鰐男-01


むかしむかしハルケギニアという異世界に
アルビオンという空に浮かんだ王国がありました
アルビオンの王様はエルフが大嫌いでしたが
王様の弟は王様に隠れてエルフの女性と恋仲になっていました
それを知ってとても怒った王様は軍隊を差し向け弟と恋人のエルフ
そして弟の味方をしたサウスゴータ公の首を刎ねてしまいました
王様は知りませんでしたが弟とエルフの女性の間には子供がいました
ティファニアという名前のハーフエルフの女の子です
サウスゴータ公の娘のマチルダと一緒にサウスゴータから逃げ出したティファニアは
ウエストウッドの森でマチルダと二人で人目を避けて暮らしはじめました
そしてティファニアが17歳の誕生日を迎えた日に物語ははじまります

「シッ!」
目を血走らせて組み付いてきた男にショートレンジから素早いジャブを繰り出す
顎を狙ったパンチは綺麗に決まり
上体を仰け反らせた男のせつない部位に渾身の力を込めた前蹴りを叩き込む
「■■■■■■■■■■■■■―――――――――――――ツ!!!!」
表記不能な叫び声をあげて昏倒する野盗その一
杖を失ったメイジの女など何程のものかとばかりに獣欲に脳味噌を沸騰させた
野盗の一人を不意打ちで無力化したマチルダは
さり気無くブラウスのボタンを引き千切り
露わになった胸の谷間が野盗達の目に留まるように前屈みの姿勢から
ゆっくりと立ち上がる
案の定好色な笑みを浮かべた男達は生意気な女メイジをたっぷり時間をかけて
嬲る気になったらしく
包囲の輪を広げると武器を下ろし楽な姿勢をとる
そして野盗達の輪の中から進み出た一人の男が
ベルトに通した鞘から引き抜いたナイフを順手に持ち
腰を落としてじりじりとマチルダににじり寄る
その様子をさほど遠くない茂みの中から息を殺して見つめるティファニア
野盗達の襲撃を受けたとき森の奥に逃げるよう言われたティファニアだったが
一人残ったマチルダが心配でその場を立ち去りかねていた
最初はマチルダが作り出した土のゴーレムが野盗達を蹴散らしていたが
隠れていた狙撃手の先込め銃で杖を折られてしまう
そして今
ティファニアが逃げる時間を稼ぐため素手で野盗に立ち向かったマチルダは
ナイフ使いの男にいいように嬲られていた
男のナイフが閃くたび
マチルダのブラウスが切り刻まれ
スカートの切れ端が宙を舞う
マチルダも生半可な無法者など魔法無しで軽くあしらえる実力の持ち主だが
このナイフ使いは本物のプロだった
見物する男達の歓声が高まる中
下着姿に剥かれたうえブラを切り飛ばされ
遂に両手で胸を覆って座り込んでしまうマチルダ
それを見たティファニアは思わずマチルダのもとに向おうとするが
木の根に躓いて盛大にすっ転ぶ
そのはずみで大容量を誇るティファニアの胸の谷間から飛び出したのは
父親の形見のオルゴール
地面に転がったオルゴールの蓋が開いて流れ出す不可思議な旋律
ティファニア以外聞くことが出来ないそのメロディーは
ハーフエルフの少女に流れる始祖の血脈を呼び覚ます
いつの間にかティファニアは呪文を唱えていた
誰からも教わっていない
ハルケギニアではティファニアを含め四人しか使えるものがいない呪文を

醜悪な笑み浮かべゆっくりと歩み寄ってくるナイフ使いを睨みつけながら
マチルダは必死にこの場を切り抜ける方法を模索する
このまま野獣のような男達に蹂躙し尽くされたうえ殺されてしまったら
一人残されたティファニアはどうなるか
そう考えるとどんなに状況が悪くても諦めることは出来なかった
突然頭上に膨大な魔力が収束するのを感じたマチルダが顔をあげると
空中に光り輝く鏡のような門が開き
そこから落下してきた何かがナイフ使いを押し潰す
それは全長5メイルはあろうかという鰐だった
しかも後足で直立しているうえ鎧を着てマントを羽織り
強大な魔力の籠った宝石を埋め込んだやたら物騒な造形の斧を持っている
胸を隠すのも忘れて呆然としているマチルダの身体を外したマントで包んだ鰐は
ぐるりと首を廻し
居並ぶ野盗達を一瞥すると錆の効いた声で言った
「とりあえずお前らが悪者ということでいいか?」

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最終更新:2008年06月27日 22:38
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