ルクサンドラの最期
視聴者の度肝を抜いた捕食シーンで、おそらく無印ダイバにおいて最も印象深い場面の一つ。
ムック本『魂の解体新書 ダイバージェンス・イヴ』には、このシーンの絵コンテが収録されている。
写真と血糊の演出
- 手形状の血糊…運命を分断される暗示。
- みさき:変容体化の兆候
- スサーナ:軍除隊
- ルクサンドラ:死
- キリ:現時点では何もなし
- ルクサンドラの顔の部分に滴る血液…彼女の死を示唆。
以下、絵コンテと演出を担当した、いまざきいつき氏の
コメントより抜粋(引用元のサイトは現在閉鎖状態の模様)
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………えー、
今回はルクサンドラ死亡編という事で、その辺の事を書きましょう。
(そればかりに目が行くかもしれませんが、
今回登場したキャラクター達全てにとって色々あった話なんですがね)
当然賛否あって然るべき話で、その様に作りました。
シナリオには特に悪趣味な描写もありませんで、
“喰われた”ではなく“襲われた”レベルで流す事も充分可能、
他の演出家さんだったら多分、そうなされたと思います。
ただ、ボクとしては話の流れでただ“死にました”にしてしまっては
ルクサンドラに申し訳なかったといいますか、
せっかく彼女が辛い目にあって死んでいくなら
皆さんにも同じようにそれを体験して頂きたかったと、ま、そういう事です。
その為にはいままでルクサンドラがあまり人間味をもって
描写されてきていなかった感があったので
なんとかこの回のみでも成立させるべく、写真などの小道具を持ち込みました。
眼球の傷は昔から貯めてたネタでしたが、ここで使えば
少しなりとも“生の人”感が出るか、と使っちゃいました。
(またそのうち使うかも………)
目玉ギミックは#5に引き続き、我ながら自分らしいフェチぶり。
会話シーンなどで演出家としてのテーマはありましたが、
それとは別にボク個人が今回成功させたかった試みが“死”を描くという事でした。
アニメキャラだとか実写ドキュメンタリーだとかSFXであるとかを超えて、
キャラクターへの感情移入も無いまま見た人がそれを
“人が殺されているシーン”だと認識させるフィルムになれば、との課題ありきの映像です。
他が多少未熟でもここを見せ切れば一応納得というか。直接グロテスクに見せれば良いっていうもんではなく、
(グロの見世物にするのは彼女の死に対して失礼だと思っていましたし)
かといってオブラートにも包みたくない。
今回のコンテを描いた時は自分自身、人一人殺したような疲労感がありました。
随分凹んでましたよ。
そのイメージが映像になるまで持続するか不安でしたが、
いい音も付けて頂き、あとはリアクション待ちという状態にはなりましたかね。
多くの皆さんが今回のあのシーンを見て不快になられた事と思いますが、
それはグロ描写に関しての不快さというより“人の死ぬ様”を観た事による後味の悪さではないでしょうか?
“死”を目にした時に人は色々考えるでしょう?
その人の日常を思ったり、それがこんな事になってしまっているギャップを嘆いたり。
死体写真やスナッフビデオを見た時のような、ショックだけど考えさせられる何か、そんな映像に出来たら良いな、と。
説教じみたメッセージ性を持たせる気は無いですが、何か考えてもらいたい。
不快感の源を怒りにすり替えず、彼女の死を考える時間を持って頂けたらと思うのです。
皆様の貴重な人生の脳内占有時間を彼女への餞に少々拝借………。
ま、作ってるボクはただのクズ、人非人です。ゴメンナサイ。
血の表現についてはこだわりがあったので、
原画さんには申し訳なかったのですが、自分で描き直してしまいました。
この辺は完全に趣味の範囲ですね。
心が穢れている人間にしか描けない血があると思います。
健全な血じゃダメなんです。ボクら(…って誰だよ)。申し訳ない。
その分、穢れている方にはお楽しみ頂けたかと。
V編の修正には自分の意見も反映されています。
流血ジョボジョボは流石に自分でも引いたので見えないようにカメラを寄ってフレーム外にしてあったり。
血の涙は修正版ではただの涙に見えてしまうかも知れませんが
あの時点では彼女は既に………。
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最終更新:2009年04月12日 17:33