chronicle ep1 PP~OP

■PREPLAY

◆Preplay 01 溜息から始まる物語


 2019年5月。新たな物語は、深い溜息から始まる。

かい(以下GM):はぁぁ~…大丈夫かなぁ…
PL2:大丈夫だよ~
GM:一応、マスター3回目になるけどさぁ…
せいろん:学園もの2回やったし実質4回よ。
kuro:へーきへーき。
GM:はぁ……よし!やりますよ!とりあえずグランドオープニング読むよ!!


GRAND OPENING

 歴史――。
 それは過ぎ去った時間の重なり。幾重にも重なる流れの中で1つずつ選びとって在る、今。
 自分自身が過ごしている今この時は、自分の選択に導かれた、自分だけの正しい時間。

……本当にそうだろうか?

 あの時この選択をしたからこその今。では、あの時、あの場所で、あの選択をしなかったとしたら……今とは違う「今」があったのかもしれない。

 人は無限の可能性を生きるものだ。
 ではその選択は誰がする?
 人か?それとも別の何かか?
 もし、無限にある可能性を選び直せるとしたら、あなたは、世界は、それを認めるのだろうか。

これは、無限の可能性を追って、自分を、世界を見つける――そんなお話。

アリアンロッド 2E キャンペーン「クロニクル」

君たちは次の歴史を拓いていく――


GM:…というわけで、今回のキャンペーンは、私かい、せいろん、kuroの3人が1話ずつリレー形式でシナリオを担当することになります!

◆Preplay 02 新たな旅人達


今回予告!

 「時は不可逆。目の前の選択を遡ることなんて、普通の人には出来ないことよ。そう、あくまでも“普通の人”には、ね。でも、だからこそ人は願わずにはいられない。『もしあの時をやり直すことが出来たら…』と。
 さて、今日はどんなお客様が来るのかしら。楽しみね。果たして彼らはどんな世界を紡いでいくのかしら。

 『あなたの願い、聞きましょう――?』」

アリアンロッド2Eキャンペーン クロニクル 第1話
「ありえるはずのない出会い」

次の世界が君たちを待つ!


GM:GRAND OPENINGの他に今回予告も作ってたわ(笑)
PL2:おぉ~!なんかいいね、このセリフ調の感じ!
GM:この後は順番に自己紹介よろしくお願いしますね!

◎PC紹介


▶PC① 推奨クラス:アコライト
 君は、今となっては氷深き世界と化してしまった、某国の王族に連なる者だ。精霊の加護を受ける平和な国。この穏やかな時が幾久しく続く、君はそう信じて疑っていなかった。
 だが、世界はそれを許しはしなかった。民のため、そして何より自分のため、君は罪を犯す決意をする。
 「私は行かなければ。でも一体どこへ…?」
 今このままで在り続けていても、この世界に安息の地などない。それだけは明らかなことだった。

PL2(以下ソール):順当に行けばメインヒロインのソールちゃんですっ☆ 種族はヒューリン、髪の色は金、瞳の色は吸い込まれそうな瑠璃色、身長は157㎝。出自は『王侯貴族』で、境遇が『放浪』で、目的が『探索』です。ハンドアウトにある通り、氷雪系の国のお姫様です。とはいえ、もともとは暖かい国だったんだけど、“火の粛清”がありまして……誰かが起こしやがった“火の粛清”がありまして…
kuroごめんって!!!(泣)
ソール:いや、彼は悪くない…彼が引き起こしたんじゃない…。彼の選択が引き起こしたのかもしれない。その選択を今回もう一度どーたらこーたらってオープニングで言ってた(適当)
kuro:ごふっ(吐血)

 “火の粛清”とはいえ、不完全だったため、世界が丸ごと焼き尽くされたりはしなかったが、とある人間関係は焼け野原になったそうな。
 (『EYE'S』のリプレイを参照)

ソール:話を戻して…、その“火の粛清”の影響で国の気候が一変しまして、暖かい国が氷雪の国になってしまって。あとは粛清により、王族が私以外は全滅。内閣総辞職状態です。つまり王族の唯一の生き残りになってしまいました…。このままいったら国が滅びることは必至なので、国を救うために国を捨てて、国や民を救う方法はないのかと旅をしています。データの話に移ると、アコライト/エクセレントです。
kuro:エクセレント…!フェイトで殴る人だ!
GM:勇者だ…!
せいろん:あれ、主人公だ。
ソール:えっと、正統派殴りアコでして、「殴りアコは中途半端」という皆さんの認識を改めてやろうと、ガチめに成長していく予定です。私の国に代々伝わる家宝に『運命の剣』というのがありまして、『生涯に一度、どんなものでも斬ることが出来る』…“どんなものでも”ってのは、お分かりの通り、物体はもちろん概念みたいな、あれやこれやも斬れるというやつ。
せいろん:最終回でまどかになるやつやん!
ソール:まどかになるかは分からん!(笑)1度だけなんでも斬れるけど、それ以外はナマクラ同然です。なのでデータは打撃。
GM:なるほど(笑)
ソール:そんな武器持ってるから、みんなシナリオで自由に使うといいよ(キリッ)
せいろん:そんなこと言ってると、1話から使うハメになるよ。
ソール:それはない!!(笑) ちなみにこのソールって名前は偽名でして、本名出すと「あ、あそこの王族だ」ってバレちゃうので。王族とか国とかの設定は秘密チャットしてくれればお話しします! 以上!
GM:はーい、了解です。【行動値】は?
ソール:【行動値】は5です!


▶PC② 推奨クラス:メイジ
 君は極東の街「日本」に住むごく普通の人間だ。
 昨日と同じ今日、今日と同じ明日。いつまでも続く、平凡で変わらない毎日。平凡な中にあって少しだけ違うことと言えば、若干不幸体質だったり、アルバイト先が独特であることくらいだろうか。
 「ああ、何か面白いこと、起きたりしないかな」

GM:はい、続きましてPC②の「なんかやることないかなー」の人。
kuro(以下ユースケ):雑かよ…。名前はシロヤ・ユースケです。種族は≪アーシアン:召喚≫です。出自とかは物語にどう巻き込まれるかで決めようかなと思っております。
せいろん:この子はハイスクールマン?
ユースケ:大学生だね。入ったばかり。でも、もうつまらなくなってる(笑) 謎のアルバイトについてはもうGMの方で決まってるの?
せいろん:見えないものが見えるバイトじゃないの?
GM:見えないものが見えるバイトではないけれど!(笑)きっと買い出しに行かされたりしますよ。
ユースケ:了解。その辺は合わせていくよ。それでクラスは、メイジ/サモナーですね。
GM:あれぇ?
せいろん:何か腹が黒くなりそうな…
ソール:黒そう。もうすでに黒そう。

 この卓の1作目、『クルシスの冒険』のPCの1人である『カイ』も同じくメイジ/サモナーだった。
 他のキャンペーンでもたびたび登場し、持ち前の腹黒さを如何なく発揮。
 その謀略により壊滅した組織や街や国は数知れず、その際には高らかな笑い声が響いていたとかいなかったとか。

ユースケ:いやいや!彼とは違ってサモンせず、ファミリアで戦うタイプです。
ソール:ファミリア型か。ファミリアみんな好きだよね。私も好き。
GM:ファミリアは何が飛び出してくるんです?
ユースケ:それはまぁ、出した時のお楽しみってことで。【行動値】は8だね。
GM:はーい。他に何か言う事は?
ユースケ:メイジなんで、身体能力はお察しですよ!!


▶PC③ 推奨クラス:シーフ
 君は数ある遺跡や遺構を調べて回る冒険者だ。
 宝になんて興味はない。自分が求めているのは、あの時目の前で選べなかった選択をもう一度……あの時へ帰る方法だけだ。
 「今度こそ、自分は躊躇わない…」
 秘めた思いを胸に、君は1人、今日も挑戦を続ける。

せいろん:えっと、この人はですね、過去はすべて抹消されました。
一同はい???
ユースケ:一番最初の情報がそれ?(笑)
せいろん:だから分かりません!
ソール:あぁ、そういうこと…
せいろん:ただ歴戦の冒険者であったことは確か。
ソール:じゃ、強いて言えば何て名乗ってるの?
せいろん:強いて言うなら?いや、名前はまだないよ。
GM:別のところで似た設定のやついたな…。
せいろん(以下シフ):まぁ、じゃあ…シーフなんで、シフさんで。
GM:諸事情あって、2話目以降にリビルドされるかもしれないと。
シフ:そう、だから何が出来るかとか聞いても無駄なの。(一同爆笑)
GM:まぁいいでしょう(笑)

 諸事情(=プレイする日をすっかり勘違いしていたので、突貫データでした)
 うっかりさんめ。

シフ:たぶん、何かしらの事件があり、やらかしたのか、やらかされたのか、何かを失ったわけですね。友人なのか恋人なのか…冒険の仲間だったんじゃないかな。そういう大切な人を守れなかった選択をやり直すための冒険ですよ。
GM:分かりました。今のところで【行動値】はおいくつ?
シフ:13です。
ユースケ:速ェな!
GM:さぁ、こんなもんですかね。ではオープニング入りますよ!


■OPENING PHASE

◆Opening 01 決意の王女(プリンセス)


 守護精霊、アリアンロッド。運命の女神とも称されるその祝福を受ける国。
 かつて栄光と繁栄を築いたその国であったが、今はかつての姿が想像出来ないほど国土は荒れ、寒冷化が進み、国民は滅亡の時をただ待っているようだった。
 かつて突如として発生した“火の粛清”を思わせる災害の後、ただ1人生き残った王女ソールは、今日もこの現状を打破できないものかと、神官ジュードと相談していた。

GM:ソールさんに登場してもらいますよ。
ソール:私ですね。…あのさ、結局CVのイメージが定まらなくてさ。そうするとキャラも定まらないんだよ!
シフ:お嬢様系なんでしょ?松○か子でいいじゃん。(一同爆笑)
ソール:そうじゃないっ!!お姫様だけども!!松○か子ではない!
シフ:じゃあ、神田沙○加にする?
ソールアナ雪から離れろ!!歌い出しちゃうだろ!
GM:とりあえずシーン始めていいですか?(笑)
ソール:あぁ、そしたら…「今月はもう、10人も国民が亡くなったと聞きました。私たちはこれを、ただ見ていることしか出来ないのでしょうか…」
GM(ジュード):「残っている文献を出来る限り調べていますが、今の私たちでは、なぜ、かのような災害が発生したのかを突き止めることも出来ず、今後どのようにしていけばよいのかも分かりません…」
ソール:きっと、女を苦しめるような男のせいで起きたんでしょう…!(一同爆笑)
ユースケハァーッ!ハーッ!ハァーッ!(過呼吸)
GM(ジュード):「しかし、あの粛清以降、かつてはこの国に恩恵をもたらしてくれた運命の女神も、その姿を隠されてしまい…」
ソール:「私の問いかけにも、何も答えてくれなくなってしまいました。一体、守護精霊はどこへ…」
GM(ジュード):「日々、他の大臣たちも『今こそ王家に伝わる“伝説の武具”を使う時ではないか』と、私に進言してくるのですが、王女はそれについてはいかがお考えですか?」
ソール:「“運命の剣”を用いることで、この現状を打破することが出来るのであれば、喜んでこの剣を振るいましょう。しかし……一体何を断ち切れば良いのか、私には見当が付きません…」
GM(ジュード):「そう、ですね…。“運命の剣”については、『物質だけでなく概念をも断ち切ることが出来る』ということしか伝わっておらず、具体的なことは何も分かりません。しかしこのまま、国の滅亡を待っているわけにいかないのも事実です」
ソール:「ジュード。私にひとつ考えがあるのですが…」
GM(ジュード):「なんでしょう?」
ソール:「この国でアリアンロッド様と意思の疎通が出来るのは、もはや私のみ。だから私がこの世界を巡り、アリアンロッド様を探しに行こうと思うのです」
GM(ジュード):「この世界を…」
ソール:「しかしそれは同時に、苦しんでいる民を見捨てることにもなります…」
GM(ジュード):「王女はお優しいですね…。ですがその御心は民にも届いていると存じます。……そうだ、王女、少々お待ちください。アリアンロッド様がこの世界におられないということであれば、『この世界ならざる場所』ならばと、文献を探していたのです」
ソール:「『この世界ならざる場所』?」
GM:ジュードはとても古めかしい本を持ってきました。
ソール:「その本は?」
GM(ジュード):「魔術の方面で何かヒントはないかと探していた際にたまたま見つけたものなのですが、この本によれば、この世界とは次元の異なる別の場所に、運命をも捻じ曲げる力を持つ者がいると…」
ソール:「それは本当ですか!」
GM(ジュード):「古い書物ですし、書かれている内容の真偽はおろか、いったいこの本が、いつ、どのように書かれたものなのかも分かりません。ですが、その力を振るう者の元へと転送する術式が記載されていました」
ソール:「それを教えてください!」
GM(ジュード):「…しかし、本当によろしいのですか?書いてあることが本当だったとしても、この術式で転送できるのは一人のみ。それに、送られた先がどんな場所なのかも分かりません」
ソール:「ですが、このままただ指をくわえて、国が滅びていくのを見ているつもりはありません!どんな危険を伴おうとも、可能性があるのであれば、私はやらねばならないのです!」
GM(ジュード):「……そうですか。分かりました。そこまでのお覚悟があるのでしたら、私は止めません。この本によれば、転送する先は『月の力を持つ者』の元へ送られるそうです」
ソール:「月の力……ブリガンティア神と何か関係があるのでしょうか?」
GM(ジュード):「詳しいことは分かりませんが、ブリガンティア神は予言を司る女神です。『運命を捻じ曲げる』というところからも、何か関係はあるかもしれません。……では、王女様。ご準備が出来ましたら、あなた様をかの元へお送りいたしましょう」
ソール:「ええ。ジュード、私がいない間、この国を、民を頼みました」
GM(ジュード):「承知いたしました」 と、この後何もなければ転送になりますが、いいですか?
ソール:うーん、もう行くしかないよね。
シフ:本当にいいの?NPCには話しかけた?宝箱もとった?
ソール:NPCとはだいぶ話したからよくない?そんで宝箱はないよ!私の所持金18Gだって言ったでしょ!お金ないのよ、この国は!(笑)

 滅亡しそうとはいえ、18Gしか王女が持っていない国ってどうなんだろう。

GM(ジュード):「王女、どうかあなたの旅に幸があらんことを。必ずご無事にお戻りください…!」
ソール:「ええ、必ず。行ってくるわ!」

 ソールが答えると、足元に魔方陣が展開する。その光景を目にしたソールは、自分の意識が遠のいていくのを感じる。
 一瞬のことだった。少なくともソールにはそう感じられた。次に目を開いたとき、ソールは見たこともない、感じたことの無い空気に満ちた場所に立っていた。
 空からは、ひどく雨が降っていた。


◆Opening 02 バイトの一般人(パンピー)


GM:さて、お次はユースケさんの番です。
ユースケ:お、来たな。
GM:このシーンは…まぁ、たぶん本人が一番大変ですね。頑張ってください。
ユースケ:えぇ…
ソール:頑張れ!

 今日は暑くもなく寒くもない、いい天気だ。普通の男子大学生なら、彼女と最高のデート日和!…という風情なのだが、ユースケはいつも通り、バイト先の店主であるサヤカの指示を受け、今日の酒の肴となる食材を購入し、バイト先へ戻ろうとしていた。

GM:はい、というわけで、ユースケさん。「俺は○○!」的な自己紹介を自由にしてください!(一同爆笑)
ソール:「俺、ユースケ!普通の19歳!…だったんだけど…」っていう、アニメやラノベでよく聞くアレ?
GM:あ、そうですそうです!
ユースケ:イメージは分かったけど……えっと…「私、シロヤ・ユースケ。ただいまバイトの買い出しから帰る途中。受験勉強の末、第1志望の大学に入ったはいいものの、なんとなく決めてしまった大学の講義には1,2か月で飽きてしまい、サークルにも最初の時期に入り損ねてしまい、現在はたまたま見つけたアルバイトを続けているわけだが…。これといって楽しいことがあるわけでもなく、夢見ていた彼女との楽しい生活も一向に始まらず、こうやってバイト先の店主にこき使われて、せっせと重い荷物を運ぶ毎日…」
ソール:想像以上にダメダメ系だった(笑)
ユースケ:「はぁ…何か最近シフトも多くなってきたしなぁ…。サヤカさん、最近俺の扱いが雑になってきたよな。まだバイトはじめてそんなに経ってないのに…」とぶつぶつ言いながら、歩いています。
GM:ありがとうございます(笑)
ユースケ:いきなりラノベの主人公やらされると思わなかったよ!(笑)
GM:さて、そんなことをユースケがぼやいていると、バイト先に到着した。田舎にありそうな和の雰囲気があふれる外見の店先から、店主が顔を出す。「お帰りなさい。遅かったわね」
ユースケ:「遅かったわねって…仕方ないでしょ!何ですかこの買い物メモ!何枚あるんですか!!」
GM(サヤカ):「何よぅ、いいじゃない。だってそれだけ肴があれば、お酒が進むでしょ?」
ユースケ:「こんなにあるなら、一緒に来てくれればよかったじゃないですか…」
GM(サヤカ):「口応えが増えたわね。そんなんじゃ、また報酬が減るわよ」
ユースケ:「これ以上、バイト代減らされたら辞めますよ!」
GM(サヤカ):「そう? なら、辞める前に……あぁ、なんでもない。そういえば、今日は変わったお客が来そうなのよね」
ユースケ:「変わったお客さん?」
GM(サヤカ):「そうそう。ウチの倉庫があるでしょ?奥にあるやつ。その中にお札の付いた箱があるから持ってきて」
ユースケ:「へいへい、奥の倉庫ですね」
GM:ユースケがぶつぶつ言いながら倉庫へ行くと、倉庫の奥の奥の奥に、サヤカが言っていたお札の付いた箱があった。ずいぶん古めかしい箱であるようだが、なぜか埃一つ付いていない。重いような、軽いような、不思議な感じだった。
ユースケ:「や、やっと見つけた…。これなんだろう。お札が生々しいな…」
GM「開けますか?」という質問と共に、『開ける』、『開けずに持っていく』の2択が表示されるよ。
ユースケアドベンチャーゲーム始まった!?(笑)この箱、振っても音とかしないの?
GM:音もしないし、本当に何か入ってるのか? くらいの感じですね。
ユースケ:ふぅん…。見た目は明らかに“いわくつき”って感じだけど、とりあえず開けずに持っていくかな。今までもきっと倉庫の片づけやらされて、変なアイテムでひどい目に遭ってるだろうから。
GM:じゃあ中身は開けずに倉庫を出ましょうか。
ユースケ:「サヤカさーん、これですかー?」
GM:…と、ユースケが倉庫から出てサヤカのところへ戻る途中、ザーッと外では雨が降り出していた。
ユースケ:「あれ、雨?さっきまで晴れてたのに…」
GM:そんなことをつぶやいていると、部屋の前の廊下で庭先へ視線を向けている店主の姿を見つけた。すると彼女はこう言った。「間に合ったわね。来るわよ」
ユースケ:「え?」
GM:ユースケが視線をサヤカと同じ方へ向けると、先ほどまで誰もいなかったはずの中庭に、2人の人影があった――。
ユースケ:「な、なにg…」
GMはい。ということで、ここでシーンは終了でーす。
ユースケうおいっ!!まだ冒険者やってない!ラノベの主人公しかやってねーぞ!!(笑)
ソール:『異世界からお姫様が転生していた件』…ってやつか。
ユースケ:どこの新作ですか!?……いや、ちょっと待て。ソールって何歳なの?
ソール:17,8歳くらいの設定だけど?
ユースケ:ラブコメ範囲ど真ん中じゃん!!ラノベになるじゃん!!!

 ユースケのPLには、ラブコメ路線に関して世界が滅ぶレベルのトラウマがあるらしい。
 恋愛って難しい。


◆Opening 03 遺跡の探索者(ハンター)


 もうどれくらい奥まで来ただろうか。
 『過去をやり直せる』という、本当か嘘かも分からない噂話を頼りにこの遺跡に挑戦すること早1週間。冒険者はようやく最奥と思われるフロアまで辿り着いていた。
 砂漠の中の遺跡であったはずなのに、最奥と思われるフロアには水辺もあり、どこか静けさのある雰囲気である。

シフ:「とうとうここまで来たか…」
ユースケ:あれ、せいろんのキャラだからまた変わったのが来ると思ったら、結構普通っいぽい…
シフ待って待って待って待って(怒)
ユースケ:いやごめん(笑)今までの傾向的に、ね?
ソール:前科持ち。

 ※褒め言葉です。

GM:君が独り言をつぶやきながら、正面の壁画に目を向けると、月と太陽、そして羽のような紋様の何かが描かれている。さ、また選択肢が出ますよ。『調べる』?『調べない』?
シフ:この歴戦の冒険者たる私は、そんなものに見向きはせぬ。捨て置けッ!(一同爆笑)
GM:壁画には目もくれずその場を立ち去ろうとすると、突然遺跡全体が震え上がるように轟音を上げ始める。
シフ:……後ろへ下がりながら、壁際へいく。
GM:君が壁際まで戻ると、先ほどまで壁に描かれていたはずの紋様が、いつの間にか足元に移っていることに気づく。
シフ「ちっ!図ったな!」
ソール:誰がだよ(笑)
GM:紋様は淡く光を放ち、一瞬君は目を閉じた。次に君が目を開いたとき、先ほどまでの遺跡…いや、先ほどまでいた世界とは明らかに違うと分かる場所に立っていた。目の前には謎の屋敷が建っている。……というとことで、短いんだけどここでシーン終了です。
シフ:フッ。なるほど、こういうことか…

 「やっぱりまた濃ゆいキャラを…」
 PCたちの頭の中には同じセリフが浮かんでいた。


◆Opening 04 集う客人


GM(サヤカ):「役者は揃ったようね」 ひどい大雨ではあったが、庭先に出た店主は雨に濡れる様子もなく、朗々と語る。
ソール:「あなたが、運命を変える力を持つ方…ですか?」
GM(サヤカ):「そんな風に呼ばれることもあるわね。ここは、あなたたちのいたエリンと呼ばれる世界とは異なる時間に存在する世界。有体に言うと、“異世界”ってやつね」
シフ:「…にわかには信じがたいが、そういう文献を目にしたことがある」
GM(サヤカ):「この店は、様々な世界から、様々な願いを持つお客が来る。ここに来たということは、あなたたちには願いはあるということね」
ソール:「はい!私の国を、滅びゆく私の国を救いたいのです!力を貸していただけませんか!?」
GM(サヤカ):「…あなたは?」とシフさんの方へ目を向けます。
シフ:「俺は誰かに何かを叶えてもらうつもりはない。いまいちあんたも信用できないしな」
GM(サヤカ):「それはとっても素敵な勘ね。……そこのお嬢さん。あなたの願いは『やり直しを求める』という事なのかしら?」
ソール:やり直し……やり直しなのかなぁ…?やり直してもしょうがない気がするんだよな。
GM:滅びそうになるきっかけはソールじゃないしね。とある女性陣が振られるのを何とかしないと。
ソール:「運命をやり直すことで、今の国の現状が変えられるのであれば…!」
GM(サヤカ):「残念だけど、あなたの願いを変えるようなものは、“今この世界には”ないわね」
ソール:「それならどうすれば…」
GM(サヤカ):「うん、今この世界に無いことは分かるけれど、他の世界は分からないわ。探し物のために、様々な世界や時間を移動していくこと。世界は目の前のひとつだけのように見えて、その実は違う。幾重にも可能性が重なり合って、少しずつ異なる結果を引き受ける世界が同時並行的に流れているわ」
ソール:「は、はぁ…」
GM(サヤカ):サヤカは淡々と続けます。「もちろん、異世界を渡るにはリスクもある。あなたたちが知っていたり、見たことのあるような景色や人間と出会ったとしても、それはあなたたちが知っているものとは違うものよ。その矛盾に耐えられなくなっちゃう人もいるけれど…。あなたたちはどうかしらね」
ユースケ:「あ、あの~…」
GM(サヤカ):「ユースケ、その箱を開けて」
ユースケ:「いや、あの、ていうか、そちらの方々はお客さんじゃ…」
GM(サヤカ):「そう、お客よ。早く箱を開けて」
ユースケ:「あ、はい…開ければいいんですか?」と、お札を剥がしてパカッと開きます。
GM:ユースケが箱を開けると、中には古めかしい懐中時計がいくつか入っていた。
ユースケ:「なんスかこれ。時計?」
GM(サヤカ):「そうね。時計よ。人によってはとても価値のあるものだけど、人にっては何の価値も持たないものよ」
ユースケ:「サヤカさん、さっきから何を言ってるんですか…?」
シフ:「話がハッキリしないな」
GM(サヤカ):「話を戻すけど、あなたたちの願いを叶える何かはこの世界にはないわ。ただ、別の世界や別の次元にはその可能性はあるかもしれない」
ソール:「可能性があるのなら、私はどんな世界でも探しに行きます!」
GM(サヤカ):「これは“時を渡る力”を持つ宝具。行く先々で様々なものを見るあなたたちの行く末を見守るでしょう」
ソール:「こんなものをいただけるのですか?」
GM(サヤカ):「あら、タダでもらえると思ったのかしら?ここはお店よ?」
ソール:で、ですよねー…。「そ、それなのですが…私の国は滅ぶ寸前だったもので…その、お金はあまり…」と申し訳なさそうに伝えます。
GM(サヤカ):「心配しなくても、支払は現金とは限らないわ。私がもらうのは、“お客にとって最も価値のあるもの”よ。そうねぇ…、お嬢さんの持っているものの中だと、その“何でも斬れる剣”かしら。でも、それだと旅に支障が出るわね…」
ソール:「これは無いと困りますが…でも、他に価値のある物なんて…」
GM(サヤカ):「じゃあ、あなたに出してもらおうかしら?」
シフ:「俺か?大したものは持っていないがな。それに何度も言うが、あんたのことはまだ信用していない……とはいえ、俺たちが元いた場所に戻る術もないのだろう?」
GM(サヤカ):「そうね。元の場所に戻るには、時を渡らないといけないし。ひとつ言っておくけど、私があなたたちをここにお招きしたわけではないわ。あなたたちが、ここに来たのよ」
シフ:「あいにく俺は時間を渡るなんてことは信じていない…が、他にやることもない。話に乗ってやる。実際に見定めてやろう」
GM(サヤカ):「そう。じゃあ、あなたたちから対価をもらうのはまた後にしましょう。ただし、旅の中で見つけたものを対価としていただくわ。…そして、もうひとつお願いがあるの」
シフ:「断る」
ソール:「私に出来ることであれば…!」
ユースケ:「あの、サヤカさん、この人たちどういうお知り合いで?…劇団の方?それにとりあえず上がってもらっては?濡れちゃうし…」
GM(サヤカ):話しかけるユースケをまるっと無視して続けます。「あなたたち2人へのお願いは、この子を連れてってほしいの」
ユースケ:「うーわ、ガン無視……って、え?」
ソール:「この方も時を渡ることに関して詳しいのですか?」
GM(サヤカ):「ううん、全然。ウチで働いてるただのアルバイトよ」
ソール:「アル…?召使のようなものでしょうか…」
ユースケ:「ちょ、ちょっと、店長!他の店にヘルプって意味ですか?!聞いてないですよ!!」
GM(サヤカ):「うるっさいわね。いい?この人たちはこの店に用があって来たお客さん。で、必要があってこれから異世界を渡らないといけないわけ。あんたはその旅に付いて行って、旅先の美味しい物を私に送る。…よろしい?」
ユースケ:「すいません、異世界のあたりからもう一度お願いします!」
GM(サヤカ):「大丈夫!あなたが異世界を旅していけるようにプレゼントあげるから!」
ユースケ:「あ、いや、そういうんじゃn…」
GM(サヤカ):「あなたの対価は“平凡な日常”ってことでいいわ☆」
ユースケ「誰かっ!通訳!通訳をよこしてくれぇ!!」(一同笑)
GM:騒ぐユースケにサヤカが手をかざすと、ユースケは白い光に包まれる。ユースケは自分の内側から不思議な力が湧き上がるのを感じます。
ユースケ:「なっ…なんだ!?」
GM(サヤカ):「へぇ…あなた、魔術の方に適正があるのね。力を使う時は、かわいい呪文を唱える必要があるわ。ほら、魔法少女のように!」
ユースケまた呪文かよぉぉぉぉぉ!!!

 『呪文』【じゅ-もん】
  まじない、のろいの文句。そのほかにも、扉を開けたり猫を呼べたりと用途は様々。

ユースケ:「じゅ、呪文てなんすか?」(すっとぼけ)
GM(サヤカ):「何でもいいわよ。ほら、早く」
ユースケ:「い、出でよ!!……とか?」
GM(サヤカ):「はぁ、ま、最初はそんなもんかしらね」
ユースケ:「あの、本当に何なんですかこれ」
GM(サヤカ):「あなたの場合、行ってみれば分かるわよ。さて…」そう言ってソールとシフの方へ向き直ります。「準備は整ったわ。この箱の中から好きな懐中時計を取って」
ソールじゃあ、私はこの草ポケモンのフシギd…
ユースケあんたはどこに旅立とうとしてんだ!(一同爆笑)
シフ:この時計、なんか違いとかあるの?
GM:違いは無いよ。ちなみに大きさは首にかけられるような、よく見るサイズだね。
シフ:「違いが無いならどれでもいいだろう」と、適当にぱっと取ろう。
GM(サヤカ):「ほら、ユースケも」と時計を投げてよこします。
ユースケ:「え、ちょっと、俺、全然よく分かってないんですけど…」
GM(サヤカ)「行けばわかるから!」(笑顔でサムズアップ)
ユースケ:「何なんだよもう…」
GM(サヤカ):「あなたたちが行く先々の世界で為すべきことを為せば、その時計がまた別の可能性がある世界へ導いてくれるわ。どんな所へ行くかはあなたたち次第よ。あ、それと、途中で個別にお願いしたいことがあったら個別に呼び出すかもしれないからよろしくね☆」
ソール:入れ替わりの設定をねじ込んでくれている…(笑)
GM(サヤカ):「説明は以上よ。何か質問は?」
ユースケ:「全ッ然分かんないので、もう一度最初から説明してもらっていいでしょうか!」
GM(サヤカ):「OK。じゃあ行きましょうか」
ユースケ:(膝から崩れ落ちる)
ソール:「何はともあれ、皆さんよろしくお願いいたします。私はソールと申します」
シフ:「俺はシフ。しがない冒険者だ」
ユースケ:「……シロヤ・ユースケ、大学生です…」
GM(サヤカ):「時間移動自体は心配しなくていいわ。その時計は稀代の呪術師が作ったもの。作者の人格はともかく、性能は折り紙つきよ」
ユースケ:「これ、何時ごろ終わるんd…」
GM(サヤカ):「自己紹介も終わったし、行きましょうか」 そう言うと、君たち3人の足元には時計の文字盤のような模様が浮かび上がる。頭の中で時計が時間を刻む音が響く。文字盤の中心に立つ君たちの周囲にも時計の紋様がいくつも浮かび上がり、それぞれの針がぐるぐると回りはじめる。君たちは意識が遠くなっていくのを感じる――。
シフ:「くっ…」
ソール:「ここに来た時と同じような感覚…」
ユースケ:「な…なんなんだよ、ほん、と…に…」

 「さて、君たちの旅路はどこになるのやら――」
 その言葉を最後に、3人は意識を失った。

ミドルフェイズへ続く…
最終更新:2020年05月05日 20:46