファムリシアさんも皆さんのお手伝いをして差し上げて」
「はい!」

◆ミドル⑦
エルヴィラに連れられキミたちが建物の奥へと進んで行くと、吹き抜けになった3階建ての大きな図書館に出てくる。広さと高さを備えた建物の壁際にギッシリと蔵書が収まったその光景は圧巻だった。
「到着しました。こちらが当大学の誇る大図書館です。この大図書館は5つの棟に分かれ、ここが受付と倉庫、閲覧室を兼ねている総合受付棟となります。5つの棟の中央に位置するこの棟から他の4つの棟へと通路が分岐し、神学と法学関連を所蔵している光の館、魔術や天文学に関わる書を収める星の館、錬金術および美術、建築に関する書を所蔵する水銀の館、歴史や地学、生物学関連を所蔵する時の館、詩や物語を収める薔薇の館へと繋がっています。本日は後5刻ほどで閉館の時間となってしまいますが、それまでは皆さんのご自由に調べ物をしていただいて構いません。どうぞごゆっくり」

【調査イベント】
図書館にて情報を得ましょう。皆さんは5ラウンドの自由行動が可能です。蔵書を読むためには、各々の蔵書に設定された【知力判定】の達成値を達成する必要があります。1冊の本を読む毎に1ラウンドが経過し、専門性が高くなる書籍ほど達成値が高くなっているため、誰がどの本を読むか、考えて分担していきましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【神魔伝承Ⅰ―エルダの民―】【神魔伝承Ⅱ―風の粛清―】【神魔伝承Ⅲ―水の粛清―】
【神魔伝承Ⅳ―地の粛清―】【神魔伝承Ⅴ―火の時代―】【神魔伝承Ⅵ―妖魔の王―】
【神魔伝承Ⅶ―魔族―】【神魔伝承Ⅷ―邪悪化―】
【千年桜物語Ⅰ】【千年桜物語Ⅱ】【千年桜物語Ⅲ】【千年桜物語Ⅳ】【千年桜物語Ⅴ】
【エリンディル史Ⅰ―王国の成立・2大王国の衝突―】
【エリンディル史Ⅱ―エリンディル統一・宗主国の分裂―】
【エリンディル史Ⅲ―魔戦将襲来・キルディアの共和制―】
【エリンディル史Ⅳ―帝国の侵攻・同盟の結成―】
【精霊術基礎学ⅠA】【精霊術基礎学ⅡB】【精霊術基礎学ⅢC】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【神魔伝承Ⅰ―エルダの民―】達成値:10
【神魔伝承Ⅱ―風の粛清―】達成値:10
【神魔伝承Ⅲ―水の粛清―】達成値:10
【神魔伝承Ⅳ―地の粛清―】達成値:10
【神魔伝承Ⅴ―火の時代―】達成値:10
【神魔伝承Ⅵ―妖魔の王―】達成値:10
【神魔伝承Ⅶ―魔族―】達成値:10
【神魔伝承Ⅷ―邪悪化―】達成値:10
【千年桜物語Ⅰ】達成値:8
【千年桜物語Ⅱ】達成値:8
【千年桜物語Ⅲ】達成値:8
【千年桜物語Ⅳ】達成値:8
【千年桜物語Ⅴ】達成値:8
【エリンディル史Ⅰ―王国の成立・2大王国の衝突―】:達成値:10
【エリンディル史Ⅱ―エリンディル統一・宗主国の分裂―】達成値:10
【エリンディル史Ⅲ―魔戦将襲来・キルディアの共和制―】達成値:10
【エリンディル史Ⅳ―帝国の侵攻・同盟の結成―】達成値:10
【精霊術基礎学ⅠA】達成値:13
【精霊術基礎学ⅡB】達成値:13
【精霊術基礎学ⅢC】達成値:13
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【千年桜物語】全巻読破イベント
物語を全て読み終えると、ドラドルは突如激しい頭痛に襲われる。
割れるような痛みの中、頭の中には霧が僅かに晴れたようなぼんやりとした光景が広がってくる。
暖かな木漏れ日が差し込む静閑な森の中。
自分よりもずっと大きな身体をした屈強なドラゴンと1人の女性とが穏やかな笑みを浮かべながら対話を楽しんでいた。
そして、その光景が再び霧の中へと閉ざされていくと、ドラドルの頭痛もまたおさまっていた。

【精霊術基礎学】全巻読破イベント
キミたちが精霊術基礎学を全て読み終えると、近くで別の資料に当たっていたファムが声をかけてくる。
「あれ、精霊術基礎学を読んでいるんですか?それ、私たちが普段使ってる教科書なんです」

「授業で習ったことなんですが、神霊と契約を交わした魔道士の身体には、神魔の刻印と類似した刻印が刻まれるそうですよ。私も契約とまではいかなくても、一度でいいから神霊と会ってみたいな~。まぁ私の霊応力では、神霊と他の精霊を区別することなんて出来ないと思うので、それも難しそうですけど」

【調べ物イベント終了後】
キミたちが調べ物を終えると、ふとエイテルが涙を流していることに気が付く。

「え…?私は…どうして、泣いているのでしょう…?何だかとても…悲しい気持ちが込み上げてきて、胸が、苦しい…」

「…すみません。何も思い出せないままなのに…どうしてこんな…」

「いえ、もう…大丈夫、です。私の記憶を取り戻すために、皆さんにご協力いただいているのですから…私も、頑張らなくては」
エイテルはそう言って切なげな笑顔を浮かべた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆ミドル⑧
閉館の時間を迎え、キミたちは調べ物を切り上げ、外へと出る。キミたちはファムに案内され、宿へと向かっていた。外はもうすっかり日が暮れており、視界には夕闇が広がっていた。

「皆さん、お知りになりたかったことについては調べられましたか?」

「そうなんですねー…。うーん…こんな時、禁書があれば、すぐに何でもわかるんでしょうけど…」

「あ、学校に伝わる七不思議みたいなものなんですけど。この大図書館のどこかに、世界中のあらゆる知識を詰め込んだ魔道書が存在するそうなんです。それがあれば、皆さんの知りたいことに関してもわかりそうだなって」

「でも、そんな実在するかもわからないものにすがってても仕方ないですね。よし…!明日も引き続き、地道に頑張りましょう!ではちょうど宿屋にも着きましたので、私はここで。皆さんのお部屋は先生がご用意して下さったそうです」

「皆さん、ゆっくり休んでくださいね。それでは!」
ファムはそう言うと、来た道を引き返し、大学の方へと戻っていった。

エルヴィラ お身体の調子→あの方がかけてくれた術が正常に効いている
両親の師 いつか元気で会えるといいなー

◆ミドル⑨
キミたちが宿屋に入り店主に話をすると、エルヴィラが用意していたという部屋へと通される。何日も野宿が続いていたキミたちは、広々とした室内で休めるというだけでも快適さを感じていた。

「皆さん、本日もお疲れ様でした。今、お茶をご用意しますね」
この数日間の旅を通して、エイテルも自分に出来る仕事を探し、様々な雑用をこなしてくれるようになっていた。お茶汲みもまたその1つであった。エイテルは人数分のお茶を淹れ終えると、キミたち一人一人にそれを手渡していく。その場に流れる穏やかな雰囲気に、キミたちはほっと一息ついていた。

【PCに適当に会話してもらう】

キミたちがそんな会話を繰り広げていると、
「カン!カン!カン!カン!」
突如、街の警鐘の音が鳴り響く。

キミたちが外へと出ていくと
「妖魔だ!妖魔の大群が湖から攻めてきたぞー!!」
「街の中にも既にかなりの数が入り込んでやがる!一体どこから?!」
「非戦闘員は建物の中に入れ!戦闘員は街中の妖魔の駆逐と沿岸の防衛だ!!」
慌ただしく人々が行き交い、街中はかなりの混乱状態に陥っていた。

「皆さん、待って下さい。…おそらく敵の本隊は、あちらです」
エイテルはそう口にすると、エルクレスト・カレッジの方向を指差す。

「…私にもよくわかりませんが、街中に感じる人とは異質な者の気配が一番強いのはあちらの方角なので」

【行き先を選択】
沿岸/賢人の広場/神殿

◆ミドル【沿岸】
キミたちが街の沿岸へと辿り着くと、波のように押し寄せる妖魔の大群と、それを湖へと押し戻そうとする傭兵たちが交戦している光景を目の当たりにする。妖魔たちのあまりの数の多さに、傭兵たちも圧されているようであり、このままではそう長くはもたなそうな戦局となっていた。
「ちっ…!エルクレスト・カレッジの魔道部隊はまだか?!」
「伝令は送っている!暫く凌いでいれば援軍も来るはずだ…!」

「果たして援軍はこちらに来れるでしょうか…?この戦局…おそらく援軍が来なければ街は…」
エイテルは戦場を見ながら物憂げな表情を浮かべる。

と、その時、傭兵たちがうち漏らした妖魔の一部がキミたちへと襲い掛かってきた…!

【戦闘】水魔demon A(「ウォーターエレメンタル」エネミーP93)lv4×2
Turn1経過後 → 水魔demon B(「ブルーマン」エネミーP86)lv5×2出現
Turn2経過後 → 水魔demon C(「ウォーターリーパー」エネミーP118)×2出現

うち漏らした妖魔を撃退し、キミたちが再び戦場を眺めると、先ほどよりも負傷している傭兵たちの数は増え、生存者の数も軒並み減っていくのがわかる。
「…このままでは…また、私は何も出来ずに…」
エイテルは涙を流し、その場に崩れ落ちる。

「…だめ…止めなきゃ…もう、やめて…!」
顔を伏せたままエイテルがそう口にすると、彼女の身体が突如光を放ち始める。光は天高く立ち上ぼり、その場にいた誰もがその光の柱を見上げ、戦いの手を止めていた。徐々にその光は薄れていき、光が完全に消えると、エイテルはその場に倒れ伏す。

キミたちがエイテルを連れ、その場を離れようと戦場を眺めると、今まで統率された動きで攻撃を仕掛けてきていた妖魔たちの中に、突如湖へと引き返す者が現れ、その場に残った者もそれまでのような連携は取れなくなっていた。

【次回、謝礼金8000G獲得】

◆ミドル【賢人の広場】
キミたちがエルクレスト・カレッジを目指し進んで行くと、街の中央に位置する賢人の広場に辿り着く。広場の噴水は妖魔の手によって破壊され、付近の家屋にも荒らされた形跡が残っていた。すると、広場の中央付近に1人の傭兵が倒れていることにキミたちは気が付く。

「うぅ…お前たち、傭兵か…?」

「俺は、カレッジの魔道部隊に、援軍の要請をしに行く途中だったんだが…だめだ、カレッジには今、上級魔族が…ぐっ!」

「あれはおそらく…魅惑の水蛇、ディマーダ。西方の海域に住むと言われる海の悪魔だ」

「頼む、神具を…魔族に神具を渡すわけには、いかない」

「俺なら大丈夫だ…近くの家屋にでも隠れて少し休んだら、そっちに向かう」

キミたちは傭兵と別れ、エルクレスト・カレッジの正門へと向かった。

【行き先を選択】
大図書館/大型実験場/ゴーレム保管庫

◆ミドル【神殿】
キミたちが街の北西部にある神殿へと向かうと、そこにはある種の異様な空気が流れ、街での戦闘が嘘かのようにしんと静まり返っていた。神殿の入り口では2人の聖騎士が見張りをしており、周囲には妖魔が数体倒れていた。

キミたちが神殿に近付き、騎士に声をかけようとすると
「…現在、この神殿は立入禁止区域となっている。それ以上近寄れば、貴殿を敵とみなし排除する」

「当神殿は緊急時において第一種立入禁止区域へと移行され、何人であろうとも神殿に立ち入ることは許されない。また、我々は緊急時に神殿へと立ち入ろうとする者を強制排除することが認められている。痛い目をみたくなければ、直ちにこの場より立ち去れ」

◆ミドル【大型実験場】
キミたちがエルクレスト・カレッジの奥にある大型実験場へと向かうと、そこには巨大なドーム状の建物が建っていた。先日ファムに聞いたところによると、この建物はラーフ大洞窟から建築家を呼んで造らせた物であるらしく、中は広大なグラウンドとなっており、普段は学生が新しい魔法の使用や、召喚魔法などの大がかりな魔法の実習、人造生物の性能テストなどに使用しているとのことであった。キミたちはそのドームの入り口前に歩み寄る。

【入場】→奇襲攻撃 ※ 聞き耳の使用可能

【戦闘】人造生物creature A(「バルーンスライム」エネミーP100)×2
Turn1経過後 → 人造生物creature B(「ミラージュフォッグ」エネミーP101)出現

キミたちが襲い掛かってきたモンスターに気を取られていると、実験場の中から新たなモンスターが出現する。実験場の中を覗いてみると、まだまだ多くのモンスターが控えており、このままだと際限なくモンスターと戦う羽目になりそうであった。その時、エイテルが実験場の入り口へと駆け寄っていくのがキミたちの目に映る。彼女は重い扉を1人で閉じ、扉を守るようにその場に立ちはだかった。
「皆さん!この扉は私が押さえていますから、その間にそのモンスターを…!」

【戦闘再開】

キミたちが戦いを終えると、エイテルはキミたちの方へと駆け寄ってくる。
「皆さん、大丈夫ですか?!」

「どうやら中のモンスターたちはあの扉を閉めておけば襲ってこないみたいです。今のうちに別の場所へ移動しましょう」

◆ミドル【ゴーレム保管庫】
キミたちがゴーレム保管庫へと向かうと、突如地鳴りと共に爆発音が鳴り響き、保管庫が火の手をあげる。煙を上げ、燃え落ちる保管庫の中から鋭い目つきをしたゴーレムが現れ、キミたちに襲い掛かってきた…!

【戦闘】ゴーレムgolem(「メタルビースト」エネミーP111)

戦闘後、保管庫を調査 → リムブースト・リフレクス(アイテムP128)入手

◆ミドル【大図書館】
キミたちが大図書館の中に足を踏み入れると、日中キミたちが目にした光景は見る影もなく、内部は荒れ果てていた。

「…気配を強く感じるのはこの奥です」
エイテルはそう口にすると、図書館の奥へと向かっていく。

エイテルの後に付き奥へと進んでいくと、キミたちは星の館へと辿り着いた。

【精神判定:達成値15】

成功→辺りの様子を見回していると、キミはあることに気が付く。床の一部に魔術による偽装が施されており、そこには地下へと続く階段のようなものが見えた。どうやら他の人たちはその階段の存在に気付いていない様子であったが、ナミキだけはその階段の先に何が保管されたのかを知っていた。

【達成したPCは経験値10獲得】

失敗→キミたちが辺りの様子を見回していると、エイテルがゆっくりと歩を進め、部屋の中央で立ち止まる。
「ここに階段があります」
エイテルはそう言うと、床の下へと姿を消していく。何が起こったのかわからずキミたちが困惑する中、ナミキだけはこの先に何が保管されたのかを知っていた。

◇クライマックスフェイズ
◆クライマックス1
キミたちが先へと進むと、階段は螺旋を描きながら地下深くへと続いていく。人二人並んで歩くのがやっとという幅の狭い階段には燭台が等間隔に設置されており、一定の明るさが常に保たれていた。10分程度は歩き続けただろうかという頃、キミたちは遂に広い空間へと出てくる。すると…
「先生っ…!」
ファムの声がその場に響き渡り、事態の緊迫した雰囲気が伝わってくる。
「ファムリシアさん、早くお逃げなさい。私が時間を稼ぎます」
「で、でも、私のせいで先生も怪我を…」
キミたちが階段の上から状況を確認すると、エルヴィラとファムリシアが敵と対峙しており、エルヴィラは片腕から血を流しながらもファムリシアを背に交戦しているようであった。

「惜しかったわね。後ろのその子がいなければ、私ともいい勝負になったでしょうに。…さぁ、教えてもらいましょうか?"曙と暁を知る者"…現世の適合者の居場所を」
女人の上半身と大蛇の下半身をもったその魔族は、そう口にすると次の攻撃体勢へと入る。
「貴女たちだって、これ以上多くの犠牲は望まないでしょう?あれのために一体今まで何万の人間の命が犠牲になったかしら?真実から目を背け続ける神の子にとって、あれは争いの火種にしかならない。早々に見限るべきだったのよ」
黙り込み相手の出方を窺っていたエルヴィラがゆっくりと口を開く。
「…確かに、これまで彼の者を巡り多くの血が流されてきました。ですが、私たち管理者(オブザーバー)は一度たりとも彼の者の意志に疑念を抱いたことはありません。星と、この世界と対話することの重責を、私たちは彼の者に委ねたのですから」

「そう…管理者なんてやはり愚かなものね。もういいわ。他者に不条理な重責を押し付けるだけの貴女たち管理者は今ここで排除しましょう…!」

【PCに適当に登場してもらう】

【戦闘】魅惑の水蛇 ディマーダ lv8

◇エンディングフェイズ
◆エンディング1
キミたちは死力を尽くし、上位魔族であるディマーダとの激闘を繰り広げる。しかし、その圧倒的な力の前にキミたちは劣勢を強いられ、既に体力の限界を迎えていた。
「ふふっ。思いの外、骨のある子達だと思ったら、貴方たちなかなかに面白いわね。…いいわ。この場は退いてあげる。貴方たちが今後どういう結末を迎えるかはとても興味深いもの。絶望に押し潰されるか、それとも僅かに見出だした希望にすがり付くのか…楽しみにしていましょう。それじゃあ、また近いうちに会いましょう」
ディマーダはそう告げると、霧の中へと包まれていき、その姿を消した。
最終更新:2019年01月05日 19:56