「壮語の希望」ミライ


■性別
女性

■学年
3年生

■所持武器
傷ついた身体

■モチーフ書物
前夜

評価1:4
評価2:4
評価3:5

■ステータス
攻撃力:16/防御力:0/体力:3/精神力:3/FS(草創):8

特殊能力:『リトル・フューチャー(口舌りver.)』

効果:全ステータス半減ダメージ 55 ※
範囲+対象:隣接1マス内1マス敵全員 1.6
時間:2ターン 2.0
非消費制約:精神攻撃 100

消費制約:攻撃力消費5 25


攻撃力、防御力、体力、精神力、FSの全てに半減ダメージ(端数切捨て)を与える。

ボーナス:+13

発動率:101% 成功率:0%

能力原理

『リトル・フューチャー』は「最後の希望」ミライの魔人能力。
ミライの声を聞いた対象の無意識にミライの精神的な分身(リトルミライ)を送り込み、物理的に流れる時間の何十、何百倍もの速度で会話を展開する。

この会話は対象によって直接認識されることはないが、会話の進行による印象の変化や知識のアップデートは全て対象の意識にフィードバックされる。

同年代の中でも特に弁が立つミライが相手を擬似的に長時間の議論の卓に着かせることで、一種の洗脳状態を発生させることができる、極めて強力な干渉能力だった。

高潔な彼女はこれを主に洗脳の解除や知識の共有程度にしか使わなかったが、凶悪な能力として解釈した者たちはこれを過剰に恐れて耳栓を装着。
弁明も聞かずに私刑を執行した。

蘇生後、現時点でのミライは人間の言葉と十分な知能を取り戻しておらず、相手の無意識に対して喚き続けることしかできない。
本来の能力としては結論が出れば議論や会話を打ち切ることができたが、音の羅列に終わりはない。
本来の彼女が考えつくような使い方からは外れるが、これ以上ないほどシンプルに対象の心を壊せる。

キャラクター説明

私立弧夜見(こよみ)学園高等部の2024年度生徒会長。
前任の生徒会長が他の学校まで巻き込んで引き起こした麻薬蔓延を仲間と食い止め、その後自らが生徒会長として立ち上がって平和を築いた。

かつて麻薬材料の栽培に用いられていた植物園を仲間達との性的接触の場として利用していたが、会長の乱倫に脳を焼かれた生徒会書記が決起しクーデターが発生。
かつて学園を救った英雄達が再び薬物と権力による支配を開始したというデマに全校生徒が踊らされ、彼女とその仲間達は陵辱の限りを尽くされ命を落とした。

事変から半年程度が経過し、真実は覆い隠されたままに平穏が訪れていた。
弧夜見学園の生徒達はなんとなくの正義感や青春を伴って革命を起こしたが、大きな変化は起きなかった。
生徒会長やその仲間たちが暴政や陰謀を働いていたわけではないので当然である。

しかし、当の生徒達にはそのことに不満を抱える者が一定数いた。
生徒会長とその仲間はかつて事件解決で名声を得、学園内外の支持を集めて栄華を極めていたのだ。
その一方で同じく英雄となるはずだった革命者の自分達には何の報酬も無い。

フラストレーションが漠然と大衆を占める中、誰かが言った。

「生徒会長は死んでいないのかもしれない」と。

誰かは言った。
「志半ばで倒れた生徒会長は化け物として蘇り、今度こそ悪の限りを尽くすだろう」と。

初めは冗談めかして語られていたこの噂が、いつからか真剣な願いの響きを持って生徒の口に上るようになった。

彼らが求めていたのは実在する悪の表象であり、改めて革命をなすための対象であり、弱く可憐な姿を持つ獲物であった。

そうして噂をする中に、無自覚のまま魔人化したものがいた。

ミライは吸血鬼として蘇った。(ミイラではない)
夜の弧夜見学園、枯れ尽くした植物園跡地に彼女が現れるという目撃証言がまことしやかに語られるようになり、待ってましたとばかりに何人もの生徒は肝試しに向かった。

噂は本当でミライは植物園に存在し、モンスターらしく接近した者に襲いかかることもある。
しかし彼女と相対した生徒達は、それが脅威になりえないことにやがて気が付いた。

姿形の美しさは残していても、かつての生徒会長が誇った知性や魔人能力は発揮されなかったのだ。

彼女が血を求めていることを知った男子生徒の中には時たま食事と引き換えに接触を楽しむ者もいたが、大部分の生徒からは彼女の存在そのものが透明化されていった。
恐怖の象徴は既に残っていなかった。

二学期の期末テストを目前に、再び平穏が帰ってきた学園で急激に体調不良者が増加した。
調査の結果、体調を崩したのは夜間の植物園に通い詰めていた者が大半だと判明し、一部の者が感染症を懸念。

彼らは問題の吸血鬼を捕獲すると、完全な死を迎えるように挑戦したが、日光を含めたあらゆる殺害から一晩で回復することが明らかになった。
殺害を諦めた彼らは一種の見せ物として希望崎学園にこれを輸出、記憶や記録から麻薬事件以来の一切を消し去り、そもそも何もなかった風に振る舞うことを決めた。

モノとして希望崎学園に辿り着いたミライは、少しずつ知性を取り戻していた。
体調不良者を頻発させたのも、僅かに思い出した魔人能力を行使した結果である。

復讐、悲嘆、懐古。
記憶も感情も、言語能力も全く変成してしまった彼女は、何をするべきか、どころか何を思うべきかも分からなかった。

奇しくも彼女がいたのは、魔人モリオの能力で、言葉と文に溢れる希望崎学園である。

失った自分を、例え別の形でも取り戻せるのではないか、言語にならない思考は辛うじてミライに目的を作り出した。


最終更新:2024年11月19日 20:34