だんじょん博物館。
その一階にはメジャーモンスターの模型と共に種族特性についての説明文があちこちに記されていた。
フロアの中央には巨大な角を生やした4メートル級オーガーロードの剥製。
その横にはいかにも雑魚っぽいゴブリンの白菜が並んでおりダンジョンモンスターの頂点と底辺の対比が見事に表現されていた。
『オーガー、鬼族。推定レベル2000~4000。鬼族と分類されているが神の眷属である者も数多く存在する。
故に単純な腕力だけでなく技も多彩であり、未知のオーガー相手には決してソロで挑んではならない』
『ゴブリン、小鬼族。推定レベル0~5。小鬼族とされているが人権のない小型亜人を便宜上ゴブリンと呼称する事も。
稀にキングやシャーマンを名乗るのもいるが人間のマネ程度のものと考えてよい。新人冒険者にとって理想の練習相手だ』
「だってさ。これがホントーならゴブリーちん勝ち目ゼロでゴブ」
おどけながら相手の方をうかがうゴブリー。
『・・・・』
対戦相手、ナインオーガと呼ばれる人物の反応は無い。
この場所で出会った時に「ゴブリー、カ」とこちらの名前をカタコトっぽく聞いた時以外一言も発しない。
「いいえ、ゴブはこの博物館の受付嬢ゴブ」
そう言って一旦やり過ごそうとしたが返答は木刀だった。
間一髪で飛びのくと博物館の床(スーパー大理石製)が芸術的にひび割れた。
バトルの発生に気付いた本物の係員が避難誘導しもうここには対戦する両名だけとなった。
「・・・やりにくいゴブ色んな意味で」
武器とかがズっ友と被り気味な事もそうだし、ナインオーガが高名な武術家を主に
狙っているのもやりにくいと評した理由だ。
傷ついた仮面からは表情すら読めない。だが言葉には出さずともその全身からは殺気を放ち続けていた。
ナインオーガは無言で語る。お前じゃない、『武尻』を出せと。
ゴブリーのヅラや服を指さしては横へやるジェスチャーがその女装を辞めろと語っている。
「普通に喋れば?」
ナインオーガは手を首を横に振って否定する。こういうキャラで通したいらしい。
やがて説得はコミュ力的に無理と悟ったのか
無数の木刀をどこからか出現させゴブリーめがけて発射する。
北風と太陽作戦だ、言葉で服を脱がせられないなら物理的暴力で服を破き武尻を掘り出すまでだ。
「ふふーん甘いゴブ」
ゴブリーは上半身を尻の影に隠す。この体勢はケツだけ星人、いや違う。
上半身に続き下半身も尻に隠れた!これぞイー尻の盾!
木刀の半分は尻に弾かれ、残り半分はブーメランの様に弧を描きゴブリーの顔面に直撃した。
「ギエゴブー!」
ブリブリブリのゴブリブリー!
鼻血を吹き出しダウンするゴブリー。脱糞によりパンツは茶白に汚れ膨らんでいた。
歴戦のゴブリンであるゴブリーもまさか木刀がブーメラン軌道で動くとは思わなかった。
やはりゴブリンではオーガーには勝てないのか?ナインオーガは本物のオーガーじゃないけど。
そうだ、ナインオーガはオーガーっぽいコスプレをした推定少女。ゴブリーはティンと閃いた。
「エレベーター!」
大声でエレベーターを呼ぶゴブリー。
「はいなー!」
呼ばれて二秒でエレベーターボーイが飛んで来る。社員の教育が行き届いた良い博物館だ。
「二階のトラップルームまだ頼むゴブ」
「はいなー!」
ゴブリーを抱えエレベーターボーイは天井を突き破って二階へ到着した。
エレベーターボーイは頭蓋骨骨折で死んだ。
大穴が空いた天井を見上げるナインオーガ。ここからじゃあ角度的にゴブリーを狙い撃ち出来ない。
自分も二階へ行かねば。でも階段はしんどい。この博物館の一階中央にはオーガーロードの剥製。
つまり天井がむっちゃ高く二階への距離も階段だとむっちゃ長い。故にむっちゃしんどい。
「エ・・・」
エレベーターを呼ぼうとしてナインオーガは仮面の下の口をイッと止める。
危ない所だった。これまで守って来たキャラを怠惰で失う所だった。
ちょっと考え込んだ末、手に持った木刀で床のひび割れをひっかく。
「えぇれべぇTa~」
なんとかエレベーターを呼べそうな音を奏でられガッツポーズのナインオーガ。
「はいなー!」
飛んできたエレベーターボーイグレートの背に乗りブイサイン。
二階へ行きたいというジャスチャーだ。
「はいなー!」
エレベーターボーイの空けた天井を通過し二階の天井を破壊するエレベーターボーイグレート。
エレベーターボーイグレートはしょっちゅう行き先を間違える駄目社員だった。
でもこれは喋らなかったナインオーガも悪い。
頭蓋骨を骨折してエレベーターボーイグレートは死んだ。
ナインオーガは三階から二階へは階段で移動した。二階と三階の間は短く、下りなので楽ちんだった。
「ようやく来たゴブね」
決戦の地、二階トラップルーム。ここには様々なトラップが展示してある、
トリモチ、トラばさみ、金ダライ、アイアインメイデン、エレベーターボーイテンペスト、
だがここにある中で最強のトラップを一つ上げろと言われたらゴブリーもナインオーガも中央の穴を指差すだろう。
エレベーターボーイによって開けられた大穴、その真下にはオーガーロードの頭が見えている。
落ちたらツノで串刺し、命は無し。
ゴブリーは無言でパンツを脱ぎ、振り回す。
糞の詰まったパンツは遠心力でどんどんと伸び、長さ数メートルのモーニン糞ターとなった。
ナインオーガもそれに応え、チェーンウィップ型の木刀を生み出し構える。
「勝負ゴブ!」
モーニン糞ターとチェーンウィップ木刀が空中で交差した後穴の真上で絡み合いゴブリーとナインオーガを繋ぐロープとなる。
今ここに命懸けの綱引き大会が開幕した、
~ごBLEACHん03~
一歩踏み出す 二度と戻れぬ 三千世界の 血の海へ
1ゲーム目
「うおおおおおお負けないゴブー!」
先手を取ったのはゴブリー。見た目の体格は変わらない二人だがゴブリーの正体はメタボ中年。
体重で大きく勝る故に綱引きでは有利!ナインオーガが少しずつ穴へと引き寄せられていく。
NEXTGAME!
2ゲーム目
「うわっ、、クソ踏んですべっちゃったゴブ」
ここでアクシデント発生。パンツを脱いだ時にまき散らしたウンコで足を滑らせて形成逆転。
ゴブリーは穴の手前、ナインオーガは安全圏へ。
NEXTGAME!
3ターン目
「ま、負けてなるかゴブ~!!」
ボタン連打でゴブリーを勝利させるんだー!!
カットインの色が青色だったのであまり期待せずに連打していたが、案の定ゴブリーが穴へと引きずられていった。
期待度40パーセントリーチだしこんなものかと席を立とうとするが、まだ諦めてはいけません。
「あ、手を離せばいいんだゴブ」
逆転演出だぁ~!!
ゴブリーが手を離した事でロープ中央のウンコ玉がナインオーガの顔面に直撃!
ナインオーガはよろけながらオーガーロードの穴へと落ちて行った。
「百万石の大当たりゴブ!」
WIN!!
【ハンドルを右に回してください】。
BGM『オカマ城カマキュラ』に合わせてゴブリーの人生が映像になって映されていく
でんでんでえんでん てんてんんてんてんてーててん
(ゴブリー0歳、警察と冒険者の手によって亜人売買組織から助け出される)
でんでんででんでん てろりろりろりろー でーん
(ゴブリー15歳、養父らの元を離れダンジョン第一層へと戻る)
アーナルオナーニ やりすぎケツが裂けーた
(ゴブリー16歳、ダンジョンでゴブリンが生き抜く事の厳しさを知る)
でーも私はやーめず ケツが血まみれーに
(ゴブリー18歳、殺尻術に開眼し暗殺者の道を歩む)
ヨースケサンタマリーア 売り出し中オカマレスラー
(ゴブリー35歳、ターゲットを守護する幼女に苦戦し命を落としかける)
オーガズムの果てー そこにカマキュラはいる
(ゴブリー44歳、武器会社の特別顧問に就任するが数年後意見の違いからフリーに戻る)
でんでんでえんでん てんてんんてんてんてーててん
(ゴブリー49歳、占い師のアドバイスに従いバナー広告を利用し瞬く間に有名になる)
でんでんででんでん てろりろりろりろー でーん
(ゴブリー52歳、ドラゴンと同ランクの型抜き題材となる)
獲得数2300発 確変モード突入!
「まだまだ行くゴブよ~!!」