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#center(){&font(b,red,35px){りんごのおはなし}} ----  共和国からの難民の受け入れが始まるにあたって、土場藩国では藩国上層部によって新旧領民の融和政策会議が開かれた。  これが一連の悲劇の始まりであった。  議長の挨拶から会議は始まり、続いて各参加者の挨拶が終わると議題が発表され、それとほぼ同時に手を挙げた人物は指名をも待たずに高らかに宣った。 「りんご祭りやろーぜー!」  確かにりんごは土場の特産品であった。予想外に普通の意見に一同が絶句する中、更なる発言が身振りをまじえて続く。 「みんな町の中にでてりんごをぶつけあうんだ!雪合戦みたいで盛り上がるぞ!」  一瞬でも期待した事への悔恨に包まれた会議場ではあったが、別の人物による提案をきっかけに事態は急転する。 「なにが面白いか良くわからないので実際にやってみよう」  急遽テストプレイが行われることとなり会議は一時中断することになる。  議長の机と参加者の座布団が片付けられ、ダンボールに梱包されたりんごが会議場に運び込まれた。  6人の参加者の手元に3個のりんごが行き渡り、なぜか同じくりんごを持った審判役の議長の合図で試合が開始された。  30秒後  全身24箇所にりんごの直撃を食らった参加者一名が会議場から病院へと搬送されていた。  診断の結果全身打撲により全治一ヶ月とのことである。  結局、提案者が退場を余儀なくされた事と、「さすがにりんごは危ないな」「食べ物を粗末にする事はいかんな」「りんごはこの後スタッフが美味しくいただきました」等の意見が出され”りんご祭り(仮)”は、りんご料理を作り新旧領民の交流会を行うという無難な案が採決されたのであった。  しかし、会議の段階で重傷者1名を出すというこの悲劇は更なる悲劇の前触れでしかなかったのである。  悲劇の第二幕は、りんご祭りの実施が決定され着々と準備が進む中で幕を開けた。  プログラムの一部に不審点が見つかったのである。  本来は”子猫の体重はりんご何個分?”というイベントが記載されるべき箇所に、印刷所から届けられたそれには”殺人りんごの攻撃”という演劇のタイトルが記載されていた。  直ちに調査隊が派遣されたが病室はもぬけの殻であった。  更には印刷所への連絡が遅れてしまい、ポスターとパンフレットまでもが刷り上げられてしまうという大惨事が発生したのである。 #ref(殺人リンゴ.JPG)  パンフレットに書かれた劇の概要は”ある日、急にりんごが人間を襲いだし(ry”などという想像を絶する物であった。  また、原作者のコメントとして「りんごに襲われる悪夢にうなされる中で浮かんだアイディアを一晩でやってしまいました」などという妄言が記載されており、関係者は一様に頭を抱え込まざるを得なかった。  対応に苦慮した融和政策会議は苦肉の策として敢えてこのポスターとパンフレットを公表に踏み切った。  土場国民(旧領民)の反応は早かった。  公表後、数時間で「どっかで聞いたことある話だ」「どう見ても盗作だな」「たしかりんごじゃなくて赤い野菜だったぞ?」といった会話が不特定多数の藩国民の間で交わされる様になり、翌日にはどこからともなく原作者のレンタルビデオ会員権の情報が漏出し、レンタル履歴が暴露される事態を迎えるのであった。  事ここに到り、ついに原作者の緊急会見が開かれる事となった。包帯姿で会見に登場した原作者は浴びせられる質問に対してなんら要領を得ず、となりに座っていた眼鏡が答えるべき内容を囁いていたが(後の囁きヤガミである)最後にはそれをも無視して「盗作じゃねーよ!インスパイヤだ!」と叫ぶに到ったところで身柄を拘束され再度の病院送りとなった。  結果、”殺人りんごの攻撃”は発表から3日目にして一度の公演も行われることなく公演が中止となるという悲劇的な伝説を打ち立てた。  余談ではあるがこの一連の騒動によって回収されなかったポスターやパンフレットにプレミアが付きマニアの間では高額で取引されているらしい。  さまざまな悲劇の果てに開催されたりんご祭りは滞ることなく行われ、アップルパイや焼きりんご、アップルティーを作り会食が行われる様子が藩国内に中継された。  妙に大衆受けする容姿の少年少女ばかりが画面に映っていた為に何らかの意図を感じる藩国民もいたが概ね好評のうちに幕を閉じた。 #ref(1.jpg)  懸念されていた調子に乗ると何をするかわからない国民性による妨害活動も特に行われなかったことも成功の一因と言われている。ごく一部では盗作騒動は妨害活動を行うであろう藩国民をひきつけるための餌ではなかったのか?という声も聞かれたが真相は闇の中である。 ---------- (SS:KBN・イラスト:矢上麗華) ---- &link_up() &link_back() ----
#center(){&font(b,red,35px){りんごのおはなし}} ----  共和国からの難民の受け入れが始まるにあたって、土場藩国では藩国上層部によって新旧領民の融和政策会議が開かれた。  これが一連の悲劇の始まりであった。  議長の挨拶から会議は始まり、続いて各参加者の挨拶が終わると議題が発表され、それとほぼ同時に手を挙げた人物は指名をも待たずに高らかに宣った。 「りんご祭りやろーぜー!」  確かにりんごは土場の特産品であった。予想外に普通の意見に一同が絶句する中、更なる発言が身振りをまじえて続く。 「みんな町の中にでてりんごをぶつけあうんだ!雪合戦みたいで盛り上がるぞ!」  一瞬でも期待した事への悔恨に包まれた会議場ではあったが、別の人物による提案をきっかけに事態は急転する。 「なにが面白いか良くわからないので実際にやってみよう」  急遽テストプレイが行われることとなり会議は一時中断することになる。  議長の机と参加者の座布団が片付けられ、ダンボールに梱包されたりんごが会議場に運び込まれた。  6人の参加者の手元に3個のりんごが行き渡り、なぜか同じくりんごを持った審判役の議長の合図で試合が開始された。  30秒後  全身24箇所にりんごの直撃を食らった参加者一名が会議場から病院へと搬送されていた。  診断の結果全身打撲により全治一ヶ月とのことである。  結局、提案者が退場を余儀なくされた事と、「さすがにりんごは危ないな」「食べ物を粗末にする事はいかんな」「りんごはこの後スタッフが美味しくいただきました」等の意見が出され”りんご祭り(仮)”は、りんご料理を作り新旧領民の交流会を行うという無難な案が採決されたのであった。  しかし、会議の段階で重傷者1名を出すというこの悲劇は更なる悲劇の前触れでしかなかったのである。  悲劇の第二幕は、りんご祭りの実施が決定され着々と準備が進む中で幕を開けた。  プログラムの一部に不審点が見つかったのである。  本来は”子猫の体重はりんご何個分?”というイベントが記載されるべき箇所に、印刷所から届けられたそれには”&color(red){殺人りんごの攻撃}”という演劇のタイトルが記載されていた。  直ちに調査隊が派遣されたが病室はもぬけの殻であった。  更には印刷所への連絡が遅れてしまい、ポスターとパンフレットまでもが刷り上げられてしまうという大惨事が発生したのである。 #ref(殺人リンゴ.JPG)  パンフレットに書かれた劇の概要は”ある日、急にりんごが人間を襲いだし(ry”などという想像を絶する物であった。  また、原作者のコメントとして「りんごに襲われる悪夢にうなされる中で浮かんだアイディアを一晩でやってしまいました」などという妄言が記載されており、関係者は一様に頭を抱え込まざるを得なかった。  対応に苦慮した融和政策会議は苦肉の策として敢えてこのポスターとパンフレットを公表に踏み切った。  土場国民(旧領民)の反応は早かった。  公表後、数時間で「どっかで聞いたことある話だ」「どう見ても盗作だな」「たしかりんごじゃなくて赤い野菜だったぞ?」といった会話が不特定多数の藩国民の間で交わされる様になり、翌日にはどこからともなく原作者のレンタルビデオ会員権の情報が漏出し、レンタル履歴が暴露される事態を迎えるのであった。  事ここに到り、ついに原作者の緊急会見が開かれる事となった。包帯姿で会見に登場した原作者は浴びせられる質問に対してなんら要領を得ず、となりに座っていた眼鏡が答えるべき内容を囁いていたが(後の囁きヤガミである)最後にはそれをも無視して「盗作じゃねーよ!インスパイヤだ!」と叫ぶに到ったところで身柄を拘束され再度の病院送りとなった。  結果、”殺人りんごの攻撃”は発表から3日目にして一度の公演も行われることなく公演が中止となるという悲劇的な伝説を打ち立てた。  余談ではあるがこの一連の騒動によって回収されなかったポスターやパンフレットにプレミアが付きマニアの間では高額で取引されているらしい。  さまざまな悲劇の果てに開催されたりんご祭りは滞ることなく行われ、アップルパイや焼きりんご、アップルティーを作り会食が行われる様子が藩国内に中継された。  妙に大衆受けする容姿の少年少女ばかりが画面に映っていた為に何らかの意図を感じる藩国民もいたが概ね好評のうちに幕を閉じた。 #ref(1-2.jpg)  懸念されていた調子に乗ると何をするかわからない国民性による妨害活動も特に行われなかったことも成功の一因と言われている。  ごく一部では盗作騒動は妨害活動を行うであろう藩国民をひきつけるための餌ではなかったのか?という声も聞かれたが真相は闇の中である。 ---------- (SS:KBN・イラスト:矢上麗華) ---- &link_up() &link_back() ----

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