第二回戦SS・図書館その1

第二話
  • 1-

「ソコの君」

明らかな不審者であった。
幼女と女子高生に声をかけてはいけないタイプの風体である。
一見すると和装ではあるがその顔に付けられた仮面は異様であった。

「アリア様、まさか噂のオーガーさんなのでは?」
「カードには反応はないが、油断はできないな」

アリア・B・ラッドノートそしてその従僕たる少女巡夜未来はC2カードがもたらす未曾有の戦いの渦中にある。
既に公開された戦いから参加者の名前くらいはわかっている。
その戦いには仮面の怪人も参加しているという話ではあるが。

「君の名は?」

と仮面の怪人は問うた。

「それ、違うやつじゃん!!アリア様は入れ替わったりしないから!!もし入れ替わるとしたら私とだから!!アリア様の未発達の胸を…ぐべぼあー」
「バカ!何言ってんのよ」

未来の顔面にアリアのパンチがめり込む。
幼女道で言うところの“ぐるぐるパンチ”に相当する一撃だ。
かの中華四千年の武人も使ったと言われる。

「な、何を言っているのだ君達は!!戦う相手と間違ったらいけないから名前を聞くのが悪いのかね?」

突如として仲間割れを始めた二人組に対して和装の男はやや動揺したように弁明した。

「女の子に声をかける時は自分から名乗るべきだと思いまーす!!そして緊急速報で実名入りで不審者情報として拡散してあげるから覚悟するんですね!!アリア様に声をかけた報いを受けるがいい!!」

「う、うぬ!!なんという極悪な、これは容赦する必要はなさそうだな。アリア・B・ラッドノートとそのおまけ!!」
「な、なぜ!!アリア様の名を!?」
「君、いまアリア様って言ったよね?」
「なんという策士!!アリア様侮れませんよこの変態!!」
「私は未来の馬鹿さ加減が侮れないと思ってるわ」

二人の少女を目の前に男は居住まいを正した。

「ふん、生き返るとは言えお前たちを殺す相手の名を知りたいというなら教えてやろう。ただし拡散するなよ、不審者じゃないからな!」
「わかったわ」
「ふふ、我こそは殺道が裏戦家筆頭。殺戮茶道の丸城戸茶道(マルキド・サドー)とは吾輩のことである!!」
「「誰だよお前!!」」

少女二人のツッコミが爽快に響いた。

  • 2-

「先輩何してはるんですゥ?」

ぬん子はPCに向かっているヤのつく自由業な先輩に問いかけた。
とりあえずついてこいと言われ図書館のPCコーナーに来ていたのだ。
PCの画面にはカラフルでポップでグロテスクなHPが映し出されている。

「これはな、日本暗殺者協会のホームページだ」
「ほえー、また物騒なページやねえ」
「んでこれが、今月のキル・ランク・キルだ。要するに暗殺者ランカーな」
「また随分と攻めた感じの名前やね」
「ここに挑戦状を送りつけた」
「へー、ええ?もしかしてウチ名前でですかァ!?何してくれてはるんですか先輩のアホー」
「ちげーよ、これだ」

そこには巡夜未来の名前が燦然と輝いていた。

『ヤッピー、ゴブリーちゃん!!私の愛しいアリア様との勝負を申し込みまーす!!尻を使う暗殺者って言っても美女にカードを奪われるようじゃ大したことないですよねー!ぷぷ!日本を代表する暗殺者がこれだと暗殺者っていっても夜の女王たるアリア様だけで壊滅できそう?で、挑戦するのは本物のゴブリーじゃなくってー、カードを奪った自称ゴブリーちゃんのほうね。えーと私たちの住所と写真も公開するのでいつでもかかって来てね』

と書かれていた。

「うわァ、めっちゃ自信家やん、よっぽどアリアって子を信頼してるんやね」
「あ、これ書いたの私だから」
「え?」
「住所調べていけそうな相手のをな公開したんだ」
「げぇー、ちょ、ちょっと待ってくださいよォ。プライベートですよ?」
「しらん、元々この未来とかいう下僕はそういうことをしかねないやつらしいからな」
「で、でも、これアカンやつやと思うんですけど、プライバシーとか」
「ああ、そうだなあ。今頃ここで馬鹿にされた暗殺者どもがカードを奪い取りに襲いかかってるだろうな!ハッハッハ!」
「ちょっと酷すぎると思うんですけどォ」
「まあここのランカーは実力はあるがちょっと自意識過剰なやつらだ。この程度では倒せないだろうよ。だが十分に消耗はさせられる。そこを狙う」
「でも先輩」
「なんだ?」
「先輩ってこんなお茶目な文章書くんやね、ちょっと可愛いかも」
「う、うるせえ」

  • 3-

影が走る。
未来の二本の腕は切り裂く刃だ。
アリアへの愛が強ければ強いほどアリアの魔人能力『B.compact』は未来の肉体を強化する。

「うがー!」
「もうちょっと気合入れた声出してよ」
「えへへ」
「お、おのれ!!吾輩の出した茶を無下に断って攻撃するとはなんと礼儀知らずな女だ!」

攻撃をバク転で交わし茶道は叫ぶ。
アリアに叱られて愛を増幅した未来はゆるく笑いながら加速した。

「せっかくの痺れ薬入の茶が台無しではないか!!」
「バカなの!?」

茶道の和装の袖から巨大な柱が出現し発射される。

「くらえ!!茶柱ミサイル!!」
「ミサイルじゃねえ!!」
「ぐっわあああああ!?」

未来の攻撃を避けた茶道の背後に霧となって回り込んだアリアが蹴りを放つ。

メキッ!!

不意に振り向いた茶道の顔面に蹴りが突き刺さった。

「し、しろ」
「あ、アリア様のパンツをみたな!!死ね!!」
「うぎゃーーーーー!!」

更に未来に八つ裂きにされ茶道は地に伏した。

「み、見事だ。この我輩を倒すとは、褒美にこの饅頭をやろう」
「いるか!」
「毒入り饅頭を見抜くとは、なんと聡明な…ガクッ」

アリアはあきれ果てた目で茶道を見下ろした。

「アリア様、これは一体」
「あ、それね。君らのプロフィールと挑戦状に書いてあったから、これこのHPに」

バキ!

「ぎゃー」
茶道は死んだ。

「みーらーい!!」
「えっ、怒ったアリア様超カワイイんですけど。今すぐSNSにアップしたいので写真を、いやこれを他人に公開するのは、でもアリア様の可愛さを世にしらしめたい、うーむ、迷うなー」
「バカ!!何してくれてんのよこんな事したらいろんな奴に狙われるじゃない」
「え?でもアップロードしないと」

不思議そうな顔をする未来にアリアは激怒した。
必ずこの自治暴虐の未来をのぞかねばならぬ。
でも、今じゃない。

「それじゃない!この挑戦状の…」
「たのもう!!」

野太い声が響いた
振り返ると山伏風の巨漢が立っている。

「我こそは山伏風退魔師仕立ての多国籍召喚術師暗殺者ブンナグールであーる」
「「結局殴るのかよ!!」」

二人のツッコミに対して男はニヤリと笑って応えた。

「君の名は?」

  • 4-

「バカな、このモブ沢ひろしの奇襲に対応するとは、ガクッ」

暗殺者モブ沢ひろしを退けたアリアと未来。
なんという強敵であったことだろうか。
ステルス暗殺者にこの先も付け狙われることを思うと今倒しておいて良かったと思える。

「こ、これで何人目?」
「18人目ですねアリア様~」

二人は満身創痍であった。
吸血鬼の自慢の耐久力にも陰りが見える。
未来の右手は失われて久しい。
これもエンジェル栗雄のバッカルコーンに食いちぎられた為だ。

「でも、無駄じゃなかった、ここに居るのは確かね」
「ですねー」

C2カードには“芹臼ぬん子、女性”の文字が示されている。
市立図書館にターゲットがいるのは間違いなかった。
命乞いをするチーズ地図(マッパー)暗殺者チーカマカマオ(マカオ出身のオカマ、ゴブリーの親友)を拷問して吐かせた情報だ。
チーズを操る強敵で蛆虫チーズはとても気持ち悪かったし青カビチーズは通行人を虐殺したおぞましきチーズだった。

「芹臼ぬん子、なんて邪悪なんでしょうねアリア様」
「ええ、ここは油断するべきではないわね」
「芹臼といったかい?」

不意に二人に声をかけた者がいた。
スポーツ系美少女っぽい感じの少女だ。

「また暗殺者?」
「いやー、知り合いにそういう名前の子がいてさ、つい声をかけちゃったの、あはははは~」
「知り合いって事は敵ですか?」

未来は残った腕を構え、アリアをかばう位置に移動した。

「え、いやあ敵?そんなことないよう、あそうだ。これあげる、青森のお土産なんだ」
「え?あどうも」
「知らない人から物もらっちゃダメでしょ、未来!」
「注意するアリア様めっちゃ可愛い!!(ごめんなさいアリア様、私の忠誠心は変わりありあせん)」
「声!!心の声!!」

アリアと未来が漫才のあと振り向くと少女は居なくなっていた。

「うひ!あひゃはははは~、妹よ結婚式の買い物をせねばならないな~!!」

びみょうな笑い声と風だけが残った。
夕張メロス!!
彼女はアホであった!!

  • 5-

「お前がアリアか…やな」

ポニーテールの女子高生が図書館中央の机の上に仁王立ちになっていた。
マナーが悪いが注意する者はいない。

「図書館の利用者や職員を退避させるくらいの良識はあるようですね、アリア様」
「良識のあるあいてはあんな外道なマネはしないと思うんだけど」
「ですよね~」
「ちょっとは考えて?」

調べた限りの顔写真とも一致する。

「ここなら邪魔ははいらな…入らへん。正々堂々勝負だ…しようやないか」
「随分なマネをしてくれましたね、プライベート情報がだだもれじゃない」
「私も知らないアリア様の情報を持っているならさっさと渡せー」
「黙っててくれる?」
「きゃー、鼻血でそう!!」
「消耗させる必要があったからな、それにその情報自体はそこのオマケにSNSで聞いたらペラペラ教えてくれたんだが」
「ばかー!!未来のバカー!!」

ザッ!!
机の上の女は拳銃を抜き放つ!!

「アリア様!!」

バシュ!!
サイレンサー付きと思われる拳銃から気の抜けた音が漏れ銃弾が放たれる。

ガキン!!
圧倒的に強化された未来の拳が銃弾を弾いた。

「いやーん、これって愛ですよねアリア様」

この他愛のない漫才のような会話こそが愛を深めている(未来が一方的にだが)。
不意の戦闘においても常に強化を維持するためにアリアは未来のバカな会話をたしなめることはしないのだ。

「そうだ、そのままだ、未来!うわっ!?」

ズルっ。
足元が不意に滑る。

いつの間にかフロア中の床がヌラヌラとテカっっている。

「こ、これは!?」
「アリア様!!ローションプレイはまだ早すぎます!!にょわっ!?」

ズルドサー!!
未来も転ぶ

うっすらとした脂肪が油膜として張り巡らされているのだ。
芹臼ぬん子の魔人能力『カロリー☆メイク』は熱エネルギーを脂肪に変える能力。
あらかじめ至る所に仕込んでおいた脂肪を熱でジワジワと溶かし罠を完成させたのだ。

バシュ!バシュ!!

続けて放たれる銃弾

「アリア様!!」

アリアに覆いかぶさるように未来が盾となる

「み、未来!!」

不安定な足場ではいかに吸血鬼といえ避けることはできない。
しかも、この銃弾は。

「う、うぐううう」

吸血鬼の眷属である未来の体から焼けるような匂いが漂う。

「ぎ、銀の銃弾!!」
「わりいな、調べさせてもらった、効くかどうか知らねえが吸血鬼には銀だろ」

バシュ!バシュ!!

「あぐぅ」
「未来!!やめて!!それはダメ!!貴方はまだ本当の吸血鬼にはなっていない」
「だ、大丈夫ですよぉ、アリア様…うふ、心配してくれるんだぁ」
「離れなさい、私は耐えられる、死んでも生き返る、でも貴方は!」
「えへ、えへへへへ。泣いてるアリア様…超可愛い。心配してくれるんなら私は大丈夫、これ、さっきのお土産、あとで一緒に食べましょうねえ」

お土産袋をアリアに手渡した未来はギリっと歯を食いしばった。
未来はアリアの愛を感じた。
力が無限に湧いてくる。
両手で床を掴む。

(いける)

靴と靴下を脱ぐ、その間も何発もの銃弾が体に突き刺さっているが。

(大丈夫だ)

「未来、やっつけないさい」

メキ!!
足の指が床に突き刺さった!!
未来の鼻から血(ラブ)が吹き出る!!

「はい!!」

未来はジャンプした。

「しぶとすぎんだろ!!」

机の上の女は手にロケットランチャーを構えていた。
ヤクザから仕入れたのだろうか、危険だ。

「未来ィー!!」
「アリア様!!」
「やっつけろ!!」
「ハイ!!」

ドグァ!!
発射されたロケットランチャーが未来に炸裂する。

ぼごおおおおおおおおおん!!

炸裂した爆炎は広がらず即座に脂肪の塊へと変化した。

「それで死なねえのかもしれねえからな!!もう動けねえだろ!!」
「未来ィー!!」

ビチャア!!
脂肪の塊がはじけ飛ぶ!!

「アリア様!!」
「なにィ!?」
「ラブラブキィーック!!」

ドゴォ!!
未来の蹴りが女に炸裂した。

女は気絶した。
そして未来も。
流石にロケットランチャーの直撃では無理もない。

  • 6-

「未来!未来!大丈夫なの?」
「うーんむにゃむにゃ、アリア様のほっぺた美味しいですぅー」
「バカ…ホントにバカなんだから」

膝枕をしてあげよう。
気絶している間くらいは。
と、アリアは思った。

ドガッ!!

「なっ!?」

ドザザザ!!
アリアは何が起こったのか一瞬理解できなかった。

「本棚!?」

バジュ!!パチパチ!!

紙と木の燃える音と匂い。

「ぐっ、気絶していなかった?」

しかしもう一度止めの一撃を叩き込んだはずだ。
あれで起きているとは思えない。

「ぐぅ」

吸血鬼としてはまだ若いが、それでもアリアには力があるこの程度をはねのけるのは不可能ではない。

ガッ!!

燃える本棚を押しのけ未来を抱えてアリアは立ち上がった。

「よぉ」

離れた位置に顔の潰れた女がいた。
グシャっと顔を鷲掴みにするとズルリと顔がとれる。

その下には別の女の顔があった。
脂肪を使った美容整形の亜種である、顔の薄皮の下に脂肪を注入して顔を変えたのだ。
本格的な整形ではない為、薄皮の下は表情も変えにくいし息もしづらいが、すぐに剥がせるのが利点だ。

「ま、上乗せの顔じゃ変装のレベルは甘いが、初対面の数分くらいは持てばいい」
「べ、別人?」
「おっと、私はもう戦闘不能だ、ったく腕が折れちゃったよ、だが」

ボタボタボタァ!!

「んあ!?」

アリアの頭上から無数の脂肪が垂れ落ちる
図書館はいたるところで燃え上がっている。

「っやっちまいな、ぬん子」
「これ、ホンマに悪役やないですかァ!」

図書館の二階のエントランスからホールを見下ろす位置に少女、芹臼ぬん子がいる!!
燃え上がる熱を吸収し脂肪の雨を降らせている、落ちた雨は即座に燃え上がる!!

「が、がは!!」
「銀の次は火だな!!」
「ほらァ!!そういうんが悪く見えるんですってェ!!」
「貴様ら!!」
「あ、早よ、その子だけでも投げて、巻き添えにはせえへんから!!」

こちらの少女には気遣いがあるのか。
正直わからないが、甘えるしかない。
アリアは未来を目の前の女に投げた。

「ごわ!?痛えな腕折れてるって言っただろ!」
「未来は巻き添えにしないのよね!」
「フハハハハ!!お前が降伏したらな!!」
「この外道!!」
「人質とるのアカンでしょ!!先輩!!それアカンですよォ!!」

どうやら、芹臼ぬん子はまともでもこの女はダメらしい!!
ならば許すわけにはいかない!!

「吸血鬼を舐めたことを後悔させてやる!!」

ズワ…。
影が広がる。
一瞬にして炎が消し去られた。

「なっ!?」
「この姿は見られたくはない、でも未来が気絶している今なら、お前たちを殺すのは造作もない事…」

一瞬で放たれた闇の刃がぬん子を貫く!!

「ぐぁ…」
「先に試合に決着をつけてからお前は殺す」

女の方を見向きもせず影の美女となったアリアは呟いた。

「へえ、それでも耐えるのね」

ぬん子は自分の肩に空いた穴に脂肪を詰めて止血していた。
怪我を治すわけではないが応急処置としては有効なのだろう。

「でも、魔人とは言え、人間では私には勝てないわ」

闇の波動がぬん子を蝕んでいく。

ふと、アリアは自分の手を見た。
そこには未来が食べようといったお土産が少し焦げた状態で握られていた。

「未来…。これはもう食べられないね、あとで新しいのを買うから一緒に食べよう」
「動くな!!」

後ろから女の声が響く。

「この子を殺すぞ!」
「殺せばいい、私なら生き返らせられる。真の眷属となるのは本意ではないけれど。こんな危険があるなら未来にも不死は必要だわ」
「くっ」

脅しは通じない。
そうわかれば、無茶はできないだろう。

「未来、先にこれは頂いておくわね」

そういって、アリア・B・ラッドノートは。
巡夜未来の愛が詰まったお土産を口にした。
愛は私も強くする。
ちょっとバカだけど、これからも仲良くしよう。

そうアリアは思った。

「むきゅー!?」

バタン、アリアは目を回し意識を失った。

  • 7-

青森。

「あらいらっしゃーい、今日も来たんだべ?」

青森駅前のお土産物屋さんのおばちゃんは全力で走り込んできたポニーテールの女の子に告げた。

「昨日のやつもう一個頂戴。友達のお土産にするんだ」
「あんらまあ、昨日は妹の結婚祝いっていっでたのにねえ」
「ああ、友よ。私を殴ってくれてもいい、私は一度だけ君へのお土産を忘れかけたのだ!!」

メロスの目はぐるぐると回っていた。
メロスはおよそ数百キロにわたり走っていて。
自身の魔人能力『ランナーズハイ』によってラリっていた。

「ああ、ぬん子、君も殴れというのかい?そんなこと私にできるわけないじゃないか!」

まったくもって狂人だったがお金はクレジットカードで払ってくれたので(名義はぬん子だった)。
お土産物屋のおばちゃんはニコニコとお土産を手渡した。

「ハイ『爆濃、ニンニクチョコ卵黄!!今夜もハッスルスペシャル!?』おまちどうだべ」
「わーい、もぐもぐムシャムシャ!!効くー!!」

そう言って手にとったにんにく卵黄チョコを食べてメロスは走り出した!!

「ああ友よ、ぬん子よ!ゆるしてほしい!!私の挫けかけた心を奮い立たせるためにはにんにくと高級ホテルのディナーが欠かせないのだ、君の命を救うためなんだ」

そういってメロスは青森で一番のホテルを目指して走り出した。

「うっきょー!!」

  • 8-

吸血鬼はにんにくに弱い。
常識である。

にんにくを食って気絶したアリアの前で。
ぬん子はメールを受け取った。

青森グランドホテルのスイートルームの請求書メールであった。

「メロス!!死ねー!!」

第二話「メロス!!ああメロス!!北の大地でにんにくを食べてる暇あったら戻ってこいボケ!!」 おしまい

最終更新:2016年09月10日 23:52